解体費用にローンは使える?知らないと損するローンの種類と賢い選び方

解体費用にローンは使える?知らないと損するローンの種類と賢い選び方

家屋の老朽化などで解体工事をしたいと思っていても、工事費用が負担でなかなか実施できないということもあるでしょう。この場合、ローンを利用すれば初期費用が少なくても解体工事が可能です。

この記事では、解体工事に利用できるさまざまなローンの特徴や、選び方のポイント、注意しておきたい点について解説します。

目次

家の解体費用に使用できるローンの種類

住宅の解体工事では、いくつかの種類のローンを利用できます。それぞれ特徴や金利、条件が異なるので、まずは概要を確認して自分に合ったローンを検討するようにしましょう。

住宅ローン

住宅ローンとは、契約者本人や親族が住む住宅を購入するときに利用できるローンです。一般的に購入した物件を担保に、金融機関から低金利で貸し付けを受けます。

解体工事では、住宅の建て替えを行う際に建築費用とセットで借り入れが可能です。つまり、解体工事単体では住宅ローンは利用できません。

住宅ローンの主な種類は以下のようなものがあります。

  • 金融機関の住宅ローン:金融機関が扱うローン
  • フラット35:民間金融機関と住宅金融支援機構による長期固定金利ローン
  • 財形住宅融資:会社員などで財形貯蓄制度を利用している人向けのローン
  • 社内住宅融資:企業が従業員に住宅取得の資金を貸し出すローン

空き家解体ローン

空き家解体ローンは、空き家の解体工事に対応する専用ローンです。主に銀行、信用金庫、JAが提供しています。

多くの商品が無担保・保証人不要・年金受給者でも借入可能など、利用しやすい点が特徴です。また、自治体から補助金を受けている場合は金利引き下げの優遇措置が受けられる商品も存在します。

融資の対象は一般的に、建物本体の解体費用だけでなく、廃棄物処理費用や整地費用なども含まれます。

プロパーローン(無担保ローン)

プロパーローンは、保証会社を通さず、金融機関が自社のリスクで直接融資するローンです。金融機関ごとの独自の審査により、オーダーメイドで融資が実行されます。

利用目的も幅広く、旅行、引っ越し、教育費、結婚費用などに無担保で利用でき、もちろん解体工事でも利用可能です。

住宅ローンなどの一般的なローンは、ローンの支払いが滞った場合に保証会社が代わりに残債を支払います。したがって、利用者が支払いができなくなっても銀行にはリスクがありません。

一方でプロパーローンは保証会社を通さないので、銀行が損をする可能性があります。そのため、審査が非常に厳しいのが特徴です。

フリーローン(多目的ローン)

フリーローンは、事業用を除き、原則として使い道が自由な個人向けの無担保ローンです。住宅ローンやリフォームローン、マイカーローンなどの目的別ローンとは違い、用途は自由です。

事業性資金や投機性資金、使途を確認できない資金でなければ自由な使い道が可能で、解体工事はもちろんのこと、旅行・楽器購入・引っ越し費用などに利用できます。

ATMなどを利用して借入できるカードローンとの違いは、カードローンよりも金利が低くなる可能性がある点、借り入れの上限金額が高い点です。

また、カードローンは限度額内なら繰り返し借りられるのに対し、フリーローンは追加の借り入れはできません。

解体費用のローンはどれを選ぶべき?

これまでの解説で、解体工事ではさまざまなローンが利用できることが分かりました。

では、実際にはどのローンを選ぶとよいのでしょうか。ここでは条件別におすすめのローンを紹介します。

建て替え予定があるなら住宅ローンを優先

建て替えに伴う解体工事の場合は、住宅ローンが賢い選択です。住宅ローンは金利が低いため、長期間の返済でも利息の負担を抑えられます。

注意点は、解体工事と建築工事を別の業者に発注する「分離発注」では、基本的に住宅ローンの利用ができない点です。解体工事費用に住宅ローンを利用する場合は、新築工事を行うハウスメーカーに一括発注する必要があります。

