角地は、交差点やT字路の角にある、正面と側面が道路に接している土地です。新築住宅を建てるなら角地を購入したい、と考える人も多く人気の土地だといえるでしょう。
では、角地で外構工事をする場合、どのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。
今回は、角地外構のメリットとデメリット、考えておきたいポイントを紹介します。
角地外構で家を建てる魅力は?
土地の二面が道路に面している角地外構は、ほかの土地とは異なる特徴が多く備わっています。
ここでは、どのような魅力があるのか、そのメリットについて解説するので、土地の購入を検討している場合はチェックしておきましょう。
二面が道路に接する開放的な立地
角地は敷地のうち二面が隣家に接していないため、住宅に開放的なイメージを持たせることが可能です。光が多く差し込むため室内が明るく、道路に面している窓からは眺望も期待できるでしょう。
隣接地が少ない分、視線が左右上下に抜ける空間が多くなり、広々とした印象になります。
圧迫感のない住まいは、家族の心にゆとりをもたらし、ストレスを軽減する効果があります。そのため、住む人に心地よさとリラックス感を与えられるでしょう。
日当たりや風通しの良さ
敷地の2面が道路に接している角地は、2つの方向からの日当たりと風通しの良さが大きなメリットです。
ただし、日当たり条件は角地の方角によって変わるので事前にしっかりと確認しておきましょう。
それぞれの日当たり条件は以下のようになります。
方角 | 特徴 |
南東角地 | 最も日当たり条件が良いとされている。午前中から昼間にかけての日当たりが良い。 |
南西角地 | 午前中は光が入りにくいが日中は南側の日当たりが良い。西日が強く部屋が暑くなる可能性がある。 |
北西角地 | 午前中は光が入りにくいが、午後に西日がよく入る。角地のなかでは価格が安くなりやすい。 |
北東角地 | 午前中以外は光が入りにくい。 |
設計時の自由度が高い
角地は、新築住宅の設計の自由度が高い点も魅力の一つといえるでしょう。
2つの道路に面しているため、建物の向きや玄関、駐車場などの配置をする際にレイアウトの自由度が高く、理想通りの住宅を完成させやすい点が大きなメリットです。
道路に面した方向どちらにも玄関、リビングを配置でき、駐車場の場所や動線の取り方も、目的やライフタイルに応じて多くのパターンがあります。
建ぺい率が緩和されるケースがある
通常、住宅は周囲の建物との距離を保つために定められた建ぺい率を守らなければなりません。
しかし、角地は一方が道路になっているため、条件を満たしていれば建ぺい率緩和の対象となります。
角地緩和に当てはまるのは一般的に以下のようなケースです。
- 街区の角にある土地
- 道路に挟まれた土地
- 公園、河川などに隣接する土地
角地緩和の条件は、市区町村により異なります。土地を管轄する自治体の窓口で確認しておくと良いでしょう。
角地外構で考慮すべきポイント
角地外構はメリットが多い一方で、気を付けておきたい点がいくつかあります。
ここでは、角地外構で注意しておきたいポイントを紹介するので、事前に対策して快適な外構を完成させましょう。
多方向からの視線を配慮する
角地は中地に比べて土地を回り込むように道路があるため、外からの視線を考慮する必要があります。
リビングや玄関の位置など、視線に配慮した間取りにするほか、フェンスや植栽などの外構についても事前に入念な設計をしておくことで、開放感を維持しつつ視線が気にならない住まいを実現できます。
外構は開放的なオープン外構よりもセミクローズ外構にした方が、圧迫感を抑えながら視線を遮れるでしょう。
道路からの目隠し対策を行う
角地は道路に面している面が多いため、プライバシーを守るためにはフェンスを設置すると効果的です。
ただし、隙間がなく背の高い目隠しフェンスで囲ってしまうと、圧迫感を与えるだけでなく、風通しが悪くなります。また、見通しが悪くなるため防犯性が低くなってしまうおそれがあり、注意が必要です。
道路からの視線を遮るには、縦格子フェンスがおすすめです。縦格子フェンスは斜めから見ると隙間が小さく見えるため、動いている通行人や車からの視線を効果的に遮断してくれます。
正面からは視線を遮りにくく、見通しも確保でき、防犯対策としても効果的です。
ショートカット防止策を講じる
角地の住宅はショートカットに使われやすい点に注意が必要です。土地のわずかな部分であっても、車や通行人に敷地内を通行されるのは危険ですし嫌ですよね。
ショートカットを防止するには、フェンスで囲ってクローズ外構にする、ポールやいけず石、植栽を設置する、などの方法があります。
