相続放棄した家の解体費用は誰が払う?費用相場と放置のリスクを解説!

相続放棄した家の解体費用は誰が払う?

相続放棄したら実家の解体費用は誰が負担するのか、疑問に感じたことはないでしょうか。

相続人が自分だけしかいない、または親族全員が相続放棄して、解体費用をだれが支払うのか分からなくなることもあるでしょう。

この記事では、相続放棄した場合の家の解体費用、管理責任について解説します。相続放棄をした場合の責任の範囲を確認してトラブルをできるだけ回避しましょう。

目次

相続放棄した家の解体費用は誰が負担する?

相続放棄した人は、原則として解体費用を支払う必要はありません。ここでは、相続放棄した場合、誰が解体費用を負担するのかについて解説します。

相続放棄後でも負わなければならない責任についても説明するので、しっかりチェックしておきましょう。

相続放棄後も管理義務が発生することがある

相続放棄をしたら実家の解体費用を支払う必要はなくなりますが、実家に居住していた場合、ほかの相続人または相続財産清算人に実家を引き継ぐまでは管理義務が発生します。

2021年に改正された民法940条では、「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは」「自己の財産におけるのと同一の注意をもってその財産を保存しなければならない」としています。

空家が倒壊して近隣住民や隣家を損壊した場合、責任を問われる可能性があるため、適切なメンテナンスが必要です。

ほかの相続人が費用を負担する

自分のほかに相続人がいる場合は、ほかの相続人が解体費用を支払います。

相続人は優先順位が決まっており、

  • 常に相続人:配偶者
  • 第1順位:被相続人の子
  • 第2順位:被相続人の直系尊属(父母・祖父母)
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹

の順番に相続権が移ります。

つまり、配偶者が相続放棄した場合は第1順位の被相続人の子が解体費用を負担しなければなりません。

被相続人の子が相続放棄した場合は父母または祖父母に順位が移りますが、父母も祖父母もいるときは、被相続人により近い存在である父母を優先します。

相続財産法人が選定した相続人

自分以外に相続人がいない場合や、ほかの相続人全員が相続放棄をした場合は、相続財産法人が指名した相続人が解体費用を負担します。

被相続人に相続人がない場合、被相続人の財産は法人とみなされます。その代表者となるのが相続財産清算人となり、財産を国庫に帰属させるまでの手続きを行います。

相続財産清算人として指名されるのは多くの場合、弁護士などの専門家です。相続財産清算人を選任したい場合は、家庭裁判所に選任の申し立てが必要です。

申し立てをしないままにしていると、居住していた相続人や頻繁に訪問している相続人が実家を占有していた人とみなされ、解体費用支払い責任を負う可能性があるため、早めに申し立てを行いましょう。

相続放棄した家の解体費用の相場と内訳

住宅の解体費用はどれくらいかかるのか、心配な方も少なくないでしょう。こ

こでは、戸建て住宅の解体費用の相場や費用の内訳、解体費用が高額になりやすい場合について解説するので、見積もりをとる際の参考にしてください。

一般的な解体費用の目安

30坪の木造2階建て住宅の解体工事の費用は約90~140万円が目安です。

費用の内訳は、以下の6項目です。

  • 仮設工事(足場、養生シート)
  • 解体工事(重機、人件費)
  • 付帯工事(駐車場・ブロック塀・フェンス・生垣の撤去、不用品の片付け)
  • 整地
  • 廃棄物処理
  • その他(駐車料金、挨拶用の粗品代など)

このなかで特に費用の割合が大きいのが解体工事と付帯工事で、解体工事は工事費用全体の約3割、付帯工事は約2割を占めます。

業者によって見積書の内訳の記載方法は異なりますが、相見積もりの際は項目ごとに比較すると、お得な業者を選びやすいでしょう。

解体費用が高額になりやすいケース

解体工事では、現場の立地、付帯工事の数量、アスベストの有無によって費用が高額になるケースがあります。

道が細く車両が現場前に侵入できないと、解体とがれきの運搬を人の手で行わなければならず、作業日数が多くなり、解体費用も高くなります。

また、建物にアスベスト(石綿)が使用されている場合、現場の養生や資材の処分方法などをルールに基づいて行わなけれならないため、解体費用は大きく上がるのが一般的です。

付帯工事の多い解体工事も費用が高額になる傾向があります。

庭木や石、物置などの残存物、地中埋設物などが多いと、建物自体の解体工事費用は安くても、工事の総額が高くなる場合があるため、あらかじめ自分で片付けられる分は処分しておくなどの工夫が必要です。

相続放棄した家の解体費用を抑える方法

相続放棄した家の解体は費用をできるだけ安くしたいですよね。ここでは空き家の解体費用を抑える方法を紹介します。

条件に合うものを選択してできるだけ早く解体し、倒壊リスクを最小限に抑えましょう。

自治体の補助金制度を活用する

自治体によっては空き家の解体に対して補助金制度を設けているところがあります。補助金は自治体により名称や、補助金の上限が異なります。

また築年数など、補助金を受けられる家屋の条件も異なるので、検討している場合は自治体の窓口に確認しましょう。

補助金については解体業者にどのような補助金を利用できそうか相談してみるのもおすすめです。経験豊富な解体業者なら、補助金の種類や条件についてアドバイスしてくれる可能性があります。

空き家バンクや空き家譲渡制度を利用する

自治体が運営する空き家バンクや空き家譲渡制度で買い手を探す方法もあります。

空き家バンクとは、土地や住宅の売主と購入希望者をマッチングするサービスです。Webで情報を公開するため、買い手を見つけやすいというメリットがあります。

無料で掲載できる一方で、自治体は物件の仲介ができないため、売却の際は自治体指定の不動産会社が仲介を行います。

このとき、仲介手数料が発生するため、手数料の面では自分で不動産会社に査定・売却を依頼するのとあまり変わらない点はデメリットといえるでしょう。

相見積もりで費用を安くする

解体費用を安くするには相見積もりも大切です。

解体工事をはじめとした建設工事は、条件によってかかる費用が大きく異なるので定価が存在しません。そのため、相場が見えにくく相場よりも高い費用を支払ってしまう可能性があるのです。

