家の解体は自分でできる?挫折せずに費用を抑える現実的な進め方

家の解体は自分でできる?挫折せずに費用を抑える現実的な進め方

「空き家の解体を業者に任せずに自分で行いたい」「DIYで解体したら法律的に問題はある?」と悩んでいる方もいるでしょう。

では実際に、家屋は自分で解体可能なのでしょうか。この記事では、家を自分で解体したいと考えたときに確認しておきたいこと、必要な手続き、注意点などについて解説します。

目次

家を自分で解体することはできる?

結論から言えば、自宅を自分で解体することは可能です。しかし、条件によっては登録や許可が求められるケースもあります。まずは、どのような家屋であれば解体できるのか確認してみましょう。

自分の家であれば解体できる場合がある

自分で所有している家を自分で解体することは可能です。所有している住宅を取り壊したり、リフォーム予定の住宅を一部解体したい、などの場合は営業目的で行うわけではないため、許可や登録をしなくても解体できます。

亡くなった親の家を解体する場合は、行政書士などのサポートを受けながら遺産分割協議が完了した後であれば可能です。自分が物件を引き継ぐことが決定し、相続登記後に解体作業の準備を始めます。

解体工事業登録や建設業許可が必要になるケース

解体工事を事業として行う場合は、解体工事業登録または建設業許可(解体工事業)が必要です。

どちらが必要かは、請負金額で決まります。

  • 解体工事業登録:1件の請負金額が税込500万円未満
  • 建設業許可(解体工事業):1件の請負金額が税込500万円以上

解体工事業登録は、建設業許可よりも取得しやすいですが、工事を実施する都道府県ごとに登録しなければなりません。

建設業許可の取得は条件が厳しく、経営経験、専任技術者の在籍、財産的基礎などの要件を満たしていなければなりません。28業種あり、解体工事では解体工事業の許可を取得する必要があります。

家を自分で解体する前に確認すべき判断基準

自分が所有する家であれば解体できるとは言っても、現実にはさまざまな制約があります。安全に解体作業をするためにも以下の条件をしっかり確認し、自分で行えるかどうかの判断をしましょう。

建物の構造・階数

建物を自分で解体したいと考えている場合、まずは建物の構造と階数を確認しましょう。

木造住宅の場合、内装や木材の床、壁の解体はDIYでも可能です。しかし、柱や梁、筋交いの解体は倒壊のリスクが高いため、危険です。

さらに軽量鉄骨造は鉄骨の切断技術が必要で、火花による火災リスクが高く、DIYではできません。RC造はさらに頑丈な作りで重機が必要となるので、自分で解体するのは不可能と考えておきましょう。

建物の規模では、平屋住宅であれば、足場が低く屋根の撤去も比較的リスクが低いといえます。2階建て以上は高所作業となるため、DIYは極めて危険です。さらに地下室がある住宅は、埋め戻しなど特殊な技術が必要なため、DIYはできません。

隣家や道路との距離

解体前には隣家や道路との境界線、建物との距離をしっかり確認しておく必要があります。

境界線が曖昧なままだと、境界線上に設置されている境界ブロックを誤って解体してしまうなどしてトラブルに発展する可能性があります。解体工事前にはできるだけ測量を行い、隣家や道路との境界線を明らかにしてから実施することが重要です。

また、隣家の建物と距離が近い場合、解体作業による振動で隣家の外壁にひびが入るおそれがあります。

もし隣家が被害を訴えてきた場合に、それが解体工事によるものなのか元々あったものなのかを明確にするためにも、工事前に隣家の建物の写真を撮影させてもらうと安心です。

重機やトラックを入れられるスペース

作業で使用する重機やトラックを搬入できるかどうかも事前に確認しておかなければなりません。

住宅の解体は重機を使用せずに手作業でもできますが、廃棄物は必ず発生します。発生する量も大量なので、トラックが必要です。狭小地でトラックが敷地前まで進入できない場合、廃棄物を搬出するのに非常に労力がかかります。

プロの解体業者でも見積もりの際には工事車両の進入経路には非常に気を遣います。トラックを敷地前に停められるかどうかでかかる時間に大きな差が生まれるため、忘れずに確認しておくようにしましょう。

