
オーバードア、アップゲートなどとも呼ばれる跳ね上げ式のカーゲートは、ゲートを上に跳ね上げて開閉する、駐車場用の門扉です。
素材は主にアルミ形材ですが、カラーバリエーションや格子のデザインも豊富で、木製フェンス風のゲートなども多くあります。
その一方でデメリットも多く、設置して後悔するケースも少なくありません。この記事では、跳ね上げ式のカーゲートのデメリット、設置の際のポイントを解説します。
カーゲート跳ね上げ式のデメリット

カーゲート跳ね上げ式を設置する場合、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。
ここでは主なデメリットを7つ紹介します。駐車場のカーゲートに跳ね上げ式を採用したい場合はデメリットを把握しておきましょう。
出し入れに時間がかかる
跳ね上げ式のカーゲートは種類によっては車の出入りに時間がかかり、面倒だと感じてしまうことがあります。
手動式のタイプは、駐車場を使うたびに車を降りて手で開閉しなければなりません。雨の日や暑い日、寒い日でもこの動作を行わなければならないため、面倒に感じる方は少なくないでしょう。
毎回車から降りてカーゲートの開け閉めをするのが面倒だ、という方は電動式のタイプをおすすめします。
コストがかかる
跳ね上げ式のカーゲートは設置費用が比較的高額です。さらに故障した場合、修理費用が高くなる可能性があり、維持コストもかかりやすい点が大きなデメリットだといえるでしょう。
伸縮式のカーゲートの設置費用の相場が6〜20万円なのに対して跳ね上げ式は手動タイプが11〜20万円、電動タイプが25〜50万円ほどかかります。
さらに電気系統の補修費用が20万円前後、電気以外の補修が3~10万円程度と、メンテナンス費用もかかることは留意しておいた方がよいでしょう。
電動タイプの場合は電力が必要
電動タイプを設置する場合は、電気配線が必要です。新設する際には電気工事を行うため、追加費用がかかります。
カーゲートの電気工事では、ゲートまで電気を引き込む配線工事を行います。配線は地中に埋設するため、外構をコンクリートなどで舗装している場合は一度地面を掘削して配線を地中に埋設し、再度舗装しなければなりません。
配線が通ったらモーターを配線と接続してゲートが使えるように設定します。電動タイプの設置は、新築住宅よりも既存の外構に新設する場合に大がかりな工事になるケースがあります。
外構リフォームで電動タイプの跳ね上げ式カーゲートを設置しようと考えている場合は、費用面や工事期間などを十分に検討して決めることが大切です。
取り付けスペースが必要
跳ね上げ式カーゲートは、十分なスペースがないと設置できません。駐車場の出入口の間口によっては設置できないケースもあります。
また、跳ね上げ式は扉を上に持ち上げるため、駐車場上部のスペースにも十分な余裕が必要です。カーポートや建物の軒、門柱の屋根、バルコニーなど、ぶつかるものがある場合は設置が不可能となります。
設置を希望する場合は外構工事業者に現地調査と見積もりを依頼し、跳ね上げ式を設置できるか確認してもらうと安心です。
駐車スペースが狭くなる
跳ね上げ式は開閉時に敷地外へ扉がはみ出してしまう場合は、希望の位置よりもゲートを後退させて設置することになるので、その分駐車場が狭くなります。
さらに、支柱にも注意が必要です。跳ね上げ式カーポートは、上下に開閉するため扉の収納スペースは不要です。しかし、支柱の設置スペースを確保する必要があり、支柱は扉から1mほど下がったあたりに立ちます。
これにより、駐車場が狭くなったように感じることもあるので、駐車スペースに奥行きがない場合は狭くなったと感じられることもあります。
開閉時に音がする
跳ね上げ式カーゲートの電動タイプは、開閉時に音がするので、事前にどれくらいの音が発生するのか確認しておくと安心です。
電動式のカーゲートはどうしてもモーター音が発生してしまいます。とくに静かな住宅街で早朝や深夜に車の出し入れをしたい場合は、カーゲートを選ぶ際に開閉音をしっかりチェックしておきましょう。
最近では静音性能の高いカーゲートも登場しているので、外構工事業者に相談して静かに開閉できるタイプを提案してもらったり、ショールームなどで実際に音を確認したりして決めると、ストレスなくカーゲートを使用できるはずです。
強風に弱い
跳ね上げ式のカーゲートを上げている状態は、強風の影響を受けやすいため注意が必要です。上げている状態で風を受けるとアームが破損する可能性があります。台風や悪天候の前には、ゲートをおろした状態にしましょう。
また、風に煽られてゲートが開いてしまう可能性があるので、ゲートをおろしたらロックをして開かないようにしてください。
カーゲートをしっかりと閉めておくことで、飛来物から車を守ることもできます。悪天候の日の前には安全確保のために扉のチェックを忘れないようにしましょう。
カーゲートの跳ね上げ式を施工する際のポイント

