
古民家の解体費用は一般的な家屋よりも高額になる傾向があります。しかし古民家には貴重な木材が使用されていることが多く、これらを販売業者などに買い取ってもらうことで解体費用の一部を賄える場合があります。
そこで今回は、古民家の古材で買取対象になりやすい木材の種類や、解体業者の選び方、買取の際に注意しておきたい点などについて解説します。
古民家の解体で古材は買取してもらえる?

多くの古民家では、現在では入手困難な太い柱や梁が使用されています。長年の乾燥により強度が高まっていることや、経年による風合いの変化が唯一無二のデザイン性を持っており、高いニーズがあります。
では、どのような古材が買取対象となるのでしょうか。まずは古民家の古材の価値や特徴について、基礎知識を紹介します。
梁・柱・床板・建具などは買取対象になりやすい
古民家の古材で特に買取対象となりやすいのは、梁・柱・床板・建具などです。
古民家の梁や柱の歴史的風合いは、高いデザイン性があり、住宅やカフェ、店舗の壁や天井のアクセントとして人気があります。木材と接合されていた跡であるホゾ穴や釘跡も、時を重ねた証として存在感を発揮するため、一定の人気があります。
床板もレトロモダンな店舗の内装材として人気があるため、買取対象です。特に長年磨き上げられて艶が出た床は高く評価される可能性があります。
古民家の建具は美術品やインテリアとして活用できることから、買取対象になりやすいです。
古いだけでは高く売れるとは限らない
基本的に古材は古いものほど需要があり、特に戦前に使用されていたものや100年以上経過しているものに価値があるとされています。
とはいえ、古いだけでは高額買取されず、状態が良いことが条件です。
例えば内部の腐朽や空洞、虫食い被害がある古材は耐久性が損なわれ、建築材としての強度が足りない可能性があるため、査定額が下がります。
また、大きな割れや曲がりがあるものや、利用価値の低い樹種は、思っているほどの評価額が付かないケースがあることは、理解しておきましょう。
買取価格は樹種・状態・寸法・需要で変わる
古材は樹種や保存状態、人気の度合いで査定額が大きく変わります。
ケヤキやヒノキ製の大きい柱や梁であれば買取価格は高額になる可能性が高まりますが、雑木やサイズの小さいもの、状態が悪いものは買取価格が低くなったり買取不可となるケースがある点に注意が必要です。
また、古材買取業者の在庫が多い木材も買取不可となる場合があるため、事前に買取可能かどうか問い合わせておくことをおすすめします。
古材買取で古民家の解体費用は安くなる?

古民家の解体費用は古材を買取してもらうと安くなるのでしょうか。古民家は解体費用が割高なため、安くなるケースと、逆に高くなってしまうケースがあることは理解しておかなければなりません。
買取額を解体費用に充てられる場合がある
古材を買い取ってもらった場合、その費用で解体費用を補填でき、コストを抑えられる可能性があります。
古材は産地や建築年代が明確だと歴史的・文化的価値を伴い、高額査定につながります。また、一般的に古材は戦前に建てられた家屋のものが評価されやすく、高額買取されやすいといえるでしょう。
とはいえ、古材の買取価格で解体工事費用が相殺できるのは稀です。想定以上に解体費用がかかってしまった、ということのないように、あらかじめ専門業者に古材の査定を依頼し、さらに解体工事業者に古民家の解体費用の見積もりを出してもらい、費用を把握しておきましょう。
丁寧に取り外すほど解体費用が高くなる場合がある
古材は、解体作業中に傷がついたり、無理に取り外そうとして割れたりするとその価値が大幅に低下してしまいます。古材の価値を落とさずに解体するには、重機ではなく手作業で解体する必要があり、解体費用が高騰してしまう点はデメリットです。
解体コストが想定以上になってしまった、という事態を防ぐためにも、解体費用の見積もりと古材の査定が出てから活用の仕方を検討することも大切です。
また、古材の価値を落とさないためにも、古材の解体ができる買取業者や古材の取り扱い経験のある解体工事業者に依頼しましょう。
買取額より追加費用が上回るケースもある
古材だからといって必ずしも値段が付くわけではありません。需要のない古材だと解体費用の足しにならないどころか、追加費用の発生により費用が割高になることもあるため、注意が必要です。
古民家の解体工事で発生しやすい追加費用は、以下のようなものです。
- 地中埋設物撤去
- アスベストの除去
- 残置物処分
追加費用を防ぐためには、現地調査を省略しない、現地調査の際には図面を用意する、万が一追加費用が発生した場合のために予備の費用を用意しておくことが重要です。
買取されやすい古民家の古材

