オリーブを目隠しにするデメリットは?後悔しない品種と基礎知識

オリーブを目隠しにするデメリットは?

オリーブは葉の表面は光沢のあるグリーン、裏面は銀白色の美しいコントラストが魅力の樹木です。

平和や家庭円満の象徴とされることから、エクステリアのシンボルツリーや庭の目隠しとしても人気があります。

しかし、オリーブの木にはいくつか注意点があり、デメリットを理解して植えることが大切です。

この記事では、オリーブを目隠しに使用する場合のデメリットについて解説します。

目次

オリーブを目隠しにするデメリット

オリーブを住宅の目隠しとして利用する場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

以下に挙げたデメリットを理解したうえで、外構にオリーブを植えるかどうかを判断しましょう。

定期的な剪定が必要

オリーブは成長速度が速く、剪定の手間がかかる点がデメリットです。品種によっては1年で数十センチも成長するため、適度な高さをキープするには定期的な剪定が欠かせません。

地植えは鉢植えの数倍のスピードで成長し、場合によっては隣家に枝を伸ばしてしまう可能性があるので、手間でも剪定は必須となります。

剪定は主に2~3月に太い枝を切り詰めたり、枝や芽を多く切り詰めたりする強剪定と、3~4月に混み合った枝葉を取り除く間引き剪定があります。

特に成長し過ぎた枝を落とし、形を整える強剪定を行っておくと、木のボリュームを抑えられるでしょう。

落ち葉掃除が手間になる

オリーブは常緑樹ですが、ときには落葉し、落ち葉掃除が大変になる場合があるので注意が必要です。オリーブは乾燥を好む性質がありますが、乾燥し過ぎると葉が枯れて落葉してしまいます。

反対に水分がありすぎても落葉の原因となります。特に冬は水を与えすぎると葉が黄色くなったり落ちたりしてしまうので注意しましょう。

また、霜や強風、急激な温度変化も落葉の原因です。落葉させないためには温かく風通しの良い場所で水はけのよい土壌に植えることがポイントとなります。

枝が細くて目隠し効果が弱い

オリーブは枝が細く、目隠し効果が弱い場合があります。特に植えたばかりの頃はひょろひょろとして頼りなく、隙間が目立つことがあるかもしれません。

オリーブを目隠しとして活用したいなら、剪定で樹形を整えながら地道に幹を太くしていくことが大切です。

伸びすぎた枝は短くカットし、新しい枝が多く生えてくるようにします。新しい枝が増えれば木の幹も太くなっていき、樹形も整ってくるでしょう。

虫がつく可能性がある

オリーブは病害虫に比較的強いとされていますが、オリーブの二大害虫と呼ばれるオリーブアナアキゾウムシとコガネムシの幼虫は木を枯らしてしまうおそれがあるので注意が必要です。

オリーブアナアキゾウムシは幼虫が幹の内部を食い荒らしてしまいます。幹の周りに木くずが落ちていたり、幹の肌がボコボコ荒れていたりしたら被害にあっている可能性があります。薬剤を散布して駆除しましょう。

コガネムシの幼虫はオリーブの根を食べてしまいます。葉が黄色くなる、落葉する、根がグラグラする、土がフカフカしているなどの症状が現れたらコガネムシの影響を受けているかもしれません。薬剤を散布するほか、新しい土に植え替えましょう。

目隠しになるまで時間がかかる

上でも紹介しましたが、オリーブは枝が細いため、若い木を植えた場合は目隠し効果を発揮するまでに時間がかかります。

剪定をしないままでいるとひょろひょろと上に伸びていき、枝葉の密度が低いままになってしまいます。2~3月に思い切って強剪定をし、枝の数を増やしていくと少しずつ目隠しとしての効果を発揮できるようになるでしょう。

次で紹介する土壌や日当たりの条件を確保して、生育しやすい環境に整えると、理想の目隠しになってくれるはずです。

水はけの良い土壌を好む

オリーブは、水はけの良い弱アルカリ性の土を好みます。これは、オリーブの原産地である地中海沿岸地域が、テラロッサと呼ばれる石灰岩が風化してできた赤色土または黄色土の土壌のためです。

日本で栽培する場合は、オリーブ専用の培養土のほか、赤玉土:腐葉土:鹿沼土が3:1:1になるように混ぜて使うと良いでしょう。

また、日本の土壌は酸性に傾きやすいので、苦土石灰を混ぜてpH6.5~7.0程度を維持することが大切です。

日当たりは不可欠になる

地中海沿岸を中心に分布するオリーブは日光が不可欠です。そのため、植える場所は日当たりの良い場所にすると、よく育ちます。湿気がたまりにくく、直射日光が1日6時間以上あたる場所がおすすめです。

