
カーポートバルコニーは、駐車スペースの屋根部分をバルコニーやテラスとして利用できる外構設備です。
狭い土地でも空間を有効活用できる点が魅力的で、設置を検討する方も多くいます。しかし心配になるのが、設置によって固定資産税が増額になるかどうかです。
この記事では、カーポートバルコニーが固定資産税の対象になるのか、また、一般的なカーポートとどのような違いがあるのか、解説します。
カーポートバルコニーは固定資産税がかかる?

カーポートバルコニーは基本的には固定資産税はかかりませんが、一定の条件を満たしている場合は課税対象とみなされるケースがあります。
以下に非課税になるケース、課税される可能性があるケースを紹介するので、しっかりと確認しておきましょう。
一般的なカーポートが非課税になるケース
カーポートバルコニーは固定資産税の対象ではありません。理由はカーポートバルコニーには屋根や壁がないため、外気分断性の条件を満たさないためです。
外気分断性とは、建物内部に外気が入っていない性能を備えていることです。具体的には以下の条件を満たしていると、固定資産税の対象となります。
- 定着性:基礎があり、土地に定着している
- 外気分断性:屋根と三方向以上の周壁がある
- 用途性:居住・作業・貯蔵などの用途に供し得る状態
カーポートバルコニーはこの3つの条件を1つも満たしていないため、固定資産税の対象にはなりません。
バルコニー付きカーポートが課税される可能性
カーポートバルコニー(バルコニー付きカーポート)は、固定資産税の課税対象ではありませんが、三方向に壁を設置すると課税対象になる可能性があるため、注意が必要です。
三方向に壁があると、「外気分断性」を満たすことになります。その場合、土地や建物と同様に固定資産税がかかります。
具体的には、固定資産税課税台帳に登録されている評価額×税率1.4%で計算され、特例措置分が減額された金額を、毎年市町村から届く納税通知書をもとに支払います。
そもそもカーポートバルコニーとは?

ここまでカーポートバルコニーの固定資産税について解説してきましたが、そもそもカーポートバルコニーとはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、特徴や一般的なカーポートとの違いについて解説します。
一般的なカーポートとの違い
カーポートバルコニーとは、カーポートの屋根部分をルーフバルコニーとして活用できる屋根付きの駐車スペースです。屋根がフラットになっており、床材もウッドデッキのようになっているなど、人が歩きやすい設計になっています。
一方、一般的なカーポートは、屋根に太陽光線をほどよく透過させながら紫外線をカットしてくれるポリカーボネートを採用し、雨や雪がたまりにくいように勾配が設けられています。そのため、上に人が乗ることはできません。
バルコニー一体型カーポートの特徴
バルコニー一体型カーポート(カーポートバルコニー)の最大の特徴は、駐車場と家族の憩いのスペースを両立できる点です。
本来、カースペースの上はデッドスペースになってしまいますが、この場所に人が過ごせる空間をつくることで、敷地をフル活用できます。
木材やアルミなど、柵や床の素材と色を選べるため、住宅のデザインに合わせておしゃれなカースペースを設置できる点も大きな特徴といえるでしょう。
カーポートバルコニーのメリット

