解体工事は雨でもできる?判断基準と工期・費用への影響を解説

解体工事は雨でもできる?判断基準と工期・費用への影響を解説

建設工事は雨天で中止になることも多いですが、空き家など家屋の解体工事は、どのような対応になるのでしょうか。

解体工事の場合、その後の売却や新築のスケジュールにも影響するため、天候による作業の可否が気になっている方も少なくないでしょう。

この記事では、解体工事で雨が降ったときの対応や雨天のメリット・デメリットなどについて解説します。

目次

雨の日に解体工事はできる?

まずは、雨の日でも解体作業ができるかどうかについてお伝えします。悪天候に関する基準や安全性の判断のポイント、構造別の対応方法についても取り上げているので、基礎知識として整理しておきましょう。

解体工事は基本的に雨天決行

解体工事は雨でも作業を行うのが一般的です。

通常、解体工事の作業中は粉塵が発生するため、ホースで散水しながら進めます。雨天の日は雨が天然の散水となり粉塵の飛散を防げるので、安全を確保できる程度の雨であれば、散水の手間が省けます。

ただし安全に作業ができないほどの悪天候になった場合は、作業は中止です。地面がぬかるんで作業効率が低下すると判断された場合も中止になることがあるでしょう。

つまり、雨の日は必ずしも作業をするわけではなく、そのときの現場の状況や安全管理上のリスクに応じて業者が作業可否を判断します。

解体工事が中止・延期になる雨の基準

解体工事は小雨程度であれば作業を実施しますが、安全を確保できないほどの荒天の場合は作業を中止し、翌日以降に延期します。

雨天中止の基準は以下に当てはまるかどうかが目安です。

  • 台風など強風を伴う大雨
  • 視界を遮るほどの豪雨
  • 落雷の恐れがある場合

労働安全衛生規則による「大雨」の定義は「1回の降雨量が50ミリメートル以上の降雨」です。

このような大雨により重機や作業員の安全を確保できない場合や、強風により足場の倒壊の危険がある場合、電気工具などの使用に影響を及ぼすおそれがある場合は作業は行いません。

参考:労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

雨量よりも重視される安全面の判断ポイント

解体工事において降雨量以上に作業中止の判断で重要視されるポイントは、作業員の安全面です。とくに高所作業の危険性については、労働安全衛生規則などでルールが定められています。

労働安全衛生規則では

  • 強風:10分間の平均風速が毎秒10メートル以上の風
  • 大雨:1回の降雨量が50ミリメートル以上の降雨

などの場合で、作業に危険が予想されるときは作業を禁止または中止するよう求める規定が設けられています。高所作業は危険なため、高さ2メートル以上で行う作業は、悪天候により危険が予想される場合は原則禁止です。

雨天の際に解体作業を実施するかどうかは現場の責任者が判断しますが、国が定めた一定の基準を満たす場合は法律に基づき、作業を中止します。

参考:労働安全衛生規則 第五百二十二条(悪天候時の作業禁止)

木造・鉄骨・RCで雨天対応は違う?

解体工事は建物の構造により材料の特性が変わるため、雨天時のリスクや作業効率が変わります。

木造住宅の場合、木材が水を吸って重量が増すため、分別作業の効率に影響が出ることがあります。

鉄骨は濡れると滑りやすく、高所作業も多いため、作業員の安全確保が第一です。ガス溶断は火花のリスクは減りますが、危険と判断された場合は中止となります。

RC造は、主に重機で解体するため、大雨でなければ雨天決行が基本です。基礎のコンクリート破砕の騒音や振動も好天時と変わりません。ただし、視界不良や重機の安全が確保できない場合は作業を中止します。

雨でも無理に工事を進める業者は問題ない?

