
レンガはその温かみのある風合いが、洋風の住宅やガーデニングと相性がよい素材です。門柱、門扉から玄関へと続くアプローチにレンガを敷き詰めれば、おしゃれなエクステリアが完成するでしょう。
では、アプローチにレンガを使用する場合は、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。この記事では、外構にレンガを使うメリットとデメリット、おすすめのデザインなどについて解説します。
玄関アプローチにレンガを使うデメリット

玄関アプローチにレンガを使用する際は、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
ここでは、アプローチの床材をレンガにするデメリットや対応方法を紹介します。検討している場合はデメリットを理解したうえで採用するようにしましょう。
カビや藻が生えることがある
レンガは直射日光が当たりにくい場所ではカビや苔、藻が生えやすく、見た目が悪くなったり滑りやすくなったりする点がデメリットです。
レンガは粘土や泥、砂でできていますが、カビは粘土や泥も栄養分にして繁殖するので、レンガ自体がカビのエサとなりやすいのです。さらに、レンガには無数の穴が空いており、この穴が雨などの水分を吸収するため、水分と栄養がある場所を好むカビや苔にとっては快適な場所といえるでしょう。
レンガ表面の黒ずみは、カビや苔、藻が発生しているサインです。カビは深く根を張ると落としきれないため、見つけたら早めにブラシや高圧洗浄機で落とすようにしましょう。
雑草が生えることがある
アプローチにレンガを敷くことで雑草対策になりますが、レンガとレンガの隙間から雑草が生えてくる可能性に注意が必要です。
雑草が生えやすいのは砂ぎめ工法と呼ばれる、砂を敷いた上にレンガを並べる工法です。砂ぎめ工法は、デザインがイメージと違った場合にすぐに位置を変更できる点がメリットですが、隙間の砂から雑草が生えてしまいます。
一方、雑草が生えない工法にレンガ舗装というものがあります。レンガ舗装は、コンクリートを流し、その上にレンガを並べてモルタルで目地を埋める工法です。雑草対策としては効果がありますが、施工費用が高いのがデメリットです。
レンガのズレや沈下が起こる可能性がある
レンガのアプローチは適切に砕石を敷き、コンクリートで土台をつくっておかないと、ズレや沈下が起こるケースがあります。
施工時の気温にも影響を受けやすく、寒冷地では水分が染み込んだレンガが凍り、割れてしまうおそれもあります。
業者に施工を依頼する場合は、経験豊富な業者を選ぶことがポイントです。業者のホームページで施工事例などをチェックし、しっかりとした実績のある業者に依頼しましょう。
風化しやすい
レンガを外構素材で使う場合、風化しやすい点は理解しておきましょう。経年による味わいの変化を楽しめる素材ではありますが、タイルや天然石などのほかの床材に比べて劣化しやすいというデメリットがあります。
レンガは部分的に補修しようと思っても、同じものが手に入らないこともあり、補修した部分が目立ってしまうケースも少なくありません。レンガのアプローチを検討する場合は、長期的な目線で考えることが大切です。
施工費用が高くなるケースもある
外構のレンガ敷きは費用が高くなる場合もあるので注意が必要です。レンガは1個当たりの価格は200~300円と安いのですが、施工には整地や下地作りなど、技術を要する作業が含まれるため、その分費用がかかります。
下地作りとは、レンガを設置する部分を掘り下げ、路盤材と呼ばれる砕石を敷き、そのうえにモルタルを入れる作業です。その上にレンガを並べ、隙間をモルタルで埋めます。
DIYでは一連の作業が難しく、綺麗に仕上がらないケースもあります。安全できれいな外構にしたい場合は、費用がかかってもプロに依頼しましょう。
玄関アプローチにレンガを使うメリット

