
事業用で建物の外を舗装したり塀を設置したりした場合、外構工事費用を原価償却できます。その減価償却を行う際に必要なのが法定耐用年数です。
本記事では、事業用の外構工事を行う際の耐用年数とはどのようなものか、設備ごとの法定耐用年数、減価償却について解説します。
外構工事の耐用年数とは何のこと?

法定耐用年数は外構設備や車両などの固定資産を使用できる期間として、国税庁が一律に定めた年数のことです。メーカーが定めた耐用年数や実際の寿命・劣化時期とは別に、経費を計算するための基準として用いられます。
減価償却をするうえで必要な情報
外構工事を減価償却するうえで必要な基本情報は、フェンス、駐車場などの資産の名称、取得金額、取得年月、用途・構造の4つです。これらをもとに定められた耐用年数と計算方法を用いて、各年の経費を算出します。
減価償却とは、外構設備や建築物、車両、パソコンなど、時間の経過とともに価値が減る固定資産の購入費用を、一度に経費にするのではなく、その資産を使える期間(法定耐用年数)に分割して費用として計上する会計処理です。使用期間が1年以上、取得価額が10万円以上のものが対象となります。
事業用に使う建物・敷地の外構であれば原則として減価償却が可能です。対して自宅のみの外構工事は事業に関係ないため、基本的に経費にならず、減価償却の対象にもなりません。
法定耐用年数と寿命は別物
注意しておきたいのが、法定耐用年数とメーカーが定める耐用年数・寿命は別であることです。そのため、同じ製品であっても法定耐用年数とメーカーの耐用年数が異なることは珍しくありません。
法定耐用年数とは、ある資産を使用できるとされる年数のことです。減価償却資産は使用年数の経過に応じて物理的に損耗し、価値が低下します。法定耐用年数は国税庁が製品ごとに細かく定めており、これを使用して減価償却を行います。
メーカーの耐用年数は、メーカーによる性能試験やシミュレーションの結果、支障なく使える目安の寿命を指します。あくまでもメーカー側が独自に規定しているものであり、法的根拠はありません。
外構工事の耐用年数は素材や施工内容によって異なる

国税庁が定める外構工事の法定耐用年数は、構造物の種類や使用する素材によって細かく分類されています。減価償却を行う場合は、メーカーが定めた耐用年数ではなく、国税庁の基準に従った年数を適用する必要があります。
なお、国税庁の耐用年数表には「フェンス」「門扉」といった個別の単語は記載されていません。フェンスであれば構築物のうち、塀やその他のもの(金属製のもの)の基準から耐用年数を判定します。
フェンス
フェンスは国税庁の耐用年数表では「へい」に分類され、素材によって法定耐用年数が変わります。例えば金属製フェンスは「金属造へい」に区分されます。
- 金属製フェンス(構築物):10年
- スチール製フェンス(構築物):10年
- 木製フェンス(構築物):10年
- 生垣(構築物):20年
- 鉄筋コンクリート塀(構築物):30年
- コンクリートブロック塀(構築物):15年
- レンガ塀(構築物):25年
- 石造塀(構築物):35年
※()内は勘定科目
門扉
- 木造門扉(構築物):10年
- コンクリート造門扉(構築物):15年
- 石造門扉(構築物):35年
- インターホン(器具及び備品):6年
- ポスト・郵便受け(器具及び備品):10年
- 宅配ボックス(器具及び備品):10年
門まわりの設備では、門扉や門柱のように建物の一部のように恒久的に設置されるものは「構築物」に区分されますが、配線・器具のような設備は建物本体とは独立して機能するため「器具及び備品(通信機器)」という扱いになります。
玄関アプローチ
- アスファルト舗装(構築物):10年
- コンクリート舗装(構築物):15年
- レンガ舗装(構築物):15年
- タイル舗装(構築物):15年
- 側溝・排水溝(構築物):20年
- 植栽(構築物):20年
- 樹脂製サイクルポート(構築物):10年
- 金属製サイクルポート(構築物):15年
- 自転車の駐輪装置(構築物):10年
アプローチに使用する舗装の種類によって法定耐用年数が変わる点に注意が必要です。
駐車場
- アスファルト(構築物):10年
- コンクリート(構築物):15年
- 砂利(構築物):15年
- インターロッキング(構築物):15年
- 駐車場用照明(建物附属設備):10年
- 精算機・ゲート(機械装置):10~15年
- 車止め(構築物):10年
駐車場の場合、舗装せずに更地そのまま使用したものや、ライン引きのみで簡易的に区画した、いわゆる青空駐車場は土地扱いとなり、減価償却できません。
庭
- 人工芝(構築物):10年
- 砂利(構築物):15年
- ウッドデッキ(構築物):15年
- ウッドデッキ(建物附属設備):6年
- 花壇(構築物):10年
- 照明器具(建物附属設備):15年
- 庭園・緑化施設(構築物):20年
ウッドデッキは「構築物」に該当するか「建物附属設備」に該当するかで法定耐用年数が変わります。判定基準は建物と一体化しているかどうかです。
ウッドデッキが屋外スペースとして建物の外に独立して設置されている場合は「構築物」、建物と一体化している場合は「建物附属設備」となります。
舗装
- アスファルト(構築物):10年
- コンクリート(構築物):15年
- 砂利(構築物):15年
- インターロッキング(構築物):15年
- レンガ(構築物):15年
- 石畳(構築物):15年
- 木レンガ(構築物):10年
舗装は使用する素材によって法定耐用年数が異なります。基本的に耐久性が高いものほど長い耐用年数が設定されています。駐車場と同様、外構を土のままの状態にしている場合は、時間の経過によって価値が減少しない資産とみなされるため、減価償却の対象にはなりません。
擁壁
擁壁工事は原則として土地の取得価額に算入しますが、規模や構造から土地と区分して「構築物」として認められるものは、構築物の取得価額に分類できます。
- 鉄筋コンクリート造擁壁(構築物):50年
- コンクリート造擁壁(構築物):30年
一般的に宅地造成や地盤改良など、土地の利用価値を高めるための工事は土地に含まれ、減価償却できません。一方、土地と明確に区分でき、独立した資産としての価値や耐用年数が認められる擁壁は構築物として計上できます。
外構工事で減価償却を仕訳するには耐用年数以外にも必要な情報がある

