
フェンスを設置する方法には、ブロック塀の上に設置するほかに、独立基礎を施工してその上にフェンスを建てる方法があります。
この記事では、フェンスの独立基礎とはどのようなものか、ブロック基礎との違い、メリット、デメリットを解説します。
住宅の外構や門扉周辺、ウッドデッキやテラスの目隠しにフェンスを設置しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
フェンスの設置に必要な独立基礎とは?

フェンスの基礎は、デザインだけでなくフェンスの機能性にも大きな影響を及ぼす重要な部分です。では、フェンスの独立基礎とはどのようなものなのでしょうか。
ブロック基礎との違いについても紹介するので、フェンス選びの際に活用してください。
支柱ごとに個別に設置する基礎ブロック
独立基礎とは、基礎ブロック一つひとつが個別にフェンスを支えている基礎のことです。地面に穴を掘り、基礎ブロックを埋め、そこに支柱を立ててフェンスを設置します。
スペースが狭くても設置できるのが特徴で、既存のブロック塀の近くにフェンスを追加したい場合や、配管などが近くにありブロック塀を設置できない場合などに利用します。
施工も比較的簡単なので、DIYでも設置が可能です。
ブロック基礎との違い
独立基礎とブロック基礎の大きな違いは、地面に直接フェンスを建てるか、ブロック塀の上にフェンスを建てるかです。
ブロック基礎は積み上げたブロックの穴に支柱を立ててフェンスを設置します。独立基礎に比べて強度と安定性に優れている面が大きなメリットで、風圧などの影響を受けにくいのが特徴です。
一般的にはグレーのコンクリートブロックを使用しますが、カラーバリエーションの豊富な化粧ブロックを活用すると、お庭の雰囲気に合ったおしゃれなフェンスを設置できます。
ブロック塀の基礎を作らなくてはならないため、設置にはある程度のスペースが必要なこと、ブロック塀をきれいに積み上げるには技術と知識が必要なので、DIYにはあまり向いていない点に注意が必要です。
独立基礎を設置するメリット

独立基礎のフェンスは、ブロック基礎に比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下で紹介するメリットを、フェンスの施工方法を検討する際の参考にしてください。
短い工期で設置できる
独立基礎はブロック基礎に比べて短い工期でフェンスを施工できる点が、メリットの一つといえるでしょう。
独立基礎の設置手順は、設置箇所に穴を掘り、基礎ブロックを設置しモルタルで固定したあと、土を埋め戻すという流れとなり、一般的な戸建て住宅であれば1日で完成します。
一方ブロック基礎は、穴を掘り砕石を敷き詰めたあと、型枠と鉄筋を組み、基礎用のコンクリートを流し込みます。
その後モルタルを塗りながらブロックを積んでいく、という流れです。工期は3〜7日ほどかかるため、独立基礎の方が圧倒的に早く仕上がります。
施工コストが抑えられる
独立基礎はブロック基礎に比べて使用するコンクリートやモルタルの量が少ないため、材料コストを安くできます。
ブロック基礎はフェンスを設置する範囲すべてに基礎を作らなければなりません。
一方、独立基礎は柱の下のみに基礎を作るため、使用する材料も少なく済むのです。
また、シンプルな工事で工期が短いため、施工費用を抑えられる点が低コストにつながります。できるだけ安くフェンスを設置したい場合は独立基礎がおすすめです。
設置場所の自由度が高い
独立基礎は設置場所の自由が利きやすいという特徴もあります。
独立基礎は基礎ブロックを埋め込むスペースがあれば設置が可能です。ブロック塀を作れない場所にも設置できるので、希望通りの場所にフェンスを建てられます。
またブロック塀の上にフェンスを設置する場合、高さは2.2m以下にしなければなりませんが、独立基礎のフェンスは自治体によって上限は設けられているものの、それ以上の高さが可能です。そのため、2.2m以上のフェンスが必要な場合は独立基礎を選ぶことになるでしょう。
リフォームや撤去が容易
独立基礎は撤去がブロック基礎に比べて簡単なので、解体やリフォームがしやすいといえます。
独立基礎のフェンスの解体は基礎部分を掘り起こしたあと、ボルトやビスで組み立てられたフェンスを工具を使って解体し、最後に基礎の補修をするという流れです。
ブロック基礎のフェンスはフェンスを解体したあと、ブロック塀をハンマーやノミを使って崩し、鉄筋をグラインダーでカットし、基礎を撤去する流れとなり、作業にも時間がかかります。
解体中は騒音や振動も発生するため、独立基礎に比べて一度設置すると変更は難しいといえるでしょう。
独立基礎を設置するデメリット

