
無機質なコンクリート土間の庭や駐車場に緑を加えたいと考えている方は少なくないでしょう。そのような場合には人工芝を敷けば、土がなくても外構をナチュラルな印象に変身させることができます。
しかし、コンクリートに人工芝を敷く場合にはいくつか注意しておかなければならない点があります。
今回は、コンクリートに人工芝を敷くデメリットや施工の手順を紹介するので、検討している場合はチェックしてください。
コンクリートの上に人工芝を敷くデメリット

コンクリートの上に人工芝を敷くとどのような不具合が生じるのでしょうか。
ここでは、人工芝の注意点を紹介するので、コンクリート土間に人工芝を設置したいと考えている場合はデメリットを把握しておきましょう。
季節感が感じられない
人工芝は雑草が生えないので草むしりの手間がない一方で、一年中同じ色のため、季節感に欠けるというデメリットがあります。
天然芝は春から秋にかけては青々とした緑色の葉が生い茂り、冬になると黄金色の枯草になるように、季節によって色の変化が楽しめます。
冬でも青々としたグリーンの人工芝は、ガーデニングなどほかの植栽が紅葉から落葉へ変化しているにもかかわらず色の変化がなく、違和感を覚えることもあるでしょう。
ただし、年中春夏らしい雰囲気を味わいたいのであれば、人工芝が向いているケースもあります。
静電気が発生しやすい
人工芝は静電気が起こりやすく、コンクリートは電気を通しやすいため、コンクリートの上に敷いた人工芝は特に静電気が起こりやすいといわれています。
人工芝の葉になるパイルはポリプロピレンやポリエチレンなど化学繊維でつくられており、摩擦や乾燥で静電気が起こりやすい性質があるのです。
ただ、素材によって静電気の起こりやすさには差があり、リサイクル原料を使用していないバージン原料のみでつくられた人工芝は静電気が起こりにくいとされています。
一方で、リサイクル原料で作られた安価な人工芝は静電気が起こりやすいといえるでしょう。
静電気をゼロにすることはできませんが、少しでも抑えたいなら人工芝の材料にも注目してみてください。
排水性の問題がある
人工芝をコンクリートの上に敷く場合、排水性に問題が出ることがあります。
コンクリートは地面と違い水はけが悪いため、雨が降ると水が溜まってカビの原因となります。そのため、コンクリートの上に人工芝を設置する場合は、水抜き穴が開いている人工芝を選ぶようにしましょう。
また、パイル部分が素早く乾くように、ナイロンではなく、ポリプロピレンまたはポリエチレン製の人工芝を選ぶと安心です。
温度上昇が顕著
合成樹脂でできた人工芝は、天然芝や土に比べると熱を吸収しやすい性質があり、直射日光が当たると表面温度が高くなる傾向にあります。特に夏場は表面が高温になりやすいので、裸足で歩きたい場合は注意が必要です。
人工芝が高温になった場合、水を撒くと温度を下げられます。夏場は定期的に水撒きをすれば庭を涼しく保てるでしょう。そのほか、シェードなどで日陰をつくることで暑さ対策が可能です。
接着剤の跡が残る
外構の床面を人工芝から元のコンクリートに戻したい場合、接着剤の跡が残りやすい点には注意が必要です。接着剤はFRPアセトンなどで落とせますが、取り扱いには十分注意し、少しずつ作業しましょう。
また、接着剤の種類や床材の状態によってはFRPアセトンが適していない場合もあるので事前に接着剤の種類を確認する、スペースの目立たないところで少量使って問題なければ本格的に使ってみるなどすることが大切です。
範囲が広い場合や不安な場合は外構工事業者に相談してみましょう。
経年劣化がある
人工芝は天然芝と比べると劣化しやすい特徴があります。紫外線に弱いので、劣化していくと色褪せや変色が目立ってくるでしょう。
また、上をよく歩く場所はパイルが擦り切れてボロボロになってきます。このような症状が現れたら張り替えを行いましょう。
特に人工芝が破れたり、一部剥がれたりした場所があるとつまずいて転倒するおそれがあります。安全性を確保するためにも定期的な交換が必要です。
一般的に人工芝の耐用年数は10年といわれているので、特に大きな劣化が見られなくても10年に一度交換すると、見た目がきれいで清潔な天然芝をキープできます。
火気使用の制限がある
人工芝の多くは、ポリエチレンやポリプロピレンなど化学繊維や樹脂などで作られています。これらの素材は熱に弱く、近くで火を使うと燃えたり溶けたりするため注意が必要です。
火を使う行為は人工芝の上は危険なのでできません。庭でBBQをしたい、喫煙スペースにしたいという場合は、人工芝が近くにない、タイルデッキの上など、火に強い素材の上で行うようにしましょう。
失敗しないコンクリートに敷く人工芝の選び方

