
駐車場は外構のなかでも広いスペースを占めるので、デザイン性は重要です。また同時に、車が乗り入れするため、耐久性が高く丈夫な素材でなければなりません。
この記事では、駐車場やカーポートに使われる主な床材の種類と特徴、素材の選び方のポイントなどを解説するので、外構工事を検討している場合は参考にしてください。
駐車場に使われる素材の特徴

駐車場に使われる素材にはさまざまなものがあります。それぞれ特徴が異なるため、車の使用頻度や、出し入れのスムーズさ、車がないときのスペースの活用方法などを考慮しながら選ぶと失敗を防げます。
コンクリート
近年の住宅の駐車場の床材として最も多いのが、土間コンクリートです。耐久性が高く汚れにくく掃除も簡単。タイヤを傷つけることもありません。色が明るいグレーなので、敷地全体を明るくモダンにデザインしてくれます。
デメリットは夏の照り返しで暑くなりやすい点です。気になる場合はコンクリートにスリットを入れ、芝やグランドカバーを植えるとよいでしょう。
コンクリートの仕上げには、表面がなめらかな金ゴテ仕上げのほか、滑りにくい刷毛引き仕上げ、砂利を浮き立たせた洗い出しなどがあります。そのほか、コンクリートにスタンプで模様をつけ、石張りやレンガ張りのような雰囲気にできるスタンプコンクリートという工法もおすすめです。
アスファルト
アスファルト舗装は、石油を精製したあとに残る黒色の粘性物質のアスファルトを表面材に使用した舗装方法です。コンクリートに比べて費用が安く、何より施工後すぐに駐車場を利用できる点が大きなメリットです。
コンクリートは養生期間があり、打設後数日~1週間は車を乗せることはできません。1週間後あたりから駐車場の利用が可能になりますが、完全硬化までは1か月ほど時間がかかります。施工後すぐに駐車場を使いたい場合はアスファルトが向いているといえるでしょう。
ただし、アスファルトの耐用年数は10~20年と、コンクリートの耐用年数20~40年に対して短い点がデメリットです。
インターロッキング
インターロッキングはコンクリートブロックを嚙み合うように敷き詰めて舗装する床材です。下地の上にブロックを噛み合わせながら敷き詰め、砂で目地を埋めます。
モルタルなどで接着するのではなく、お互いを噛み合わせて施工するので水はけがよく、補修の際も該当のブロックを1つ引き抜くだけで交換できます。破損していなければ再利用できるので、環境にも優しい素材です。
ただし、駐車場に使用する場合は沈みに注意が必要です。下地処理をしっかり行っておかないと、タイヤが乗る部分に凹凸ができてしまう可能性があります。施工の際は、しっかりと下地処理を行い、平坦で強度のある下地の上に施工しなければなりません。
砂利
砂利は費用が安いため、駐車場の施工費用を抑えたい場合に最適です。防草シートを敷いた上に砂利をまくだけなので、DIYでも施工が可能なうえ、歩くと音が鳴るため防犯対策としても有効です。
一般的なグレーの砕石のほか、さまざまな色の砂利があるので、住宅に合わせて種類を選べば無機質になりすぎることもありません。
注意点は、砂利が跳ねて車を傷つけるおそれがある点です。また、砂利がこすれて少なくなっていくので、定期的に追加する必要があります。
レンガ
レンガは温かみのある色合いと自然と調和する質感が、洋風の住宅にぴったりの素材です。比較的費用も安く、レンガの種類や並べ方によって雰囲気を変えられます。
一方で、レンガは割れや欠けが起こりやすい点に注意が必要です。駐車場ではタイヤが乗る場所は力がかかるため、レンガが破損しやすくなります。割れたレンガは交換することになりますが、同じものが見つからず、修繕した部分が目立ってしまう場合があります。
このようなことを防ぐために、タイヤが乗る場所はコンクリートにすると、おしゃれさと耐久性の両立が可能です。
タイル
タイルは、粘土を板状にして焼成したもので、高級感のあるエクステリアに仕上がる点が特徴です。意匠性が高く、種類やサイズも多いので、駐車場を思い通りのデザインに仕上げられます。また、汚れがつきにくく落としやすいため、長期間きれいな状態を保てます。
タイルのデメリットは施工費用が高くなってしまう点です。ただ、耐久性が抜群で汚れもつきにくいので、コストパフォーマンスは高いといえます。
石張り
石張りは、天然石を切り出すため、それぞれ異なった大きさや模様の石を張り合わせて床材に仕上げます。ほかの素材では出せない重厚感と高級感が出るのが魅力です。
乾いた状態と濡れた状態で色が変化するのも石ならではの特徴で、晴れの日と雨の日の2つの顔をエクステリアに持たせてくれます。また、経年による色合いの変化を楽しめるのも天然石ならではの特徴といえるでしょう。
石張りは下地のコンクリートや石のカットなど手間がかかるため、費用が高額になるのがデメリットです。ただ、タイルと同様に耐久性に優れているため、コストパフォーマンスが高い素材です。
芝生
芝生は鮮やかな緑が、エクステリアをおしゃれに見せてくれます。自然な雰囲気で、住まいを明るくナチュラルに演出してくれます。また、夏場でも地面が暑くならない点もほかの素材と大きく異なるメリットです。
ただし、タイヤが乗る場所は芝が枯れたり剥げたりしてしまうので、タイヤの部分にはコンクリートやレンガで舗装したほうがよいでしょう。
車をあまり使わず、駐車していることが多い場合、車の下の芝生には日が当たらず、枯れてしまいます。その場合は天然芝ではなく人工芝を検討してもよいでしょう。
芝生を駐車場に使う場合は、駐車場の使い方もシミュレーションしておくことをおすすめします。
駐車場の素材選びで失敗しないためのポイント

