
新築住宅や中古の戸建てなどの不動産の地面をコンクリート土間にすると、雑草の悩みから解消され、掃除も簡単になるので採用する事例も増えています。
しかし、コンクリート土間は施工から数日間の養生期間を経てからでないと使用できません。
これは、コンクリートはセメントが水と反応して強度を高めていくので、正しい期間と方法で養生する必要があるためです。
この記事では、エクステリアに土間コンクリートを設置する場合の養生期間と注意点を紹介します。
土間コンクリートの養生期間は?

生コンクリートの打設後、コンクリートを硬化させ、最適な強度になるまでは適切な温度と湿度を保って養生する必要があります。
では、養生にはどれくらいの期間が必要なのでしょうか。ここでは、目的別に必要な養生期間を紹介します。
養生期間が重要な理由
コンクリートの施工では、養生期間が特に重要です。これは、コンクリートと水が混ざると、徐々にセメントの水和反応によって強度を発現していくことが理由です。
コンクリートの原料となるセメントは、水と接触すると新たに水和生成物という物質を生成します。水和生成物がセメント粒子間の空間を満たすことで、コンクリートが硬く固まっていきます。
この水和反応は緩やかに進むため、一定の間は雨や風、日光、衝撃や荷重を与えないようにする必要があるのです。
駐車場(車両乗入れ)
駐車場のコンクリートに車が乗れるようになるのは、気候によって前後しますが施工から約1週間後です。
十分な強度が出ていない状態で車庫入れをしてしまうと陥没やひび割れの原因になってしまうので注意しましょう。
また、駐車の際の急ハンドルや急ブレーキは、タイヤによる摩擦でコンクリート土間の表面が歪んだり凹凸ができたりする可能性があります。
とくに重量のある車を駐車する予定の場合はしっかり養生期間を設けてから駐車場を使用するようにしましょう。
庭・アプローチ(人が歩く程度)
庭やアプローチなどの土間コンクリートの上を人が歩けるようになるのは施工から約3日後からとされています。コンクリートは表面のみなら1日で固まりますが、人の重さに耐えられる強度になるまでは施工から中2日間は確保した方がよいでしょう。
ただ、重たいものなどをコンクリートの上に落としてしまうと傷がついてしまうおそれがあるので注意が必要です。
また、気温が低いときは5日ほど上を歩かない方がきれいな仕上がりのためにも安心です。
完全硬化までの期間
コンクリートが完全に固まるまでの期間は一般的に28日前後です。コンクリートは、水とセメントが反応しはじめて2~5時間で固まりはじめ、初期硬化と最終硬化の二段階の硬化を経て、ゆっくりと強度を増していきます。
初期硬化はコンクリートの打設後の最初の数時間を指し、このときの天候や、管理の方法により、土間コンクリートの最終的な強度に大きな影響を及ぼします。
最終硬化はその後、強度を少しずつ増していく段階です。
季節・気候によって変わる土間コンクリートの養生期間

コンクリートの硬化時間は気温や天候により大きく左右されます。そのため、夏季と冬季では養生期間が異なるので注意しましょう。
季節別、気候別の適切な養生期間は以下のとおりです。
夏季(高温時)に必要な養生期間
夏季は気温が高いため、養生期間は一般的に中3日といわれています。しかし、外気温が25℃を超えると、コンクリートの温度が高くなり、水分の蒸発と硬化の速度が速くなります。
温度の上昇が大きくなると強度が高まりにくくなったり、乾燥により表面にひび割れが起こったりするので注意が必要です。
このようなことを防ぐために、コンクリートに遅延性の混和剤を使用して凝結時間を遅らせたり、コンクリートに散水する湿潤養生を行ったりして対策します。
冬季(低温時)に必要な養生期間
冬季は気温が低いため、養生期間は中5日ほど必要だとされています。
気温が低すぎると生コンの水が凍って水和反応ができなくなったり、体積が膨張してコンクリート土間を壊してしまったりするため注意が必要です。
そのため、気温4℃以下の環境でコンクリートを打設する場合は、耐寒剤を使用したり早強コンクリートで打設したりするなどの方法があります。
また、断熱素材でコンクリートを覆い養生する保温養生やヒーターを使用する給熱養生を選択する場合もあります。
雨天時・湿度が高い日の施工後に注意すべきポイント
コンクリートは水と反応して固まるものであり、気候によってはある程度硬化したコンクリートの表面に散水することもあるため、多少の雨であれば問題ありません。
さらに、打設前や打設後数時間後の表面が固まっている状態なら、まとまった雨が降ってもとくに問題ないといえるでしょう。
一方で、生コンの打設中や土間コンクリートの仕上げの最中に雨が降ってきた場合は注意が必要です。
コンクリートの水分量は最適な量を計算して配合しています。多少の雨なら問題ありませんが、大量の雨が降ると水分量が増えてしまうため品質が変わることもあるでしょう。
また、仕上げ工程中の雨は、表面が白くなったり雨粒の跡がポツポツとついてしまったりする可能性があるため、見た目上の問題があります。
養生期間を守らなかった場合はどうなる?

