タイルデッキは1階の庭部分に取り付けるタイル製のデッキです。リビングと同じ高さに作ることでリビングを広く見せたり、洗濯物干し場としても活用できたりと、多くのメリットがあります。
一方で、タイルデッキを設置したことを後悔するケースも少なくありません。
この記事では、タイルデッキの失敗談や後悔しないためのポイントを紹介します。
タイルデッキによくある後悔・失敗談
では実際に、タイルデッキにはどのような失敗談があるのでしょうか。
ここでは特に多いデメリットを紹介するので、新築やリフォームでタイルデッキの設置を検討している場合はチェックしておいてください。
想定より施工費用が高かった
タイルデッキは施工費用が高い点が大きなデメリットの一つです。そのため、思っていたよりも工事費用が高額になってしまったというケースがよくあります。
これは素材のタイルが高額な点が理由のひとつとして挙げられるでしょう。理想通りのデザインにしようとすると予算オーバーとなり、妥協して違うタイルを選んだら、思ったようなタイルデッキに仕上がらなかった、ということも。
予算内にタイルデッキを設置するには、外構工事業者に希望のテイストを伝え、最適なプランを提案してもらうのがおすすめです。
使う頻度が少なすぎた
バーベキューやピクニック、ペットや子どもの遊び場、洗濯物干し場など、さまざまな活用方法があるタイルデッキですが、実際に生活してみたらあまり使わなかった、というケースも少なくありません。
子どもが小さいうちは危険なので近寄らせないようにする場合もあるでしょう。使わないタイルデッキは庭の障害物となり、邪魔になってしまいます。
後悔しないためには、設置する前にタイルデッキをどのように活用するのか、ライフスタイルに合っているか、よく検討することが大切です。
タイルが割れ・欠けやすかった
タイルが割れる原因は主に以下のようなケースがあります。
・衝撃による破損
タイルを施工する際の接着剤が足りなかったことで隙間から水が浸入して劣化する
経年劣化によりタイルの下地が痩せて隙間ができる
タイルが割れていると見た目が悪いだけでなく、転倒の危険性もあります。また、小さな割れやひびから水が浸入して大きな劣化につながるため注意が必要です。
タイルの上に重いものを落とさないようにすることはもちろん、経験と実績が豊富な外構工事業者に依頼する、定期的に業者に点検してもらうといった対策をすると、長く安心して使用できます。
色によって汚れが目立つ
タイルデッキの色によっては汚れが目立って後悔するケースがあります。
タイルは汚れが落ちやすい素材ではあるものの、泥の足跡が頻繁についていると気になることもあるでしょう。
泥汚れは土が湿った状態のときは白いタイルの上で目立ち、乾くと黒っぽいタイルの上で目立ちます。汚れを目立ちにくくするには、ベージュやグレーのタイルを選ぶと良いでしょう。
また、汚れが目立たない色のタイルでも、目地の汚れが目立つ場合もあります。目地はタイルよりも汚れが落ちにくいので、頻繁にメンテナンスをして汚れが定着しないようにしましょう。
夏は想像以上に熱くなった
タイルデッキは熱を溜め込む性質を持っているため、日差しにより高温になる点に注意が必要です。特に夏場は表面が素足で歩けないくらいに熱くなってしまいます。
照り返しで室内も高温になってしまい、冷房効率が下がってしまう点も大きなデメリットといえるでしょう。反対に、冬場はタイルデッキが氷のように冷たくなり、暖房効率を下げてしまう可能性があります。
夏場はシェードなど屋根の代わりになるものを設置して日陰を作るのがおすすめです。
想像していたよりも滑りやすい
タイルは素材によっては滑りやすいという特徴があります。特に雨のあとや霜が降りたあとのような濡れた状態は滑りやすくなります。
床面が硬いので、転倒すると大けがにつながるおそれがあり危険です。そのため、素材選びの際はできるだけ表面にざらつきのある、滑りにくい素材を選ぶと安全です。
タイルメーカーのカタログには滑りにくさを表記している製品もあるので、そのような情報を押さえておくと良いでしょう。
照り返しで眩しい
明るい色のタイルデッキは、時間帯によって照り返しによる眩しさを感じることがあります。
照り返しがきついと眩しさだけでなく、夏場の高い外気温に加えて太陽光の熱も取り込み、室内が高温になってしまうこともあるでしょう。
特に白系の色は照り返しが強いので暗い色を選ぶと照り返しを防げますが、黒系のタイルは熱を吸収しやすく夏は高温になるので注意が必要です。
リビングが眩しい場合は、タイルデッキの上にシェードやパーゴラなどの日陰を設置する、カーテンやブラインドを利用して差し込む光を軽減するなどの対策方法があります。
サイズが小さすぎた
