解体工事で基礎を残すのは大丈夫?違法?売却・建て替え前に見る注意点

解体工事で基礎を残すのは大丈夫?違法?売却・建て替え前に見る注意点

解体工事の際、工期や予算の都合で基礎を解体せずに残すことは可能なのでしょうか。

結論から言えば、基礎を残すのは基本的におすすめできません。基礎を残すことでさまざまなトラブルやリスクが高まってしまうのがその理由です。しかし、基礎を残してスケルトンリフォームするなどの選択肢もあるので、次の使い道によっては有効な場合もあります。

本記事では、解体工事で基礎を残す場合の注意点やメリット・デメリットを紹介します。

目次

基礎を残す解体工事とは?

そもそも解体工事で基礎を残すというのは、どのようなことなのでしょうか。ここでは建物解体工事で基礎を残す主な理由や適しているケースなど、基本的な知識を整理します。

基礎を残す理由

解体工事で基礎を残す場合、以下の理由が考えられます。

【費用の節約】
基礎の解体費用・廃棄物処理費用の削減や、大掛かりな改修をする際にスケルトンリフォームを選択し、基礎の新設費用を削減したい場合。

【工期短縮】
住宅の基礎工事は1か月ほどかかるため、工期を短縮させるために既存の基礎の使用を希望する場合。

【環境への配慮】
基礎を再利用することで回収される廃棄物の量を減らし、資源の有効活用をしたい場合。

【解体作業による影響を最小限にする】
解体工事で特に大きな騒音と振動が発生する基礎の解体作業を省略することで、近隣住民のストレスを軽減したい場合。

基礎を残す解体工事が適しているケース

解体工事で基礎を残す方法が適しているのは以下のようなケースです。

  • 基礎に不具合がない場合
  • スケルトンリフォームをする場合
  • 基礎が現行の耐震基準を満たしている場合
  • 新しい建物の間取りと位置が既存基礎と一致する場合

そのほか、解体工事後の土地を駐車場にする場合に、基礎を破砕して骨材として活用する場合にも基礎を残せます。ただしこの場合、残した基礎を有価物として扱うか産業廃棄物とみなされてしまうかは、行政の判断に委ねられるため、事前に自治体の窓口で確認が必要です。

戸建て基礎と地下工作物の存置の違い

上で解説した通り、解体工事で外壁や内装を壊し、残った基礎を使ってスケルトンリフォームなどをする場合は、基礎を残すことができます。

一方で、地下工作物を存置(埋め殺し)して良いのは大規模建築物の既存杭や山留め壁など、撤去により周囲の土地に影響を及ぼす場合に限ります。一般住宅の基礎はこれに該当しないため、基礎を残すことは産業廃棄物の不法投棄とみなされる点に注意が必要です。

解体工事で基礎を残すのは違法?

解体工事で発生した廃棄物や地中埋設物、残置物を意図的に放置した場合、産業廃棄物の不法投棄とみなされたり、土地の資産価値低下につながります。では、基礎を残すのは違法となってしまうのでしょうか。

基礎を残すだけで直ちに違法とは限らない

基礎を残して再利用する場合や砕石状に砕いて埋め立て用の骨材として使用する場合に限り、残していてもすぐに違法とはみなされません。ただし、行政によって有価物と産業廃棄物の判断は異なるため、事前に確認しておく必要があります。

基本的には建物を撤去した時点で、基礎コンクリートは産業廃棄物という扱いになります。基礎を残したまま放置することは基本的に認められない、ということは理解しておきましょう。

廃棄物扱いになる可能性がある

基礎は、建物を撤去した時点で産業廃棄物とみなされ、適切な処理をせずに放置していると不法投棄に該当します。

基礎は産業廃棄物のコンクリートがら、金属くずに分類されます。コンクリートがらは破砕処理して再生路盤材などにリサイクルされ、金属くずは切断や圧縮などの加工を経て製鋼原料に再利用されるか、コンクリートが大量に付着しているものは中間処理施設で破砕処理が行われ、最終処分場へ送られます。

産業廃棄物はマニフェストにより適切に管理されなければなりません。土地に残したままにしていると施主も責任を問われるおそれがあるため注意しましょう。

80㎡以上の解体では建設リサイクル法の届出が必要

コンクリートや木材などの特定資材を適切に分別し、再資源化を促進することを目的として、一定条件以上の建物では建設リサイクル法の届出が義務付けられています。

解体工事で建設リサイクル法の対象となるのは、特定資材(コンクリート、コンクリートと鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリート)が使用されている構造物で床面積の合計が80㎡以上の場合です。