日本の夏でも問題なく生育しますが、夏場は土が乾燥しやすいので、適切に水やりをし、水分補給をしてあげると元気に育ちます。

具体的には、午前中に水を与えて強い日差しからのダメージを防ぎます。反対に夕方や夜間は土の温度が下がって根が冷えてしまうおそれがあるので水やりは控えましょう。

寒冷地だと越冬が難しいことがある

オリーブは寒さに弱いので、寒冷地や積雪がある地域などは冬越しができないことがあります。雪や霜で弱ってしまうおそれもあるので、冬場は十分に寒さ対策をしなければなりません。

本格的に寒くなる前に根元に藁を敷いたり、霜よけネットを活用したりすると、株へのダメージを防げます。寒波の到来が予想される場合は、保湿シートを使用して冷たい風から木を守りましょう。

オリーブには寒さに強い品種もあるので、寒い地域では耐寒性のある品種を選び、できるだけ南側の日当たりの良い場所に植えると良いでしょう。

オリーブを目隠しにするメリット

反対に、オリーブをエクステリアの目隠しとして利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、オリーブを外構の植栽にした場合の長所を紹介するので、デメリットと照らし合わせて検討してください。

実がなる

オリーブは9月~2月にかけて実がなり、収穫して食べることもできます。

実は若いグリーンオリーブと完熟したブラックオリーブがあり、それぞれ味わいと楽しみ方が異なります。

オリーブの木は、基本的に2本以上あった方が結実しやすい植物なので、果実を収穫したいなら2本以上植えるのがおすすめです。

オリーブの果実は渋みが強いためあく抜きは必須です。あく抜きは重曹水に付ける方法、塩漬けする方法、ワインを使用する方法などさまざまです。用途に合った方法であく抜きをすると、おいしく食べられるでしょう。

見た目がおしゃれ

葉の裏表のコントラストや独特の木肌、丸くコロンとした果実を持つオリーブは見た目がおしゃれで、住まい全体をスタイリッシュに演出してくれます。特に洋風やナチュラルモダンな住宅にはよくマッチするでしょう。

オリーブの木に合うのはレンガや明るい色のタイルです。外構の床材をこれらの素材にすると、よりおしゃれに仕上げられます。

また、地中海原産のハーブとの組み合わせがよく合うので、同じく常緑樹のローズマリーと組み合わせたり、タイムをグラウンドカバーに採用したりすると地中海風のエクステリアを演出できるでしょう。

水やりが楽

オリーブは乾燥を好むため、水やりが非常に楽です。地植えの場合、基本的に雨による水だけで足りるので水やりする必要はありません。

ただし、夏季に2週間程度雨が降らず、晴れの日が続くようであれば水やりをしましょう。

根元にたっぷりと与えるほか、葉にも水をかけてあげます。葉水は虫やホコリを落とす効果もあるので、病害虫予防にも効果的です。

鉢植えの場合は冬場は週に1度、春秋は3~5日に1度、夏は2~3日に1度与えます。水の与えすぎは根腐れの原因になるので土の表面が完全に乾いたら与えましょう。

目隠しにおすすめのオリーブ品種

オリーブにはさまざまな品種があり、住宅の目隠しとして最適なものや1本で果実を楽しめるものがあります。

ここでは特に外構でおすすめの品種を紹介するので、オリーブを植えようと考えている場合は、以下に挙げる品種を参考に選んでみてください。

ミッション

ミッションはスペイン系のオリーブ品種で、アメリカのカリフォルニアが原産です。直立性の樹形で上にすらっと伸び、葉は先端がとがった形をした銀葉系、果実は直径2~3cmの長円形で結実性が高いのが特徴です。

成長が速いので目隠し効果も期待できます。温暖で雨が少ない気候を好み、やせた土地でも育ちます。

日当たりが良い場所で水はけの良い土に植え、乾かし気味に育てるのがおすすめです。耐寒性があるので初心者にもおすすめの品種だといえるでしょう。

アルベキーナ

アルベキーナはスペイン、カタルーニャ州原産のオイル用品種です。比較的小型で、鉢植えでも育てられ、小さめの果実が鈴なりに付くのが特徴です。甘い香りと繊細な味わいの高品質のオイルが摂れるため、世界中で栽培されています。