カーポートバルコニーを設置すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、カーポートバルコニーのメリットを紹介するので、自宅で活用できそうか考えてみてください。
土地を有効活用できる
カーポートバルコニーはカーポートの屋根部分を利用するため、限られたスペースを有効活用できます。駐車場の上部分は、通常は何もない状態です。しかし、屋根の上に人が乗ることができるカーポートバルコニーを後付けすれば、車一台分のスペースを外構に追加できます。
たとえば、ウッドデッキの設置を希望していたが、エクステリアに十分なスペースがなく施工できなかった場合、カーポートバルコニーを設置することで、住宅の2階部分にウッドデッキに似た設備を設置できます。
車を雨風から守れる
カーポートバルコニーを設置することで、車を雨風や砂埃のような汚れから守れます。カースペースに屋根があれば悪天候や鳥の糞などで車がひどく汚れることも少なくなり、洗車の頻度も大幅に減らせるでしょう。小さな物置を置けば雨に濡れずに収納したものを出し入れすることもできます。
また、通常のカーポートは屋根がポリカーボネート製で透明ですが、カーポートバルコニーは天井がコンクリートや木材のため、車を紫外線から保護する効果も通常のカーポートと比較して高めです。
紫外線は車の塗装を劣化させてしまうため、車を長くきれいな状態で維持したいなら遮光率の高いカーポートバルコニーがおすすめです。
狭小地や傾斜地にも対応できる
カーポートバルコニーは施工位置を工夫すれば狭小地や傾斜地でも設置でき、住まいの空間を広げられます。
たとえば、駐車場で庭がいっぱいになってしまう場合には、カーポートバルコニーを設置することでバルコニー部分を家族の憩いの場として利用が可能です。
敷地に高低差があり、前面に庭を確保する余裕がない土地でも、1階とつながるようにデッキを設置することで、住宅にテラスのようなスペースを確保できます。
カーポートバルコニーのデメリット

一方で、カーポートバルコニーにはいくつか注意しておきたいデメリットがあります。ここでは、主なデメリットを紹介するので、不動産の条件と照らし合わせて対策方法を考えるなど、十分検討してから設置を決めることが大切です。
防犯面に対する不安がある
カーポートバルコニーはバルコニー部分を侵入経路にされてしまうリスクがあるため、十分注意が必要です。設置する際は地域の環境や犯罪発生状況を確認したうえ、十分な防犯対策を検討しましょう。
具体的には窓にセンサーをつける、侵入防止用の補助錠をつけるなどして2階窓からの侵入を防ぐ方法があります。外壁とつなげないタイプの独立型カーポートバルコニーは、階段を使って簡単にバルコニーに上がれてしまうので、窓やベランダから離して設置するといった工夫も必要です。
そのほか、1階の駐車場部分も死角ができやすく、不審者の隠れ場所になりやすいため、死角になる場所や玄関ドア付近にセンサーライトを設置するとセキュリティ対策になります。
後付けする場合は費用が高くなりやすい
カーポートバルコニーは工事費用が高額になりやすいため注意が必要です。カーポートバルコニーの費用相場はメーカー、製品に使用されている素材の種類などで変わりますが、車1台分のスペースで100~200万円が相場です。
費用を抑えるには複数業者に現地調査と見積りを依頼して比較検討する、本体価格が安い製品を選ぶなどの方法があります。業者に予算を伝え、相談しながら決めると安心です。
なお、カーポートバルコニーの設置をDIYで行うことはおすすめしません。高所作業も含まれるため危険です。設置作業は外構工事業者に依頼しましょう。
建ぺい率の制限で設置できないこともある
カーポートバルコニーは建築基準法により、建ぺい率をオーバーすると設置できない場合があります。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見た面積)の割合のことです。
この割合には上限が定められており、これを上回る建物を建てることはできません。カーポートは建築物に含まれるため、建ぺい率内に収まるサイズのものを選ぶ必要があります。
また、今後増築リフォームを検討している場合は、建ぺい率に十分注意してカーポートを設置しましょう。
参考:建築基準法第53条第1項
カーポートバルコニーの活用方法