基礎を残す場合で、たとえ解体する部分に特定資材が使用されていなくても、解体部分の床面積の合計が80㎡以上の場合は届出が義務付けられています。

参考:建設リサイクル法の対象となる工事

基礎を残すメリット

では、基礎を残すことにどのようなメリットがあるのでしょうか。予定している新しい住まいの大きさが、既存基礎と同じで基礎の構造に問題がない場合は、メリットを考慮して判断するとよいでしょう。

解体費用を抑えられる可能性がある

基礎を残すことで基礎部分の解体費用を節約できます。

基礎工事の解体費用の相場は以下の通りです。

布基礎:7,908円/坪
ベタ基礎:11,493円/坪
杭基礎:35,379円/本

布基礎の解体費用は30坪の家屋で約24万円、ベタ基礎は約35万円です。杭基礎は地盤の強度により変わりますが土地に30本打っている場合、約106万円かかります。

新築住宅の基礎工事の費用相場は30坪の住宅の場合150~240万円が目安です。基礎工事の費用は新築費用全体の7~10%を占めるとされているので、解体工事費用と基礎の新設費用の節約は総額で大きな差になると言えるでしょう。

工期を短縮できる可能性がある

基礎の解体と新設を省略すると、工期を大幅に短縮できます。新しい基礎を作る必要がないため、1か月程度の工期の短縮が可能です。

子どもの入学・新学期や家族の転勤など、家族の環境の変化によるタイムリミットがあり、新築の完成を急いでいる場合や仮住まいの期間をできるだけ短くしたい、賃貸の更新料を無駄に支払いたくない、といった場合には、スケルトンリフォームなどで基礎工事の時間を短縮するのはメリットと言えるでしょう。

騒音・振動を抑えられる可能性がある

基礎解体作業による騒音や振動を抑え、周辺への影響を最小限にしたい場合も基礎の解体を省略すればトラブルを避けられるかもしれません。

ただし、家屋部分の解体の際も騒音や振動・粉塵の発生は避けられません。解体工事では業者のトラックや重機の出入りなどにより、近隣住民に迷惑をかけてしまいます。基礎を解体しないからといって必ずしもクレームをゼロにすることができないことは理解しておきましょう。

基礎を解体する場合でも残す場合でも、近隣住民に事前に丁寧な挨拶をしておく、現場周辺をしっかり片付けておくといった気遣いだけでもクレームの発生を最小限にできます。きちんとした対応を心がけて、希望通りの工事をすることをおすすめします。

既存基礎を再利用できる可能性がある

既存基礎に劣化がなく、耐震性に問題がない場合は再利用できることがある点は大きなメリットです。

既存基礎を活かす場合に多く採用されるのがスケルトンリフォームです。スケルトンリフォームは基礎と柱などの住宅の骨組みを残し、間取りや内装を新たに作るリフォームです。

スケルトンリフォームの費用は基礎や柱を再利用できるため、延べ床20~40坪で約800~2,000万円程度が目安です。建て替えは施工会社やエリアにより1,500~4,500万円程度となります。そのため、条件次第で基礎を活かした方が割安になります。

基礎を残すデメリット・リスク

一方で、基礎を残して解体することには多くのリスクがあります。トラブルの発生や余計な費用の出費で後悔しないためにも、デメリットをしっかり把握しておきましょう。

後から撤去すると割高になる

後から基礎だけ撤去するとかえって解体費用がかかってしまうことが多いため気をつけましょう。

解体工事には養生費や重機回送費が含まれています。後から基礎だけを解体する場合、これらの費用を二重に支払うことになり、総額で支払う料金が多くなります。また、工事の際には再度近隣住民への挨拶回りも必要です。

このような手間と費用をかけないためにも、無理に基礎を残さずに一度に工事してしまった方がお得です。

買主から撤去費や損害賠償を求められる可能性がある

建物を解体して土地を売る場合、基礎が残っていると買主から撤去費用の請求や損害賠償を求められるリスクがあります。

土地の売買は更地として渡すのが基本です。土地に基礎や地中埋設物が残っていることが判明すると、買い手に敬遠されるだけでなく、契約不適合責任を問われる可能性も高まります。

契約不適合責任があった場合、基礎の解体工事を求められたり、解体工事費相当の減額を要求されるだけでなく、損害賠償請求や契約解除される可能性があるため注意が必要です。

