
オープン外構は開放感があり費用も抑えられるため、近年増えている外構スタイルです。とくに建売住宅の大半はオープン外構が採用されています。
しかし一方で、住み始めてからオープン外構をやめたい、とリフォームを検討するケースも珍しくありません。
ではなぜオープン外構をリフォームしたいと考えるのでしょうか。この記事では、その理由や理想の外構スタイル選びのポイントを紹介します。
オープン外構をやめたいと感じる理由

オープン外構に後悔している人は、どのような理由でやめたいと思っているのでしょうか。
ここでは、オープン外構に対する代表的な不満を紹介するので、新築でオープン外構を検討している場合はチェックしておいてください。
プライバシーの確保が困難
オープン外構は目線を遮るものがないため、プライバシーの確保が難しい外構デザインです。外構の全景が外から見えるだけでなく、カーテンを引いていなければ家の中が通行人に見えてしまいますし、庭で洗濯物を干している場合は洗濯物が丸見えになってしまいます。
そのようなストレスから解放され、家族のプライバシーを守るために、目隠しフェンスを設置したいと考えるケースは多くあります。
防犯面に対する心配
フェンスや門扉のないオープン外構は誰でも簡単に敷地に入れるため、防犯面で不安が大きい外構デザインだといえます。
敷地内の様子を外から見えにくくしたり、進入しにくい住宅だという印象を与えるために、塀やフェンスの設置を検討することもあるでしょう。
一方でオープン外構は、塀やフェンスなどの障害物がなく、外から敷地全体を見渡せます。
不審者が侵入を躊躇しやすいデザインでもあるので、車の影など死角になりやすい部分にセンサーライトを設置する、防犯砂利を敷くなどの対策で十分なケースもあります。
置き配が利用しにくい
オープン外構は置き配を利用するときに、荷物を玄関ドア前に置いてくれないケースがあります。オープン外構には門扉がないので、配達員が敷地内に入ることを遠慮してしまうことがその理由です。
この場合は荷物を、道路と敷地の境界付近に置かれてしまうことがあります。しかしそれでは玄関から出て境界線付近まで荷物を取りに行かなければなりませんし、紛失リスクも玄関ドア前に比べて高いといえるでしょう。
置き配をストレスなく利用するためには宅配ボックスの設置や配達員に置き場所を分かりやすくしておく必要があります。
子どもやペットの安全性
フェンスや門扉など、仕切るものがないオープン外構は、子どもやペットが飛び出してしまうおそれがあります。特に交通量が多い道路に面している場合は危険に感じることも多く、フェンスを設置したいと考えるケースもあるでしょう。
とくに子どもやペットを庭で遊ばせたいと考えている場合は、塀やフェンスで敷地を囲った方が安心です。さらに、門扉やコーナーガードを設置すれば安全性を高められます。
敷地への無断侵入やトラブル
オープン外構は、通行人や車などに一時的に敷地内に侵入されることがあります。とくに道路と敷地がわかりにくい場合は、知らず知らずのうちに侵入していたり、ショートカットに使われてしまい、ストレスになることもあるでしょう。
散歩中の犬や野良猫などの動物にも侵入されやすいため、侵入を防ぐために塀の設置を検討するケースもよくあります。
ただ、人や車に関しては、床材の色を変えたり、プランターを設置したりして境界線を明確にすることで、オープン外構を維持しながら侵入防止も可能です。
オープン外構をやめたいときはどうする?

では、オープン外構をやめたいと考えたときにはどのような方法があるのでしょうか。
ここではオープン外構のお悩みを解消するリフォームプランを紹介するので、住まいの条件や環境と比較して検討してみましょう。
オープン外構からセミオープン外構へ変更
オープン外構のデメリットを解消するためのリフォームでよく採用されるのが、セミオープン外構への変更工事です。セミオープン外構は、外構の一部にフェンスや塀を設置した、クローズな部分とオープンな部分を併せ持つデザインです。
目線が気になる部分にフェンスを設置したり、門柱を変更することで、オープン外構の開放感を維持しながらプライバシーを守れます。
エクステリアの一部に必要なアイテムを追加するだけなので、外観も大きく変わらず、風通しを維持できます。施工費用が大きくかからない点もメリットです。
オープン外構からクローズ外構へ変更
敷地内をしっかりとプライバシーが守られた空間にしたい場合は、クローズ外構へ変更することになります。クローズ外構は、塀や植栽などで敷地を囲み、敷地との境界をはっきりと分けたデザインです。
クローズ外構はこれまでオープン外構で見えていた庭やアプローチなどがフェンスで囲われ、住まいのイメージがガラリと変わります。
駐車スペースからの車の動線を考える必要もあるため、外構工事業者としっかり打ち合わせをして、計画することが大切です。
オープン外構のメリットとデメリット