仕訳とは、企業や個人事業主の日々の取引を借方と貸方で分類し、勘定科目と金額を仕訳帳に記録する会計処理のことです。日々の取引を漏れなく仕訳して帳簿に記録することで、会社の状態がどうなっているかを把握するための決算書ができあがります。
ここでは、仕訳を行うために知っておきたい情報や考え方を紹介します。
残存価額
残存価額とは残存簿価とも呼ばれ、固定資産の耐用年数が終了した時点で、その資産には1円の価値があるとする考え方です。
減価償却により、固定資産の価値は毎年減少しますが、最終的には0円ではなく1円となります。
例えば価格15万円、耐用年数5年の資産を毎年3万円ずつ減価償却する場合、5年目に3万円で処理すると資産の価値が0円になってしまいます。しかし、残存価額の1円を残さなければならないため、5年目のみ29,999円で処理します。
取得価額
外構工事における取得価額とは、工事費用の総額のことです。外構工事の本体工事費だけでなく、工事をするための費用として発生した運搬費や産業廃棄物処分費用、工事車両の駐車場代、ガードマンの配置費用なども含まれます。
つまり以下のようになります。
- 本体工事費+付帯工事費+諸経費=取得価額
なお、課税事業者の場合、外構工事の請求書に記載された消費税は「仮払消費税等」で仕訳し、本体価格のみを取得価額として処理するのが一般的です。
事業供用日
事業供用日(事業の用に供した日)は購入した固定資産を本来の目的のために実際に使い始めた日を指します。減価償却費は購入日ではなく、この事業供用日を起点として計算を始めます。
事業供用日と間違えやすい言葉に「取得日」がありますが、こちらは購入日のことです。外構工事の場合は、引き渡し日が該当します。
外構工事の場合、代金を支払った日や引き渡し日ではなく、あくまでも稼働を開始した日を起算日とします。
償却保証額
償却保証額とは、定率法の減価償却で最低限確保すべき基準額のことです。定率法では年を追うごとに償却額が小さくなりますが、償却額が極端に小さくなることを防ぐため、償却額が保証額を下回った時点で計算方法を切り替えます。
【通常の定率法の減価償却費の計算式】
減価償却費=未償却残高×定率法の償却率
【償却保証額の計算式】
償却保証額=取得価額×保証率
※保証率は国税庁の「減価償却資産の償却率等表」で調べられます。
【減価償却費が償却保証額を下回った場合の計算式】
減価償却費=改定取得価額×改定償却率
改定取得価額とは、通常の計算方法ではじめて償却保証額を下回った年の未償却残高です。その後はずっと同じ金額を償却します。
償却率
償却率とは、減価償却資産の耐用年数や償却方法に応じて、1年間にどれだけ資産の価値が減少するかを示した割合のことです。
償却率は固定資産の種類や耐用年数に応じて、国税局の「税法上の減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められています。
資産の償却率を調べるには、以下の手順で行います。
1.資産の種類を確認する(金属製のフェンスなど)
2.耐用年数を調べる
3.国税庁の「減価償却資産の償却率等表」から適用する償却率を探す
外構工事を減価償却するときの計算方法

