
自宅の駐車場から道路へ車で通行する際に段差があって出し入れしにくい、ということもあるでしょう。その場合、道路の縁石を撤去して低い縁石に交換することは可能なのでしょうか。
この記事では、道路の縁石の撤去に関する基礎知識や注意点について解説します。購入を検討している土地の前面に段差がある方は、ぜひ参考にしてください。
道路の縁石は撤去できる?

道路の縁石は個人で撤去できるのでしょうか。結論からいえば、縁石や街路樹の撤去は可能です。
ただし、勝手に撤去することはできず、道路を管轄している窓口へ申請し、承認を得なければなりません。詳細を一つずつ見ていきましょう。
縁石切り下げや植栽撤去の工事は可能
敷地内への出入り等のために歩道の縁石やガードレール、植栽を撤去することは可能です。ただし、道路管理者の許可を得ず、勝手に撤去することはできません。
縁石は道路と歩道を分けるものであり、車両が進行方向を誤り歩道に逸脱してしまった場合に、歩行者を守る目的で設置されています。
もし、勝手に撤去して事故により被害が出た場合、撤去した人が損害賠償責任を負う可能性があります。
道路に設置されている設備は公共物なので、勝手に道路工事はできないことは念頭に置いておきましょう。
道路管理者の承認が必要
縁石の切り下げやガードレール、植栽を撤去したい場合は、昭和27年に施行された道路法24条に基づき道路管理者の承認が必要です。
道路管理者は、道路の種類によって異なります。
- 一般国道の政令指定区間:国土交通大臣
- 一般国道の政令指定区間外・県道:都道府県知事
- 一般国道の政令指定都市の域内区間・県道・市道:政令指定都市の市長
- 市町村道:市町村長
自宅前の道路がどの道路に属するのか、事前に自治体の窓口などで指定道路図や路線図を調べて、適切な場所に申請しましょう。
申請先は1~2桁国道は国道事務所、3桁国道と県道は県土木事務所、市町村道は自治体の道路管理課などです。
工事にかかる費用は自己負担
道路法57条では、道路法24条の定めにより道路管理者の承認を受けて工事する場合、工事費用は承認を受けた者が負担するとしています。
縁石切り下げやガードレールの撤去は、個人の用途が目的のため、自治体から補助金や助成金が出ることはありません。そのため、この工事を「自費工事」とも呼びます。
工事費用は工事の内容や障害物の有無などにより幅があるので、複数業者から相見積もりをとることをおすすめします。
なお、工事費用は申請者が支払いますが、工事が完了したあとの道路施設は道路管理者の所有物となります。
縁石撤去・切り下げの手続きと許可

ここでは縁石撤去・切り下げ工事の許可申請手続きについて解説します。
事前に流れと必要書類を把握しておき、実際に手続きするときにスムーズに進められるようにしておきましょう。工事費用の目安も紹介しているので参考にしてください。
書類形式・申請内容は道路管理によって異なる
縁石撤去・切り下げ工事の許可申請方法は、役所によって手続き方法や必要書類が異なります。すんなり許可が下りる自治体もあれば、時間がかかる自治体もあります。
また、自治体によっては細かな資料を求められることもあるでしょう。
縁石切り下げ工事を検討している場合は、早いうちから経験豊富な外構工事業者に相談しておき、道路管理者への申請手続きからサポートしてもらうと安心です。
道路管理者への申請方法
道路管理者への申請は、事前相談、申請書提出、許可取得がおおまかな流れとなります。
まず、道路管理者に事前相談を行い、工事箇所と工事の内容を説明し、必要書類や手続きの流れを確認します。
次に、申請書を作成し、事前相談で指定された必要書類を添付して提出します。申請内容が承認されたら工事が可能です。
承認を得るポイントは切り下げの必要性が明確であることです。たとえば住宅の前の縁石をすべて切り下げたいという場合、許可が下りない場合があります。
原則として車両が通行するために必要な切り下げ長さは4.2mとされているので、それ以上切り下げたい場合は明確な理由を説明しなければなりません。
費用を自己負担するからといって自由に工事できるわけではないことは覚えておきましょう。
必要な書類
申請に必要な書類は次の通りです。
- 施工承認申請書
- 位置図(申請箇所が分かるもの)
- 現況平面図・横断面図
- 計画平面図・横断面図
- 構造図
- 交通規制図
- 求積表
- 公図(写)
- 隣地及び関係者の承諾書・同意書
- 現況写真
道路管理者によって必要書類が異なることがあるので、窓口に出向くか受付電話番号に電話するなどして事前に確認してください。
そのほか、警察への道路使用許可申請のために以下の書類が必要です。こちらも一般的な必要書類を挙げているので、詳しくは申請先の警察署の交通課に問い合わせてください。
- 道路使用許可申請書(2通)
- 道路使用の場所または区間付近の見取図
- 工程表
- 保安図
- 交通量調査結果
- 迂回路略図
許可取得までの流れと期間
縁石切り下げ工事の申請から承認までの期間はおよそ3週間が目安です。
さらに工事中は道路を封鎖することになるため、警察で道路使用許可申請の手続きを行います。こちらは承認までおよそ1週間が目安です。
承認までの流れは次のようになります。市区町村によって手順は異なりますが、一般的な流れとして把握しておきましょう。
- 事前相談
- 承認申請書と工事図面の作成・提出
- 現地調査・審査・決議(約14日間)
- 承認・連絡・承認書交付
- 道路使用許可申請・許可書受領
- 着手届提出
- 工事着手
- 竣功届提出
- 現地確認・竣功検査
- 工事完了
業者に依頼するときの費用目安
縁石切り下げ工事の費用は、約30~100万円が目安です。一般的な切り下げのみであれば30~40万円程度ですが、植栽やガードレールの撤去が伴う場合は50万円以上、交通量が多い場所は70万円以上となります。
費用は現場の状況により大きく異なるので現地調査を依頼し、詳細な見積もりを出してもらいましょう。
工事期間は縁石を入れ替える程度の簡単な工事であれば1日程度、地盤に埋設物がある場合や、地盤を補強しなければならない場合は3日程度かかります。工期が長ければ、工程と人件費がかかるのでその分費用が高くなります。
そもそも道路の縁石撤去・切り下げとは?