新築や外構リフォームの駐車場工事で後悔しないためにも、住む人やマイカーに合った床材を選ぶ必要があります。
ここでは、素材選びのポイントを紹介するので、確認しながら最適なものを選んでください。
車種や利用頻度から必要な耐久性を把握する
駐車場の床材を選ぶときは、マイカーの車種や駐車場の使用頻度に合った耐久性・耐荷重性のある素材を選ぶことが大切です。
大きい車を停める場合や頻繁に車両が出入りする場合は、コンクリートやガレージタイルなど、耐久性が高く車の重量に耐えられる素材が向いています。
反対に、芝生やレンガ、インターロッキングのようなコンクリートよりも耐久性に劣る素材は、重量のある車を停める場合や、使用頻度が高い駐車場では避けた方がよいでしょう。
敷地の排水性・地盤状態を確認する
駐車場の設置工事は、排水性にも考慮して施工しなければなりません。排水性が低いと、駐車場に水たまりができ、足元が濡れてしまったり、苔の発生原因になったりします。
排水性が悪い原因には駐車場の表面排水が不足している可能性が考えられます。表面排水の機能性を高めるには、駐車場に十分な勾配をつくり、雨水を排水できる構造にしたり、インターロッキングのような透水性の高い素材を床材に使用することなどで対応が可能です。
敷地が隣接する道路よりも低いことが影響して、水が流れ込んで水たまりの原因になるケースもあります。その場合は、駐車場側を高くすることで防げます。
初期費用とランニングコストのバランスを考える
駐車場の素材を選ぶときは、初期費用だけに注目せず、将来のメンテナンス費用も考慮しましょう。
例えば、砂利は外構の床材のなかでも安く施工できる素材ですが、砂利がこすれて減っていくので定期的な追加は必須です。また、砂利の間に溜まった砂から雑草が生える可能性があり、手入れが手間と感じることもあるでしょう。
長期的なランニングコストを考慮するなら、施工費用は高くても耐久性の高い素材を選ぶことをおすすめします。業者に理想の外観イメージや施工面積を伝え、見積りを依頼すると、予算に合わせた提案をしてもらえます。このとき、メンテナンス費用の相場についても聞いておくと安心です。
デザイン性と防犯性も視野に入れる
外構は見た目の美しさだけでなく、防犯などの安全性にも考慮しなければなりません。駐車場にカーゲートを設けずオープン外構にする場合は、とくに敷地への侵入に注意が必要です。侵入経路になりそうな場所には防犯砂利を敷く、死角になりそうなエリアにはセンサーライトを設置するなどして対策しましょう。
敷地への侵入だけでなく、自家用車を傷つけられるなどのトラブルを避けるためにも、駐車場の出入口をどのようにするか、利便性と機能性を比較して検討することが大切です。
おすすめの異素材組み合わせ