オープン外構は門扉やフェンスなどの囲いを設けないエクステリアのデザインです。門柱やポスト、シンボルツリーなどを配置して開放的な印象を与えます。
オープン外構のメリットとデメリットは、以下のようなものです。
メリット:開放感とコストの低さ
オープン外構は敷地と外を区切るものがないため、外から見ても建物の中から見ても開放感を得られます。
敷地が狭い住宅では塀による圧迫感がなく、広々と外構を使えます。死角がなく見通しがよい点も、防犯面で大きなメリットといえるでしょう。
さらに、塀やフェンスが必要ないので、コストを抑えたエクステリアづくりが可能です。外構工事の予算を抑えたい場合はオープン外構がおすすめです。
デメリット:プライバシーと安全面の課題
視線を遮るものがないオープン外構は、プライバシー面で不安があるといえるでしょう。大きい窓が道路に近い場所にあると通行人から家の中が見えてしまうことも。室内からも外が見えやすく、落ち着かないと感じてしまう人も少なくありません。
オープン外構は塀がないため、通行人や車に意図せずに進入されるケースがあります。さらに、小さな子どもやペットが道路に飛び出しやすく、交通量の多い道路に面している場合は危険です。
クローズ・セミオープン外構のメリット・デメリット

では、オープン外構に比べて、クローズ外構、セミオープン外構にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。オープン外構と照らし合わせて検討してみましょう。
メリット:プライバシーとこだわりの外観
塀やフェンスで敷地を囲むと、外からの視線を気にせず、洗濯物を干したり、子供を庭で遊ばせることができます。家族のプライバシーを守れるため、交通量の多い道路に面している住宅でも安心して過ごせるでしょう。
フェンスや門扉を設置すると、高級感や重厚感を演出できる点もメリットのひとつです。外構にもこだわって敷地全体をおしゃれに演出したい場合はクローズ外構、セミオープン外構がおすすめです。
デメリット:狭小地では圧迫感がある
外構が狭い場合、フェンスや塀があると圧迫感を覚える可能性があります。プライバシーを守りたいからといって高さがあり隙間の少ないフェンスを設置すると、庭が暗くなり、より狭く感じてしまい、快適性を損ねてしまうでしょう。
また、塀やフェンスは外から死角ができてしまうため、不審者に狙われやすくなります。
狭小地の場合はセミオープン外構でも必要な部分のみにフェンスを設置し、見通しを確保することが大切です。
クローズ外構へのリフォームを検討する際のポイント

上の項ではクローズ外構・セミオープン外構のメリットとデメリットを紹介しましたが、ここではクローズ外構に変更する場合に知っておきたいポイントを解説します。
オープン外構とは機能もデザインも大幅に変わるので、ポイントを押さえておき、失敗のないリフォームにしましょう。
プライバシーと防犯性の向上
オープン外構からクローズ外構に変更すると、プライバシー面と防犯性が大きく向上します。フェンスの高さや種類は自由に選択できるので、これまでのオープン外構の開放感を残したい場合は、高さを抑えたフェンスや見通しのよい格子状のフェンスを設置するとよいでしょう。
フェンスを設置すれば通行人が敷地内と気づかずに誤って侵入することを防げます。門扉があれば、配達員などの訪問者は敷地内に入るために門扉を通らなければならず、防犯性を高められます。
デザインとコストのバランス
限られた予算のなかで理想の外構をつくるには、デザインとコストのバランスがとれた外構計画が大切です。
クローズ外構は使用する外構設備が多いため、費用が高くなる傾向があります。デザイン性にこだわったおしゃれな外構を希望する場合、さらに費用がかかるでしょう。
デザインにこだわりつつコストを抑えるには、費用をかける範囲と抑える範囲を決めることです。たとえば、門周りや住宅の正面はこだわりのデザインを取り入れ、正面から見えにくい家の側面と裏面は比較的安価なフェンスを選ぶとコストを抑えられます。
施工事例と費用感の把握
外構工事を計画する際は、施工事例を見てどれくらいの費用がかかっているか調べておくと安心です。施工事例は外構工事業者のホームページに掲載されています。
自宅が施工エリアになっている業者のホームページを見ておくと、業者選びにも役立つでしょう。工事に関して気になることは、問い合わせフォームから質問して疑問を解消してください。
そのほか、工事したい部分と予算のキーワードでインターネットで検索し、施工事例を調べる方法もあります。
セミクローズ外構という選択肢