では、適切な養生期間を守らなかったらどのような不具合が起こるのでしょうか。
ここでは、養生期間を守らない場合に起こりやすいトラブルを紹介します。施工業者からも案内がありますが、施主としても養生期間を守り、強度が高くきれいなコンクリート外構を完成させましょう。
初期強度不足によるひび割れや陥没
コンクリートの適切な養生期間を守らないと、初期強度不足となり、不具合の原因になってしまいます。
見た目上は固まっているように見えているからといってコンクリート土間を使用し始めてしまうと、物を落として傷やひび割れができてしまうリスクがあります。
車など重量のあるものが通過したりすると、下地に砕石を敷いていても陥没や亀裂のおそれがあるため注意が必要です。
駐車場を早く使用したい場合は、気温の高い夏にコンクリートを打設するなどの方法もあるので、業者に相談するとよいでしょう。
耐久性の低下による劣化(表面剥離、雨水侵入など)
コンクリートを適切に養生していないと、耐久性に問題が生じて劣化症状が現れる場合があります。
養生時に保湿が十分でない場合、コンクリートの表面が乾燥し、ひび割れができやすくなります。また、耐摩耗性や耐衝撃性が低下する可能性も否定できません。
ひび割れが起こると雨水が浸入し、中にメッシュ状に配筋されている鉄筋を腐食させてクラックが深刻になるなど、コンクリート土間を大きく劣化させてしまうため、注意が必要です。
土間コンクリートの養生期間を短縮する方法

新築住宅への引っ越しが迫っているなど、外構を早く使用したいというケースもあるでしょう。その場合、コンクリートの養生期間を以下のような方法で短縮できます。
依頼の際に外構工事業者と相談すれば、工夫してもらえる可能性があるので、対応方法を知っておきましょう。
速乾タイプのコンクリートの利用
速乾性のあるセメントを使用してコンクリートを打設すると、工期短縮が可能になります。
速乾コンクリートは、通常のコンクリートに比べておよそ2~3倍の速さで硬化し、早期に強度が発現します。
通常約60分で軽歩行が可能になり、1日で完全硬化する点が大きなメリットです。
ただし、速乾コンクリートも通常のコンクリート同様、養生をきちんと行う必要があります。硬化するまでは表面には触れず、十分な湿度を保つことが大切です。
硬化促進剤の使用
コンクリートに硬化促進剤を混ぜて硬化速度を上げる方法も効果的です。
硬化促進剤にはさまざまなものがあり、無機系薬剤では亜硝酸塩、ロダン酸塩、硫酸塩などがあります。これらは水に溶けたときにマイナスイオンがセメント粒子を刺激して水和反応を促進します。
有機系薬剤では、ギ酸カルシウムやトリエタノールアミンなどがありますが、効果は無機系に比べてあまり大きくありません。
硬化促進剤は冬季など、気温が低い環境でも仕上げや養生期間をコントロールできる点で広く使用されています。
実際に適用する際の注意点
速乾セメントや硬化促進剤は、使用する場合は十分な知識と技術が必要です。
速乾セメントは素早く施工する必要があり、硬化促進剤は、混合する割合と方法を適切に行わなければ強度不足やひび割れの原因となります。
そのため、材料の特性に熟知し、環境に応じた適切な作業の実績がある、経験豊富な業者に施工を任せた方が安心です。
アプローチや門柱の近くなど、コンクリートを打設したエリアを頻繁に使うといった、外構をすぐに使いたい場合は業者のアドバイスを参考に、費用と照らし合わせて施工方法を選択することをおすすめします。
土間コンクリートの養生に関するよくある質問

ここでは土間コンクリートの養生でよくある質問とその回答を紹介します。
新築やリフォームでエクステリアに土間コンクリートを施工する予定の場合は疑問を解消しておき、トラブルを避けられるように事前に対策しておきましょう。
養生期間中に雨が降った場合の対処法は?
養生期間中に雨が降るのは特に問題ありません。コンクリート打設後は熱の発生を抑えるため、散水するケースもあるので雨が降った方がよいという考え方もあります。
雨により、養生後に白化と呼ばれる表面に白い粉をふいた部分ができる場合もありますが、強度には影響がなく、掃除すれば問題なく使用できます。
ただし、表面が固まる前に表面を荒らしてしまうほどの強い雨が降った場合は仕上がりに問題が出るので注意が必要です。その場合はブルーシートなどで表面を覆って保護する場合もあります。
土間コンクリートの湿潤養生をしないとどうなる?
湿潤養生をしない、または十分でないと、コンクリートの表面が乾燥して内部の水分が不足し、セメントの水和反応が十分に行われなくなってしまいます。
水和反応が不十分だと、コンクリートの強度低下、乾燥による表面のひび割れなどの不具合が起こる可能性があります。
硬化不良はコンクリートの耐久性にも影響が出るため、コンクリートの打設時には施工手順と湿度の維持には十分注意しなければなりません。
土間コンクリートが乾く前に踏んだ場合はどうする?
土間コンクリートが乾く前に踏んだり動物が通ったりして、足跡が付いてしまった場合は、モルタルで補修が可能です。
ただ、色が違うため、補修した部分が目立ってしまうという点がデメリットです。また、足跡を消すときは、モルタルを薄く塗るので、経年により補修した部分が削れてきてしまうケースもあります。
もし、固まる前のコンクリートに足跡を付けられてしまったら、まずは施工業者に相談してみましょう。
また、人が立ち入らないように、周囲をロープなどで囲う、よく見える場所に貼り紙で注意喚起することも大切です。
まとめ

土間コンクリート舗装では養生の工程が非常に重要です。コンクリートは一度施工すると撤去が難しいので、後悔しないためにも業者に伝えられた養生期間をしっかり守ってから使用を開始するようにしましょう。
すぐに駐車場を使いたいなど、スケジュールを調整したい場合は、業者に伝えれば施工方法を工夫してもらえる可能性もあるので、気軽に相談してみるとよいでしょう。
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