タイルデッキはオーダーメイドで作るため、広さは施主の自由に決められるのが一般的です。一方で、自由度が高いためにサイズに失敗するケースも多くあります。
後から追加するのが難しい設備なので、計画の段階でどのように使用したいのかよく考えておき、後悔のないサイズを設置しましょう。
タイルデッキのサイズの目安は、4~6人でバーベキューをするなら、間口3.6m×奥行2.4mのサイズ、子どものプール遊びに使うなら2人用プールで間口2.1m×奥行2.1mが最適です。
完成後にイメージと違った
タイルデッキはウッドデッキのように簡単に交換ができません。一度設置するとやり直しに高額な費用がかかるため、事前にデザインをしっかりとシミュレーションしておく必要があります。
タイルの色はもちろん、タイルのサイズで大きく雰囲気が変わるので、どのような仕上がりになるのかイメージしておきましょう。
タイル選びのコツのひとつとして、建物とエクステリアの色と同じ色味のタイルを選ぶと全体的に統一感が出て失敗を防げます。
タイルデッキで後悔しないためのポイント
ここでは、後悔なくエクステリアにタイルデッキを設置するためのポイントを紹介します。
以下の項目を一つひとつチェックして、外構工事業者と相談しながら施工の計画を立てると、おしゃれで使いやすいタイルデッキに仕上がるはずです。
デッキを設置する目的を明確にする
利用目的が明確になっていないと、中途半端なサイズのデッキを設置してしまい、結局あまり使わないスペースになってしまうこともあります。
せっかくのタイルデッキを最大限に活用するには、事前にどのような用途で利用するのかシミュレーションしておくことが大切です。
テーブルと椅子はどのサイズのものを何個設置したいのか、子ども用のプールはどれくらいのサイズを置きたいのか、布団は一度に何枚干したいのかを、工事事例などを参考に検討しておくと失敗を防げます。
デメリットを理解し検討する
タイルデッキはメリットだけでなく、上で紹介したデメリットを理解したうえで設置を検討しましょう。
タイルデッキは一度設置すると撤去や変更は簡単ではありません。そのため、使い始めてからデメリットに気づくと、設置したことを後悔してしまうのです。
外構工事でデッキを設置した人のブログや質問掲示板、SNSなどを調べて先輩施主の生の声を収集しておくと参考になります。
予算内で施工可能な大きさを確認しておく
タイルデッキは予算によって完成サイズが大きく変わります。そのため予算内でどれくらいの広さのタイルデッキが設置できそうか、あらかじめ確認しておくことが重要です。
費用相場は、複数の外構工事業者から相見積もりを取ると把握できます。自宅の地域が施工エリアの外構工事業者3社程度に問い合わせて、現地調査と見積もりを依頼しましょう。
予算を伝えれば、各社が予算に合わせたプランを出してくれます。このとき具体的に要望を伝えておくと、理想に近いウッドデッキを実現しやすくなるのでできるだけ細かく希望を伝えましょう。
タイルデッキを設置するメリット
タイルデッキにはウッドデッキにはない魅力も多くあるので、ウッドデッキと迷っている場合はぜひチェックして、比較検討してください。
高級感がありデザイン性が高い
タイルデッキの最大のメリットはその高級感です。全体がスタイリッシュで洗練された雰囲気になるので、玄関ポーチやアプローチなどに高いデザイン性と高級感を持たせる目的でも、タイルがよく使われます。
特にダーク系やモノトーン系、石目模様、木目調模様がプリントされたタイルを使うとモダンでラグジュアリーな雰囲気を演出できます。
選択肢が幅広く、選び方によってカジュアルにするなど雰囲気を調節できるのも、タイルの魅力といえるでしょう。
階段や段差がついた設計にする、植栽と組み合わせるなどすると、機能性とデザイン性を兼ね備えたタイルデッキが完成するはずです。
タイルのバリエーションが豊富
タイルには非常に多く種類があり、住宅の外構に使われるタイルの種類もさまざまです。
形状は、最もスタンダードな正方形の角型タイルのほか、天然石を敷き詰めたような仕上がりになる乱型タイル、円形のデザインを作れるサークル型タイルなどがあります。
角型タイルのサイズはメーカーごとに幅広くありますが、300×300、600×600が人気のサイズです。
多彩なタイルのどれを選ぶかでエクステリアの雰囲気は大きく変わるため、理想通りの外構に仕上げられます。
経年劣化しづらい
タイルは、粘土などを高温で熱しているため、熱、火、水に強く、酸性やアルカリ性などの薬品の影響も受けないことで知られています。
色褪せや変色もないため、お手入れがしやすく、いつまでもきれいな状態を保てるのも大きな特徴です。
ほかの床材に比べて外構工事費用が高額になる傾向がありますが、長期間高級感を保てるため、コストパフォーマンスが高い素材だといえるでしょう。
バーベキューも安全に楽しめる
