
スタンプコンクリートは、タイルや天然石、レンガ、ウッド調など自然素材の質感をコンクリートで表現できる人気の舗装材です。
本物そっくりの見た目と耐久性、メンテナンス性から検討する人も多いですが、デメリットもあるため注意しなければなりません。今回は、スタンプコンクリートのデメリットや後悔しやすい設置場所などについて解説します。
スタンプコンクリートのデメリット・後悔ポイント

まずはスタンプコンクリートの代表的なデメリットを紹介します。設置してから後悔しないためにも、使用感とメンテナンスの両面からデメリットを理解しておきましょう。
施工品質の差が出やすい
スタンプコンクリートは職人の技術と経験によって施工品質に差が出やすいため、注意が必要です。
コンクリートにスタンプで型押しすれば形ができあがるため、誰に頼んでも同じ仕上がりになると思うかもしれませんが、均一にきれいに押し付けるためには熟練の技術が必要です。経験の浅い人が施工すると、型崩れや凹凸のばらつきが生じやすくなります。
型押し作業はコンクリートが適切に固まったタイミングで短時間で行わなければなりません。そのため、施工実績の豊富な業者に依頼することが大切です。
ひび割れ(クラック)しやすい
スタンプコンクリートは、通常のコンクリートと同様にひび割れしやすい素材です。コンクリートは伸縮しやすい素材のため、温度変化や乾燥により膨張と収縮を繰り返し、ひび割れを起こします。
ただし、スタンプコンクリートは表面に模様を入れているので通常のコンクリートに比べてひび割れは目立ちにくいです。さらに、表面に塗装するトップコートがひび割れの進行を遅らせる効果を持っています。
メンテナンスが前提になる
スタンプコンクリートは3年に1回を目安に表面のトップコートを塗り替えることが前提となります。
通常のコンクリートであれば、一度施工したら特にメンテナンスは必要ありません。しかしスタンプコンクリートは経年により色褪せやタイヤ痕による汚れが付いて表面の着色が劣化してしまうため、美観を維持するためには塗装が必要です。
メンテナンスが手間だと感じる場合は初期費用が高額でも天然石やタイルを床材に選んだ方がよいでしょう。
経年劣化で色落ち・ツヤ落ちが目立ちやすい
スタンプコンクリートは天然石やタイルのような風合いを作り出せますが、経年劣化により色落ちしたり艶を失ったりしてしまいます。
表面にしか着色されていないので、表面の色が剥がれると元のコンクリートの色が見えてしまい、天然素材の風合いが失われる点は留意しておかなければなりません。
最近ではベースの色が表面と同じ色になっており、表面が剥がれてもコンクリートの色が出てこない製品も登場しています。
とはいえ、美観を保つためには定期的なトップコートの塗り替えメンテナンスが必要です。
部分補修は難しい
スタンプコンクリートは部分補修が難しいというデメリットを持っています。レンガやタイルなら、欠けたり割れたりした部分を交換すれば補修が完了します。
しかし、スタンプコンクリートは、タイルを張り合わせたように見えても全体が1枚のコンクリートです。そのため、破損した部分のみを交換することはできないのです。
模様によっては目地の部分を切って補修が可能ですが、補修部分が目立つ可能性があるため、外構工事業者に相談して補修方法を決めた方がよいでしょう。
雨の日・冬場に滑りやすい
スタンプコンクリートは雨や雪で濡れると滑りやすい点もデメリットの一つです。
スタンプコンクリートが滑りやすくなるのは、表面に塗るトップコートがつるつるしているためです。また、模様の凹凸が浅いデザインは雨水が表面に溜まりやすいため、滑ってしまうことがあります。
スタンプコンクリートを滑りにくくするには、トップコートの上から滑り止めを塗布する、トップコートの表面を研磨して滑りにくくする、汚れを高圧洗浄できれいに落とすなどの方法があります。
スタンプコンクリートで後悔しやすい施工場所

スタンプコンクリートは上でご紹介したようなデメリットがあるので、施工場所によっては設置を後悔することがあります。特にここで挙げる3つの場所は、避けた方がよい場合もあるでしょう。
駐車場で起こりやすいデメリット
スタンプコンクリートは頻繁に車の重みやタイヤの摩擦が起こる駐車場では、タイヤ痕が付いたり表面が摩耗したりして色落ちすることがあります。
広い面積の駐車場の美観が悪くなると外構の劣化が目立つため、特に敷地の前面をカースペースにしている場合は後悔することもあるでしょう。
駐車場に施工する場合は、高耐久の製品を選んだり、こまめなメンテナンスをしたりする必要があります。
アプローチ・玄関前で注意すべき点
スタンプコンクリートは雨で濡れると滑りやすいため、通行に危険性を感じ、後悔することもあるでしょう。
玄関から道路をつなぐアプローチは住宅を出入りする際に家族や訪問者が必ず通る場所のため、安全性を重視した設計にしなければなりません。
アプローチに傾斜がある場合は、安全性を確保するためにスタンプコンクリートの採用を避けるか、滑り止め施工をするなどして対策しましょう。
日当たり・水はけが悪い場所の注意点
日当たりや水はけが悪くジメジメした環境はスタンプコンクリートにコケやカビが生えやすく、転倒リスクが高まります。
通常のコンクリートとは異なり、表面に型押しによる凹凸を作っているため、汚れが溜まりやすく落としにくいため、コケやカビが深く根を張りやすい環境といえるでしょう。
日当たりが悪く水はけが悪い場所はほかの素材を選ぶか、こまめに洗浄して表面に付着した汚れを落とすと、カビやコケの発生を抑えられるはずです。
スタンプコンクリートのメリット

