解体工事では近隣住民に音や振動などで影響を与えるだけでなく、棲み家を失ったゴキブリが近隣の家に移動してしまい、トラブルの原因になるケースがあります。
今回は、隣家の解体工事が原因でゴキブリが発生した場合の対処法や、解体工事の施主ができるゴキブリ対策の方法について紹介するので、隣家や自宅で解体工事が予定されている場合はぜひ対策方法をチェックしてください。
隣の家の解体工事でのゴキブリ対策
隣家で解体工事を行っていると、棲み家を失ったゴキブリが逃げてくることがあります。
ゴキブリは見た目が苦手な人が多いだけでなく、衛生的も良くないため、できるだけ侵入を防ぎたいですよね。隣の家で解体工事が始まった場合の害虫対策は、主に以下のようなものです。
保健所に相談する
近所の解体工事が原因でゴキブリが発生してしまった場合、保健所に相談するという方法があります。
保健所では害虫に関する相談窓口があり、効果的なゴキブリ対策を教えてもらえるほか、ゴキブリの被害が大きい場合には駆除業者を紹介してくれます。
保健所は地域により名称や受付窓口が異なることが多く、名称は「保健福祉事務所」「福祉保健所」「保険福祉センター」などさまざまです。
問い合わせる前にインターネットの検索エンジンで「地域名 保健所」などのキーワードで調べておくとスムーズでしょう。
侵入防止策をとる
自宅でのゴキブリ発生を防ぐには、ゴキブリに侵入させないよう対策をとることが重要です。一般住宅の場合、ゴキブリの侵入経路は玄関、ベランダ・バルコニー、通風口、窓、排水管、換気扇、エアコンのドレンホースなどです。
特に水回りは侵入口になりやすいので、配管周りの隙間はパテや養生テープでふさぐ、一日の終わりにキッチンの排水口に熱湯をかけるなどすると効果が期待できるでしょう。
また、窓や網戸に隙間がある場合は隙間テープを貼る、エアコンのドレンホースの先端に防虫キャップを付けるなどすると効果的です。
市販の駆除剤を活用する
ゴキブリの侵入防止策と共に、市販の駆除剤を使って対策するとより効果が高まるので、できるだけ同時に対策しましょう。
駆除剤には一般的な殺虫スプレーのほか、駆除エサ剤、捕獲器、燻煙剤、待ち伏せタイプのスプレーなどがあります。
ゴキブリの姿を見る心配をせずに巣ごと駆除したいなら、駆除エサ剤がおすすめです。駆除エサ剤は食べたゴキブリの排泄物や死骸を食べたゴキブリにも効くタイプがあり、このタイプを使えば、巣に潜むゴキブリも退治できるでしょう。
生ゴミをすぐに処理する
ゴキブリを引き寄せない、棲み家にさせないためには、食べ物や生ゴミを放置せずにすぐに処分することも大切です。
食べ物や汚れた食器をそのまま放置しておくと、ゴキブリを引き寄せてしまいます。排水口やコンロの周りに生ゴミが残っている状態にも要注意。ジュースや食べ物の汁は赤ちゃんゴキブリの格好のエサとなるので、こぼしたらすぐに拭き取りましょう。
ゴキブリが歩き回ると病原菌が食品について食中毒を起こす危険性があるので、キッチン周辺の対策はしっかりと行っておく必要があります。
隣家に相談する
解体工事が原因でゴキブリが発生している場合は、解体を行っている隣家に相談するのも一つの方法です。解体工事が始まってからゴキブリが出るようになってしまったという事実を伝えれば、隣家が害虫駆除業者を手配するなど、対策してくれます。
ただし、解体工事に関する苦情は、場合によってはトラブルに発展する可能性があるため、伝え方には十分注意が必要です。
解体業者が苦情の窓口になっている場合もあるので、まずは解体業者に困っている旨を伝えてみるのも良いでしょう。
業者へ駆除依頼をする
テナントやオフィスが入っているビルの解体工事の場合は、プロの駆除業者に対策を依頼したほうが良いでしょう。