では、どのような古材が高額買取されやすいのでしょうか。古民家に以下の条件に該当している古材が使用されている場合は、高値で売れる可能性があるので買取を検討してみましょう。
太く長い梁や柱
古材の買取価格は、サイズによって大きく変動します。特に大黒柱や太い梁は、状態の良いものであれば1本数万円の査定がつくこともあります。
これらは、住宅や店舗、旅館などの化粧梁として、重厚感と自然美の演出などに高いニーズがあります。
また、太いものは加工してテーブルなどの家具材としても人気です。近年では伐採規制などにより一枚板の入手が困難になっているため、太く長い古材は人気が高まっています。
ケヤキ・ヒノキ・クリ・マツ・スギなどの木材
ケヤキ、ヒノキ、カキ、クリ、マツ、スギなどは銘木・高級材として買取価格が高くなる傾向があります。
特にケヤキは大黒柱に使われてきた、強度が高く耐久性に優れた樹木です。清水寺の舞台の柱や薬師寺の東塔にもケヤキが使われており、数百年もの耐久性と木目の美しさが魅力です。
ヒノキは腐りにくいだけでなく、伐採後に強度が増していき、1,000年以上の耐久性があることが知られています。
このような木材は、高額買取の対象となる可能性が高まります。
建具・欄間・床柱・古道具など
彫刻が施された古民家の建具・欄間・床柱や家の中にあった古道具なども買取対象です。
古民家の建具や欄間は、保存状態が良好で歴史的価値や美術的評価があるものだと高額査定になる可能性があります。評価額は保存状態や素材だけでなく、装飾の精巧さ、職人の銘があるか、作風の独自性などで左右されます。
ふすまも特殊なデザインなら買い取ってもらえることもあります。引手も年代が古くデザインが良いものは買取が可能です。
床柱は銘木としての資産価値があると高額対象となりやすいです。黒檀や紫檀のような希少木材や、自然の凹凸がある絞り丸太は高く評価される傾向があります。
また、業者によってはタンスや木製調度品などの古道具も、同時に買取してもらえるケースもあります。
反り・割れ・腐食・虫食いが少ない古材
高額査定のためには、状態が良好であることも重要です。しっかり乾燥がされて強度が高まっており、反りや割れがない古材は買い取ってもらいやすくなります。
反りが起こった木材は湿気が出入りすることによって内部のバランスが崩れた状態です。温度や湿度の変化で反りがひどくなったりひび割れを起こしたりするため、反りがある古材よりも反りがないものの方が高く評価されます。
虫食い跡や釘跡、ひび割れ、腐朽している部分があると、査定額が低くなったり、買取対象にならないことがあります。また、釘などの金属類が残っているものは評価が下がる原因です。
古民家解体で古材買取を検討する流れ