これまで、スタンプコンクリートのデメリットや後悔しやすい点について解説してきましたが、メリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
以下に代表的なメリットを紹介するので、デメリットと照らし合わせて検討してください。
デザイン性が高い
スタンプコンクリートは高いデザイン性が魅力です。模様を作るスタンプの種類が多く、さらにカラーバリエーションも豊富なため、組み合わせによって好みのデザインを作り出すことができます。
模様は、ランダムストーンをはじめ、石畳、レンガ調、枕木調などさまざまです。色によってヴィンテージな雰囲気を出したり、明るくモダンなデザインにしたりできるので、住まいと調和の合った仕上がりにできます。
工事期間が短い
工期が短い点もスタンプコンクリートのメリットです。天然石やタイルを施工する場合、下地作り、素材の接着、目地入れ作業が必要です。
スタンプコンクリートは下地を作る作業が不要で、さらに素材を並べることなく、コンクリートにスタンプを押し付けて形を作ります。
簡単に天然石風、タイル風の模様を作り出せるうえ、コンクリートが固まる前にスピーディーにスタンプ型を押す必要があるため、短い工期でおしゃれな床面が完成するのです。
コストを抑えやすい
スタンプコンクリートは本物の石材やタイルに比べて材料費が安く工期も短いため、コストを抑えて施工できます。
天然石やタイル敷きの床材は材料費が高額なことで知られています。スタンプコンクリートはコンクリートを石材風やタイル風にデザインすることで、コストを大幅に抑えられるのです。そのため、コストを抑えつつこだわりの外構にしたい人に向いています。
特に面積が広くなるほど割安になり、耐久性が高い床材に施工できます。
耐久性に優れている
スタンプコンクリートは耐久性の高い素材としても知られています。
もともと耐久性の高いコンクリートの表面をトップコートでコーティングするので、通常のコンクリートのおよそ2~3倍もの耐久性があると言われているのがその理由です。さらに、トップコートは3年に1回の塗り直しが推奨されています。
定期的な塗り直しによりコンクリートでよく起こるひび割れの進行も遅く、長く使用できる点がメリットです。
目地が少なく雑草が生えにくい
スタンプコンクリートは地面をコンクリートで完全に覆うため、雑草の心配はほぼなくなります。レンガやインターロッキングのように目地が多くなく、砂利敷きのように表面に砂が溜まることもありません。
また、土や水分、養分を持たない素材で、種子が発芽しにくいのも雑草が生えにくい理由の一つです。
雑草が生えにくい環境は、草むしりの手間が大幅に削減できる点、敷地の美観を保てる点、害虫の発生を抑えられる点で大きなメリットといえるでしょう。
スタンプコンクリートと他の外構舗装材を比較

外構の床材には多くの種類があります。スタンプコンクリートと同様にデザイン性が高く、さらにメンテナンスの手間があまりかからない素材もあるので、用途に合わせて選んでください。
土間コンクリート
土間コンクリートとスタンプコンクリートの施工費用は、土間コンクリートの方が安価です。スタンプコンクリートは土間コンにスタンプと着色で模様をつけるため、費用が高額になります。
耐久性の面では、スタンプコンクリートはトップコートでコーティングすることで表面強度を得られ、耐久性が高くなります。
ただ、この耐久性を維持するには3年を目安にトップコートの塗り替えが必要となり、メンテナンス面でやや負担がかかるといえるでしょう。
洗い出し仕上げ
洗い出し仕上げは、セメントやモルタルに砂利や小石などの骨材を混ぜ込んで塗りつけ、ある程度固まった状態で表面を水で洗い流して骨材を露出させる左官技術です。
骨材の選び方によって多彩な表情が作れます。表面が滑りにくいので、アプローチなどに向いています。また、タイヤ痕も目立ちません。
骨材の種類で表情を自由に変えられますが、スタンプコンクリートのようにレンガやタイル、枕木のような幅広いデザインはできません。
イングリッシュガーデンのような洋風な雰囲気を出したい場合や本物の素材をコンクリートで表現したい場合はスタンプコンクリートの方が向いています。
タイル・インターロッキング
タイルは耐久性とデザイン性が魅力の素材です。施工費用は高額ですが汚れに強いため、長期間美観を維持できます。スタンプコンクリートでもタイル風のデザインを作れますが、タイルは本物の重厚感と高級感が魅力です。
スタンプコンクリートは経年により色が剥げてくると魅力が半減するので、高級感を維持したい場合は、住宅の顔となる玄関回りだけでもタイルを選ぶとよいでしょう。
インターロッキングはコンクリート製のブロックを噛み合わせて施工する床材です。砂で固定するため、透水性が高く、水はけのよい床面に仕上がります。
破損した場合は該当箇所のブロックを交換するだけで補修できるため、部分補修をしながら長く使っていきたい場合はインターロッキングがおすすめです。
後悔しないために知っておくべき判断基準