跳ね上げ式カーゲートを施工する際には、いくつかチェックしておきたいポイントがあります。
確認しておかないと不便になるだけでなく、車を駐車できなくなってしまう場合もあるので、業者と一緒に確認して失敗を防ぎましょう。
車のサイズを確認する
カーゲートを跳ね上げ式で設置する前には必ず車のサイズを確認しておきましょう。跳ね上げ式は扉が上に開くため、特に車高に注意が必要です。
ゲートを跳ね上げたときの高さよりも、車の車高が低くなければなりません。とくにSUVやミニバン、キャンピングカーなど、車高の高い車の場合は、ゲートと干渉しないか、メーカーのウェブサイトやカタログで詳細なサイズと適合する車種を確認しておきましょう。
駐車場の大きさを確認する
跳ね上げ式カーゲートは大きすぎる駐車場には向かないので、事前に駐車場の広さや開口部の長さの確認が必要です。
跳ね上げ式は最大幅6m程度、車2台分くらいの幅まで対応可能です。これ以上幅が広くなると、カーゲートの扉が重くなり、持ち上げるのが大変になったり、扉がたわむ恐れがあります。
もし、どうしても車3台分のスペースに跳ね上げ式を設置したい場合には、2台用と1台用を並べて設置することになることは留意しておいた方がよいでしょう。
傾斜地・積雪や風圧のリスクを確認する
跳ね上げ式は、傾斜地には適していません。跳ね上げ式は水平を保ったまま扉を開閉するので、傾斜地ではゲートの下部の隙間が斜めになり、美観を損ねてしまいます。
100mm程度までの勾配差であれば、ロングストッパーというオプションをつけて勾配差に対応できますが、それ以上の勾配がある場合はほかのタイプのカーゲートの方がおすすめです。
また、跳ね上げ式は雪や強風のときは上げたままにしないようにしましょう。上げた状態で積雪すると、アームが破損する可能性があります。
積雪した雪の落下も危険です。強風時も風に煽られてゲートが歪んでしまうおそれがあるため、悪天候時は扉を下げることが大切です。
支柱が生活動線を妨げないか把握しておく
跳ね上げ式カーゲートの支柱が生活動線の邪魔にならないか、シミュレーションしておくことも大切です。
上でも解説しましたが、跳ね上げ式は閉まったゲートの場所から1mほど後方に柱を立てます。人が出入りする際にこの柱が邪魔にならないか、設置予定場所に十分なスペースがあるかを確認しておくことが大切です。
また、跳ね上げ式の場合、カーゲートとは別に人が通るための門扉が必要です。駐車場だけでなく、人が出入りする門をどこに配置するのか、しっかり計画しておくことでストレスのない動線を確保できます。
将来の車種変更も考慮する
カーゲートを跳ね上げ式にする場合、将来の車の買い替えも考慮しておくことが大切です。
跳ね上げ式カーゲートは、設置後に跳ね上げる高さを変更できません。そのため、将来家族が増えて大きい車に変更する予定がある、車にラックやジェットバッグを取り付けることがある、という場合は車がゲートを通過できなくなる可能性があります。
跳ね上げ式を検討する場合は将来のライフスタイルをシミュレーションしておくと失敗を防げます。
カーゲートの跳ね上げ式のメンテナンス