大雨や強風にもかかわらず無理に工事をする業者は、法令を遵守していない可能性があるため注意が必要です。

大雨や強風で危険が予想される場合の作業は、労働安全衛生規則で原則として禁止されています。業者はルールに従い、工事可否を判断しています。

このような安全対策を守らない業者は、スタッフを大切にしないだけでなく、アスベストの除去など定められたルールを軽視する可能性も否定できません。

無理な作業は大事故につながるおそれがあるため、適切な判断ができる、実績のある施工会社と契約すると安心です。施工エリア内の業者のウェブサイトで会社概要や事業内容、施工事例をチェックして、地元で長く活動している業者に現地調査を依頼することをおすすめします。

雨で解体工事の工期はどれくらい延びる?

雨が降った場合、解体工事の工期はどれくらい延長するのでしょうか。季節や気象条件によっては悪天候が続くこともあるので、以下を参考に余裕を持って予定を立てておきましょう。

一般的な工期延長の目安

通常の大雨や強風の場合、作業が1~2日延期になることがあります。この場合、工期への影響はあまりありません。ただし、数日間悪天候が続く場合は1週間程度工事が延長することもあります。

梅雨時や台風シーズンなどは、見積もりの段階で業者が予備日を設定していることが少なくありません。それにより、天候の影響で作業が中止になっても工事全体への影響を防げます。

また、荒天でも作業の流れを一部変更して、ほかの作業を進められるケースもあります。例えば内装の解体など雨天でも安全性を確保できる作業を行い、工事の停滞を防ぎます。

雨の影響を受けやすい解体工程

雨の影響を受けやすいのは、基礎の解体から整地までの工程です。基礎の解体の際に地面がぬかるんでいると、重機での作業がスムーズにできず、地面にも重機で凹凸ができてしまいます。

その後の整地作業も重機が埋まりやすいだけでなく仕上がりが低下する可能性が高いため、土壌が乾いている時が適しています。

また、屋根材の撤去作業も屋根材で滑る可能性があり危険なため、雨天時は中止になることが多いです。

雨の日に解体工事をするメリット

雨の日の作業は、解体工事ならではのメリットがあります。以下に雨天に工事を実施する主なメリットを3つ紹介するので、施主としても知っておき、スケジュールを立てましょう。

予定通りに工事が進む

雨天でも作業を進めることで工事の遅れを減らすことができます。解体工事のあとに新築工事を予定している場合や売却を希望している場合は、予定通りに工事が進むことは重要です。

とくに解体更地渡しの場合、引き渡し日が遅れると売買契約の違約金が発生する可能性があります。新築の場合は予定が狂うことで住宅ローンの借入スケジュールに影響を及ぼす可能性も否定できません。

天候が原因の遅れが少ないことで、売却や建て替えの予定が立てやすくなるでしょう。

近隣住民への影響が軽減する

天候に左右されずに工事を行うことで、近隣住民へ与える影響を軽減できる点もメリットです。

解体工事は騒音や振動が発生し、近隣住民に迷惑をかけることは避けられません。工事が長引けば、近所の人にストレスを与える期間も長くなってしまいます。その結果、クレームが発生したり、ご近所トラブルに発展することもあるかもしれません。

多少の雨であれば予定通りに工事を進められることは、近隣住民にとってもメリットです。

散水が不要になる

雨天の日に解体作業を行えば散水が不要になり、作業効率が上がるだけでなく、水道代も節約できます。

解体工事では粉塵の飛散防止のため、解体箇所や周辺にホースで散水しながら作業しなければなりません。散水せずに工事を行うと砂ぼこりが近隣に広がって外壁や車、洗濯物などを汚してしまい、クレームが発生する可能性があります。

このようなことを防ぐために水を撒き、周辺環境への影響を最小限にとどめます。

散水で使用した水の水道料金は、業者によって業者負担か施主負担かが変わりますが、施主が負担する場合は雨の日に解体作業が行われれば出費も少なくなるでしょう。

雨の日に解体工事をするデメリット

では反対に、雨の日に解体工事をするとどのようなデメリットがあるのでしょうか。雨天で作業するデメリットについて理解しておき、リスクがある場合は工事を見送ることが重要です。

