
住宅の外構では駐車スペースなどに土間コンクリートがよく採用されています。明るいグレーのコンクリートを床材にすることで敷地全体を明るく見せたり、モダンな雰囲気にできるだけでなく、水はけがよく手入れもしやすいなどメリットが多いため、人気が高まっているといえるでしょう。
そんな土間コンクリートに必要不可欠なのが目地です。今回は、土間コンクリートにおすすめの目地素材、気をつけておきたい失敗事例などを紹介します。
土間コンクリート目地のおすすめは?

土間コンクリートの目地の素材は、エクステリアの雰囲気に大きな影響を与えます。
以下におすすめの素材を紹介するので、仕上がりの雰囲気はもちろん、お手入れの手間なども考慮して納得のいくものを選びましょう。
伸縮(エキスパンタイ)目地
伸縮目地(エキスパンタイ目地材)は、スポンジの本体にゴムやガラス繊維のキャップがついた土間コンクリート目地の専用の製品で、スポンジが土間コンクリートの伸縮や振動を吸収してひび割れを防ぎます。
幅が狭いため細い目地にでき、外構をシンプルでスタイリッシュに仕上げられます。そのほか、安価で施工でき耐久性が高い点も、大きなメリットといえるでしょう。
一方で、無機質な印象になりやすいため、ナチュラルなエクステリアを希望している場合や庭に立体感を持たせたい場合は、注意が必要です。
植栽目地
ナチュラルな外構にしたい場合は、目地に植栽を植えるとよいでしょう。
目地に使用する植物は天然芝、タマリュウ、ヒメイワダレソウなどがおすすめです。植物は園芸店やホームセンターでも手に入るので、植え替えを行えば簡単にイメージチェンジと雑草対策ができます。
ただし、車を停めている場所は日光が遮られるため、あまり車を使わない場合は植物が枯れやすい点、目地には芝刈り機を使えないので、お手入れは手作業となる点には注意が必要です。
人工芝目地
雑草の心配をせずに一年中緑を楽しみたい場合は人工芝の目地がおすすめです。
天然芝は冬になると枯れたり、春夏に草刈りが必要になったり、密度が少なくなった部分には種まきが必要ですが、人工芝にはそのような手間がありません。北側の日当たりの悪いエクステリアでもきれいなグリーンの目地を楽しめる点も大きなメリットです。
ただし、価格の安い人工芝はエクステリアを安っぽく見せてしまう可能性があります。人工芝の種類は外構工事業者に相談しながら選ぶと失敗を防げるでしょう。
ピンコロ石やレンガ目地
ピンコロ石やレンガを目地に敷き詰め、コンクリート土間にアクセントを加えることも可能です。
ピンコロ石とは、花崗岩を80~100mmほどの大きさに切り出した石材です。耐久性があり、色味が豊富で、無機質なコンクリートに温かみを加えてくれます。より温かみのあるナチュラルな雰囲気にしたい場合は、赤系の色をしたレンガを選択するとよいでしょう。
注意しておきたいのは、これらの素材には伸縮性がない点です。伸縮するコンクリートに追
随できないため、コンクリートにひびが入るリスクがあることは留意しておいた方がよいでしょう。
砂利目地
目地に砂利を敷く砂利目地も人気が高まっています。砂利目地の最大のメリットは、安価におしゃれなエクステリアを演出できるところ。白や黒などモダンな雰囲気を演出できるもののほか、黄色やグリーン、ピンクなどの多彩なカラーがあるので、住宅の雰囲気に合わせて好みの砂利を選べます。
デメリットは隙間から雑草が生える可能性がある、砂利が目地からこぼれてコンクリートを傷つけてしまう、などです。また、砂利はすり減ったり飛び出したりして減っていくので、定期的に補充する必要があります。
土間コンクリート目地の後悔事例

土間コンクリートの目地は、コンクリートのひび割れ防止効果に加えてデザイン性を高める効果も期待できます。しかし、デザインを重視したために使い勝手が悪く、後悔するケースもあるので注意が必要です。
ここでは、土間コンクリートの目地で後悔した事例を紹介します。
通路部分に装飾目地
アプローチなどの通路部分に装飾として目地を作ると通路の安全性が低くなり、後悔するケースがあります。
頻繁に通る場所に必要以上に目地をつくると、子どもや高齢者がつまづいてしまう危険性があります。また、ベビーカーやカートの車輪が目地にはまってストレスになることもあるでしょう。とくにベビーカーの車輪が目地に取られると、転倒する危険性も否定できません。
通路は安全性を考慮して、必要最低限の目地に制限した方が安心です。
デザイン重視の鋭角な目地
土間コンクリートに斜めに目地を入れるとスタイリッシュな仕上がりになりますが、床材の強度面で後悔する場合があります。
斜めに目地を入れると土間コンクリートの先端が鋭角になります。鋭角な部分は割れやすく、車が上を通ったときにコンクリートにひびが入ったり欠けたりする可能性があるため注意が必要です。
エクステリアの形状の都合でどうしてもコンクリートが鋭角になってしまう場合は、車のタイヤが乗る動線を避けて目地を入れるようにしましょう。
砂利目地は飛び散りやすい
砂利目地は飛び散りやすく、後悔したというケースも珍しくありません。砂利は固定されていないので、車が上を通過したときに目地から外に飛び出ることがあります。
飛んだ砂利が車を傷つけたり、敷地の外にこぼれてしまうおそれがあります。また、子どもが砂利を目地から出して遊ぶ場合もあり、元に戻すのが手間になるケースもあるでしょう。
砂利を目地にする場合は駐車場ではなく、アプローチの道路側からある程度距離のある場所に目地を設置して砂利を敷き詰めるなど、工夫するとデメリットを軽減できます。
そもそも土間コンクリートに目地を入れる理由とは?