では反対に、玄関アプローチにレンガを使うとどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下に外構をレンガ舗装にしたときの魅力や機能性を紹介するので、デメリットと比較して採用するか判断してください。
デザイン性が高い
レンガの最大の魅力は、そのデザイン性です。温かみと高級感があり、住まいに洗練された風格を与えてくれます。レンガには、国内外に多くのメーカーがあります。焼成方法によって表面の色や風合いに違いがあり、自然な濃淡が外構に個性を加えてくれるのも魅力です。
また、自然な風合いがタイルやコンクリートとも調和するので、組み合わせによってデザイン性をさらに高められます。植栽との相性も抜群で、シンボルツリーやグラウンドカバー、ハーブなどと組み合わせておしゃれな洋風住宅を演出できます。
雨の日でも滑りにくい
レンガのアプローチは水に濡れても比較的滑りにくいという特徴があります。ある程度の透水性もあり、濡れても歩きやすいので、人の往来が多いアプローチに最適です。
ただし、その透水性により苔が生えやすく、表面に生えると滑りやすいので、こまめな掃除がかかせません。人が歩く場所だけでも、定期的にデッキブラシでこすって苔を取り除きましょう。
安全性を高めるために表面がザラザラした素材を選択する、アプローチを直線にせず蛇行させるなどの工夫をすると安心です。
自然素材で経年変化を楽しめる
レンガは粘土や泥を焼成した自然素材です。砕くと土に還り、有害物質を発生させないため、地球にも人体にも優しい素材だといえるでしょう。
自然素材の特徴といえば経年による風合いの変化です。エクステリアのレンガは直射日光や風雨にさらされることにより、その表情が変化していきます。表面に凹凸ができたり、角が丸くなったりして、味わい深くなっていきます。
年月の経過とともに変化を楽しめるのは、ほかの外構素材にはない魅力です。
レンガのデザイン例

レンガは並べ方ひとつで印象が大きく変わります。アプローチにレンガを敷き詰めたい場合は、並べ方もシミュレーションしておきましょう。ここでは、人気のデザイン例を4つ紹介します。
ランニングボンド
ランニングボンドは最もスタンダードなレンガの敷き方です。レンガを半分ずつずらして敷く簡単な方法なので、DIYでも施工しやすい並べ方といえます。
ただし、端をまっすぐにそろえるためには、ハーフサイズのレンガが必要です。DIYの場合は事前に確保しておくか、あえて両端に凹凸があるデザインにするとよいでしょう。
どんなタイプのレンガでもおしゃれにできるので、アンティーク調のレンガや角が丸い柔らかな雰囲気のレンガなど、イメージに合わせたレンガ選びを楽しめます。
ヘリンボーン
ヘリボーンはV字が連続して並んでいるように見えるデザインで、公園など広い場所でよく見られる敷き方です。隣合ったレンガがお互いをしっかりと支え合う構造になっているので、レンガがずれにくいというメリットがあります。
ヘリボーンにはヘリボーン90度とヘリボーン45度の2つのパターンがあります。ヘリボーン45度を直線の縁に沿わせるためにはレンガを三角形に切る必要があるため、DIYでは難しい施工方法です。この敷き方を希望する場合は外構工事業者に依頼しましょう。
バスケットウィーブ
バスケットウィーブは、レンガを2個ずつ縦横に組み合わせていく並べ方です。2個ずつまとめて敷いていくうえ、レンガを割らずに敷いていけるため、DIYでも簡単に敷き詰められます。
広い場所に敷くと、空間をより広く見せてくれる効果があります。また、しっかりとした印象に仕上がるのも特徴です。敷くときは、縦2個が2セット、横2個が2セットの8枚を1つのグループと考えると、きれいに敷けます。
バスケットウィーブには、縦1枚、横2枚の計3枚を1組としたハーフバスケットウィーブというパターンも存在し、バスケットウィーブで敷き詰めるには狭い場所で採用されます。
ジャックオンジャック
ジャックオンジャックは、レンガをずらさず、縦横に揃えて敷くパターンです。直線的ですっきりとしたデザインなのでモダンな住宅に合わせやすいデザインです。
レンガを2色用意して、交互に並べるとさらにデザイン性もアップするでしょう。また、半端なレンガができないため、レンガを切るなどの加工の手間がかかりません。
注意点は強度です。目地が十字に交差するため強度が低く、欠けたり崩れたりしやすい点には注意が必要です。
他の素材とレンガを比較!どんな人に向いている?