では、どのようにすれば人工芝の失敗を防げるのでしょうか。
ここでは、コンクリートに敷く人工芝の選び方のコツを紹介するので、ポイントを押さえて最適な人工芝を選びましょう。
水はけのよいものを選択する
コンクリートに人工芝を敷く場合、人工芝は特に水はけの良いものを選ぶように意識しましょう。
庭や屋上、ベランダ、バルコニーなどの屋外では雨が降ると水たまりができやすいので、水抜き穴の数が多い、または穴の設置間隔が狭いものを選びます。
また、基盤シートは防水性、耐水性に優れたポリウレタン加工のものを採用するのがおすすめです。
インターネットで人工芝を購入する場合はできるだけサンプルを取り寄せ、これらの条件を満たしているかチェックしてから購入すると失敗を防げます。
素材や耐久性の高さを確認する
人工芝を選ぶ際は、事前に耐用年数を確認しましょう。一般的な人工芝の耐用年数は10年ですが、安価な製品のなかには2~3年程度で劣化していくものも存在します。
耐久性が低いとすぐに芝が剥げてきたり、破れてしまったりします。広いスペースだと設置するのも大変なので、長期間きれいな状態を維持できる人工芝を選ぶと安心です。
人工芝は一般的にポリプロピレン製が耐久性が高いとされているので、できるだけポリプロピレン製の製品を選ぶのがポイントです。
重量があるものを選ぶ
コンクリート上に設置された人工芝ははずれやすいので、ある程度重量のあるタイプを選ぶときれいに敷かれた状態を維持しやすくなります。
軽量の人工芝は設置が楽ですが、風でめくれたり飛ばされたりしやすいというデメリットがあります。重みがある人工芝なら風の影響を受けにくくずれにくいので、強風の心配もする必要がありません。
また、パイルの密度が濃くリアルな人工芝はその分重たくなるので、自然な風合いの人工芝はある程度の重量があると考えておくと良いでしょう。広い場所の施工に向いているロールタイプの人工芝は、1㎡あたり約2~3kgが目安です。
芝の毛足が長い方が快適
硬いコンクリートの上に人工芝を敷く場合、毛足が長いクッション性のある人工芝を選ぶのがおすすめです。
特に子どもやペットの遊び場として人工芝のエクステリアを作りたい場合は、転倒したときのリスクや脚への負担を考えて毛足が長くクッション性の高い人工芝を選ぶと良いでしょう。
人工芝は人によって敷く目的が異なります。使用用途に合わせて毛足の長さを選ぶと見た目が綺麗で快適な外構に仕上がるはずです。
人工芝をコンクリートの上に敷く手順