ここまで、道路の縁石撤去・切り下げ工事に関するルールや許可申請について解説してきましたが、道路の縁石撤去・切り下げとは、どのようなときに必要で、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。
縁石撤去・切り下げが必要になるケース
縁石の撤去・切り下げは、住宅の建設だけでなく、中古物件の外構リフォームの際にも必要になる場合があります。
土地を購入し注文住宅を建てる際に、駐車場になる場所の正面にある歩道と車道の境界に段差がある場合は、切り下げ工事が必要です。
住まいの建て替えにより駐車場の位置が変更になる場合に、出入口の段差の解消が必要になるケースもあります。
また、外構をリフォームして駐車場の位置や向きを変更する場合にも、縁石撤去・切り下げが必要になることがあります。
これらの工事を検討している場合は、車の出し入れの位置と道路との段差をあらかじめチェックしておくとよいでしょう。
段差解消ブロックや鉄板の設置はNG
切り下げ工事を行わず、段差解消ブロックや鉄板を設置することは禁止されています。
道路法43条では、道路の構造又は交通に支障を及ぼす行為を禁止しており、段差解消ブロックの設置が該当する可能性があるので注意が必要です。
また、道路交通法76条でも、交通の妨害となる方法で道路にみだりに物を置くことを禁止しています。
段差解消ブロックを置くことで交通に影響を及ぼす場合は、道路交通法に違反する可能性があるため、置かないようにしましょう。
道路の縁石撤去に関するよくある質問

縁石を撤去したいと考えた時に、さまざまな疑問が浮かび上がってくるでしょう。
ここでは、道路の縁石撤去に関してよくある質問とその回答を紹介するので、あらかじめ疑問を解消しておきましょう。
業者に依頼せず自分で縁石撤去はできる?
縁石撤去・切り下げ工事は自分でも行えます。しかし、個人で工事箇所のアスファルトやコンクリートなどの舗装材を剥がしたり、歩道側の路盤を車両が通れるよう強固なものに変更したりするのは難しいといえるでしょう。
工事の完了後には、申請先の担当者が仕上がりを確認しに来ます。補修を求められると指摘部分を再度工事しなければならず手間になってしまうことも。
このような手間を防ぎ、安全性の高い縁石と路盤に仕上げるには、専門業者に依頼した結果的に効率が良いといえます。
縁石を勝手に撤去すると罰則はある?
縁石を勝手に撤去すると罰則の対象となる可能性があるので注意が必要です。
道路法第101条では、「みだりに道路(高速自動車国道を除く。以下この条において同じ。)を損壊し、若しくは道路の附属物を移転し、若しくは損壊して道路の効用を害し、又は道路における交通に危険を生じさせたときは、その違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。」としています。
また、縁石やガードレール、街路樹は道路管理者が管理する財産のひとつとも考えられ、道路管理者の財産である設備を撤去したり変更するのは器物損壊罪にあたるとも考えられます。その場合、3年以下の懲役または30万円の罰金、もしくは科料の対象です。
まとめ

自宅駐車場前の縁石を切り下げると乗り入れが楽になりますが、縁石撤去工事には道路管理者の承認が必要です。承認までは時間がかかるため、期間に余裕を持って工事を依頼するようにしましょう。
費用も道路の素材や障害物の状況により幅があり、想定以上に工事費用がかかる可能性を考慮して計画することが大切です。
工事を検討している場合は早めに道路の担当部署の窓口や外構工事業者に相談しておくと安心です。
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