外構の床材にはさまざまな種類があります。素材を選ぶ際は、外構の環境や住む人のライフスタイルに合わせて考えることが大切です。
以下にアプローチに人気の床材を紹介するので、レンガと比較して考えてみましょう。
インターロッキング
インターロッキングとは、お互いが噛み合う形をしたコンクリート製のブロックを組み合わせて施工する床材です。耐久性が高く、車が通行する車道でも長期間利用できることから、公道や公園でもよく採用されています。
タイルなどとは違い、組み合わせたブロックの間に砂を入れるため、水はけがよく、舗装した部分に水たまりができにくくなります。カラーバリエーションや形が豊富で、カラフルな仕上がりからレンガ風の仕上がりまで、自由にデザインを選べる点も大きなメリットです。
コンクリート
コンクリート土間は近年の新築住宅の外構で人気の素材です。コンクリートは耐久性が高いため、メンテナンスの手間がほとんど必要ありません。色も明るいグレーなので、住まい全体を明るい印象にしてくれます。
表面の仕上げ方法は基本の金ゴテ仕上げのほか、滑りにくい刷毛引き仕上げ、デザイン性の高い洗い出し仕上げなどがあり、用途や好みに合わせたデザインが可能です。また、砂利と組み合わせてデザイン性と防犯性を高めるなど、異素材との調和を楽しむこともできます。
ただ、夏場は照り返しが強く、外構が暑くなってしまう場合があります。また、コンクリートの収縮により、表面に細いひびが入りやすい点はデメリットといえるでしょう。
タイル・石材
タイル、石材は外構に高級感を出したいときにおすすめの床材です。
タイルは色や大きさなどの種類が多く、意匠性が高い点が特徴です。とくに洋風の住宅に高級感を出したい場合には最適です。耐久性が高く、掃除の手間が少ない点もメリットといえるでしょう。
石材は、薄く切り出した天然石を並べて外構の床を仕上げます。重厚感があり、石の種類によって和洋どちらのテイストにもよく合います。天然石は濡れると色が変わるため、晴れの日と雨の日で表情の変化を楽しめる点も魅力です。
タイルも石材も施工費用が高額になる点がデメリットですが、どちらも耐久性が高いため、一度設置すれば長くきれいな状態を保てる、コストパフォーマンスの高い素材です。
玄関アプローチにレンガを使うときのよくある質問

ここでは、玄関アプローチにレンガを使用したいと考えたときによく挙がる質問とその回答を紹介します。
外構のリフォームや新築外構を計画している場合はしっかりチェックして疑問を解消しておきましょう。
玄関アプローチにレンガを置くだけでも問題ない?
外構にレンガを置くだけで済ませるのはできるだけ避けましょう。基礎をつくらず、レンガを並べるだけでは、上を歩いたときにガタガタしてしまいます。人が踏んだ時にレンガ同士がぶつかって欠けてしまうリスクにも注意が必要です。
そのほか、隙間から雑草が生えて浮いたり、隙間から水が入ってレンガが劣化して割れたりするなど、外観が悪くなる可能性も否定できません。
レンガを設置する場合は、レンガの高さ分地面を掘り、しっかりと基礎をつくった上にレンガをモルタルで固定することが大切です。
玄関アプローチをレンガで作るといくらくらいかかりますか?
玄関アプローチをレンガ敷きにする場合の費用相場は、1㎡あたり約2万円が目安です。地面が整地されていない場合は、整地費用が6万円程度かかります。
アプローチが15㎡の場合、35万円程度かかると考えておきましょう。レンガ1個の価格は200~300円と比較的安価ですが、アプローチに敷き詰めるには数が必要で、下地作りには技術が必要なため、高額になります。
レンガ敷きはレンガの種類や敷き方でも費用が変わるので、業者に現地調査と見積もりを依頼し、正確な費用を出してもらうと安心です。
まとめ

レンガはぬくもりのある風合いでエクステリアをナチュラルに彩ってくれる素材です。植栽や枕木などのオブジェと組み合わせて簡単に理想の外構に近づけてくれる点も大きな魅力です。
デメリットを理解したうえで採用すれば、使いやすくおしゃれな外構を実現できるでしょう。施工はDIYでも可能ですが、品質のよい床面に仕上げたい場合は業者に依頼することをおすすめします。
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