手壊し解体の見積もり相場は?重機が入らない場所の費用と工法を解説!

手壊し解体の見積もり相場は?

解体工事は重機を使って解体するほか、作業員が手作業で解体しなければならない場合もあります。では、手壊し解体はどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

この記事では、手壊し解体の費用相場や、工事費用が割高になる理由、手壊し解体を選択しなければならないケースについて解説します。

目次

手壊し解体の見積もり相場は?

手壊し解体はどれくらいの費用がかかり、通常の解体工事に比べてどれくらい高額になるのでしょうか。

以下に解体工事の坪単価の相場を比較しているので、おおよその費用相場を把握しておきましょう。

一般的な解体費用の2~3倍

手壊し解体は人手と手間がかかるため、重機を使う解体工事よりも費用が2~3倍かかります。手壊し解体と重機解体の坪単価の相場は以下の通りです。

  • 手壊し解体:4~18万円/坪
  • 重機解体(木造):3万円/坪~
  • 重機解体(軽量鉄骨住宅):3.2万円/坪~
  • 重機解体(鉄筋コンクリート):5万円/坪~

費用は廃材の処分費用や人件費の地域差により幅があります。建物の立地条件により費用も変わるので、正確な費用を把握するためには現地調査と見積もりを依頼しましょう。

解体工事で坪単価に含まれない費用

解体工事は坪単価として計算される本体工事費のほかに、養生費や整地費などの坪単価に含まれない費用もかかります。

養生費は現場からのホコリや解体作業中に発生する破片が周囲に飛散するのを防ぐために、敷地を囲う足場と養生シートの設置費用です。一般的な2階建ての住宅では10~20万円程度かかります。

整地費は解体作業後、土地をきれいに整える整地作業の費用です。整地作業をしていないと新築工事が始められなかったり、土地を売りたくても買い手がつきにくくなったりします。

業者によって整地の方法は異なるので、事前に対応方法を確認しておきましょう。そのほか、届出が必要な場合の手続き費用、アスベスト除去費用も坪単価には含まれません。

手壊し解体の費用が割高になる理由

では、手壊し解体はなぜ費用が割高になるのでしょうか。手壊し解体は作業にも廃棄物の処理にも時間がかかり、人員コストが高くなるのがその理由です。一つずつ見ていきましょう。

作業自体に時間がかかる

手壊し解体の費用が高くなる理由の一つに、作業に時間がかかり工期が長くなる点が挙げられます。

重機を使った解体工事の工期は約7~10日間が目安です。一方で、同じ規模と構造の建物を手作業で解体する場合、14~20日程度かかります。理由は全て手作業で行うので、一つひとつの作業に時間がかかってしまうためです。

解体が難しい構造ほど、工期が長く必要な作業員が多くなり、諸経費もかかるので、工事の総額も高くなります。

廃棄物処理に時間がかかる

手壊し解体は、廃棄物の運び出しにも時間がかかるため、これが工期に影響し、費用が高くなる原因の一つになります。

一般的な30坪の一戸建て住宅で出る廃棄物の量は、木材が4トントラック3~4台分、コンクリートガラが4~5台分、混合廃棄物が1~2台分が目安です。

解体工事で発生した廃棄物は業者が責任を持って廃棄しなければなりません。廃棄物の種類に応じて分別し、それぞれ適切な処分場へと運搬します。重機や大型車両が進入できない場合、手作業で行う必要があり、その分余分にコストがかかります。

人件費が上がる

手壊し解体は基本的に手作業のため、人件費がかさむ傾向があります。

解体工事の費用で最も直接的にかかわるのが人件費です。人件費は作業内容によって1人あたり1日10,000~15,000円が相場です。

立地条件によっては警備員の配置が必要となるケースもあり、その分の人件費が上乗せされる場合もあります。

解体作業では、作業員の安全に配慮して、人員を管理しなければなりません。手壊し解体は工期が長く、作業員の管理の手間も増えることから人件費のコストがかかってしまいます。

そもそも手壊し解体とは

手壊し解体とは、手作業で建物を解体する工法です。

現代の解体工事では一般的に重機と呼ばれる建設機械を使用して短期間で建物を解体しますが、物件の条件によっては重機が使用できない場合があります。その場合に手壊し解体を以下のような方法で行うことになります。

