
住宅に訪問する人が必ず使う玄関アプローチは家の顔ともいえる存在で、おしゃれで個性あるデザインにしたいという人も多いでしょう。なかでもナチュラルな洋風デザインの玄関アプローチの素材として、枕木と砂利を使ったアプローチが人気です。
今回は、枕木×砂利の玄関アプローチのメリットや、施工方法、費用の目安、メンテナンスのコツなどについて紹介します。
枕木と砂利を使った玄関アプローチの魅力

枕木と砂利のアプローチは、どのような点が魅力なのでしょうか。ここでは、そのデザイン性の高さやコスト面、使い勝手についてのメリットを紹介します。
アプローチのリフォームを検討している場合はチェックしてみましょう。
ナチュラルで温かみのあるデザイン
木材である枕木は、ナチュラルなアプローチを演出するのに最適です。砂利敷きだけでは無機質な雰囲気になりやすいですが、等間隔に枕木を配置することで空間に温かみが生まれます。
より自然な雰囲気にしたい場合は周囲に植栽を配置し、緑との調和をつくるとよいでしょう。砂利もピンクや黄色など、温かみのある化粧砂利を選ぶと、柔らかなアプローチをつくり出せます。
ヴィンテージ風の雰囲気にしたい場合は、中古枕木を選ぶと、使い古された木の味わいを楽しめるはずです。
コストを抑えながら高級感を演出できる
枕木と砂利のアプローチは、限られた費用のなかでおしゃれで高級感のあるデザインをつくりやすい素材です。
まず、砂利は施工費用が安いことで人気がある素材です。防草シートを敷いた上にまくだけなので、DIYでも施工が可能で、安価な砂利を選べばその分費用を抑えられます。
加えて枕木はタイルや石張り、洗い出しなどに比べて費用が安く済みます。耐久性の高いコンクリート製の枕木を選べば、メンテナンス費用も抑えられるはずです。
砂利の防犯効果・防草効果・水はけ改善
砂利は防犯外構や雑草対策、水はけ対策にも効果的です。砂利は上を歩くと音が鳴るため、不審者を寄せ付けない素材として知られています。外構に砂利が敷いてあるだけで、防犯意識の高さを印象づけられるため、不審者に狙われにくくなるでしょう。
さらに、砂利は防草効果も期待できるほか、水はけも良い素材なので、アプローチに水たまりができることがなく、雨の日でも安心して通行できます。
枕木と砂利の種類と選び方

枕木と一口に言ってもいくつかの種類があります。また、砂利も色や形状、大きさによって雰囲気が大きく変わります。
以下に枕木や砂利の種類とおしゃれな仕上がりになる選び方を紹介するので、素材を選ぶ際の参考にしてください。
天然枕木と人工枕木(樹脂・コンクリート製)の違い
枕木には天然枕木と人工枕木があり、それぞれ趣や特徴が異なります。一般的に知られているのは木製の枕木で、種類は大きく分けると天然木枕木と中古枕木の2つです。天然木枕木は新品の木材を枕木のサイズに加工したものです。
一方、中古枕木は電車のレールに使用されていた枕木を再利用しています。ただ、現在では外国の中古枕木を輸入し、活用するのが一般的です。
人工枕木は、コンクリート製と樹脂製に分かれます。コンクリート製は木材そっくりにつくられているものもあり、丈夫でありながらナチュラルな雰囲気を出せる点で人気が高まっています。
樹脂製枕木は木材に樹脂を混ぜて成形した枕木で、本物の木材に近い風合いを持ちながら天然木よりも耐久性が高い点がメリットです。
砂利の色・粒サイズ・素材別特徴
砂利にも多くの種類があり、選び方ひとつで大きくアプローチの表情が変わります。一般的なグレーの砕石は低価格な点が魅力です。しかし色が無機質で冷たい印象を与えるかもしれません。
枕木に合わせて温かみのあるアプローチにしたいなら、ベージュなど暖色の砂利や、キャラメル砕石という、レンガチップを敷き詰めたような色の砕石がおすすめです。
砂利にはさまざまなサイズがあり、約2.5mmの小さいものから約15cmの大きいものまで存在します。人が歩くアプローチでは、2cm程度の小さい砂利がおすすめです。
枕木と相性のいい素材は?
枕木アプローチにはナチュラルな素材を合わせると雰囲気に統一感が生まれます。
例えばレンガは自然素材の質感と色が、洋風なエクステリアを演出してくれます。ナチュラルな外構に欠かせない植栽は、枕木アプローチをおしゃれに演出してくれるアイテムです。
グランドカバーとなる植物やハーブ類を上手に砂利と組み合わせると、おしゃれな小路風のアプローチに仕上がるはずです。
砂利も天然の素材なので、これらのアイテムと合わせると違和感なくまとまりのある外観を完成させられます。より統一感を出したいなら、門柱や塀、玄関回りもナチュラルな雰囲気で統一するのがおすすめです。
枕木と砂利を使ったDIY施工法