一方で独立基礎にはいくつかの注意点があります。
以下にフェンスを独立基礎で設置する場合のデメリットを紹介するので、しっかり目を通しておき、自宅のフェンスはどのような施工方法が合っているのか考えてみましょう。
基礎同士の高さ・位置合わせが難しい
独立基礎は、すべての基礎の高さを揃えないとフェンスが完成したときにガタガタ傾いた仕上がりになってしまいます。
また、前後の位置がずれていると、フェンスが波打ったように設置されてしまうので注意しなければなりません。
独立基礎ブロックは離れた位置に複数設置するため、同じ高さと位置に合わせるには技術が必要です。DIYで設置する場合は難易度の高い工程であり、設置する距離が長い場合は仕上がりが悪くなりやすいといえるでしょう。
ブロック基礎より強度面で劣る
独立基礎が強度面でブロック基礎に劣る点は、大きなデメリットです。
フェンスが設置されている範囲全体に基礎があるブロック基礎に比べて、独立基礎は支柱がある一部分にしか基礎がありません。そのため、衝撃や強風を受けると支柱が破損して倒壊したり、傾いたりするおそれがあります。
屋外の風を受けやすい場所に独立基礎でフェンスを設置する場合は、フェンスの破損リスクが高くなるので、設置方法やフェンスの種類に十分注意が必要です。
また、道路に面している場所など、倒壊してはいけない場所ではブロック基礎でフェンスを設置した方が安心です。
設置できるフェンスに制限がある
上でもご紹介したように、独立基礎はブロック基礎に比べて強度面で劣るため、隙間のない目隠しフェンスに使用すると強風で倒れたり曲がったりしてしまう可能性があります。
独立基礎はもともと格子状のフェンスに向いている構造なので、背が高く隙間がないフェンスは、風を受けやすい場所ではブロック基礎にした方がよい場合があります。
独立基礎でフェンスを建てたい場合は、風を通せる隙間がついた製品を設置する、基礎ブロックを強度の高いものにするなどの選択肢があるので、外構工事業者に相談しながら決めるとよいでしょう。
フェンスの独立基礎にかかる費用

フェンスを設置する際、独立基礎にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
ここでは独立基礎の資材代などにかかる費用をブロック基礎の費用とともに紹介するので、比較検討してみましょう。
主な費用は基礎ブロック代とモルタルなど副資材代
独立基礎の設置費用は基礎ブロック代とモルタル代が大部分を占めます。
基礎ブロックはホームセンターの外構用品売り場などでも販売されており、単価は1個1,200〜2,500円です。これにモルタルの材料費、施工費、運搬費も含めると単価は約3,000〜5,000円となります。
これにフェンスの費用がプラスされます。フェンスはアルミやスチール、人工木などの材質や、デザインのタイプ、メーカーによって単価に幅があるので、防犯性を高めたい、趣味の園芸を楽しみながらおしゃれなフラワーガーデンを演出したいなど、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
ブロック基礎を用いる場合の費用目安
ブロック基礎の場合は、使用するブロックの単価が費用に大きく影響します。
コンクリートブロックの工事費用は、1丁(1個)約500〜800円、1㎡あたり約5,000〜10,000円が相場です。化粧ブロックは、1丁約800〜1,100円、1㎡あたり10,000〜14,000円が相場です。
独立基礎の場合と同様、上記のブロックの費用にフェンスの設置費用がプラスになります。
独立基礎にフェンスを設置する手順