タイルは熱や火に強い素材なので、タイルデッキの上にバーベキューコンロを置いて、安心してBBQを楽しめます。
デッキに椅子とテーブルを置けば、近くでお肉を焼きながら気軽に食事ができ、掃除も簡単なのでBBQの後の掃除も比較的楽にできるでしょう。
同じデッキでも木材でできたウッドデッキの上にバーベキューコンロを置くのは危険です。
地面にブロックなどを敷き、その上で火を使うことになります。あくまでもウッドデッキは食事を楽しむ場所として使用するものです。
移動の手間なく便利にバーベキューを楽しみたいならタイルデッキが向いています。
ウッドデッキと違い隙間から物が落ちない
タイルデッキはウッドデッキと違い、隙間がありません。タイルとタイルの隙間は目地となり、モルタルで埋められています。
そのため、床面の下に物が落ちる心配がなく、ゴミが溜まることもありません。構造上隙間がなく、床面の下は空間になっていないので、雑草や虫の発生に悩まされることもないでしょう。
下に落ちたゴミや雑草を取り除く手間がなく、清潔な状態を保ちたいならウッドデッキよりもタイルデッキの方がおすすめだといえます。
タイルデッキを設置する際の注意点
ここではタイルデッキを設置する際にあらかじめ知っておきたい注意点を紹介します。
多くの人が実際にデッキを設置してから知っておけばよかった、と後悔しがちな点を中心に紹介するので、タイルデッキを快適な場所として長く利用するための参考にしてください。
使用時の靴・サンダルや素足を考慮する
タイルデッキの完成後にデッキの上を歩くサンダルや靴を、あらかじめ考えておくと良いでしょう。
タイルデッキは夏場に表面が高温になりやすく、素足で歩くとやけどのおそれがあります。
子どもを遊ばせたい場合、夏のタイルデッキの上で素足で遊ぶのは危険なので、子ども用の履物も必要です。少なくとも日差しが強くなる季節の前までには履物を用意しておきましょう。
定期的な掃除が欠かせない
タイルデッキを長くきれいな状態に保つには、定期的に掃除をしましょう。とはいえ、タイルは汚れに強く、掃除はとても簡単なので安心してください。
普段は掃き掃除でも十分ですが、土汚れが気になってきたらデッキブラシでこすりながら水洗いすればOKです。それでも落ちない汚れは中性洗剤を使ってデッキブラシで洗い、水で流しましょう。
黒ずみや水垢が気になる場合は、石用の汚れ落としを使うと効果的です。
リビングとの段差に注意する
タイルデッキをリビングと同じ高さにすると、リビングとひと続きの空間となり、リビングを広く見せられます。特にリビングが狭い場合や窓が小さい場合は効果を感じられるでしょう。
ただ、デッキをリビングと完全に同じ高さにするのは難しいといえます。同じ高さにすると結露や雨水の逃げ道がなくなってしまうためです。
多くの場合、タイルデッキの最大の高さは住宅の水切りの下となり、多少の段差ができることは考慮しておきましょう。
最近では排水できるようにタイルデッキ用のグレーチングを設置してフラットにする方法もあるので、このようなアイテムが設置可能かどうか業者に相談してみてください。
周囲からの視線への配慮が必要
タイルデッキが道路に面していたり、近隣から見えやすい位置にあったりする場合、視線が気になることがあります。その場合、目隠しフェンスやガーデンフェンスなどを設置してプライバシーを守りましょう。
目隠しフェンスは周囲からの視線を遮り、タイルデッキで快適に過ごせるだけでなく、リビングへの目隠し効果もあるので、カーテンを締めなくても周囲からの視線を気にせず住む人がリラックスして過ごせます。
一方で目隠しフェンスは圧迫感を与えたり、日当たりが悪くなったりするなどのデメリットもあるので、設置場所や設置範囲に注意しましょう。
代替案も検討しておく
エクステリアの計画を進めていくと、お庭のスペースや予算、設置条件によってタイルデッキの設置が難しいこともあるでしょう。
その場合は、ウッドデッキに変更する、タイルテラスを設置する、コンクリート床にするなどの方法があります。
タイルテラスとは、掃き出し窓に隣接した庭部分に設けたタイル張りの床のことです。タイルデッキと異なり、リビングと大きな段差ができますが、タイルの床面として洗濯や子どもの遊び場、バーベキューなどに利用でき、庭のアクセントにもなります。
まとめ
タイルデッキは家族の生活空間を広げてくれる存在です。それだけでなく、その高級感がエクステリアにメリハリをつけてくれるでしょう。
ただ、一度設置すると撤去や変更が難しいのも事実です。後悔しないタイルデッキを設置するためには、事前にメリットとデメリットを把握し、ライフスタイルに合ったデッキを設置することが大切です。
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