枕木と砂利を使ったアプローチはDIYでも施工が可能です。ここでは、DIYで枕木のアプローチをつくる方法を解説するので、自分で外構づくりに挑戦したいと考えている方は参考にしてください。
必要な材料と道具一覧
枕木のアプローチは一般的な工具があれば施工できます。
スコップ
水平器
ゴムハンマー
メジャーや定規
ブロックまたはレンガ
枕木
砂利
砕石
砂
防草シート
特別な工具は必要なく、どれもホームセンターやネットショップで購入できます。このほか、作業の際に手を守るための手袋や、堀った土を運ぶための三輪車や台車があると便利です。
枕木はあらかじめアプローチにしたい場所の距離を測っておき、好みの間隔に設置すると何本必要か計算して購入しておくと、作業の途中で追加購入する、などの手間が省けます。
下地処理と防草シートの設置
枕木の設置方法は、防草シートを敷き、その上に枕木を並べる方法と、枕木を置く位置に穴を堀り、そこに枕木を半分程度埋める方法があります。
防草シートは雑草が生えにくく、施工も簡単ですが、枕木がずれやすいため注意が必要です。シートを敷く前に雑草や小石を取り除き、土を固めて整地します。整地は狭い範囲なら足で踏み固めればよいですが、広い範囲で行う場合は転圧機を使うと作業が楽です。
穴を掘る場合は、枕木の厚さの3~4倍の深さの穴を堀り、レンガやブロックで締め固めたあと、穴に厚さ3cmほど砕石を敷き詰め、再び締め固めます。その上に砂を2~3cmの深さに敷いたら下地の完成です。
枕木の水平・固定方法
枕木を穴の中に入れたら、水平器を使いながらゴムハンマーで叩いて安定させます。上から押さえてみて、枕木がぐらつくようであれば一度枕木を取り出し、へこんでいる部分に砂を入れて踏み固め、再度枕木を入れて固定させます。
防草シートを使う場合は、枕木を並べ、その隙間に砂利を入れて、砂利で枕木を固定します。砂利が少ないと枕木がずれやすいので、十分な量を入れるようにしましょう。
砂利を均一に敷くコツ
砂利を均一に敷くコツは、整地をしっかり行うことと、砂利を適切な量入れることです。地面が水平になるようにきれいに仕上げると、枕木がぐらつかないだけでなく、砂利を入れたときにきれいになります。
砂利の深さは枕木とのバランスや好みによりますが、一般的には厚み3~5cmになるように敷くときれいに仕上がります。砂利を薄く敷けば砂利の節約になりますが、砂利の隙間から地面が見えると見栄えが悪いため、十分な厚さを確保しましょう。
DIYで失敗しやすいポイントと回避法
DIYで枕木アプローチをつくると以下のような失敗をしやすくなります。
- 下地がしっかりしていないため不安定で危険なアプローチになる
- 水はけが悪い
不安定なアプローチは転倒リスクが高まります。そのため、下地処理はしっかりと行わなければなりません。水平器で確認しながらしっかりと踏み固めるか、転圧機を使って締め固め、平坦な下地をつくることが大切です。
また、水はけが悪いと枕木が腐食したり、カビや害虫の温床になったりするので、アプローチはできるだけ水はけの良い場所につくる、水はけが悪い場合は浸透ますなどを設置して排水できるようにしましょう。
枕木×砂利アプローチの費用相場