ここでは、スタンプコンクリートで後悔しないために押さえておきたいポイントを紹介します。失敗を回避するためにも、スタンプコンクリートの特性を理解して適切な場所に設置しましょう。
デメリットを理解したうえで採用する
スタンプコンクリートを採用する場合は、デメリットを理解しておくことが大切です。
定期的にトップコートの塗装を行わないと摩耗によって着色が剥がれやすい、部分補修が難しいなどの欠点を持っているので、メンテナンス計画も考慮したうえで設置を決めましょう。
また、イメージ通りのデザインに仕上げるには、経験豊富な外構工事業者に依頼することがポイントです。業者の施工事例をチェックし、スタンプコンクリートの施工実績の豊富な業者に見積もりを依頼しましょう。
向いている場所・用途だけに使う
スタンプコンクリートで舗装する場所を、デメリットが出にくい場所のみにするのも一つの方法です。
例えば庭のような場所であれば車の往来による摩擦も少なく、おすすめです。広い範囲にタイルを敷くと費用も高額になるので、スタンプコンクリートでタイル風や石畳風のデザインを施せば、費用を抑えながら景観をおしゃれに演出できます。
住宅のどの場所に適しているかは、外構の使用方法や頻度を業者に伝えてアドバイスを受けるとイメージ通りのエクステリアが完成しやすくなります。
将来のメンテナンスまで含めて検討する
スタンプコンクリートはメンテナンスが不可欠な舗装です。そのため、施工後のメンテナンスも考慮して検討するようにしましょう。
3年程度の塗り替え工事は、比較的頻繁なメンテナンスだと言えます。メンテナンスが手間と感じたり、コストパフォーマンスが低いと感じる場合は、耐久性の高い素材を施工した方がメリットが大きいです。
タイルや自然石のような素材は材料費が高いため、施工費用が高額になります。しかし、耐久性が高くメンテナンスの手間がかからないため、コストパフォーマンスが高い素材です。
外構は美観を維持することも重要なので、初期費用とメンテナンス費用の総額で考えると失敗を防げます。
スタンプコンクリートに関するよくある質問

ここでは、スタンプコンクリートの施工に関して、よくある質問とその回答を紹介します。施工後に後悔しないためにも、あらかじめ疑問を解消したうえで採用を決断しましょう。
スタンプコンクリートの耐久性はどのくらい?
スタンプコンクリートは、適切なメンテナンスを行っていれば20~30年ほどもつとされています。表面をトップコートで保護するため、紫外線やひび割れに強く、通常のコンクリートよりも耐久性が高いとも考えられています。
スタンプコンクリートの寿命を延ばすにはメンテナンスが不可欠です。3年を目安にトップコートを再施工し、美しさと耐久性を維持します。
さらに、表面をこまめに掃除してコケやカビの発生を防ぐことも、耐久性を高めるのに効果的です。
スタンプコンクリートは色落ちしない?
スタンプコンクリートは表面着色のため、自動車のタイヤや歩行による摩擦で色が剥がれたり色落ちします。色落ちすると中のコンクリートの色が出てきてしまいます。
しかし、定期的なトップコートの塗り直しで、色剥がれを防ぐことが可能です。
また、近年では素材の内部まで同色の製品も登場しています。このような製品を選ぶと色剥がれが起こりにくく、目立ちにくいので、色落ちを避けたい場合はこのような色混ぜ工法の素材を選ぶのがおすすめです。
スタンプコンクリートはDIY施工できる?
スタンプコンクリートはDIYはあまりおすすめできません。まず、施工するには基本的なコンクリートの材料に加えてスタンプ型と仕上げ材を用意しなければなりません。
道具を揃えるのに費用がかかるため、コストパフォーマンスが高いとは言えないでしょう。
さらに、コンクリートを流し込んだあとにカラーハードナーを散布し、リリースオイルを散布、型を押す作業までをスピーディーに行わなければなりません。
レンガ敷きなら納得いくまで並べ直しが可能ですが、スタンプコンクリートは短時間で仕上げなければならないため、技術力を要します。
狭い範囲であれば挑戦可能ですが、広い範囲に施工したい場合はトラブルを避けるためにも業者に任せた方が安心です。
まとめ

スタンプコンクリートはコストを抑えながら外構をおしゃれに演出してくれますが、一定のデメリットもあります。
後悔しないためにも、スタンプコンクリートの欠点をよく理解したうえで適した場所に設置するようにしましょう。
環境や条件によって耐久性も変わるので、リフォームや新設を検討している場合はまだ計画段階でも気軽に外構工事業者に相談するのがおすすめです。

コメント