ここでは、古民家解体の際に古材買取をする場合の流れを紹介します。古材の買取を希望する場合は、古材解体の実績がある解体業者に依頼し、古材買取業者と連携して進めるとスムーズです。
解体業者と契約する前に古材の有無を確認する
解体業者に問い合わせる前に、古民家に売却できそうな古材があるかどうか確認しましょう。
柱や梁、床材の樹種が分かれば判断しやすいですが、難しい場合は状態と寸法を確認し、査定を依頼します。
構造材だけでなく、建具、欄間、床柱も歴史的・文化的価値があるものは買取対象となるので、チェックしておきます。
買取してもらえる可能性がある古材はリストにしておくと、査定や解体の見積もりを依頼する際に便利です。
写真・築年数・間取り・部材の状態を整理する
買取を希望している部材や建具の写真を撮影し、建物の情報を整理します。
写真は古材全体と、ダメージがある場合はその箇所が分かるような写真があるとよいでしょう。
さらに建物の築年数が分かると古材の価値を判定しやすくなります。古民家は一般的に築50年以上の建物と定義され、それ以降に建てられた古い建物は古家と定義します。古材を売却するなら、築50年以上の建物の建材が買取価格で有利です。
間取りが分かると、古民家であるかどうか判断しやすくなります。現在の日本の住宅の多くは在来工法で建築されています。
一方、古民家は伝統構法で建築されており、在来工法とは構造が異なります。歴史的価値があるかどうかの判断材料として間取りが分かるようにしておきましょう。
古材買取業者または古材に詳しい解体業者へ相談する
古材買取業者または古材解体も可能な解体業者に問い合わせ、現地調査を依頼します。
問い合わせの際、上で整理した情報を伝えるとスムーズです。買取業者によっては買取していない樹種や建材もあります。事前にホームページでどのような古材の買取を行っているか確認しておくと安心です。
また、古材の内容によっては買取エリアを制限しているケースもあるので、こちらもホームページで確認しておきましょう。
解体見積もりと買取見積もりを分けて確認する
解体見積もりと買取査定は別々に、それぞれ複数の業者から相見積もりを取りましょう。
古材は解体してしまうと査定不能になることが多いため、解体工事の前に買取業者に価値を確認してもらいます。買取額が確定した上で、古材を運び出す作業費や手間などを解体工事業者に相談し、見積もりを出してもらうと、追加費用の発生を防げます。
中には古材買取にも対応している解体工事業者も存在します。数は少ないですが、施工エリアに該当している場合は相談してみるとよいでしょう。その場合も、解体費用の見積もりと古材の査定額が明確に分かるように見積もりを出してもらいましょう。
古材買取を検討する際の注意点

古材の買取を依頼する場合はいくつかの注意点があります。特に解体作業で古材に傷を付けてしまった場合や搬出が困難な場合などは、一般家屋の解体工事よりも費用が高くなる可能性があるため注意しなければなりません。
買取できない古材は処分費がかかる
状態が悪かったり、サイズに需要がなかったりして買取不可となった古材は、他の木材とともに産業廃棄物として処分するため、廃材処理費がかかります。処分費用の相場は1㎥あたり3,000~8,000円で、運搬にかかる費用は2トントラックで15,000~25,000円が目安です。
住宅の解体工事で発生した木材は次のように再利用されます。
- ウッドチップ
- 木質ペレット
- 堆肥の原料
- 木質バイオマス燃料
住宅の解体工事で発生した木くずは90%以上が木質バイオマス燃料の原料となります。
解体時に傷がつくと買取価格が下がる
価値のある古材でも、解体作業で傷がついてしまうと買取価格が下がってしまいます。そのため、古材の取り外し実績のある解体業者に依頼することが重要です。
柱や梁、建具などを傷つけずにきれいに取り外すことを「生かし取り」と言います。生かし取りする場合は重機を使用せず、手壊し解体をしなければなりません。これには高い技術と事前準備が必須です。
見積りを依頼する前に業者のホームページで、生かし取りの実績があるかチェックしましょう。
搬出経路や保管場所によって費用が変わる
古材の搬出経路や保管場所の有無によっては費用の総額が大きく変わるため、注意が必要です。
狭小地でトラックを駐車できない場合や道路が狭くトラックが進入できない場合は、人力でトラックまで大きな古木を運ばなければならず、費用が高額になる可能性があります。
さらに、取り外した古材を自分の新築住宅に再利用したい場合、保管場所の費用が必要になるケースがあるので、事前に確認が必要です。
無料査定の範囲を事前に確認する
古材の査定は業者によって無料の範囲が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
オンラインや電話で写真や寸法、築年数などの状態を伝え概算で判断する初期査定は、ほとんどの業者で無料で行っています。
実際に現場を訪問し、古材の状態を確認する現地調査は、多くの業者で無料で実施していますが、対応エリア外だと出張料がかかるケースがあります。
また、全国古民家再生協会の古民家鑑定士による古材の鑑定は有料です。依頼する業者によって対応が異なるので、問い合わせておくと安心です。
一般的な解体業者に相談する場合の確認ポイント

