
雨の日や日差しが強い日に玄関アプローチの通行にストレスを感じる場合は、屋根や庇(ひさし)を後付けするのがおすすめです。
今回は玄関アプローチや玄関周辺に屋根を後付けするメリットや注意点、設置できる屋根の種類、費用相場について解説するので、屋根を追加したいと考えている場合は、どのような屋根が設置できそうかイメージしながら読み進めてください。
玄関アプローチに屋根を後付けするメリットとは?

玄関アプローチに屋根がついていると、さまざまなメリットがあります。まずは主なメリットを確認して、アプローチに屋根を後付けした場合の動線をシミュレーションしてみましょう。
雨・雪を防ぎ、快適な動線を確保できる
玄関アプローチに屋根を設置する最大のメリットは、門扉から玄関ドアまで雨に濡れずに通れる点です。雨の日に荷物が多くても、傘をささずにアプローチを通行できるため、玄関前で傘を閉じて鍵を取り出して開ける、という動作がなくなり、ストレスが軽減できるでしょう。
また、雪の日もアプローチに屋根があればアプローチに雪が積るのを防げるので、雪かきの手間が必要なく、転倒の心配もありません。
紫外線・日差しから玄関を保護
屋根を設置することにより、玄関を日差しから守る効果も期待できます。とくに南向き、西向きの玄関は、紫外線の影響を受けやすく傷みやすいといえます。屋根を設置して日差しから守ることで、玄関ドアなど、玄関周りの設備の劣化を防げるでしょう。
屋根で日陰をつくることで、日差しが直接建物に当たらず、玄関周辺が高温になることも避けられます。暑い玄関にお悩みの場合は、屋根をつけて温度の上昇を避けると玄関周辺の環境も快適になるはずです。
バリアフリーや介護面でも有効
玄関アプローチに屋根があれば、雨の日の車いすやベビーカーの通行もスムーズです。車いすやベビーカーは乗り降りに時間がかかるため、悪天候の日は屋根がないと不便に感じてしまいます。
夏の日差しも遮れるため、利用者も強い紫外線を避けながら玄関を利用できます。介護者にとっても傘をささずに車から玄関まで車いすを押して移動できる点は大きなメリットといえるでしょう。
バリアフリーを意識するなら、アプローチの幅や段差にも注意して動線を考えると、将来ライフスタイルが変わったときにも安心です。
汚れから玄関を守れる
屋根がある部分の地面は汚れがつきにくいため、アプローチを汚したくない場合や掃除の手間を軽減させたい場合には便利です。雨の日も床面が濡れないため、泥はねによるアプローチの汚れの心配がなく、通行者の洋服や靴をを汚すこともありません。
外構に色褪せが気になる素材を使用している場合、屋根が紫外線から素材を守り劣化を防げるため、長くきれいな状態を楽しめるでしょう。
外観の高級感・デザイン性向上
玄関アプローチにこだわりの屋根をつければ、外構全体のデザイン性が増し、外観に高級感が生まれます。
屋根を設置するとエクステリアに立体感が生まれ、奥行き感のある空間に生まれ変わります。屋根の色を差し色にすることで、全体を引き締め、スタイリッシュな雰囲気もつくれるでしょう。
おしゃれな屋根のデザインについては、外構工事業者とよく話し合い、デザインを擦り合わせていくと理想通りのエクステリアに仕上がるはずです。
後付けできる玄関屋根の種類と特徴