ここでは、コンクリートの上に人工芝を設置する手順を紹介します。
ポイントを押さえれば自分でも設置でき、おしゃれな人工芝のエクステリアが完成するので、挑戦してみましょう。
設置場所の掃除
まずは、人工芝を設置する部分の土間コンクリートを掃除します。土や落ち葉が残っているとカビやダニ、害虫が発生しやすくなります。
さらに人工芝を敷いたあとは掃除がしにくくなるので、できるだけコンクリートの上に何も残らないように掃除しましょう。
掃除は掃き掃除でも十分ですが、汚れが溜まっている場合は水をかけてデッキブラシでこすったり、高圧洗浄機を活用したりして汚れを一掃しておくと安心です。
人工芝の仮止め
コンクリートがきれいになったら人工芝を置いてみます。このとき、テープで仮止めするか重石で押さえながら置くと楽です。
様子を見ずにいきなり人工芝をカットして接着すると、サイズを間違えたり、敷く方向で後悔したりするので、この工程は省略しないようにしましょう。
人工芝には芝目という葉の向きがあります。人工芝を横につなげるときは、芝目を揃えて流れを同じ方向に揃えると仕上がりが自然になります。
また、芝目の反対から見た方が自然に見えるので、葉が寝ている方をよく眺める方向と反対側にして設置するようにしましょう。仮置きして問題がなければ、次に進みます。
人工芝をカット
人工芝を設置場所のサイズに合わせて正確にカットします。葉の長いリアル人工芝を切るときは、カッターで切りましょう。
これはハサミで切ると表のパイルも切れてしまい、切った部分の芝が短くなってしまうためです。
なお、曲線をカットする場合や葉が短いショートパイル人工芝はハサミで切っても問題ありません。
カッターで人工芝を切るときは裏面にして切っていきます。人工芝の裏面には約1cm間隔にパイルの縫い目があります。
カッターは縫い目から1~2mm外側を縫い目に沿って刃を入れていくのがポイントです。そうすることで芝生が端まで綺麗に生えそろった状態でカットできます。
人工芝同士を接着
コンクリートの上に人工芝を敷く場合、防草シートを設置していないケースが多いので、人工芝同士の継ぎ目の下にジョイントシートを敷き、接着剤で固定します。
継ぎ目がきちんと固定されていると、綺麗な人工芝の床面に仕上がるのでしっかりと行いましょう。
コンクリートの上に人工芝を敷いただけでは歩いたときにずれてしまう場合があるため、人工芝を専用の接着剤でコンクリートに接着します。
ただし、賃貸の場合は剥がしたときに跡が残るおそれがあるので、一部分のみに両面テープなどで留めておくと良いでしょう。
仕上げ作業
人工芝を隙間なく接着したら、仕上げ作業を行います。接着剤が固まる前にはみ出した接着剤を取り除きます。へらなどで取り除くほか、接着剤除去用の薬剤で拭き取ると簡単です。
また、接着剤が固まる前に継ぎ目がずれていないか確認し、ずれている場合はしっかり合わせます。
最後に、継ぎ目の芝目をブラシなどで軽く起こしてあげて継ぎ目を隠しましょう。掃除機などで抜けたパイルやゴミを取り除いたら完成です。
施工時の注意点

コンクリートの上に人工芝を敷く場合、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。
以下の施工時の注意点を参考にして、快適な人工芝の庭にリフォームしましょう。
適切な排水設計を行う
人工芝は水はけが悪い場所に敷くと水たまりができやすいため、適切な排水設計が必要です。
通常、土間コンクリートは雨水を排出させるために水勾配という傾斜を付けて施工します。これに水抜き穴がついた人工芝を設置すれば特に問題なく排水されるでしょう。
もし人工芝を敷きたい場所のコンクリートの水はけが悪くなりやすい場合、水はけマットを敷く、人工芝を固定する接着剤や両面テープが水をせき止めないように位置や方向を工夫するなどで改善できます。
施工前にコンクリート面を十分に清掃する
上でも紹介した通り、人工芝を敷く前にはコンクリートをしっかりと清掃しておくことが大切です。
ごみやほこりが溜まったままだとカビや雑菌、ゴキブリなどの害虫が発生する原因になるほか、人工芝がしっかりとコンクリートの上に密着せず、仕上がりがきれいにならない可能性があるためです。
できれば水洗いでコンクリート上にある汚れをすべて洗い流すようにしましょう。高圧洗浄機がある場合は活用してこびりついた汚れも取り除くようにしてください。
エクステリアに人工芝以外の選択肢を比較