跳ね上げ式のカーゲートは定期的なメンテナンスをすることで長く安全に使用できます。
ここでは家庭でできるカーゲートのお手入れ方法と、ゲートを安全に使うために住む人が気を付けておきたいことを紹介します。
アーム・可動部の清掃
跳ね上げ式カーゲートのアーム部分はとくに汚れやゴミが付着しやすく、汚れがたまると動作に影響を及ぼす可能性があるため、こまめな掃除が必要です。
そのほかの部分は柔らかい布で水拭きしたあと、乾拭きします。よごれがひどい場合は中性洗剤を水で薄めて柔らかい布に浸し、きつく絞って拭きます。その後、水拭きし、最後に乾拭きして完了です。
汚れが落ちないからといって金属たわしや高圧洗浄機は使わないようにしましょう。表面が傷つき、そこから腐食する原因となってしまいます。
開閉速度のルール化
跳ね上げ式カーゲートは、勢いよく開閉すると破損につながります。ゲートがスムーズに開閉できなくなる可能性もあるので、丁寧にゆっくり開閉するよう、家族のなかでもルール化しておきましょう。
また、跳ね上げ式カーゲートを開けたままの状態にしていると、風の影響を受けやすいため注意が必要です。突然ゲートが下りてきてけがをするリスクや、強風でゲートに歪みが出てしまうおそれがあるので、都度ゲートを下げるようにしてください。
跳ね上げ式カーゲートを選ぶコツ

では、跳ね上げ式カーゲートはどのように選べばよいのでしょうか。ここでは、後悔しないための選び方のコツを紹介するので、ポイントをしっかりチェックして、最適な製品を選びましょう。
手動式と電動式の選択
跳ね上げ式の開閉方法には手動式と電動式の2種類があります。
手動式は手で扉を持ち上げるタイプです。1台用であれば女性でも簡単に開閉できますが、2台用はある程度重量があるので難しい場合もあります。
また、手動タイプは製品によっては体格の小さい人は手が届きにくくなる場合もあるので、その場合は電動式を選んだ方が安全に開閉できます。
電動式は、柱のボタンやリモコンを操作して電動でゲートを開閉できるタイプです。リモコン式は車から降りることなく扉を開閉できるので、雨に濡れずに快適に出入りできます。ただし、電動式は電気工事が必要になるため、その分工事費用がかかります。
標準タイプとハイルーフタイプの選択
跳ね上げ式のサイズには高さ約1.8mの標準タイプと、約2.1mのハイルーフタイプがあります。普通のセダンなら標準タイプで十分ですが、ミニバンやワンボックスカー、SUVなどは、ハイルーフタイプがおすすめです。
基本的に自家用車に合わせてルーフの高さを選べばよいですが、来客の際にお客様に駐車場を使ってもらう可能性もある場合は、ハイルーフタイプを設置しておくと安心です。
門扉一体型もおすすめ
跳ね上げ式は出入りのたびにゲートを持ち上げなければならないため、人が通行する門扉と兼用にするのは現実的ではありません。跳ね上げ式カーゲートを設置した場合は、人が通るための門扉を別途設置する必要があります。
ただ、カーゲートとは別に門扉を施工すると予算オーバーになる場合や、カーゲートと門扉のデザインを統一したい場合もあるでしょう。その場合は、門扉一体型のカーゲートを選ぶのがおすすめです。
ペットガードタイプもある
ペットを庭で遊ばせたい場合は、ペットガードのオプションをつけられるタイプを選びましょう。
カーゲートの跳ね上げ式は下部に隙間が開いています。この隙間を狭くしてペットが飛び出さないようにガードするオプションをつけられる製品があり、敷地内にワンちゃんを放し飼いにしたい方にはおすすめです。
ただし、小型犬など犬種によっては対応できない場合があります。また、猫の侵入防止対策には使えません。
その他のカーゲートの種類と特徴