最適な方法は、ショートカットをするのが車なのか人なのかによって変わります。どのような方法で対策するかは、外構工事業者と相談して決めるのがおすすめです。
隅切り部分の安全性に配慮する
角地はさまざまな方向から人や車が通行するため、外構の安全性を確保することが大切です。条件によっては隅切りが必要になる場合もあります。
隅切りとは角地の土地の角を切り取って道路状にすることです。交差点で曲がり角の見通しを良くしたり、曲がり角を通行しやすくしたりする効果が期待できます。
隅切りの部分はスペースを活用できないため、事前に考慮して外構工事の計画を立てましょう。また、隅切りが必要かどうかは自治体によって解釈が異なるため、事前に市町村の窓口に相談しておきましょう。
駐車場の位置と出入口を工夫する
敷地内のどこを駐車場にするか、出入り口は二面のうちどちらにするかをよく検討して決めると、車の出し入れがスムーズになります。
駐車場を決めるときは、隣接する道路の通行量や通学路、通勤路になってないか、時間によって人通りが変わるか、などを知っておくと失敗を防げます。
交通量は時間帯や曜日によって異なるため、できるだけ曜日や時間帯を変えて複数回現地に行き、自宅に車を出し入れするときの交通状況を把握しておくのがおすすめです。
角地外構を使いやすくするための工夫
角地外構を快適に使うにはどのようにしたら良いのでしょうか。角地のエクステリアは、敷地の特性を活かすのと同時にデメリットに対する対策をしっかりと行うと、安全性に配慮しながら開放感のある外構に仕上がります。
そのためには以下のポイントを押さえておくと安心です。
動線をシンプルに設計する
角地では、玄関から駐車場や門扉へシンプルで使いやすい動線を確保しましょう。角地は2つの道路に面しているので、駐車場は使いやすい位置に比較的自由に配置できます。
大きな道へ出るときにスムーズに出られる、反対に帰って来た時に簡単に車庫入れができる位置に駐車場を設置すると、ストレスなく車の出し入れができるだけでなく、事故のリスクも減らせます。
自分にとって使い勝手が良い駐車場やアプローチの配置を思い通りに決められるのは、角地ならではのメリットです。
周辺道路との位置関係や実際の生活をイメージして計画すると、土地を最大限に活かせるはずです。
植栽やフェンスで視線を遮る
角地では植栽やフェンスを効果的に使って視線を遮りましょう。角地は開放感がある一方で、通行人や近隣からの視線が気になる土地でもあります。
玄関への出入りが、二つの方向から見えてしまう場合もあり、安全性に不安を覚えることもあるかもしれません。とはいえ、目隠しフェンスで完全に囲ってしまうと角地ならではの開放感が半減してしまうでしょう。
そのような場合、玄関の周辺に植栽を植えると玄関が丸見えになることがなく、植物の葉の隙間から風や光が通るため、快適さを維持しながら防犯性を高められます。
角地外構でおしゃれなデザインを実現するコツ
では、おしゃれな角地外構をつくるにはどのようにしたら良いのでしょうか。角地は一般的な土地より数が少ないため、施工事例を見つけるのは大変です。
しかし、ポイントを押さえてデザインすれば住宅全体をおしゃれに演出できるので以下を参考に考えてください。
建物との統一感を持たせる
外構の色やテイストを建物と統一させることで、おしゃれな住宅を演出できます。特に角地は外構と住宅が外から見えやすいため、全体的にまとまっているデザインにすることが大切です。
エクステリアのテイストには、人気のシンプルモダン、和モダンのほかにナチュラルモダン、ヨーロピアンクラシック、南欧風、英国ガーデン風などがあります。建物の雰囲気に合わせてテイストを決めると、敷地全体がおしゃれな空間になるでしょう。
また、外構デザインを決めるときは周辺の景観に合わせることも大切です。
異なる素材や色を組み合わせる
外構では、異なる素材や色を組み合わせることで、エクステリアが単調にならず、個性的な外観に仕上がります。
たとえば、コンクリートの床面の一部にタイルや芝生などのアイテムを取り入れると、無機質な空間に暖かみが生まれるでしょう。
また、植栽を効果的に取り入れると、住宅のシンボルとなったり、ナチュラルな印象を与えられたりします。テラスを設置して高低差を付けたり、ガーデニングが好きな場合は花壇を取り入れたりする方法もおしゃれです。
異素材の組み合わせは難易度がやや高いため、外構工事業者に好みのテイストを伝えてデザインと見積もりを提案してもらうのがおすすめです。
角地外構のトラブルとその対策
角地ではほかの土地ではあまり起こらないトラブルやデメリットが存在します。