成長が遅いので、ある程度の目隠し効果を得たいならはじめから大きめの株を植えるとよいでしょう。

一方で狭い場所などコンパクトに育てたい場合に向いています。自家結実性なので、1本だけでも結実し、気軽に楽しめるのも特徴のひとつです。

ネバディロ・ブランコ

ネバディロ・ブランコは、スペイン原産のオリーブのなかでも代表的な品種で、果実はオリーブオイルとして用いられています。

樹形は半直立型~開帳型、葉はほかの品種に比べて葉の裏が緑色なのが特徴です。耐寒性があり、枝葉の数も多いので生垣や街路樹にも適しています。

ネバディロ・ブランコは、花が多く咲くので花粉の量も多く、受粉樹としてもよく活用されています。

特にミッションやマンザニロとの相性がよいため、果実を楽しみたい場合はこれらの品種とともに植えるとよいでしょう。

マンザニロ

マンザニロは、スペイン語で「小さなりんご」という意味で、実がりんごのような形をしているのが由来です。世界中で栽培されており、主にピクルスに加工されています。

樹高が低めで開帳型、枝垂れた枝にやや小さい葉を密につけます。そのため、植えるときは建物やほかの樹木とある程度距離を取れるようにスペースを確保することが大切です。

実つきはよいですが、自家不結実性なので、果実を楽しみたい場合は授粉用の別の品種を一緒に植えるようにしましょう。

オリーブによるおすすめの目隠し方法

では、オリーブで効果的に目隠しをするにはどのようにすればよいのでしょうか。

少しの工夫で目隠し効果がアップし、住まいも快適な環境に変化するので、できるところから実践してください。

株数をまとめて植える

オリーブ1本では目隠しとしては物足りないことが多いため、複数株を植えるとよいでしょう。

オリーブは基本的に自家不結実性の植物なので、異なる品種を2本以上植えると果実が実ります。自家結実性の品種も、2種類以上の株があった方が結実しやすいでしょう。

複数本植えるときは株間に注意が必要です。あまりお互いを近寄せすぎると葉に十分に光が当たらなくなります。

オリーブは1年で大きく枝を伸ばすので、最低でも60cmは間隔をあけましょう。

他の種類の庭木と組み合わせる

オリーブとともに他の樹種を植えて目隠ししながら植栽の組み合わせを楽しむ方法もあります。

オリーブのように日差しに強い植物には常緑樹ではユーカリやシマトネリコ、常緑ヤマボウシがあります。これらの植物であれば南向きなどのオリーブに適した生育環境でもすくすく育ってくれるでしょう。

そのほか、常緑樹のソヨゴ、落葉樹のアオハダ、サルスベリ、カシも日光に強い植物として知られています。

目隠しの目的やメンテナンスの手間も考慮してバランスのよいものを選ぶと外からの目線を気にせず快適に過ごせるはずです。

庭の目隠しに木を使うメリット

庭の目隠しといえば目隠しフェンスが一般的ですが、庭木でも目隠しとして十分なケースも多くあります。

ここでは樹木を目隠しに採用するメリットを紹介するので、フェンスにするか植栽にするか迷っている場合はチェックしておいてください。

フェンスよりも自然で圧迫感が少ない

植栽はフェンスよりも圧迫感なく外からの目線を隠せる点が大きなメリットです。フェンスは高くするとその分圧迫感が出てしまいます。

一方で、植栽は葉や枝の隙間から光と風が通るので、圧迫感なく、風通しの良い目隠しとして機能するはずです。

目隠しをしたいからといって敷地を隙間のないフェンスで囲ってしまうと、見通しが悪くなり、かえって防犯性が低下するおそれがあります。

庭木を数本植えれば、見通しを確保し、庭の景観を維持しながら防犯性を高められるでしょう。

部分的に目隠しを作れる

樹木は部分的に視線を遮りたい場合に違和感なく目隠し効果を発揮できます。

例えば、玄関の出入りの際に通行人の視線が気になるという場合、玄関前に適度な樹高の樹木を植えると、枝葉が程よく目隠ししてくれます。

同様に、道路に面したリビングや水回りの窓の前に植栽を配置すれば、ピンポイントで目隠しが可能です。

一部のみに目隠しフェンスを設置すると外観に違和感を覚える場合があり、かえって視線を集めてしまうこともありますが、植栽であれば違和感なく、プライバシーを守ってくれるでしょう。