外構工事で減価償却をする場合は、定額法、定率法のいずれかで減価償却費を計算します。
定率法
定率法は未償却残高に対して一定率の減価償却費を計上する方法です。これは取得した資産の価値が取得直後に大きく減少し、年数を追うにつれて価値の減少幅が小さくなるという実態に即した考え方です。
つまり、初年度の償却額を大きくし、少しずつ償却額が減少します。
法人は原則として、定率法を選択します。
毎年の減価償却費=未償却残高×定率法の償却率
例えば、取得価額50万円、耐用年数10年の外構工事の減価償却費は以下のように計算されます。
【計算式】
取得価額:50万円
法定耐用年数:10年
定率法償却率:0.2
50万円×0.2=10万円
(50万円-10万円)×0.2=8万円
(50万円-10万円-8万円)×0.2=6.4万円
定額法
定額法では、毎年一定額の減価償却費を計上します。計算がシンプルなため、分かりやすい点がメリットです。
個人事業主は原則として定額法を選択します。また、法人であっても建物や無形固定資産は定額法で計算します。
毎年の減価償却費=取得価額×定額法の償却率
取得価額50万円、耐用年数10年の外構工事の減価償却費は、定額法では以下のように計算されます。
【計算式】
取得価額:50万円
法定耐用年数:10年
定額法償却率:0.1
取得金額50万円×定額法償却率0.1=5万円
1年目~10年目の減価償却費:5万円(毎月同額)
※10年目のみ、備忘価額1円を残すために調整が必要
外構工事を減価償却するときの仕訳例

減価償却の仕訳方法には直接法と間接法の2種類があります。両者の違いを簡単に言えば、固定資産から減価償却費を差し引くのか、減価償却累計額を計上し固定資産を減額するのかです。
ここでは、仕訳方法の違いについて解説します。
間接法
間接法は減価償却費を固定資産から引かず、「減価償却累計額」という勘定科目で処理する方法です。
【仕訳例(減価償却費10万円を計上)】
借方:減価償却費100,000円
貸方:減価償却累計額100,000円
間接法のメリットは、元の取得価額とこれまでどれだけ費用にしたかの両方が、帳簿上で分かることです。財務諸表の透明性が高くなることから、多くの企業で採用されています。
一方、実際の資産価値を調べるためには「取得原価-減価償却累計額」の計算をする必要がある点はデメリットです。
直接法
直接法は減価償却費の分だけ、固定資産の帳簿価額を直接減らす方法です。
【仕訳例(減価償却費10万円を計上)】
借方:減価償却費100,000円
貸方:構築物100,000円
直接法は未償却残高、つまり現在の資産価値が一目で分かる点がメリットです。仕訳がシンプルなため、簡便さを重視する場合や簿記の知識が豊富でない個人事業主に向いている方法だと言えます。
一方、資産勘定が減っていくため、貸借対照表ではいくらで購入した資産なのかが分からなくなる点はデメリットです。
外構工事を減価償却するときの注意点