アプローチや玄関ポーチに使用できる屋根の種類にはさまざまなものがあります。それぞれの特徴を理解して素材を選ぶことが、後悔しないためのポイントです。
以下に主な素材を紹介するので、比較して自宅にぴったりの屋根を選んでください。
木材
木材の屋根は、ナチュラルで温かみのある玄関先を演出するのに最適です。植栽とも調和しやすく、見た目もおしゃれな点が大きなメリットといえるでしょう。
木材のデメリットは耐久性の低さです。紫外線や風雨で劣化しやすいため、定期的な塗り替えが必要です。劣化が進むと腐食しやすく危険なので、定期的な交換も必要です。
劣化しにくい素材として木材に樹脂を混ぜてつくられた人工木製の屋根を取り入れる方法もあります。
ガラス
ガラスの屋根はスタイリッシュで高級感のあるデザインが魅力で、高い人気を誇っています。見た目もすっきりしていて、圧迫感がありません。
ただし、価格が高いこと、透明素材のため日差しを遮る役割は持っていないこと、屋根の上にゴミや汚れがたまると目立つ点には注意が必要です。台風などの強風で飛んできたものがぶつかった場合や積雪で破損するリスクがあるため、設置は十分検討して決めた方が安心です。
アルミ
アルミは軽量で雨に濡れても腐食しにくいため、アプローチの屋根だけでなく外構全般の素材として人気があります。カラーバリエーションも豊富で、グレーやブラック、シャンパンカラーなど住宅の雰囲気に合わせて選べます。
また、直射日光や紫外線をシャットアウトするので、屋根の下も暑くならず快適なアプローチを実現できるでしょう。
デメリットはコストがかかりやすい点です。見積もりの際は、どれくらいの範囲に設置したいのかを業者に伝え、業者のアドバイスをもらいながら設置範囲を決めると、コストを抑えながら快適なアプローチを実現できるはずです。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、銅板にアルミと亜鉛を配合した合金でメッキを施した、近年屋根材としても広く採用されている素材です。紫外線や風雨に強く耐久性が高いので、一度設置すれば30年ほどもつとされています。
スタイリッシュでスマートな印象を与えるため、モダンな住まいにはぴったりです。一方で材料費が高く工事費用が高額になりやすいこと、強い衝撃を与えられると凹みなどの傷が発生しやすい点がデメリットといえます。
ポリカーボネート
ポリカーボネートは、カーポートの屋根材として活用されている、透明または半透明の素材です。一般的に金属の骨組みにポリカーボネートのパネルをはめ込んで組み立てます。透明素材なので、紫外線を遮断しながら光を取り入れられる点がメリットです。
一方で傷がつくと透明感が損なわれること、傷がつきやすいので、屋根の上のゴミを取り除くときは無理に掻き出そうとせず、水で洗い流す必要があります。
これらの素材のほか、屋根を自由に出し入れできるオーニングなどもあります。どのような素材の屋根を設置するかはバルコニーの位置やガレージの有無、間口の広さなど現場の状況に合わせて決めるとよいでしょう。
玄関屋根を後付けする際の注意点

ここでは玄関屋根を後付けする際に注意しておきたいことを紹介します。法律に関することからご近所トラブルに関することまで注意を払っておきたいことは多くあるので、設置前にしっかりチェックしておくことが大切です。
建築基準法や外構ルールの確認が必要
玄関周りに屋根を設置する場合は、建築基準法などのルールに従う必要があります。特に屋根を後付けする場合は建ぺい率に注意が必要です。例えば敷地面積50坪、建ぺい率50%の地域の場合、建てられる建物は25坪までです。
建ぺい率ぎりぎりに建物を建てている場合、屋根を後付けしたことで定められた敷地面積の割合をオーバーしてしまい、建築基準法違反になってしまう可能性があります。事前に図面を確認したうえで、屋根の設置を検討しましょう。
参考:建築基準法 第53条
隣地・敷地境界の問題や日照トラブルに注意
玄関周りに屋根や庇を設置する場合は、隣家とのトラブルに十分注意が必要です。屋根を設置する場所が隣地境界線に隣接している場合、屋根や庇が越境しないように気を付けなければなりません。屋根を設置したことで、隣家の日当たりが悪くならないように配慮する必要があります。
隣家に接する場所に屋根を設置する場合は、事前に隣家にリフォーム工事を計画していることを伝え、了承を得てから施工を依頼するとトラブルを防げます。
ポスト・玄関ボックスの位置
アプローチのどの部分に屋根を設置するか決めるときに、ポストや宅配ボックスの位置を意識すると利便性が増します。
ポストや宅配ボックスまで屋根が延長されていると、雨に濡れずに郵便物や荷物を取りに行けます。屋根の設置予定の場所がポストに届かないケースでは、ポストの位置を変更するなど、外構の配置を変更するのも一つの選択肢です。
工事費用の予算の上限を決めておき、外構工事業者と相談して動線を決めると、雨の日の郵便物の取り出しのストレスも軽減できます。
防犯上の死角を作らない
門柱から玄関までのアプローチに屋根を設置する場合は、防犯面に十分配慮しましょう。アプローチに屋根をつくると、敷地外や建物の中からの死角が増えてしまう可能性があります。死角がある家は不審者にとって身をひそめられる場所があるため、狙われやすくなってしまいます。
防犯性を確保するためには屋根を設置する際に見通しを意識する、死角になりやすい場所は照明で明るく照らすなどの対応が必要です。
玄関アプローチ屋根の後付け費用相場