アスベストが使われている可能性

解体・改修工事を行う場合は、工事の規模に関わらず全ての建物でアスベスト(石綿)含有の事前調査を行う必要があります。

アスベストの事前調査は、建築物石綿含有建材調査者などの資格を取得した者が行う必要があり、無資格の個人には実施できません。

建物にアスベストが含まれていた場合、石綿取扱作業従事者が決められたルールに基づいて処理します。また、アスベストの取り扱いを行う事業者では少なくとも1人、石綿作業主任者を選任しなければなりません。

いずれにせよ、建物にアスベストが使用されている場合はDIYでの解体は不可です。

基礎や地中埋設物の有無

解体前に基礎の種類やコンクリートの厚みを確認しておくと、基礎の解体にどれくらいの時間を要するのか想定できます。

基礎は主に布基礎とベタ基礎がありますが、ベタ基礎は床下全面が鉄筋コンクリートで覆われているため、コンクリートの量が多く、解体・撤去・処分に手間と費用がかかります。

また、作業前までに、井戸や古い浄化槽など、地中埋設物があるかどうか、図面で確認しておきましょう。地中埋設物の撤去は重機が必要な作業であり、さらに安全に埋め戻しを行わなければならないため、業者に依頼する必要があります。

廃材の処分先を確保できるか

解体作業で発生する廃材は、自治体によって取り扱いが異なるため、事前に自治体の受付窓口に相談し、処分先を確保しておきましょう。

一般廃棄物として取り扱われる廃材は、自治体の指定するごみ処理施設に持ち込みます。注意したいのは、コンクリートがら、石膏ボードなどは適正処理困難物として自治体が受け入れていないケースがある点です。

この場合、廃材の処分は産業廃棄物収集業者に依頼するなどして対応します。そのほか、不用品回収業者を利用する方法もあるので、業者に見積もりを依頼するとよいでしょう。

また、自分で解体を行った場合でも廃材が産業廃棄物として取り扱われることがあります。こちらも地域によって取り扱いが異なるため、事前の確認が必要です。

家を自分で解体する場合に必要な届出・手続き

建物を解体する場合は、さまざまな届け出が必要です。解体工事業者に依頼した場合は業者が代行してくれる手続きもありますが、自分で解体する場合は全て自分で申請しなければなりません。

建設リサイクル法の届出

延べ床面積の合計が80㎡以上で、コンクリート・鉄・木材などの特定建設資材が使用されている構造物では建設リサイクル法の届出が必要です。

建設リサイクル法の届出の概要
  • 届出期限:着手の7日前
  • 必要書類:届出書・工程表・分別解体等の計画書・付近見取図・対象建築物の写真など
  • 提出窓口:市町村の担当窓口

道路使用許可・道路占用許可

解体作業で一時的にトラックを道路に駐車する場合は、道路使用許可申請が必要です。

道路使用許可の概要
  • 届出期限:着工2週間前程度
  • 必要書類:申請書・地図・工程表など
  • 提出窓口:道路を管轄する警察署
  • 申請費用:2,500円程度(地域によって異なる)

なお、敷地の都合で足場を一時的に道路にはみ出して設置しなければならない場合、道路占用許可が必要です。

アスベストの事前調査

建物の規模に関わらず、解体工事前にはアスベストの事前調査が義務付けられています。アスベストの調査は有資格者が実施するため、専門業者に依頼することになります。

戸建て住宅のアスベスト調査費用の相場は約5~17万円です。

さらに、延べ床面積80㎡以上の建物では、調査結果を労働基準監督署と自治体に報告します。

参考:石綿の有無の事前調査結果の報告|厚生労働省

ライフラインの停止と近隣挨拶

作業開始前までに電気・ガス・電話などのライフラインの停止手続きをします。各事業所に「解体工事のための停止」と連絡し、確実に撤去してもらいましょう。

水道は解体作業で粉じんの飛散防止や現場の清掃などに使用するため、作業が終了するまでは停止しません。

また、解体工事は騒音・振動の発生は避けられないので、解体作業開始前までに近隣住民に挨拶回りをしておく必要があります。

建物滅失登記

建物の解体が完了したら1か月以内に建物の所在地を管轄する法務局に建物滅失登記申請を行わなければなりません。

滅失登記申請を行わなかった場合、10万円以下の過料の対象になるほか、売却がスムーズにできないなどのリスクがあるので、速やかに行いましょう。

家を自分で解体する流れ

ここでは、家屋を自分で解体する際の流れとポイントを紹介します。手順を守らないと危険な上、廃棄物の処分に手間がかかるため、一つひとつ丁寧に作業していくことが大切です。