そこで複数社から相見積もりをとると、おおよその相場を把握でき、お得に解体工事を依頼できます。

注意点は費用だけで業者を選ばないことです。安すぎる業者のなかには手抜き工事をする悪徳業者も紛れ込んでいるので、以下のポイントを総合的に見て決めるようにしましょう。

  • 見積書に詳細に料金を記載している
  • 質問に対して丁寧に説明してくれる
  • コミュニケーションが取りやすい

相続放棄後に家を解体しないリスク

相続放棄後でも「現に占有」という、住んでいたり、手入れに関わったりしている状態の場合は管理責任を問われる可能性があります。

特に空き家を解体しないまま放置していると、以下のようなさまざまなリスクが高まるため十分注意が必要です。

近隣住民とのトラブルや倒壊・事故の危険性

空き家を放置していると、近隣住民とトラブルに発展するリスクが高まります。

老朽化した家が倒壊したり、家の一部分が崩れたりして通行人や隣家の設備に損害を与えてしまった場合、損害賠償を求められるおそれがあり、注意が必要です。

また、空き家は不審者の隠れ場所になったり、放火犯に狙われたりするなど、トラブルの原因が多く潜んでいます。

今後誰も住む予定がない空き家は、近隣住民に迷惑をかけないよう、放置せずに早めにリフォームするか解体して更地にした方がよいでしょう。

空家等対策特別措置法による行政措置

相続放棄をした空家を放置し、市町村に特定空き家に指定された場合、行政代執行により建物を解体される可能性があります。

そのとき、相続放棄をしていても保存義務が発生している場合は、解体費用を負担しなければならなくなるケースがあります。

特定空家が行政措置を受けた場合も「現に占有」しているかどうか、という点が保存義務の有無のポイントとなるので、管理はほかの相続人に任せる、速やかに相続財産清算人の選任を申し立てることが大切です。

相続放棄後に固定資産税は誰が払う?

住宅には固定資産税がかかり、所有者には納税義務があります。

住宅の持ち主が死亡した場合は相続人が固定資産税を支払うことになりますが、相続放棄した場合はどのような取扱いになるのでしょうか。

以下に支払い義務が生じる人と注意点を解説しているのでしっかりチェックしておきましょう。

相続放棄すると固定資産税の支払い義務はない

相続放棄をした人は原則として固定資産税の支払い義務はありません。

ただし、その年の1月1日時点で亡くなった人が固定資産税課税台帳に所有者として登録されている場合は相続放棄をしても納税義務が生じるため注意が必要です。

固定資産税では、台帳主義といって、相続放棄の手続きよりも課税台帳に記載されているものが優先されます。

たとえば、昨年12月に親が亡くなり12月中に相続放棄手続きを行ったものの、家庭裁判所での受理が翌年2月だった場合、1月1日時点では相続放棄が完了していないため推定相続人とみなされ、納税義務が発生します。

このような場合の対応方法は、立て替えて納税し後日相続した人に請求する、市長村長に対して不服申し立てを行うなどです。

ほかの相続人や相続財産管理人が支払うことになる

ほかに相続人がいる場合は、家を相続した人が相続登記(名義変更)したうえで固定資産税を支払います。

1月1日以後に被相続人が亡くなった場合、家を相続する人は相続人代表者指定届出書を市町村に提出すれば、納税通知書の送付先をを自分に指定できます。

相続放棄した人や家を引き継がない相続人に納税通知書が届かないように、できるだけ早く提出することが大切です。

相続人全員が相続放棄をして相続人不在となった場合で、相続財産清算人(旧相続財産管理人)が選任されている場合は、相続財産清算人が相続財産のなかから清算を行います。

相続放棄で後悔しないために押さえておくポイント

相続放棄は一度でも申述が認められてしまったら基本的に撤回ができません。そのため、後悔のないように慎重に決断する必要があります。

ここでは、相続放棄を考えたときに押さえておきたいポイントを紹介します。

相続放棄の期限を確認する

相続放棄の期限は被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内です。3か月を過ぎると自動的に被相続人の財産を無条件で相続することになります。

ただし、例外的に期限経過後の相続放棄が認められるケースがあります。

たとえば、

  • 被相続人とほとんど交流がなかったなど、相続開始を知らなかったことが客観的に説明できること
  • 相続放棄の動機となる債務等について知らなかった場合

これらの理由があるときは期限後の相続放棄が認められる可能性があるので家庭裁判所に確認してみましょう。

専門家に相談することも視野に入れる

相続放棄は一切の相続を放棄し、財産を一部でも引き継げなくなるため、慎重に考えることが大切です。

判断が難しい場合や、トラブルが想定される場合、手続きを任せたい場合は専門家に相談しましょう。

相続全般に関する相談なら弁護士、書類作成や手続きについて相談したいなら司法書士が適切です。初回相談が無料の事務所も多くあるので活用するとよいでしょう。

もし、相談費用がない場合は、自治体の無料相談や法テラスの利用も可能です。

まとめ

相続放棄をした場合、原則として空家の解体費用を支払う必要はありませんが、住んでいたり頻繁に出入りしていたりすると管理責任を問われる可能性があります。

相続放棄をする場合はその決断はもちろん、相続放棄後の実家の取り扱いにも十分注意しなければなりません。対策や手続きなどに不安がある場合は、まずは気軽に専門家に相談しましょう。

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