カーポートバルコニーを設置すると、バルコニー部分をさまざまな用途の場所として活用できます。ここでは、特におすすめのスペースの活用方法を紹介するので、設置を検討している場合はシミュレーションしてみましょう。
ガーデニング・家庭菜園
バルコニーの部分はガーデニングを楽しむ場所として最適です。ハーブやミニトマト、ナスやピーマンなど、プランターで育てられ、日当たりを好む野菜なら手軽に楽しめるでしょう。暑すぎる気候を避ければレタスなども簡単に栽培できます。
バルコニーにテーブルと椅子を置いてティータイムを楽しめる場所にするなら、観葉植物を並べてインテリアを楽しむのもおすすめです。
ただし、鉢やプランターは台風など強風の日には飛ばされないよう、片づける必要があります。また、排水溝が詰まらないよう、土や枯れ葉などがこぼれないように配慮しなければなりません。
子どもやペットの遊び場
道路に面していないバルコニーは子どもやペットの遊び場としても最適です。夏はビニールプールを置いて水遊びすることもできます。
道路に面していないため、飛び出しのリスクは低くなりますが、柵を乗り越えないように注意が必要です。柵は十分な高さのものを設置し、柵の近くには足をかけられるようなものは置かないようにしましょう。
また、夏は床面が熱くなるため、使用するときはマットを敷くなどの配慮が必要です。
バーベキューなどのレジャー用途
カーポートバルコニーでバーベキューやピクニックを楽しむこともできます。時間を選ばずに外の空間で非日常感を味わえるうえ、準備に手間がかからないので、子供も大人も手軽にリフレッシュできるでしょう。
カーポートの高さとウッドデッキの柵があるため、プライバシーを守りながらレジャーができる点は大きなメリットです。1階のウッドデッキでは近所の人目が気になる、という方にはおすすめです。
洗濯物を干すための場所
カーポートバルコニーのバルコニー部分は日当たりの良い場所です。この日当たりの良さを活かして布団や洗濯物を干す場所として活用してもよいでしょう。
2階の部屋で使用している布団も、2階のバルコニーに干せるので負担が減ります。ある程度広いスペースをつくれるため、複数の布団を干せたり、大物の洗濯物を干せる点もメリットです。2階に干すので洗濯物のプライバシーも守れるでしょう。
カーポートバルコニーの施工時の注意点

カーポートバルコニーを設置する場合は、どのような点に注意すればよいのでしょうか。以下に設置に関する注意点をあげるので、外構工事業者とよく相談して対応しましょう。
活用目的を明確にしておく
カーポートバルコニーの設置を検討する際には、バルコニーの利用目的や活用方法を明確にしておきましょう。目的に合ったサイズや機能の製品を選べば、設置後に後悔せずに済みます。
例えば、子どもの遊び場として活用したい場合はフェンスを高くして転落事故を防ぐ、家族のリラックス空間にしたい場合は目隠し効果のある格子のフェンスを選ぶなど、必要なカーポートの種類も変わります。
まずはカーポートバルコニーを生活のどのようなシーンで利用したいか、家族で話し合い、業者にニーズを伝えて提案してもらうことをおすすめします。
採光や日差しの影響を考慮する
カーポートバルコニーの設置前には、設置により日当たりがどのように変わるかを十分検討しましょう。
カーポートバルコニーを設置することにより、室内の日当たりが悪くなる場合があります。カーポートバルコニーの屋根は構造上透明ではないので、日光が遮られてしまいます。これにより、1階の部屋が暗くなってしまったり、冬場に部屋が寒いと感じることもあるでしょう。
1階部分に置いた植物の生育が悪くなることもあるので、季節や時間帯による日当たりをシミュレーションしておくと安心です。隣家への日当たりの影響がどれくらいになるかも、しっかり検討しておいてください。
建築確認が必要となるケースがある
カーポートバルコニーを既存の家屋に設置する場合、建築確認申請が必要になるケースがあります。
建築確認申請とは、建物を新築・増改築する前にその計画が建築基準法や条例などに適合しているか、自治体の確認を受ける手続きで、周辺住民の生活や安全を守るためには重要なものです。審査の結果、確認済証が交付されると安全基準を満たしていることが証明され、初めて着工できます。
自治体によって申請の要件や審査基準が異なるので、不安な場合は事前に自治体の窓口に相談しておきましょう。
まとめ

カーポートバルコニーは基本的に固定資産税の対象とはなりませんが、一定条件を満たすと課税対象になる可能性が高まるため注意が必要です。
また、住まいに新たな空間を作れる一方で、デメリットや注意しておかなければならないこともあるので、設置後の利用方法を十分シミュレーションしておく、必要な機能を整理しておくなどすると、失敗を防げます。
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