手壊し解体の工法と流れ

手壊し解体の工事の手順は以下の通りです。簡単にチェックして、解体工事の流れをイメージしてください。

STEP
養生

現場に足場を組み、養生シートで囲います。

STEP
内装解体

建物内部の建具や内装材を取り外し、解体していきます。

STEP
建物解体

建物本体を上から下に向かって解体します。屋根から始めていき、最後に基礎を解体するのが一般的です。

STEP
廃棄物撤去

解体作業で発生した廃材を分別し、処理場に運搬します。

STEP
地中埋設物の撤去

地中埋設物がある場合は、撤去します。

STEP
清掃・整地

現場を清掃し、整地して工事完了です。

手壊し解体で使う工具

手壊し解体では一般的に以下のような工具を使います。

  • ハンマー:柱の結合部を壊す、内装や天井を叩き割る
  • バール:釘を抜く、内装材をはがす
  • のこぎり・チェーンソー:部材を切断する
  • インパクトドライバー:ボルト、ネジで結合された内装材、外構設備を解体する
  • ハンドブレーカー:コンクリートや外壁を打撃し、砕く
  • カッター:コンクリートを切断する

現場ではハンマーやバールなど手を使って使用する工具のほか、電動のこぎりやインパクトドライバー、ハンドブレーカー、カッターなどの電動工具を多く活用します。

電動式の工具があることで、解体のスピードが大きく変わるため、手壊し解体の現場では重宝されています。

小型重機との併用も

手壊し解体では小型バックホー(小型ユンボ)などの小型重機を併用することも少なくありません。小型ユンボは車幅が1.5m程度のものや、なかには軽トラに載せられるものもあります。

バックホーがあればがれきをすくって運び出す作業や、アタッチメントを変えて建物の破砕作業も可能になります。

小型重機は大型の重機が入れないような狭小地でも利用でき、解体作業の作業効率アップに欠かせません。

手壊し解体が必要な理由

現代では、工期と費用が安定しやすく、コスト面のバランスが取りやすい重機解体が主流となっています。

では、なぜ手壊し解体が必要なのでしょうか。ここでは手壊し解体を採用する大きな二つの理由を解説します。

重機が入らない場所

敷地や進入経路が狭いなど、重機が入れない場所では人力で解体することになります。

1950年施行の建築基準法第43条の接道義務の規定により、建築物の敷地は前面道路に2m以上接していなければなりません。

1950年以降に建設された建物は重機解体が可能なものがほとんどですが、それ以前に建てられた建物は接道義務を満たしていないものが多くあり、そのような住宅の解体では重機が使用できない可能性があります。

また、建物が近隣住宅や土地に近接している場所も重機での解体は難しく、手壊し解体を行います。

参考:建築基準法第43条 敷地等と道路との関係

騒音を避けたい環境

周辺の建物との距離が近く、騒音や振動によるトラブルを避けたい場合にも手壊し解体を選ぶことがあります。

解体工事では騒音と振動はつきものです。限られた期間とはいえ、解体現場の近くで生活している人にとっては大きなストレスになるでしょう。

特に大型の建設機械で建物の部材を引きはがしたり、基礎を破砕する作業は大きな音と振動を伴います。

一方で、手壊し解体は騒音をゼロにすることはできませんが、大型の建設機械に比べて小さい音で済みます。そのため、費用と時間がかかっても手壊し解体を選択するケースも珍しくありません。

手壊し解体が必要な事例

では、具体的にどのような条件の建物で手壊し解体が必要になるのでしょうか。

以下に具体的な事例を紹介するので、解体を検討している住宅が該当している場合は、手壊し解体を想定した予算を組んでおきましょう。

道幅が狭い

解体現場への進入に使う道路が工事車両や重機がすれ違えないほど狭い場合、重機が利用できないため、手壊し解体となるケースが多くなります。

解体工事に使用される多くの重機は大型のため、目安として敷地内への進入経路に幅2m未満の場所がある場合は重機での作業はできません。

道幅だけでなく、進入経路に鋭角の曲がりや電柱などがある場合や、解体物件が狭い袋小路の突き当りにある場合も重機が現場に入れなかったり方向転換が困難なため、手壊し解体になる可能性が高いといえるでしょう。

道路と敷地の高低差が大きい

重機が乗り入れられないほど道路と敷地に高低差のある土地の解体工事は、手壊し解体を選択せざるをえません。多少の段差であれば重機は乗り越えられますが、土地が大幅に高かったり低かったりすると、重機の搬入は困難です。