玄関アプローチ屋根を後付けする場合の費用相場は、どれくらいかかるのでしょうか。ここでは、玄関アプローチ、とくに玄関ポーチ周辺に屋根を設置する際の費用相場を紹介するので、検討の材料にしてください。
簡易タイプの屋根
テラス屋根のような簡易タイプの屋根を取り付ける場合の費用は、約6~15万円が目安です。テラス屋根はサイズが豊富で、スペースに合わせて切り詰め加工もできます。そのため、玄関周りが狭い場合も設置が可能です。
テラス屋根には柱付きのタイプもありますが、ルーフタイプのテラス屋根を設置すれば、柱もなくすっきりとした玄関周りになります。デザインも豊富にあるので、エクステリアの雰囲気を壊すことなく設置できる点は大きなメリットです。
柱付き屋根やパーゴラタイプ
独立柱式のテラス屋根の費用相場は約20〜35万円です。独立柱タイプは外壁に穴を開ける必要がないため、ハウスメーカーの保証条件や建物の構造上の問題で外壁に穴を開けられない場合におすすめです。
パーゴラ風のデザインの屋根も存在し、木製の温かみのある雰囲気を取り入れながら、パーゴラの屋根の部分はポリカーボネート板などで覆うため、雨に濡れる心配がありません。
デメリットは外壁と屋根に隙間が存在するため、隙間からは雨が入る点です。気になる場合はゴム製のふさぎ材を設置すれば隙間からの雨を防げます。
造作屋根・外壁連結型
造作で外壁に庇を設置する場合、約10~14万円が費用相場です。ただし、素材によって大きく費用が変わります。スタイリッシュなデザインとして人気のあるアルミ製やガラス製の庇は13~30万円と高額です。
屋根を外壁に設置するタイプは、外壁に穴をあけ、ビスで屋根を固定します。雨漏り対策のため、あけた穴には防水処理を施します。注意点は経年劣化により穴の部分から水漏れが発生する可能性を否定できない点です。定期的に点検し、メンテナンスすることで長く安心して屋根を使用できます。
費用を左右するポイント
玄関回りの屋根や庇の設置費用を左右するのは、屋根の素材や大きさ、取付方法などです。費用を安く抑えるには、素材選びを十分に行う、屋根は必要最低限の範囲で設置するなど、ニーズに合わせて検討することをおすすめします。
また、屋根の代わりにシェードを設置すると、大がかりな工事が必要なく、費用を抑えられます。シェードは布でできている素材で、数千円から購入できるので自分で用意してDIYでも設置が可能です。
布製なので雨よけにはできず、強風など悪天候の日には片づけなければなりません。しかし、夏の暑い時間だけ屋根がほしい場合はシェードでも十分でしょう。
後付け費用を抑える工夫
屋根の後付け費用を抑えるには、どのような目的で屋根を設置したいのかを明確にしておくと、無駄な費用の発生を防げます。
目的と家族のニーズを明らかにしたうえで、複数の業者に相見積もりを依頼し、業者の見積もりとプランを比較検討することが、お得に工事を依頼するコツです。複数業者を検討することで費用相場を把握でき、デザインの比較ができるため、満足度の高い工事を実施しやすくなります。
相見積もりは3社程度からとるのが一般的です。まずは施工実績を見て気になる業者に問い合わせ、そのなかから3社程度に絞り込んで無料見積もりを依頼しましょう。
玄関アプローチの屋根に関するよくある質問

ここでは玄関アプローチや玄関周りに屋根の後付けを検討する際に、よく挙がる質問とその解答を紹介します。知らずに設置してトラブルになってしまう場合もあるので、しっかりチェックして後悔のない屋根を設置しましょう。
玄関ポーチの屋根を後付けすると固定資産税はかかりますか?
玄関ポーチの屋根を後付けする際は、サイズに注意しなければなりません。建物の延床面積が変わると固定資産税も変わるため、大きい庇を設置すると固定資産税が高くなるおそれがあるためです。
軒や庇など、突き出ているものはその先端から1m(1000mm)までは建築面積に含まれません。反対に、軒や庇は外壁から伸びた長さが1mを超えた場合、建築面積に含まれていると判断され、固定資産税の課税対象となります。
固定資産税を増額させたくない場合は、庇の長さは外壁から1m未満にすることがポイントです。
玄関アプローチの屋根はDIYできる?
玄関アプローチの屋根設置工事は、DIYで行うのはおすすめできません。屋根設置工事は高所作業となるので大変危険です。さらに、適切な強度を維持できなければ屋根が崩落したり、台風などで飛ばされて近隣住民に多大な迷惑をかけるおそれがあります。
それだけでなく、屋根を固定する際に外壁に穴を開けた場合、きちんと水漏れ対策を行わないと雨漏りリスクも発生します。雨が外壁の穴の隙間や外壁の細かい亀裂から染み込むと、内部の木材を腐食させ、住宅が倒壊するリスクも高まります。
屋根を設置したいと考えている場合は、業者に相談して設置してもらいましょう。
まとめ

玄関アプローチや玄関ポーチに屋根を設置すると、雨の日や日差しが強い日の利便性が大幅にアップします。しかし設置に関して気を付けなければならない点もあるので、実績豊富な業者にノウハウをアドバイスしてもらいながら適切なものを設置することをおすすめします。
優良業者に出会うためには、業者のホームページで施工事例をチェックして経験豊富な業者3社程度から相見積もりをとることが大切です。
コメント