ここでは、外構工事の仕訳や減価償却に関して注意しておきたい点を紹介します。状況や修繕費用、取得費用の大きさによっても取り扱いが異なるため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
修繕費と資本的支出は異なる
外構が破損したり、経年や環境などが原因で古くなったりした場合は、修理・修繕が発生することがあります。修理・修繕にかかる費用は経費として計上できますが、その目的に応じて「修繕費」または「資本的支出」で処理しなければなりません。
基本的には20万円に満たない修理、概ね3年以内の周期、明らかに維持管理・原状回復・美観維持のための支出の場合は修繕費で処理します。
資産の価値を高めるため、長寿命化を目的とした場合は、資本的支出として計上し、減価償却します。
事業用に使用している住宅や賃貸アパートなどの建物の外壁塗装や防水工事も同様ですので、リフォーム計画を立ててメンテナンスを行うと、節税効果が得られるでしょう。
中小企業なら少額減価償却資産の特例を利用する
中小企業や青色申告を行う個人事業主は「少額減価償却資産の特例」を利用すれば、取得価額が40万円未満の事業用資産を購入した際に、年間合計300万円を上限として全額をその年の経費計上できます。
通常の減価償却であれば、耐用年数に応じて毎年費用を計上するのが基本です。特例を利用すると、固定資産を購入した年に全額を計上できるため、取得した年の税負担を圧縮でき、節税効果を得られます。
補助金を使った場合は差し引いて計算する
税務会計(法人税の申告)では、補助金を利用して外構工事をした場合、原則として圧縮記帳を利用し、取得価額から補助金額を差し引いて減価償却を行います。
補助金は収入として扱われますが、そのままでは受け取った年度の税負担が大きくなるため、これを防ぐために圧縮記帳を利用します。
工事費用-補助金額=取得価額
上記の計算で算出した取得金額を減価償却します。
圧縮記帳の注意点は最終的な納税額が減るわけではないことです。翌年度以降の税金の負担額が増えるため、資産管理をしっかり行っておく必要があります。
外構工事の耐用年数についてよくある質問

ここでは、外構工事の法定耐用年数についてよくある質問とその回答を紹介します。適切に資産計上などの会計処理を行うためにも疑問を解消し、予算の方針を立てておくと安心です。
外構工事の勘定科目は?
外構工事の勘定科目は設置する目的や施工内容により異なります。
フェンス、門扉、塀、アスファルト舗装、コンクリート土間、テラス、ガーデンなどは「構築物」として固定資産計上するのが基本です。
カーポートは建物に付随する工作物のため、「構築物」を使うのが一般的ですが、建物と直接ボルト等で固定され、建物と一体化している場合は「建物附属設備」として仕訳されるケースがあります。
また、土間コンクリートのひび割れ補修などは「修繕費」としてその年の経費として処理します。
減価償却は自宅兼事務所や個人事業主でもできる?
個人事業主でも自宅兼事務所の減価償却は可能です。ただし、全てではなく、事業として使用している面積や割合に応じて経費に計上します。
持ち家に計上できる経費は、以下のようなものです。
- 建物の減価償却費
- 水道光熱費
- 通信費
- 修繕費
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料・地震保険料
なお、賃貸の場合は建物自体は大家さんの持ち物なので減価償却できませんが、支払っている家賃のうち、事業スペース分の割合を経費にできます。
耐用年数はどうやって調べればいい?
法定耐用年数は、国税庁が公開している「主な減価償却資産の耐用年数表」から探すことができます。
一覧表のどこに当てはまるか迷った場合は、財務省令の耐用年数省令を確認するとよいでしょう。
注意点は「フェンス」などという個別の単語は記載されていない点です。使用されている材質や構造に応じて区分を当てはめて判定します。
例えば、アルミ製フェンスの場合は金属製になるので、構築物のうち「金属製のもの」に該当します。木材で作られたウッドデッキは「木製構造物」です。
見積書の項目が「外構一式」の場合の資産区分は?
見積書が「外構一式」となっている場合は、内訳書や明細書などの設計図書を確認し、施工した項目ごとに適切な科目に分けるのが基本です。
理由は、設備や資材の種類によって耐用年数が異なり、そのままでは減価償却できないためです。
もし、見積書に明細がなく「外構一式○○円」としか記載されていない場合は、施工業者に詳細な内訳書を発行してもらいましょう。トラブルを避けるためにも、見積もりを依頼する時点で明細があるか確認しておくと安心です。
中古物件購入後に実施した外構工事の耐用年数はどうなる?
中古物件の購入後に外構工事を実施した場合、その耐用年数は、新品の法定耐用年数が適用されます。新設した外構は建物の築年数に関係なく、国税庁が定める個別の設備・構造ごとの年数が基準です。つまり、新設した外構設備ごとに新品として減価償却すれば問題ありません。
中古の外構設備を修理・メンテナンスした場合の費用は「修繕費」、点検した場合の費用は「修繕費」または「保守料」の勘定科目で仕訳します。
まとめ

事業用の外構工事を行う場合は、その設備の法定耐用年数をもとに減価償却が可能です。減価償却によって分割で経費計上できるため、実際の現金支出を伴わずに経費を増やして、税金面でのコスト削減が可能です。
法定耐用年数は、メーカーが定める耐用年数とは異なるため、税務上は、国税庁の資料をもとに正しく減価償却を行う、一方で、外構設備のメンテナンスはメーカーの耐用年数を参考にメンテナンスを計画するようにしましょう。

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