その場合、ハウスメーカーが下請けの業者に解体工事を依頼することで中間マージンが費用に上乗せされ、解体工事が割高になりやすい点がデメリットです。

空き家を解体するだけなら空き家解体ローンを検討

空き家の解体のみの場合は、空き家解体ローンがおすすめです。空き家解体ローンは担保や保証人が不要なため、解体後の土地を担保にされる不安もなく、借り入れが可能です。

注意点は、資金の使い道は、居住していない家屋の解体費用とそれにかかる諸費用のみだということです。住んでいる住宅の解体工事には利用できないのが原則です。

また、金融機関の営業地区内に住所がある、などの条件が設けられていることもあります。条件は金融機関によって変わるため、複数の金融機関の解体ローンを比較することをおすすめします。

使途の自由度を重視するならフリーローンも候補

見積金額以外の費用に利用したいなど、使途の自由度を求めるならフリーローンを検討するとよいでしょう。

住宅ローンや解体ローンは、借りられるのは見積書どおりの金額に限られるケースが多いです。しかしフリーローンであれば、解体費用だけでなく、仮住まいの費用など関連する出費にも充当できます。

さらに、解体工事が始まってから判明した追加工事の費用にも備えられるため、工事金額が見積もりを上回った場合にも有効です。

審査条件や金利を比べて選ぶ

ローンの種類を選ぶときは、利用目的はもちろんのこと、審査条件や金利を比較して選ぶと失敗を防げます。

住宅ローンは金利が低い一方で、建て替えが前提となります。解体ローンは住宅ローンに比べて融資額が低いため、住宅ローンよりも融資条件が緩やかです。

プロパーローンは保証会社を通さない分、利用者の支払い能力や信用度が重視され、審査が厳しい傾向があります。

フリーローンは審査条件が比較的緩く、融資までのスピードが早い一方で、金利が比較的高いうえ、借入の上限が300~500万円とそれほど高くなく、高額の解体工事を行う場合にはまかなえない場合もあるので注意が必要です。

住宅ローンで解体費用をまかなうときの注意点

住宅ローンを利用して解体工事を行いたい場合にはいくつかの注意点があります。

条件によっては住宅ローンが利用できないこともあるので、事前に条件をしっかり確認し、必要に応じて他のローンも検討しましょう。

解体のみでは利用できないケースが多い

住宅ローンは、解体工事のみでは原則として利用できません。上でもご紹介した通り、基本的に建て替えに伴う解体工事に利用でき、解体工事と新築工事をセットで行う一括発注で利用できます。

住宅ローンは自分または家族が住む住宅を取得・建築するための資金に用途が限られています。取得する住宅自体を担保にし、そこに借り手が居住するのを条件にすることで、低金利を実現しているのです。

解体工事のみではまだ住宅が建っていないため、その後本当に住宅が建築されるかどうかが不透明です。そのため、住宅ローンの融資目的と一致しないと判断され、対象外となります。

融資実行前に工事費の支払いが必要になることがある

住宅ローンを使用する場合は融資のタイミングと工事費用の支払いタイミングを理解したうえで資金計画を立てなければなりません。

住宅ローンの融資実行日(預金口座に入金される日)は、基本的に物件の引き渡しと同じタイミングです。つまり建物が完成してから融資が実行されますが、工事はそれまでにいくつかの支払いが生じます。

新築工事では手付金や着工金、中間金の支払いなど、分割での支払いが必要です。これらの支払いタイミングでは融資がないため、自己資金で支払うか、つなぎ融資を利用する必要があります。

解体と新築を別業者にすると調整が必要になることがある

解体工事と新築工事を別業者にする場合は、解体費用を住宅ローン以外の方法で調達する必要があります。

解体と新築の分離発注を選択した場合、解体工事は住宅ローンの対象外になるケースがほとんどです。住宅ローンは1つの工事に対して融資が行われるため、別業者に依頼すると2つの工事とみなされてしまいます。

そのため、解体ローンやプロパーローンなどのほかのローンで調整することになります。金融機関に相談して、最適な資金計画を提案してもらうとよいでしょう。

見積書や契約書などの書類が必要になる

住宅ローンの利用時には本人確認書類や収入に関する書類のほか、見積書や契約書などが必要です。

見積書は審査の際に融資額の根拠を証明するための重要な資料です。審査を通過し、ローンの契約に進むと工事請負契約書の提出が求められます。金融機関は契約書で見積の内容に変更がないかを確認します。