カーゲートの形状や扉の展開方法にはいくつかの種類があり、エクステリアのスペースに合ったものを設置することで、空間を効率的に活用できます。
ここでは、代表的なカーゲートを3種類紹介するので、跳ね上げ式と比較して検討してみましょう。
伸縮式タイプ
伸縮式はアコーディオン状で蛇腹が動くように開閉するタイプで、現在最も普及しているカーゲートです。施工費用が比較的安く、サイズやデザインが豊富な点がメリットです。
スペースが狭い場合や、反対に広い範囲に設置したい場合、そのほか傾斜した土地など、ほかのカーゲートを設置しにくい条件の場所でも設置できます。
デメリットは開閉時に揺れやすい点、台風などの悪天候時には事前に開けた状態で固定する必要がある点です。
引き戸タイプ
引き戸タイプは、扉を横にスライドして開閉するタイプです。扉の開閉方法によって片開き、両開き、引き違いの主に3種類があります。
完全に目隠しできるデザインがあり、クローズド外構のデザインに合わせやすく、高級感のあるのが大きなメリットといえます。
引戸のデメリットは費用が高く、種類が少ない点です。また、扉を収納するスペースが必要なため、スペースに余裕がない場合は設置できません。傾斜地にも向いていないため、傾斜地の場合は伸縮式を選ぶことになります。
シャッタータイプ
シャッタータイプは、上に巻き上げて開閉するタイプのガレージにもよく使われるカーゲートです。高級感があり、防犯性が高い点が大きなメリットで、雨天時もリモコンで操作すれば雨に濡れずにゲートを開閉できます。
上に巻き上げる構造のため、車庫前のスペースを有効活用できる点もシャッタータイプの大きな特徴といえるでしょう。
一方で、費用が高額な点、取り付けの際に左右にスペースが必要な点、圧迫感が出る場合がある点には注意が必要です。
跳ね上げ式カーゲートと合わせて設置されるもの

ここでは、跳ね上げ式カーゲートと合わせて設置される代表的な設備を紹介します。あとで設置すると現地調査や契約などで手間がかかるため、必要な設備は同時に設置したほうがお得です。
カーポート屋根の設置
跳ね上げ式カーゲートと同時にカーポートを設置すると、雨や汚れから車を守れます。カーポートの屋根は多くの場合、ポリカーボネート板を使用しており、光を取り入れながら紫外線の大幅カットが可能です。そのため、塗装の色褪せや車内の温度上昇を防げます。
動線を工夫すれば雨の日でも濡れることなく玄関ドアやテラスまで移動できるため、悪天候で荷物が多い日もストレスなく駐車場を利用できるでしょう。
車止めの設置
カーゲートを設置する際には同時に車止めも設置することをおすすめします。車止めがあることでドライバーに適切な停止位置を知らせ、後方にある外壁や植栽などへの衝突事故防止が可能です。とくに夜間には駐車位置の目安となるため、設置することで安全性を保てます。
近年では一般的なコンクリート製の車止めだけでなくさまざまなデザインのものがあります。エクステリアのデザインに合わせて設置することで、外構をおしゃれに演出できる点も魅力です。
跳ね上げ式カーゲートに関するよくある質問

ここでは、跳ね上げ式カーゲートに関してよくある質問とその回答を紹介します。カーゲートに跳ね上げ式を選んで後悔しないためにも、しっかりチェックして疑問を解消しておきましょう。
跳ね上げ式のカーゲートの寿命は?
跳ね上げ式カーゲートの耐用年数は、電動式は約10年、手動式は約15年とされています。正確な寿命はメーカーや素材、使用頻度によって大きく変わりますが、電動式であれば10年を1つのサイクルとして交換を計画すればよいでしょう。
既存カーポートに後付けできる?
既存のカーポートに跳ね上げ式のカーゲートをあとから設置することは可能です。
侵入防止や盗難防止など、カーポートの防犯性を高めたい方や、カーポートの屋根の下でペットや子供を遊ばせたい方は、カーゲートを設置すると安全性を高められ、カースペースの活用方法も広がるでしょう。
停電時に手動で開けられる?
停電などでカーゲートが開かない場合、手動でロックの解除が可能です。解除の方法は製品によって異なりますが、アームのロックつまみを回して解除するなどの方法でカーゲートを開けられます。
まとめ

跳ね上げ式カーゲートは、デザイン性や機能性が優れている点が大きな魅力です。しかしその一方でさまざまなデメリットがあるので、住まいの条件と照らし合わせながら検討しましょう。
駐車場のゲートにはオープン外構に適したチェーンポールから、クローズド外構に適したシャッターなどさまざまなものがあります。
ニーズやスペースに合ったものを選択すると満足度アップにつながるので、業者と相談しながら理想に近づけていくのがおすすめです。
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