残置物・内装材・設備を撤去する

本格的な解体作業に入る前に家の中の残置物を撤去します。家具などの大型のごみは粗大ごみに出し、家電はルールに従って回収を依頼します。

家の中が空になったら、キッチンや浴室などの設備や建具を撤去する作業です。その後、畳やフローリング、クッションフロアなどの床材、壁、天井などの内装材を撤去します。

このとき、発生した廃棄物を種類ごとに分別しながら作業すると効率的です。

足場と養生を設置する

解体工事は高所作業に該当するため、足場の設置が必要です。さらに粉じんの飛散と墜落事故を防止するため、養生シートで足場を囲います。

DIYで足場を組むことは法律上禁止されているわけではありませんが、以下のような制約があり、個人で組み立てるのは現実的ではありません。

  • 高さ5m以上の足場の組み立ては「足場の組立て等作業主任者技能講習」を修了した者が作業を指揮しなければならない
  • 高さ2m以上の作業ではフルハーネス型墜落制止器具を使用し、安全衛生特別教育を受けなければならない

2階建て住宅の軒高は一般的に6m程度あります。屋根や安全対策を加味すると足場の高さは7m程度必要です。これらのことから、足場の設置は専門業者への依頼を推奨します。

参考:墜落制止器具|厚生労働省

屋根・外壁・柱など建物本体を解体する

瓦などの屋根材を手作業で撤去します。

次に構造体を上から順番に解体していきます。まずは屋根の下地を解体し、下地材を2階部分に落としていくというふうに進めるのが一般的です。次にはね出しなど、壁の外側に荷重がかかる部材を撤去したあと、壁を内側に引き倒します。

廃材を木材、鉄くずなど、種類ごとに分別・撤去しながら作業を進めていきます。2階の壁を解体したら、1階天井、1階壁という手順で解体していきます。

基礎や地中埋設物を撤去する

建物が解体できたらはつり機やハンマーを使って基礎を解体します。はつり機を使用する場合、大きな音と振動が発生します。作業時間帯には十分配慮して行うようにしましょう。

トラックに積み込みやすいようにコンクリートをハンマーで細かく砕く作業も必要です。

さらに、地中埋設物がある場合は撤去作業も行います。地中埋設物を撤去したら、良質な土や砂で埋め戻し・締め固めを行い、地盤を安定させなければなりません。

廃材を分別・処分し、土地を整地する

廃材を分別し、市区町村指定の収集場所に運搬します。市区町村で対応していない場合や搬出に手間がかかる場合は、民間の処理業者に依頼して回収してもらいましょう。

作業中は大量の廃材が発生し、置いておくスペースも限られるため、解体作業を進めながらこまめに搬出作業を行っておくとスムーズです。

土地から廃棄物を撤去したら整地作業を行います。がれきや木くず、基礎の破片などの不純物を取り除き、地面を平らにならします。土を締固め、地盤を安定させたら完了です。

家を自分で解体する費用とリスク

家屋のDIY解体は、作業費を大幅に削減できますが、一定の費用はかかります。また、すべて自分で行わなければならないため、トラブルが発生した場合はリスクが大きくなる点がデメリットです。

以下に自分で解体する場合に見逃せないコストや、起こりうるリスクを整理したので、しっかり目を通してから検討しましょう。

工具・重機・届出などの費用がかかる

自分で解体する場合でも、使用する道具や届出に一定の費用がかかることは理解しておきましょう。

工具が揃っていない場合は揃える必要があります。重機の運転免許を保有している場合は効率的に作業を進めるために重機をレンタルすることになり、そのレンタル料も必要です。

解体工事に必要な届出には申請費用や資料取得のための費用、交通費などもかかるため、事前に予算を組んでおく必要があります。

廃材の処分費・運搬費が想定以上にかかる

DIYで家の解体をすると人件費が抑えられる一方で、廃材の処分と運搬に想像以上の費用がかかり、結果的に業者に依頼するのと大差ない、むしろ負担額が大きかった、という結果になりかねません。