人工芝以外で、エクステリアに最適な床材にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは人気の床材を紹介するので、人工芝とメリット・デメリットを比較し、自宅の外構にぴったりの床材を探してみましょう。
天然芝
庭が土の場合、天然芝を植える方法があります。天然芝は人工芝に比べて水やりや肥料やりなどの手間はかかりますが、季節によって色の変化を楽しめる点や自然な庭を作れる点が大きなメリットです。また、天然芝は直射日光で表面が熱くなりにくいので、庭を涼しくできます。
芝生には日本芝と西洋芝があり、日本芝は手入れが簡単で、高温多湿や病害虫に強い点が特徴です。
一方西洋芝は日本芝よりも濃いグリーンですが、病害虫の被害に遭いやすく夏枯れするリスクもあるので、あまり手間をかけたくないなら日本芝がおすすめといえるでしょう。
砂利
砂利は施工費用が安く、撒くだけで簡単に施工できる外構で人気の床材です。上を歩くとジャリジャリ音がするので、防犯外構としても機能する点も大きなメリットといえるでしょう。
砂利は一般的なグレーのほか、白や黒、黄色、ピンク、グリーンなどさまざまな色があり、砂利の色によって敷地全体のイメージを大きく変えられます。
一方で、年月が経過すると砂利が削れて小さくなったり敷地の外に飛ばされて減ったりするので、定期的に足していく必要がある点には注意が必要です。
タイル
タイルはエクステリア全体に高級感を与えてくれる床材です。素材が高級なので施工費用が高い点が大きなデメリットですが、紫外線や熱、汚れに強いため耐久性が高く、一度施工すれば長くきれいな状態を維持できます。
色やサイズなど種類も多く、近年では滑りにくい玄関アプローチに適した素材も多く登場しているため、ワンランク上のエクステリアをデザインしたいならおすすめの素材です。
人工芝に関するよくある質問

ここでは人工芝の施工に関してよくある質問とその回答を紹介します。
特にコンクリートの上に人工芝を設置したいと考えている場合は以下の内容をチェックしておきましょう。
コンクリートの上に人工芝を敷くとカビが生える?
コンクリートの上に人工芝を敷いた場合、水はけが悪いとカビが生えるおそれがあるので注意が必要です。特に日陰やゴミが溜まっている場所はカビの温床になりやすいといえるでしょう。
カビを発生させないためには人工芝とコンクリートの水はけ対策のほか、日々のメンテナンスでも対策ができます。
定期的に人工芝の上に落ちたゴミや葉っぱをほうきで掃き、屋外用掃除機やブロアを使って芝目に入り込んだゴミを取り除きましょう。また、抗菌処理が施された人工芝を選ぶと効果的です。
人工芝をコンクリートに置くだけで問題ない?
人工芝はコンクリートの上に敷くだけでなく、しっかりと接着剤や両面テープで固定しましょう。洗濯物を干すなど人工芝の上の行き来が多い場合や、家族やペットが遊び場として使う場合は、人工芝がずれると危険です。
また、めくれた部分に足を取られて怪我をしたり、強風で飛ばされて近隣に迷惑をかけたりするケースもあります。
安全に庭を使用するなら、人工芝がずれないようにしっかり固定することが重要です。
人工芝の寿命はどのくらい?
人工芝の耐用年数は5~10年、高品質の製品だと10年ほど持つとされています。ただし、設置している環境によっては寿命に幅が出ると考えておきましょう。
劣化症状の多くは紫外線による褪色や人が上を歩くことで芝が倒れたり抜けたりしてしまう、というものです。
人工芝が変色してきた、擦り切れてきた、芝目が寝たままになってしまう、下地が見える、などの症状現れたら交換しましょう。
コンクリートの上に人工芝を敷く費用の目安は?
人工芝の施工費用は、人工芝の費用、その他の材料の費用、工事費用の合計で決まります。特に人工芝の材質と、DIYするか業者に依頼するかで、大きく差が出るでしょう。
DIYで施工する場合の費用相場は1㎡あたり4,500円程度です。一方、外構工事業者に依頼した場合の費用相場は1㎡あたり3,500~7,000円です。
業者に依頼する場合は複数の業者から相見積もりを取り、比較検討すると失敗を防げます。
まとめ

コンクリートの上に人工芝を敷くと、エクステリアを緑あふれるナチュラルな景観へと変身させられます。
もちろんDIYでも施工できますが、時間がない場合やきれいな仕上がりにしたい場合は業者に依頼するのがおすすめです。
コンクリートに人工芝を施工したいと考えている場合は、気軽に外構工事業者に相談してみると良いでしょう。
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