古材の価値を下げることなく解体するためにも、解体業者は生かし取りの経験がある業者を選ぶ必要があります。
古材買取店ではなく、一般的な解体業者に古材の生かし取りを依頼したい場合は、以下のポイントを確認しておきましょう。
古材を残す前提で解体できるか確認する
解体業者が古材をきれいな状態で生かし取りができるか、必ず確認しましょう。同時にホームページの施工事例をチェックして、古民家の解体の経験が豊富かどうかも確認しておいてください。
古民家は梁や柱が頑丈なうえ、土壁や瓦が使われていて、重機で一気に壊すと廃棄物の分別に手間がかかり、手作業の工程が多くなります。
古民家の解体作業と古材の取り出しは、構造に対する知識と熟練の技術が求められます。対応可能な業者か確認した上で、現地調査をしっかりと行ってもらいましょう。
古材買取業者との連携が可能か確認する
解体業者が古材買取業者と連携できるとスムーズです。事前問い合わせの際に提携している買取業者がいるか聞いておくと安心です。
解体業者と買取業者が連携していない場合、取り出した古材の保管場所や運搬に余分な手間がかかることがあります。また、建物が老朽化していた場合に、買取業者の技術では取り外し作業が危険なため、買取不可になったり最初に提示された金額よりも買取価格が下がる可能性もあります。
このようなことを防ぐためにも、提携の古材買取業者がいる解体業者に依頼するのがおすすめです。
買取不可だった場合の対応を確認する
古材の買取が不可だった場合は、どのように対応するか事前に決めておきましょう。
解体業者に処分を依頼する場合、産業廃棄物処理費用がかかります。売却はできなくても再利用を目的とした無料引き取りなら対応してくれる業者も存在するため、無料で譲る方法もあります。
古材があとから買取不可にならないように、買取業者の評価基準が明確か、契約条件や支払い方法に納得できるかを事前に確認しておき、信頼のおける買取業者を選ぶことも重要です。
古民家を解体する前に確認したい法律・届出

古民家の解体で忘れてはいけないのが法律・条例と、必要な届出です。地域の条例に詳しい業者に依頼することはもちろん、施主としても確認漏れのないように業者と連携してチェックしましょう。
床面積80㎡以上の解体は建設リサイクル法の届出対象になる
床面積の合計が80㎡以上の建物で、コンクリートなどの特定建設資材が使用されている構造物の解体は、建設リサイクル法の届出が必要です。
- コンクリート
- コンクリートと鉄からなる建設資材
- 木材
- アスファルト・コンクリート
該当する場合、着工日の7日前までに発注者が都道府県知事へ、分別解体の計画等について届け出なければなりません。多くの場合、解体業者が届出手続きを代行します。
登録文化財や景観条例に該当する場合は自治体確認が必要
登録文化財に指定された家屋は、自由にリフォームや売却、解体ができません。
登録有形文化財は、築50年以上経過している歴史的景観や造形に優れ再現が容易でない建物が、登録される制度です。修繕等に補助金制度が用意されている一方で、登録された建物は価値の損失を防ぐために許可なしでは解体できません。
老朽化などが理由で解体したい場合は文化庁に解体を希望する旨を説明し、書類を提出し、文化審査会の結果に基づいて解体します。
また、景観上価値があると認められる建造物を自治体が台帳に登録しているケースがあります。登録された建造物を解体したい場合は、自治体窓口に連絡し、助言等を受けなければなりません。
まとめ

古民家に価値のある古材がある場合は、買い取りしてもらうことにより、売却益で解体費用の一部を賄える場合があります。
ただし、市場で需要がない古材も多く、必ずしも買取りが可能とは限らないため、事前に複数の業者に査定してもらうことが大切です。
古民家はリノベーションや移築をして店舗などで活用したいというニーズも高く、空き家物件を探している人も多いため、解体だけでなく、いくつかの選択肢を検討することをおすすめします。

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