コンクリートがらの処分費用の目安は1㎥あたり3,000~12,000円です。木造住宅の解体で多く発生する木くずの処理費用の相場は、3,000~8,000円となります。住宅の解体ではそのほかにガラスくずや廃プラスチックなど、さまざまな廃棄物が発生します。

さらに、レンタカー代やガソリン代を含めると、業者に4トントラックで一気に運んでもらうよりも費用がかかってしまう場合があります。

事故や近隣トラブルは自己責任になる

自分で家を解体した場合、事故やトラブルは全て自分自身で責任を負わなければなりません。解体作業中にがれきが飛散し、隣家の窓や外壁を破損してしまった場合や、通行人にけがを負わせてしまった場合は、賠償金を支払う必要があります。

解体工事業者は通常「請負業者賠償責任保険」に加入しており、万が一事故が発生した場合に発生する補償を保険でカバーしています。

個人にはこのような保険がないため、賠償金を自己資金で支払うことになり、大きな負担となります。

途中で挫折すると業者依頼より高くなることがある

DIYでの解体に挫折し、途中から業者に作業を依頼するとかえって費用が高額になることがあるため注意が必要です。

中途半端に解体された建物は、解体工事業者の重機が入りにくく、手壊し解体を選択せざるを得ない場合があります。廃棄物も適切に分別されていないケースも多く、作業の手間がかかり、費用が高騰するのです。

とはいえ、無理に自分だけで解体作業を進めるのは危険です。難しいと思ったら解体業者に途中までDIYで解体したことを伝え、現状の撤去・処分も含めた見積もりを取ってください。

自分で解体できる作業とは?

では、安全性が高く、個人でもできる作業にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは自分で対応できる範囲、業者に任せた方が良い範囲を整理しているので、解体費用を節約したい場合は参考にしてください。

自分で対応しやすいのは残置物処分や小規模撤去

個人が比較的安全に作業できるのは、残置物の処分と内装など小規模な解体作業です。

施工が始まる前に敷地内にある不用品を全て撤去しておきましょう。家具や家電、衣類などは産業廃棄物としては取り扱えず一般廃棄物扱いです。業者が処分すると費用が高額になるため、最低でも残置物は撤去しておくことをおすすめします。

そのほか、庭木の伐採や庭石の撤去をしておくと費用を抑えられます。

小規模な解体としては、畳、ふすま、壁紙、石膏ボードなどの内装材を解体する作業が比較的安全です。さらに、小さな門扉やフェンスであれば手作業で撤去できるため、やっておくとよいでしょう。

家本体・基礎・高所作業は業者に任せたほうがよい

建物の壁や柱、梁など本体を構成する部分、基礎、屋根などの高所作業の解体は、業者に任せましょう。

危険な作業が多い上、高所作業や重機の操作など、資格が必要な作業が多くあり、自分ではできないケースもあります。そのような作業はプロに任せることが大切です。

また、内装の解体であっても建材にアスベストが含まれている場合は、自分では解体できません。有資格者が定められたルールに従い、飛散防止対策をした上で解体・撤去作業を行います。

費用を抑えたいなら一部DIYと相見積もりが現実的

解体費用をできるだけ抑えたいなら、一部DIYした場合と全て解体業者に依頼した場合両方の見積もりを出してもらうと、かかるコストが明確になります。

このとき、どこまでDIYで撤去し、どこから業者に任せるかを明確に伝え、見積書に反映してもらいましょう。

また、見積もりの際は2~3社の業者から同じ条件で相見積もりを取ることをおすすめします。
産業廃棄物の処理費用については、廃棄物処理業者とも相見積もりしてみるとよいでしょう。

まとめ

自宅を自分で解体するのには制約はありませんが、難しいのが現実です。自分だけでなく、近隣住民の安全のためにもできるだけ業者に依頼するようにしましょう。

解体工事費用を抑えたい場合は、解体工事業者に相談し、できる範囲で撤去作業を行うのがベストです。不明点も遠慮なく業者に質問して説明を受け、不安を解消してから解体工事に着手しましょう。

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