複数の会社やお店が入っている建物は、建物全体にゴキブリが潜んでいる場合があります。そのようなビルを解体するとゴキブリが大移動してくるおそれがあり、個人では対策が難しくなってしまう可能性も。
一軒家ではない建物の解体工事が近所で行われる場合には、解体工事が始まる前に害虫駆除業者に相談しておくのがおすすめです。
空き家にゴキブリなどの害虫が集まる原因
ゴキブリは人が住んでいる家だけでなく、空き家でも繁殖します。空き家の排水口は人が生活している家に比べてゴキブリが侵入しやすく、ゴキブリの棲み家にされやすい環境です。
ここでは、空き家でゴキブリが増える原因を紹介します。
天敵が少ない
空き家はゴキブリの天敵となる人間がいないため、ゴキブリにとって巣をつくりやすい環境となり、増え続ける原因になります。
人が生活していれば害虫対策として駆除剤や忌避剤を設置したり、定期的に掃除をしたりして害虫が生息しにくい環境を維持できるでしょう。しかし、人がいなくなったことでゴキブリは駆除されずにどんどん増え続けられるのです。
空き家でゴキブリを増やさないためには、駆除エサ剤を定期的に設置するなどして対策しましょう。
水道管の乾燥
空き家は排水口からゴキブリが侵入しやすい環境です。人が生活していると水を使うので排水トラップは常に水で満たされており、蓋がされている状態です。
しかし、長期間人が生活していない空き家は排水トラップの水が蒸発してしまっているため、ゴキブリの通り道になってしまいます。
空き家にゴキブリを侵入させないためには、定期的に水を流して排水トラップが空にならないようにすることが大切です。
こまめに訪問できない場合は、排水口に蓋をしておきましょう。蓋がない場合はサランラップで覆っておく方法でも、十分効果が期待できます。
湿度が高い
空き家は湿度が高くなりやすいため、ゴキブリが過ごしやすい環境といえるでしょう。人の出入りが少なくなった家は、ドアや窓を閉め切っているため湿気がこもり、湿度が高くなります。
湿度が高い環境はゴキブリやシロアリなどの害虫が発生しやすいだけでなく、カビの温床になったり、柱の腐食など建物の老朽化の原因となったりするため注意が必要です。
特に冬は結露により湿気がこもりやすいので、定期的に換気を行いましょう。
解体工事に伴う害虫駆除の流れ
解体工事の際に害虫駆除を依頼する場合、どのような流れで作業が行われるのでしょうか。
ここでは、害虫駆除の流れと費用の目安を紹介します。作業内容や料金は物件の状況により大きく変わるので、以下で紹介する内容を参考に見積もりを依頼するようにしましょう。
害虫駆除の流れ
解体工事では、解体作業に入る前にできるだけ害虫・害獣の駆除と流出予防をしておくことが大切です。そのため、害虫駆除は解体作業前に実施します。
<害虫駆除の流れ>
1.生息調査
2.駆除計画
3.駆除作業
駆除の開始前に必要なのが、建物内のゴキブリの生息状況を把握するための生息調査です。生息しているゴキブリの種類や数、生息場所を特定し、駆除計画を立てます。
駆除作業では自治体が定める薬剤の種類、量を遵守し、建物内、建物の外周、仮囲いへ薬剤散布を実施します。
害虫駆除の料金相場
害虫駆除の費用は害虫の種類や使用する薬剤、駆除方法によって異なるのが一般的です。料金相場としてゴキブリは2万円前後、ネズミが3~15万円、シロアリは1万円前後です。
害虫駆除業者を選ぶ際は2~3社から相見積もりを取り、料金と作業内容が適切か、追加料金が発生しないかをチェックし、最も納得できた業者に依頼します。
もし、自分で業者を探すのが難しい場合は、解体工事業者が紹介してくれる場合があるので、営業担当者に相談してみると良いでしょう。
自分が解体の施主だったらどうする?