ただし、現場に十分なスペースがあり、資金にも余裕がある場合は、クレーン車で重機をつり上げ、現場内に搬入することで、重機解体が可能になります。

この方法を検討する場合は、手壊し解体をする場合との費用や工期を比較して、解体業者と話し合って決めましょう。

道路が階段状になっている

解体する建物が丘の上など高い場所にある場合、敷地へ続く道が階段になっているケースがあります。この場合も重機が搬入できないため、手作業による解体が必要です。

階段が短い場合や傾斜が緩い場合は小さな重機であれば鉄板を敷いて坂道をつくって搬入できます。しかし、作業の安全面や搬入の手間、大型の重機に比べて作業に手間がかかることを考慮すると、手壊し解体を選択することが一般的です。

人通りや交通量が多い

人通りが多い場所や商店街、繁華街、車の交通量が多い場所に現場がある場合も手壊し解体で作業します。

道路に工事車両を停めると交通の妨げになる場合は重機を使った解体は難しいといえるでしょう。

ただし、交通整理しながら作業すれば問題ない場所であれば、警察署に道路使用許可の申請をして重機で解体するケースもあります。この場合の申請手続き等は業者がやってくれますが、申請費用や警備員の人件費が工事費用に上乗せされます。

見積もりを依頼する際のポイントと注意点

工事の見積もりを依頼するときは、確認するべきポイントを押さえておきましょう。

ここでは、解体工事の見積もりを依頼するときに注意しておきたいポイントを紹介するので、見積書をチェックするときや業者に質問するときの参考にしてください。

詳細な内訳の確認

見積書を提示されたら、費用の内訳が詳細に記載されているかチェックしましょう。

解体業者のなかには「工事一式」とだけ記載しているケースがあります。これでは何にどれだけ費用がかかっているのか分かりません。

もし、追加費用が発生した場合に、詳細が分からないまま支払ってしまい、あとでトラブルにつながるおそれがあります。見積書の項目を一つひとつチェックし、不明なものは業者に確認しておくと安心です。

追加費用の有無

見積もりの際には追加費用が発生するかどうかも確認しておきましょう。解体工事は作業開始後に追加費用が発生しやすい工事なので、事前にどのような費用がかかりそうか把握しておくだけでも安心です。

解体工事で発生しやすい追加費用は、地中埋設物が発見されたときの撤去費用や、クレーム対応のための養生シートの追加などです。

現地調査の際に業者に図面を見せておく、近隣住民に挨拶回りしておくなどすると、追加費用発生を防止できます。

工期の確認

解体工事を依頼するときは事前に工期を確認しておきましょう。とくに手壊し解体は重機解体に比べて工期が長くなるため、スケジュールを確認しておくと安心です。

ただし、解体工事は工事が延期になり、スケジュール通り進まないこともあります。解体工事が延長する原因には、悪天候、地中埋設物の発覚、近隣住民とのトラブルなどがあります。

土地の売却など、次の予定がある場合は余裕を持ったスケジュールで工事を依頼するようにしましょう。

手壊し解体に関するよくある質問

ここでは、手壊し解体でよくある質問とその回答を紹介します。空き家など解体を検討している家屋がある場合は事前に確認しておき、スムーズに解体工事を施工できるよう計画しておきましょう。

木造住宅の解体なら自分でできる?

自分で所有している木造住宅なら、DIYでの解体が可能です。ほかの人が所有する建物は建設業許可や解体工事業登録が必要ですが、自分の所有物であればこれらの届出は不要となります。

ただし、重機を使用する場合は使用する重機に応じた資格を所有していなければなりません。また、建物にアスベストが含まれている場合はアスベストのレベルに応じた作業が必要です。

住宅の解体は、コンクリートでできた基礎部分の解体や、廃棄物の運搬・処分作業も伴うため、個人では難しい作業も多くあります。自分だけでなく近隣の安全を確保するためにも、できるだけ解体工事の専門業者に依頼した方がよいでしょう。

家の解体はどこまで片付けるのがよい?

解体工事前に家の中に残っているものを片付けておくと、工事費用の節約につながります。

自分でゴミ回収日に出せば一般廃棄物として無料で回収してもらえるものも、業者が廃棄すると産業廃棄物として費用がかかるためです。

家の中に物が多いと、産業廃棄物の量が増え、処理費用が工事費用に加算されます。そのため、できるだけ家の中のものを片付けておくのがおすすめです。

ただし、難しい場合は無理せず業者に相談して対応してもらいましょう。

まとめ

住宅の条件によっては手壊し解体を選ぶことになります。また、近隣へ配慮して手壊し解体を検討することもあるでしょう。

手壊し解体は、騒音や振動を減らせる一方で、費用と時間がかかる方法です。住宅の条件によっては手作業でしか解体できないケースもありますが、手壊し解体の工法を選択するか迷っている場合は、メリットとデメリットを照らし合わせ、業者とよく相談して決めるようにしましょう。

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