独立基礎フェンスの設置手順は以下の通りです。設置を業者に対応してもらおうと考えている場合でも、手順を把握しておくと、見積もりの際や業者との打ち合わせの際に役立つのでチェックしておいてください。
支柱位置に印をつける
まず、独立基礎を設置する位置に印をつけます。独立基礎のフェンスは支柱を等間隔に設置する必要があるため、事前に基礎の位置を決めておかなければなりません。
フェンス1枚につき2つの基礎、フェンス2枚につき3つの基礎を設置するため、支柱の位置に合わせて穴を掘る場所が分かるようにしておきます。
1個目の基礎の位置が決まったら、その地点を始点として巻き尺などで寸法を測りながら一気に印をつけるのが一般的です。
印をつけられるコンクリートなどが周囲にない場合は、軽く穴を掘っておき、分かるようにしておくケースもあります。
穴を掘る
印をつけた場所に複式ショベルなどで穴を掘ります。独立基礎の柱の埋め込み深さはフェンスの種類によって異なりますが、30〜55cm程度掘るのが一般的です。基礎ブロックの半分〜3分の2が埋まるように掘ります。
高さ2m以下のアルミフェンスを設置する場合、埋め込み深さは55cmです。高さ2mを超える場合は条件により70cmの埋め込みが必要な場合があり、必要に応じて適切な深さの穴を掘らなければなりません。
穴に独立基礎を埋める
穴に基礎ブロック(束石)を埋めます。独立基礎の施工方法は穴の中に直接コンクリートやモルタルを流し込む方法と、独立基礎ブロックを埋め込み、穴の周りと中にコンクリートやモルタルを流し込んで固める方法の大きく2つです。
近年では、モルタルの使用量を少なくできる基礎ブロックが主流となっています。
基礎ブロックのサイズは現場の状況やフェンスの種類によって最適なものを選ばなければなりません。
通気性のあるメッシュフェンスの場合は180〜200mm角、目隠しフェンスの場合は230〜250mm角、2m以上のフェンスや土壌が柔らかい場合は土台を安定させるために300mm角以上のブロックがおすすめといえるでしょう。
独立基礎の周りをモルタルで固める
全ての基礎ブロックを穴の中に設置したら基礎ブロックの周りをモルタルで固める工程です。
基礎ブロックの半分くらいの高さまでモルタルを流し込み均等に広げ、乾くまで動かさないようにします。このとき、基礎ブロックの上に水平器を置き、傾きを調整しながら作業します。
この作業は、とくに目隠しフェンスのような風の影響を受けやすいフェンスでは確実に行い、安全性を高めなければなりません。
また、モルタルは作業しやすい固さに調節する必要があり、これは職人の経験と技術が活かされる部分です。
埋め戻し・仕上げ
モルタルが固まったら掘った土を埋め戻します。基礎ブロックの周りに土を入れますが、このとき、隙間なく土を入れ、固めることが大切です。
棒で突き固めながら確実に土を入れていきます。地表の高さまで土を戻せば完成です。エクステリアが砂利敷きの場合は、砂利を戻すか新たに敷いて仕上げます。
これで独立基礎の施工は完了です。このあと柱を基礎にモルタルで固定し、フェンスをボルトなどで組み立てます。
まとめ

独立基礎は工期が短く、施工コストを抑えながら設置できるうえ、希望した場所にフェンスを設置しやすい基礎です。
ただし設置場所やフェンスの種類によってはブロック基礎が適切な場合もあるので、外構工事業者の無料見積もりを利用してどのようなフェンスが適切か提案してもらうとよいでしょう。その際、図面を用意し、大まかな予算を決めておくとスムーズです。
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