外構デザインはセミクローズ外構(セミオープン外構)を選ぶ方法もあります。
オープン外構とクローズ外構の良いところを組み合わせたバランスのよい外構は、近年の住宅で人気を集めています。限られたスペースで住み心地のよい空間を作りたい場合は参考にしてください。
オープンとクローズの融合
セミクローズ外構はオープン外構とクローズ外構が組み合わさった外構デザインです。ほどよい開放感と目隠し効果が得られるため、家族が安心して暮らせるスタイルです。
塀やフェンスを設置する範囲も自由に決められるので、オープン外構寄りのデザインにも、クローズ外構に限りなく近いデザインにもできます。
目隠しフェンスの代わりに植栽、駐車場の門をポールで対応するなど、空間を自由に使って使う人に合わせた外構を作りやすいデザインです。
柔軟なデザインと機能性
セミクローズ外構は、必要な場所にのみ外構設備を設置する構造なので、機能性を発揮しつつ、自分の好きなようにデザインを決められます。
たとえば玄関の出入りの際に人目に触れることに抵抗を覚える場合は玄関の正面にフェンスや門柱を建てるのがおすすめです。
リビングにいるときに外からの視線で落ち着かない場合は、リビング正面に程よい隙間の格子フェンスを設置すれば家族の暮らしを守れるでしょう。
このように、必要な位置にピンポイントで外構アイテムを設置できるので、お悩みを外構工事業者に伝え、提案してもらうと効果的に目隠しできるはずです。
自分に合った外構スタイルを見つけるコツ

せっかくの新築住宅の外構が、使いにくかったり外からの視線が気になって落ち着かなかったりしたら嫌ですよね。
ここでは外構の失敗を防ぐためのプランの立て方や外構スタイルの選択の仕方を紹介するので、業者に依頼する際の参考にしてください。
ライフスタイルと要望の整理
外構デザインを考えるときは、家族構成やライフスタイルに合ったプランを立てることが重要です。たとえば駐車場は車種や使用する頻度はどうか、庭は子どもの遊び場に使いたい、ガーデニングを楽しみたいなど、どのように外構を使いたいのかを明確にしておきましょう。
このような要望を家族で話し合い、まとめておくと、外構工事業者が希望を実現しやすくなります。要望が複数ある場合は紙に書き出しておくのがおすすめです。
さらに、10年後、20年後はどのようなライフスタイルになっているのかもイメージして要望にまとめておくと、家族構成やライフスタイルが変化したときにリフォームする必要がなくなります。
専門家への相談と計画的なリフォーム
外構工事を成功させるには、外構工事業者と綿密な打ち合わせをし、分からないことは何でも質問して、認識のずれを防ぐことが重要です。
言葉だけで伝えるとイメージと違うものに仕上がったり、使いにくい外構になってしまうこともあります。できるだけ具体的に伝えた方がよいので、図面を用意し、理想のイメージがある場合は写真を用意しておくと安心です。
外構リフォームを実施するときは、工事スケジュールを業者と共有しておき、近所への挨拶回りから引き渡しまでどのように進むのか確認しておきましょう。
希望日までに完成させたい場合は余裕を持って早めに見積りを依頼しておくと遅れにも対応できます。
外構に関するよくある質問

ここでは、外構工事を計画している人からよく挙がる質問とその回答を紹介します。
新築住宅の外構プランを考えている方や、外構のリフォームを検討している方はぜひチェックして後悔のないエクステリアを完成させてください。
外構に200万円あればどこまでできますか?
敷地面積や土地の形状、使用する設備のグレードにもよりますが、200万円の予算があれば新築外構がひと通り揃います。
200万円でできる具体的な設備は、以下になります。
- 境界フェンス
- 土間コンクリート
- カーポート
- 門柱
- シンボルツリー
- アプローチ
土間コンクリートをタイルにしたい、カーポートをガレージにしたいなど、設備のグレードを上げると費用が上がります。
素材には様々な種類とカラーがあるので、予算オーバーの場合はイメージを伝えれば、外構工事業者が代替案を出してくれることもあるので、遠慮なく相談してみましょう。
外構工事を途中でやめることはできますか?
外構工事は注文者側の都合で途中で解約できます。その場合、業者の損害賠償をしたうえで解約することになるので、注意が必要です。
ここでいう賠償は、業者が解約までに要した費用と、本来得られるはずだった利益の合算額です。
外構工事業者は工事の契約締結後は速やかに準備を開始します。準備段階で必要な資材の発注が行われるので、発注済みの資材費用は負担しなければならず、想定上の金額になる可能性もあります。
外構工事の契約解除については契約書に詳しく記載されているので、事前に目を通してから業者へ工事中止について連絡するようにしましょう。
まとめ

外構スタイルにはそれぞれメリットとデメリットがあります。それぞれの外構スタイルの特徴を理解しておき、家族のライフスタイルに合ったものを選択すると、理想通りのエクステリアに近づくはずです。
外構にお悩みがある場合は、工事を計画する前でも気軽に外構工事業者に相談し、アドバイスをもらうことをおすすめします。
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