ではなぜ、土間コンクリートに目地を入れなければならないのでしょうか。ここでは、その理由と必要な目地の間隔を紹介します。
土間コンクリートを施工する予定の面積と照らし合わせながら、目地のデザインを考えてみてください。
コンクリートには膨張伸縮を繰り返す
土間コンクリートに目地を入れる理由は、コンクリートは気温の変化により膨張と伸縮を繰り返し、ひび割れを起こす可能性があるためです。それだけでなく、振動によってひび割れを起こす場合もあります。
そこで、ひびを軽減させるために一定間隔で目地を設けてひび割れを軽減させる必要があるのです。
とくにエクステリアの土間コンクリートは、建物よりも気温の変化による影響を受けやすいため、目地がコンクリートの表面温度と内部温度の温度差による体積の変化を吸収する効果が高まります。
目地を設けるおすすめの面積
コンクリートの目地は基本的に、広い空間の場合はコンクリートが10~15㎡以内になるように目地で区切ります。細い通路に土間コンクリートを施工する場合は長さ3~4mごとに1本目地を設置します。一般的な車一台分の駐車場は約16㎡なので、この場合は目地が1本必要です。
注意しておきたいのは目地を多く設置しすぎるケースです。ひびを心配して目地を多くしすぎると、土間コンクリート1つ分の重量が軽くなります。その上に車が乗った場合、コンクリートが動いてしまうおそれがあるので、外構工事業者にアドバイスを求めてほどよい間隔で目地を設置しましょう。
土間コンクリートで外構をおしゃれにするコツ

外構の床材で人気の土間コンクリートですが、おしゃれな外構を演出するにはどのようにすればよいのでしょうか。
以下に、簡単に外構をおしゃれにする工夫を紹介するので、自宅に合った方法を取り入れてみてください。
照明で照らして優しい雰囲気にする
照明で土間コンクリートを照らすと、夜間もコンクリートのデザイン性を活かした外構にできます。照明は、地面から植栽や門柱を照らすケースが多いですが、一部分だけでも上から床面を照らすことで外構に立体感が生まれるでしょう。
照明は、夜間の見通しを確保できるため、足元を明るく照らせるだけでなく、不審者の侵入を防止できます。住まいの安全性を高めるために、上手に照明を取り入れましょう。
アクセントを入れて駐車場のラインをつくる
駐車場に異素材でラインを入れてアクセントにすると、無機質な土間コンクリートをおしゃれに演出できます。石やタイルなどをうまく組み合わせると、外構に温かみを取り入れられるでしょう。
さらにラインを入れることによって、駐車スペースが明確になり、車の出し入れがしやすくなります。おしゃれなだけでなく使いやすい駐車場を作りたい場合は、床面にラインを取り入れるとよいでしょう。
ラインは直線だけでなく、曲線で外構に立体感を持たせたり、人の動線をつくることも可能です。
土間コンクリートの外構に関するよくある質問

ここでは、外構の床材を土間コンクリートにする場合によくある質問とその回答を紹介します。
土間コンクリートを検討している場合は、デザインだけでなく以下の点もチェックしておき、疑問を解消したうえで工事を依頼しましょう。
コンクリートは雨天時に施工して問題ない?
コンクリートは激しい雨でなければ雨天でも施工が可能です。コンクリートが固まる過程で避けたいのが乾燥です。コンクリートの養生の際には、表面の乾燥を防ぐ目的で水をかける場合があります。そのため、雨が降ってコンクリートが濡れても問題ありません。
ただし、コンクリート打設中にたくさんの雨が降ってしまうと、水とコンクリートの比率が変わってしまい、品質に影響を及ぼす可能性があります。また、仕上げ直後に雨が降るときれいに仕上げた部分に雨粒の跡が残ってしまうおそれがあるので、雨の量によっては工事が中止になるケースもあります。
一方でコンクリート打設後数時間後や数日後の雨は、影響ありません。
施工から硬化まで何日ほどかかる?
コンクリートが完全に固まり、全体的に強度が安定するまでにかかる日数は通常28日前後です。とはいえ、施工から28日間使用できないというわけではありません。
コンクリートの表面が硬化し、安全に人が立ち入りできるまでの標準的な日数は2~3日です。さらに車が上に乗っても問題ない強度になるまでには6~7日かかり、この期間を経過すれば28日経っていなくても駐車場を使用できます。
コンクリートは一般的に高温条件下で硬化が加速され、低温環境では硬化が遅れるとされています。つまり、冬季は夏季に比べて硬化に時間がかかることが想定されるため、使用開始できる日については業者に確認しておいた方がよいでしょう。
土間コンクリートの目地を埋めるのはあり?
土間コンクリートの目地に何も入れずスリットのままにしている場合、目地にゴミが溜まりやすい、目地の土から雑草が生えやすいなどのデメリットがあります。その場合、上でご紹介した伸縮目地、植栽、人工芝、ピンコロ石、砂利などで埋めればお悩みを解消できる可能性があります。
目地はできるだけコンクリートの伸縮に対応できるタイプの素材を選ぶと、コンクリートのひび割れを防止できるため、おすすめです。
まとめ

土間コンクリートの目地にはさまざまな種類があります。失敗を防ぐためにはデザイン性アップだけでなく、機能面や用途、メンテナンスの手間も考慮して選ぶことが大切です。
目地を選ぶ際は、外構工事業者に現地調査を依頼したうえでアドバイスをもらいながら決めると、自宅にぴったりの目地を施工できる可能性が高まります。外構工事を検討している場合はまず、業者に相談してみるとよいでしょう。
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