ローンの審査で必要な書類は、物件の種類や契約形態により変わりますが、以下のようなものです。

  • 不動産売買契約書
  • 工事請負契約書
  • 重要事項説明書
  • 見積書
  • 不動産登記簿謄本

参考:住宅ローンの本審査に必要な書類まとめ|三井住友銀行

解体費用をローンで払うときの注意点

解体工事費用をローンでまかなう場合、いくつか注意しておきたい点があります。

借入金とは別にまとまった資金が必要になるケースもあるので、解体工事を検討し始めたらしっかり準備を進めておきましょう。

借入上限が足りないことがある

ローンの限度額が足りず、解体費用全体をカバーできないというケースは珍しくありません。家屋の解体費用は30坪で100~120万円、50坪で120~200万円が目安です。

もし、建物にアスベストが含まれていた場合、処理面積100㎡で約200~600万円の費用がかかることがあります。

アスベストが含まれていなくても、古い井戸など地中埋設物がある場合、解体費用が高額になることは避けられません。

解体ローンの限度額は数百万円~1,000万円です。金融機関によって限度額は異なるので複数の金融機関を検討するか、限度額が設けられていないプロパーローンも検討するとよいでしょう。

金利が高いローンほど返済負担が重くなる

ローンは金利の高いローンを選ぶほど返済負担が大きくなります。特に担保のないフリーローンなどは金利が高めに設定されやすく、利息の負担が家計を圧迫する可能性があるため、計画的に選択することが大切です。

さらに、ローンは金利変動リスクにも注意が必要です。ローンには固定金利と変動金利の2種類があります。

  • 固定金利:完済まで金利が変わらないタイプ
  • 変動金利:金融機関の短期プライムレートにより金利が変動するタイプ

一般的に、変動金利型の方が金利が低く設定されています。ただ、現在は過去最低の金利水準ですが、将来的に金利が上昇する可能性も否定できないため、総返済額の確定ができず、結果的に返済額が多くなるリスクがある点はデメリットです。

着手金や追加費用が自己資金で必要になることがある

融資の実行タイミングにより、着手金を一時的に自己負担で支払うことはよくあります。解体ローンの融資実行タイミングは、多くの場合、解体工事が完了したときです。

一方、解体工事の支払いタイミングは支払い方法によって変わります。

  • 一括払い:工事完了後に支払い
  • 2分割払い:着工前に着手金、完了後に残金を支払い
  • 3分割払い:着手金・中間金・最終支払金を契約書に基づいて支払い

着手金が必要な支払い方法で、自己資金が足りない場合はつなぎ融資を検討することになります。

相続物件や共有名義では手続きが進みにくいことがある

相続手続き中や共有名義の物件の解体は相続人や所有者全員の同意が必要なため、ローン申込みの手続きが滞ることがあります。

解体ローンは個人名義での契約が主流のため、代表者が借入して解体工事を行います。

相続発生時は、相続登記により名義変更を行ってから解体工事を行うのが基本ですが、遺産分割前でも、相続人全員の同意があれば解体が可能です。

共有名義の物件も同様に、共有者全員の同意が必要となります。相続が発生している建物や共有財産の建物の解体工事を行う場合は、相続人、共有者と話し合い、慎重に準備を始めましょう。

解体費用の負担を減らす方法

多くの方が解体工事の費用をできるだけ抑えたいと考えているでしょう。コストを減らすにはいくつかの方法があります。できることは取り入れ、お得に工事を依頼しましょう。

自治体の補助金を確認する

多くの自治体では老朽化した家屋の解体工事に対して補助金を設けています。条件が合えば解体費用を節約できるので、申し込みたい補助金がある場合は、自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

補助金の内容は自治体によって異なりますが、以下のようなものがあります。

  • 老朽危険家屋解体撤去補助金
  • 都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金
  • 建て替え建設費補助金