建て替え時に住宅会社から再利用を断られることがある

建て替え時に古い建物の基礎を残して再利用したい旨を希望しても、断られることが多くあります。

新築の建て替えでは構造耐力上主要な部分について10年間の保証が義務付けられており、施工業者は住宅瑕疵担保責任保険に加入します。瑕疵担保責任保険では現場検査が必要であり、基礎配筋工事の完了時に鉄筋が設計図通りに正しく組まれているか確認しなければなりません。

古い基礎を使用する場合はこの検査が困難となるため、住宅会社は新築の場合は新たに基礎を作り直す提案をするのが一般的です。

固定資産税・住宅用地特例に影響する

基礎が残っている場合でも、自治体の税務調査で実質的に更地と判断されれば、住宅用地の特例がはずれ、土地の固定資産税が最大6倍になります。

建て替えの場合は、以下の条件をすべて満たしている場合に住宅用地の認定が継続されます。

  1. 当該土地が前年度の1月1日に住宅用地の特例を受けていた
  2. 建て替え前と同じ敷地に建て替える
  3. 建て替え後の家屋が住宅用である
  4. 当該年度の1月1日までに住宅の新築について建築主事または指定確認検査機関に確認申請書を提出している
  5. 当該年度の2月末日までに新築工事に着手していること

基本的に住宅用地の特例は人が住める状態であることが前提です。基礎を残す場合は事前に自治体窓口に相談しておきましょう。

参考:土地の税金

滅失登記で確認が必要になる

基礎を残す場合の滅失登記は建物としての用途を完全に失っているかの確認が必要です。

建物滅失登記は、一般的には建物として利用できない状態まで解体が進んでいれば申請できるとされています。外壁が取り除かれ、屋根がないものについては、建物として利用できないという解釈のもとで申請が可能です。

ただし、判断は登記官の裁量に委ねられるため、必ずしも申請が通るとは限りません。そのため、基礎が残っているようなケースでは土地家屋調査士に申請を依頼した方が安心です。

基礎を残すか迷ったときの確認ポイント

建物の解体工事の際に基礎を残すか迷った場合は、見積書を確認し、業者の営業担当者などのプロに相談することをおすすめします。

予算やその後のスケジュールなども含めて具体的に相談し、後悔のない解体工事を実施しましょう。

見積書に基礎撤去の範囲が含まれるか確認する

予算の関係で基礎を残すか迷っている場合は、見積書の解体範囲に基礎が含まれているかどうか確認します。基礎の解体費用は「建物取り壊し費用」や「解体工事費用」などといった項目の中に「布基礎」「ベタ基礎」といった基礎の種類が記載されています。

もしこの項目が「木造瓦葺き2階建て」のように建物の種類のみが記載されている場合は、業者に基礎の撤去費用が含まれているか確認が必要です。

見積り内容の確認はトラブルを防ぐ上でも重要です。見積書を受け取ったら詳細を必ず確認し、不明点は解体工事業者に確認しましょう。

売却予定なら不動産会社にも確認する

土地の売却を予定している場合は、売買実績が豊富な不動産業者のスタッフに相談するのが失敗を防ぐためのポイントです。

基礎が残った土地は基本的に買い手にとってはマイナス要因です。また、物件によって更地にした方が売れやすい場合と建物と基礎を残した古家付き物件が売れやすい場合があります。

建物の状態や立地条件が良い場合は、空き家を解体する手間や費用をかけずに土地を売却できるので、両方のパターンで査定してもらうのがおすすめです。

建て替え予定なら建築会社に先に確認する

既存の基礎の再利用を希望する場合、解体工事を始める前にまずは新築工事を担当する建築会社やハウスメーカーに必ず相談しましょう。

既存の基礎の上に新しい建物を建てるためには、現在の建築基準に適合しているか、新しい建物の重さに基礎が耐えられるかといった専門的な検証が不可欠です。

基礎をどうしても再利用したい場合は新築よりもスケルトンリフォームを勧められる可能性もあります。スケルトンリフォームの場合の間取りも検討したうえで決断すると、後悔なく新しい住まいを作れるはずです。

まとめ

住宅の基礎を残したい場合、トラブルや無駄な出費を防ぐためにも事前にさまざまな確認が必要です。

住宅の解体はアスベスト調査や廃棄物処理、近隣への影響を最小限にするための対策、補助金の検討、トラブルが発生した場合は専門家への法律相談など、業者と施主双方でやるべきことが多くあります。

行き違いがあると再工事などのリスクがあるため、あらかじめしっかりと連絡を取り合うことが大切です。

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