自分の家を解体する場合、害虫の被害を広げないためにはどのように対策すればよいのでしょうか。
ここでは、施主側でできる解体工事による害虫発生トラブルの防止方法を紹介するので、事前にチェックしておいてください。
隣の家へ挨拶をし理解を得る
解体工事を巡るトラブルを防ぐため、工事前には隣の家に挨拶をしておくことが大切です。
解体工事では、ゴキブリなどの害虫が隣の家に移動してしまうおそれがあるだけでなく、騒音や振動でご迷惑をかけることになります。
挨拶の際には工事の日時や騒音などの影響でご迷惑かけることに加えて、害虫が出た場合には遠慮なく相談してもらうように伝えておけば隣人も安心できるでしょう。
挨拶は解体工事業者も行ってくれますが、できるだけ施主本人も同行して直接ご挨拶したほうが好印象です。
また、挨拶は隣だけでなく工事で影響を与えそうな近隣住民にもしておくとトラブルを避けられるでしょう。
迷惑がかかる可能性を少しでも減らす
解体工事の前に害虫駆除をしてできるだけ迷惑が掛からないように対策しておくことも重要です。
事前に害虫駆除業者に依頼して建物内のゴキブリを退治しておけば、近隣へのご迷惑を最大限に減らせるでしょう。解体工事業者のなかには害虫駆除にも対応してくれる業者もあるので手配してもらうと手間が省けます。
解体業者選びの際は、近隣に与える影響について親身になってくれる業者を選ぶと安心です。
見積もりの際に不明点や心配事を質問・相談して、明確な説明があるか、きちんと対応してくれる業者かどうかを見極めましょう。
隣の家の解体工事に関するよくある質問
ここでは、隣家が解体工事をするときによく出る質問とその回答をお伝えします。
隣家が解体工事の挨拶に来た場合は以下の内容をチェックし、近隣住民として事前に対処方法を把握しておくと安心です。
隣の家の解体工事中は洗濯物を外に干さないほうがいい?
隣家が解体工事をしている場合、解体作業の時間帯には洗濯物を外に干さないほうが良いでしょう。
解体業者はできるだけ粉塵が出ないように対策を行いながら作業しています。しかし、粉塵やほこりをゼロにすることは不可能です。
そのため、工事期間中は部屋干しするか、工事が行われない時間に外に干すようにしてください。
解体工事は6日までしか連続で工事が行われないため、週に1日は休みになります。多くの場合、日曜日に工事が休みになるので、日曜日が外干しのチャンスです。
隣の家が解体工事をする際に気をつけることは?
隣家の解体工事の際には事前に自宅の状態を記録しておきましょう。解体工事で発生する振動の影響で、家の外壁や内壁にひびが入ったり、地盤沈下や天井の歪みが起こったりするケースがあります。
このような被害が出た場合、解体工事をした側で補修してもらえるのですが、本当に解体工事で生じた影響であることを証明しなければなりません。
事前に家屋の写真を撮っておき、万が一の場合に業者がスムーズに対応できるようにしておきましょう。
写真を撮る場所は、家全体の傾き、外壁、内壁、天井などです。最初からあるひび割れもしっかりと写真に残しておくことが大切です。
まとめ
解体工事では建物の中に潜んでいたゴキブリが近隣へと移動しやすいため注意を払う必要があります。工事が始まる前から隣家側、施主側双方で対策をしておけば被害を最小限に抑えられるでしょう。
被害が深刻な場合や、害虫の発生に不安がある場合は、解体業者に相談すると、害虫駆除業者の手配など、対策を講じてくれる可能性があるため、遠慮なく解体業者の担当者に相談してください。
コメント