十分な高さを確保できる

樹木は目隠しをするのに十分な高さがある点も大きなメリットです。目隠しフェンスには高さ制限は設けられていませんが、ブロック塀の高さ制限と同じ、2.2m以下にするのが一般的です。

住宅の間取りによっては2階の窓を目隠ししたいという場合もあるでしょう。樹木なら窓の高さまで枝を伸ばせば、程よく目隠しができます。

樹種によって樹高や成長速度は異なりますが、思い通りの高さの目隠しにしやすいうえ、自然に目線を遮れる点は大きな魅力です。

オリーブ以外で庭の目隠しにおすすめの樹木

ここでは、オリーブ以外でエクステリアの目隠しにおすすめの樹種を紹介します。

オリーブのデメリットが気になる場合や、生育条件が合わない場合は次に紹介する樹木を検討してみましょう。

シラカシ

シラカシはブナ科の常緑樹で、カシの仲間のなかでも細くシャープな葉が特徴的です。4~5月に雄花と雌花を咲かせ、その後ドングリが実ります。

樹高が程よく横にも広がるため、多く植えなくても目隠し効果が期待できます。

土壌を選ばず日陰にも強いので、どこに植えるかで悩む必要もないでしょう。あまり剪定していなくても伸びすぎず、自然にきれいな樹形に育ち、手入れに手間がかかりません。

一方で、移植を嫌うため、植え替えすると葉を落とす可能性があります。植える場所は成長後のサイズも念頭に入れて植え替えしないことを前提に決めましょう。

ナンテン

ナンテン(南天)はメギ科の常緑低木で、1.5m程度まで成長します。日本ではナンテンは「難を転じる」を連想させることから縁起物とされ、鬼門除けとして植えられてきました。

初夏から夏にかけて白い小さな花が咲き、秋から冬にかけて赤い実がなります。

幹はときには曲がりながら、すっきりしつつ風情のある樹形に育つため、シンボルツリーとしてもおすすめです。

半日陰程度の日差しを好むので、東向きや北向きの玄関にも向いているでしょう。

キンモクセイ

秋によい香りのオレンジ色の花を咲かせるキンモクセイ(金木犀)は、日本三大香木のひとつで、香水としても人気があります。

濃い緑色の葉が生い茂り、目隠し効果が高く、丈夫で病気・害虫にも強いため、多くの家庭で庭木として親しまれています。

キンモクセイは育てやすい植物ですが、こまめな剪定が必要です。地面に植えたまま放置していると高さ7~8mにまで達してしまう可能性があります。

高さを調整しようとして大きく枝を落とすと花が咲かなくなってしまうこともあるため、定期的に剪定して枝を整理することが大切です。

アオキ

アオキはミズキ科の常緑樹で、半日陰から日陰の環境を好むため、古くから北側の庭木として親しまれています。

樹高は1~2m程度で、艶のある濃い緑の葉を持っており、斑入りの葉を持つ品種も多く出回っています。

アオキは規則的な枝分かれをしながら成長する特徴を持っているので、放置していても樹形が整ったまま膨らんでいくのが特徴です。

枝が混み合ってきたときは分岐点から枝を取り除くように剪定すれば樹形を崩さずにサイズを整えられる点で、庭木として育てやすい樹種であるといえるでしょう。

ハナミズキ

ハナミズキはミズキ科の落葉樹で春に白色やピンク色の花を咲かせる植物です。枝が壇上につき球形のまとまった樹形になるため、高木でありながらコンパクトに育ちます。

開花時期は4~5月にかけて、秋には紅葉して落葉します。落葉時期は落ち葉の掃除の手間がありますが、スタイリッシュで明るい雰囲気を持っているので、シンボルツリーとして人気がある樹木です。

丈夫で放置していても枯れにくいため、こまめな管理が難しい人にもおすすめといえるでしょう。日当たりと風通しを確保できれば、水やりも雨の水のみで十分生育します。

まとめ

オリーブはデメリットと品種の選び方を理解していれば、目隠し効果を得られるだけでなく、おしゃれなエクステリアをつくり出せます。

葉や樹形の美しさが住宅に南欧風のイメージを与えるだけでなく、果実も楽しめるので、日当たりが良い方向の庭木として採用してみてはいかがでしょうか。

オリーブに合わせたエクステリアデザインで外構の雰囲気にまとまりを出したい場合は、外構工事業者に相談してみるのがおすすめです。

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