注意点は、補助金は解体工事完了後に申請し、審査が通ると支払われる点です。つまり、解体費用は工事のタイミングでは自分で工面する必要があります。

また、補助金を受ける家の所有者が法人の場合は認められません。利用できるのは個人に限られ、さらに前年の所得が1,000万円以下など、制限が設けられているケースがあります。

複数の解体業者から見積もりを取る

適正価格で工事を依頼するためには、見積は複数の業者から相見積もりを取り、比較・検討しましょう。

解体工事には定価がなく、相場が分かりにくいのが現実です。そこで複数の業者から見積を取り、比較することで、おおよその相場を把握できます。相見積もりは不当に高額な料金を請求しようとする業者を避けられる点もメリットです。

ただし、費用だけで業者を選ぶのは危険です。安すぎる費用で契約させ、工事が始まってから追加費用を請求したり、廃棄物を不法投棄する悪徳業者も存在します。

見積金額だけでなく、施工実績、保険の加入状況、保証、質問に対して丁寧な説明があるかなど、総合的に見て発注する業者を決めましょう。

残置物を整理して費用を抑える

解体工事前に残置物を自分で撤去して家の中を空にすると、無駄な費用を節約できます。

残置物は自分で処分すれば一般廃棄物となり、無料または最低限の手数料で収集してもらえますが、解体業者が処分すると産業廃棄物となり、高額な処理費用がかかります。そのため、家の中に残された荷物はできる限り自分で分別・処分するのが費用を抑えるためのコツです。

まだ使える家電や家具などがある場合は、不用品買取サービスを利用するのがおすすめです。

売却や土地活用も含めて資金計画を立てる

解体工事は、その後の土地活用の方法も考慮して計画することが大切です。

土地活用の方法を明確にしておくことで、資金調達の方法やスケジュール、解体工事の整地の方法も変わってきます。

土地活用には次のような選択肢があります。

  • 売却
  • 建て替え・リフォームして自分で住む
  • アパート・マンション経営
  • 駐車場経営

最適な活用方法を選択するには立地条件や地域のニーズ、法令、初期投資額と収益性など、さまざまな要件を総合的に検討する必要があります。

活用方法で迷った場合は、不動産業者のサポートを得ながら最適なプランを決めるとよいでしょう。

解体後にかかるお金も確認しておく

解体工事にかかるお金は、工事費用だけではありません。解体後にも一定の費用がかかるため、早い段階から資金計画をしておくことが重要です。

特に以下に挙げる費用については事前に把握しておきましょう。

更地になると固定資産税が上がることがある

家屋を解体して更地にすると「住宅用地の特例」が適用されなくなり、土地の固定資産税が3~6倍になります。

実際には家屋分の固定資産税の負担額がなくなることで、解体前後で1~3倍の増加に留まるケースが多いですが、それでも税負担額が増大してしまう点はデメリットと言えるでしょう。

ただ、税負担額が多くなる一方で、空き家を更地にするメリットも存在します。例えば、家屋を解体すれば空き家の維持費用がかからなくなり、更地にしておくことで売却しやすくなります。

解体して整地した土地は査定額も空き家がある状態よりも高くなりやすいので、古い家屋対策をしたい場合や売却を予定している場合は、解体した方が良い場合があります。

滅失登記などの費用が発生する

建物を解体した場合は滅失登記を行い、登記簿に建物がなくなったことを記録しなければなりません。滅失登記は建物が滅失してから1か月以内に申請しなければ10万円以下の過料の対象となるため、必須の手続きです。

建物滅失登記は自分で手続きした場合、必要な書類を用意するための費用として1,000~3,000円かかります。

しかし、書類の用意など手続きが煩雑なことから、多くの場合、土地家屋調査士に代行してもらいます。土地家屋調査士に依頼した場合の費用は約5万円です。

まとめ

解体費用は、建て替えとセットの場合は住宅ローン、分離発注や解体のみの場合は解体ローンやプロパーローンなどの利用が可能です。

ローンは種類や金融機関の方針によって金利や限度額が変わります。検討中の場合でも分からないことは業務受付時間内に電話で問い合わせるか、メールフォームから質問するとよいでしょう。

また、解体工事業者に支払いスケジュールなどを確認し、サポートを受けながら資金計画を立てると安心です。

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