では、玄関アプローチは枕木×砂利にリフォームすると、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
ここでは枕木と砂利でつくるアプローチの費用を、業者に任せた場合とDIYした場合に分けて紹介するので、照らし合わせてどちらで施工するか考えてみてください。
業者依頼の目安
枕木×砂利アプローチの施工を業者に依頼した場合、1㎡あたり5,000円~3万円が費用相場です。業者に施工を依頼した場合、枕木や砂利を設置する費用に加えて整地費用もかかります。
費用に幅が出やすいのは枕木の種類です。とくにコンクリート枕木は高額になる傾向があります。
アプローチの広さや選ぶ素材によって差はありますが、アプローチをリフォームする場合の工事費用は、だいたい20~40万円程度かかると考えておけばよいでしょう。
DIY時の材料費シミュレーション
DIYで枕木×砂利アプローチをつくる場合は、枕木の種類によって費用が左右されます。
枕木1本あたりの費用相場は種類別に以下の通りです。
- 天然木枕木:1,000~5,000円/本
- コンクリート枕木:2,000~8,000円/本
- 樹脂枕木3,000~10,000円/本
さらに砂利が1㎡あたり約1,600円、防草シートが約100円/㎡、固定ピンが約300円/㎡かかると考えておけばよいでしょう。
コストを抑えるためのポイント
枕木アプローチのコストを抑える方法には、材料費が比較的安い天然木の枕木を採用する、施工を自分で行うなどがあります。
ただ、木製の枕木はコンクリート製に比べて耐用年数が低く、交換の頻度が高くなる可能性があります。また、距離のあるアプローチをDIYするのは時間がかかるだけでなく、必要な道具を集めるのにかえって費用がかかってしまうこともあるでしょう。
費用を抑えることも必要ですが、安全で仕上がりのよいアプローチをつくるには業者に任せてしまった方が総合的なコストが安い場合もあります。迷っている場合は一度見積もりをとってから検討することをおすすめします。
長持ちさせるメンテナンス方法

枕木は木材なので、どうしても劣化してしまいます。定期的な交換は必要ですが、経年による味わいも楽しみたいですよね。ここでは、枕木を長く楽しむためのメンテナンスのコツを紹介します。
枕木の防腐処理と塗装メンテ
天然木の枕木は年に1回の防腐剤の塗装を行うことで長くきれいな状態を保てます。木製枕木は趣のある素材ですが、腐りやすいのがデメリットです。腐食すると、表面が欠けて転倒リスクが高まったり、シロアリの住処になってしまったりします。
シロアリが枕木についてしまうと、やがて住宅の木材に移動して、食害を受ける可能性があります。住宅が食害を受け、大きな柱が被害を受けると建物が倒壊してしまうおそれがあるので十分に注意しなければなりません。
腐食によるさまざまなリスクを減らすためにも、年に1度の塗装をしっかり行い、枕木の状態を保ちましょう。
砂利の補充と雑草対策
枕木の周りを砂利にした場合、砂利のメンテナンスも欠かせません。砂利は上を歩くとお互いがこすれて小さくなったり、飛び出して紛失したりして、少なくなっていきます。そのため、定期的な砂利の補充が必要です。
また、砂利の間に砂が溜まるとそこから雑草が生えてしまうので、見つけたら早めに取り除くことが大切です。そのほか、雑草が生える場所をなくすためにも、砂利に落ち葉などが溜まったままにならないようにこまめに掃除しましょう。
劣化・腐食を防ぐためのの工夫
枕木の劣化や腐食を防ぐためには、できるだけ枕木を濡れた状態にしないことです。水分があると苔が生えて滑りやすくなったり腐食したりします。
そのため、アプローチは水はけがよい設計、排水ができる設計にすることが大切です。こまめに枕木をブラシなどで掃除して、苔を取り除くことで劣化を遅らせられます。
植栽の配置にも注意が必要です。植栽が枕木に近すぎると、苔や虫が発生する原因になります。植栽はあまり混みあわないようにし、風通しを確保しましょう。
まとめ

枕木×砂利の玄関アプローチは住まい全体をおしゃれにしてくれます。アプローチを曲線にしたり、砂利の色にこだわれば、住まいに洗練された個性も与えてくれるはずです。アプローチのデザインは、業者の施工事例を見て、業者と相談しながら決めると理想が叶いやすくなります。
まだ検討中の段階でも遠慮なく外構工事業者に問い合わせて疑問を解消しておくと、いざ工事を始めようと考えたときにもスムーズです。
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