タイルの床にしたいけど予算を抑えたい、コンクリート土間にしたいけど無機質なデザインにしたくない、という場合には異素材と組み合わせることで、バランスのとれた駐車場にできます。
以下におすすめの組み合わせを紹介するのでアイデアのヒントにしてみてはいかがでしょうか。
コンクリート+タイル
無機質なコンクリートには一部をタイルで彩ると華やかになります。タイルだけだと施工費用が高額なため、コンクリートと組み合わせて必要な部分のみに使用すると、モダンで高級感のあるエクステリアを実現できます。
例えば、駐車スペースから玄関までの人が通る動線にシンプルなタイルを敷けば、アクセントにもなるでしょう。また、コンクリートの目地にタイルを敷き詰めることで、無機質な駐車場を明るくかわいらしいデザインにできます。
コンクリート+インターロッキング
コンクリートにインターロッキングをタイルのように組み合わせる方法もあります。近年では、レンガ風やタイル風のインターロッキングも登場しており、色の組み合わせ次第でモダンなテイストにもナチュラルなテイストにもできる点が大きな魅力です。
インターロッキングはタイヤが頻繁に乗る場所では凸凹が起こりやすいので、駐車スペースの周辺やアプローチに使用すると、外構全体に立体感が生まれるでしょう。
木材+砂利
枕木の周辺に砂利を敷くなど、木材と砂利の組み合わせもおしゃれで防犯対策の取れた外構素材として人気があります。木材も砂利も自然素材なので植栽との相性もよく、洗練された個性的なデザインを完成させやすいのが魅力です。
ただし、重量のある車が頻繁に出入りする駐車場では、木製の枕木を使用すると割れてしまう可能性があります。最近では木材に似せたコンクリート製の枕木も出回っているので、駐車場に使用する場合は耐久性のあるコンクリート製を採用すると安心です。
芝生・レンガをアクセントに
コンクリートやタイルの目地には、芝生やレンガをアクセントとして取り入れると、デザイン性が高まります。コンクリートはひびが発生しやすいので、目地を作って対策することがありますが、その目地に芝生やレンガを入れると、ひび割れ対策と同時にナチュラルな雰囲気を取り入れられます。
コンクリートと芝生・レンガの割合によって、雰囲気が大きく変わるので、好みの割合で調整して理想のエクステリアを完成させましょう。
駐車場工事で後悔しないための注意点

駐車場を作っていざ使用し始めたら使いにくかった、見通しが悪くなってしまった、という失敗は珍しくありません。ここでは、駐車場施工で後悔しないために注意しておきたいことを紹介するので、しっかり押さえておきましょう。
駐車スペースの配置と動線を確認する
駐車場を作る場合はスペースの確保が重要です。
駐車場のスペースの広さの目安は、以下とされています。
- 軽自動車:幅2.0m×長さ3.6m
- 小型乗用車:幅2.3m×長さ5.0m
- 普通乗用車:幅2.5m×長さ6.0m
まずはマイカーのサイズを調べ、十分余裕がある駐車場を計画しましょう。駐車場の向きも車の出し入れがしやすいように設計することも忘れてはいけません。
また、車から降りて玄関へ向かう動線も意識し、ストレスなく乗り降りできる動線を確保することも大切です。
夜間照明やセンサーを設置する
車の影は死角になりやすく、不審者の隠れ場所にされてしまうことがあります。不審者に狙われないようにするためには、夜間照明やセンサーライトを設置して、駐車場の見通しを確保しましょう。
夜間照明で駐車場全体の明るさを確保すると、夜間の駐車場の使いやすさもぐんとアップします。外構全体を明るく照らすライトと死角に設置するセンサーライトを組み合わせるのがおすすめです。
ライトを設置する際は角度や明るさにも注意が必要です。近隣の家に光が当たると眩しいので、配慮した明るさ、角度で設置しましょう。
まとめ

駐車場の床材は、デザイン性だけでなく機能性も重視して選ばなければなりません。とはいえ、機能性だけで選ぶと外構全体がまとまりのない印象になってしまいます。
素材選びの際は、機能性や費用面なども考慮して、外構工事業者に相談しながら決めると、後悔のないエクステリアが完成するはずです。
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