安全性の不安が残る

雨の日は好天時と比べて作業員への負担も大きいため、事故が発生するリスクも増大します。

足場は滑りやすくなり、視界も悪くなるので転倒・墜落リスクが高まり危険な環境です。さらに、雨天は雨具の着用による身体的負担や湿度の高さによるストレスなどで作業員の集中力低下を招きます。

現場担当者も安全に配慮して、危険な場合は作業を中止しますが、施主側も安全第一を意識して、無理なスケジュールで依頼しない、遅れに対しても寛容に対応することが事故防止のために大切です。

作業の進捗への悪影響

悪天候が続くと工事のスケジュールに影響が出ることがあります。大雨や台風などで数日間作業ができないケースもあり、その場合は工期が伸びて売却や新築工事などの予定を調整しなければならないこともあるでしょう。

業者側も工程が遅れることで作業員の確保や重機の手配がうまくいかなくなることがあります。結果的にスケジュールがさらに遅れる場合もあるため、解体工事は余裕を持って発注することが大切です。

費用負担の影響

解体工事は数日程度の遅延であれば追加費用は発生しないのが一般的ですが、長期間の悪天候により大幅に遅れが生じた場合、人件費や重機・足場のリース代の追加費用が発生することがあります。

業者も追加費用が発生しないように余裕をもった工事日程を組み、見積りを出していますが、想定外の天候や自然災害では対応が異なることがあります。

契約の時点で、工期が延長になった場合の対応方法についてしっかりと確認しておくことが大切です。

雨以外の悪天候ではどうなる?

解体工事は雨以外の悪天候で中止になるケースも少なくありません。次のような天候では解体作業が中断され、工期が延長する可能性があるため、事前に理解しておき、業者にその後のスケジュールを確認しておきましょう。

強風の場合

上でもご紹介しましたが、強風の場合は雨が降っていなくても解体工事が中止になる可能性が高まります。

10分間の平均風速が毎秒10メートル以上の強風下では足場上での作業は禁止、というルール上の制約のほか、破片やがれきが風に飛ばされて隣家や通行人に危険を及ぼすおそれがあるためです。

強風が予想されるときは、作業の中止に加えて、足場の倒壊を防止するため養生シートを畳むまたは撤去する、資材などを安全な場所に移動させるなどして対策しなければなりません。

雪の場合

大雪は、解体工事の作業工程や費用に影響を及ぼす可能性があるため、注意しておかなければなりません。作業ができないほどの雪が積もっている場合、まずは除雪が必要です。除雪作業によって工期が延長したときは、追加費用を請求される場合があります。

また、雪が積もっていると正確な見積もりを出すことが難しく、重機の搬入ルートが確保できないと判断されたり、手壊し解体を選択されたりして見積もり費用が高額になる可能性も否定できません。

このようなことから、積雪の多い地方では冬季の解体工事を受け付けていない業者も多くあります。積雪のある地域で解体工事を依頼する際は、トラブルを避けるためにも雪の対応についてあらかじめ業者に確認しておきましょう。

猛暑の場合

猛暑により解体工事が中止されることはあまりありませんが、作業時間が短くなったり変更になったりする可能性は理解しておいた方がよいでしょう。

2025年6月から、建設現場における熱中症対策が義務化されています。WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または4時間を超えた作業をする場合は、対策を講じなければなりません。

具体的には作業開始時間の前倒しや休憩時間の延長、飲料水や塩飴の常備などです。これらにより、工事期間がほかの季節より長くなる可能性があります。

参考:職場における熱中症対策の強化について

まとめ

解体工事は多少の雨であれば雨天決行が基本です。悪天候の日は法令に基づき、現場責任者が作業の中止を判断します。特に天候が不安定な季節は工期の延長の可能性が高まるので、余裕を持ったスケジュールで工事を依頼しましょう。

更地渡しや新築工事など、解体後のスケジュールが決まっている場合は、あらかじめ業者に相談しておくとよいでしょう。また、業者探しの際に電話やメールで工期の延長について質問しておくと安心です。

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