ここでは、起こりうるトラブルとトラブル防止策について解説するので、角地の購入を希望している場合は、事前に対策方法を知っておきましょう。
目隠しする箇所が増え費用がかさむ
角地では、道路に面した目隠しフェンスを設置する場所が中地に比べて多く、その分外構の新設やリフォームの費用が高くなる傾向があります。
一般的に外構フェンスは、人目につく道路に面した部分はデザイン性に優れたものを設置し、隣家との境界線や家の裏手などはスチールフェンスなどの比較的安価なフェンスを設置して外構工事費用を抑えます。
デザイン性の高いフェンスは、角地では設置する面積が多くなるため、予算オーバーになる可能性もあるでしょう。
とはいえ、敷地全体が外から見えやすい角地では、外構フェンスにこだわりたいというニーズもあるはずです。デザインにとことんこだわるなら、プロの業者に依頼してアドバイスを受けながらアイデアを練ると失敗を防げます。
車や人が通行音が気になりやすい
交通量の多い角地では、歩行者や車の通行音が気になりやすいというデメリットがあります。
特に坂道に挟まれた角地の場合、車がエンジンをふかして往来するため、エンジン音と振動、排気ガスの臭いが悩みになるケースもあるでしょう。
閑静な住宅街で一見静かな環境に見えても、大通りへの抜け道になっている場所では車の往来が多い場合もあります。
事前にしっかりリサーチして交通量が多い角地の購入は避ける、その場所に住宅を建てる場合はリビングの位置を2階や道路と離れた場所にするなどして対策すると良いでしょう。
防犯を意識するポイントが増える
角地は道路に接している面が多いため、中地に比べて防犯対策するポイントが多くなります。
通行人を装って侵入経路を見つけようとする不審者がいる可能性は否定できません。そのため、通行人から玄関やリビングへの視線を遮る、乗り越えにくいフェンスを設置する、外構全体の見通しを良くするなどして対応しましょう。
夜間は照明を効果的に使い、不審者が隠れにくい外構にすると安心です。
ショートカットに使われやすくなる
角地の住宅では車や歩行者のショートカットに使われ、敷地に入り込まれることで悩むケースも少なくありません。
特にオープン外構の場合は侵入されやすく、車の車輪が敷地内を頻繁に通行することで、床材の一部が破損してしまうなどのトラブルも発生します。
ショートカットを防ぐためには、クローズ外構、またはセミクローズ外構にして敷地内に入り込ませないようにするなどの対策が必要です。
オープン外構にこだわりたい場合は、コーナー部分に花壇を設置して動線をコントロールすると良いでしょう。
角地外構に関するよくある質問
メリットの多い角地ですが、いざエクステリアのプランを立てようとすると、さまざまな疑問が浮かび上がってくるでしょう。
ここでは、角地外構でよくある質問とその回答を紹介します。
角地外構で高低差がある場合の影響は?
高低差がある角地では、外構費用が高くなりやすいため、早めの計画が必要です。
道路と建物や庭の高さが異なる場合には、土留工事をしなければなりません。さらに必要なのは、道路から玄関へ入るための階段、手すり、転落防止のフェンスなどの設置です。
角地の場合、道路に面している面が多いため、その分これらの費用が高くなります。
一方で、高低差を活かして立体感のある外構デザインにしたり、門柱に土留としての役割を持たせたりするなど、工夫次第で個性的なエクステリアを完成させられるという長所もあります。
角地外構で玄関前を目隠しするメリットは?
見通しの良い角地外構では、玄関前を目隠しすることで防犯性を高められます。これは角地に限ったことではありませんが、玄関前の視線を遮ると、不審者が家の内部を確認しにくくなります。
見えにくい状態にしておけば、ドアや鍵の仕様を簡単に確認できません。そのため、侵入の対策を練ることが難しくなるのです。
目隠しを設置する際は、道路側から見た時の目線の高さを意識すること、動線を遮らないようにすることがポイントです。
目隠しには上でも紹介した植栽のほか、ブロック塀や門柱、木製やアルミのフェンスなどがあり、これらを採用すると玄関をおしゃれに演出できるだけでなく、ドアを開けた時に通行人と目が合うなどの心理的なストレスも緩和できます。
まとめ
角地は人気がある一方で、目隠しフェンスが必要な範囲が広く、外構工事費用が高額になりやすいというデメリットもあります。
予算内でおしゃれな住まいを実現するには、外構工事業者にライフスタイルや重視したいポイントを伝えてプランを提案してもらうのがおすすめです。
多くの外構工事業者は無料で見積もりができるので、気軽に相談してください。
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