目隠し機能と風通しの両方を兼ね備えたルーバーフェンスは、プライバシーを確保しつつ通気性、採光性の良いエクステリアを手に入れたい人に人気のフェンスです。
しかし、ルーバーフェンスに耐風性があるとはいえ、台風などの強風に耐えられるのか心配される方も少なくないでしょう。
そこで、ルーバーフェンスは本当に台風に強いのか、ルーバーフェンスの防風対策、選び方などについて解説します。
ルーバーフェンスは台風に強い?
大型の台風による被害が増している近年では、外構フェンスの安全対策も重要です。
では、ルーバーフェンスは、台風のような強風に強いフェンスといえるのでしょうか。ここでは、ルーバーフェンスの耐風性について解説します。
風を逃がす構造で台風に強い
ルーバーフェンスは、複数の板を角度を付けて平行に並べ、板と板の隙間を風が通り抜ける構造になっているフェンスです。隙間がなく、正面から風を受ける完全目隠しフェンスに比べて、台風による強風に強いといえます。
風通しが良くなることで、強風の際にフェンスの倒壊を防止し、安全性を保てます。それだけでなく、強風によるフェンスへの負荷を軽減できるため、耐久性を維持しやすいフェンスだといえるでしょう。
台風の風速は約17.2m/s以上となり、強い台風は33m/s以上、非常に強い台風は44m/s以上となります。ルーバーフェンスを選ぶときは、少なくとも40m/s以上の風に耐えられるものを選ぶようにしましょう。
メッシュタイプほどの通気性はない
ルーバーフェンスは風通しが良いフェンスですが、隙間が大きくあいたメッシュフェンスには及びません。メッシュフェンスのなかで特に風の抵抗に強いのが縦格子タイプとメッシュタイプです。
ただ、これらは隙間が大きくあいているため、目隠し効果が低く、外からの目線をシャットアウトできないというデメリットがあります。
また、特にステンレスのメッシュフェンスはデザイン性が高いとはいえないタイプのため、エクステリアの美観を大きくは損ねないものの、敷地全体の演出効果は低いといえるでしょう。
目隠し機能を併せ持つ
ルーバーフェンスは強風の影響を受けにくいだけでなく、目隠し機能を兼ね備えている点が魅力のひとつです。
境界線から1m未満の距離に隣地を見通せる窓やベランダなどを作る場合、目隠しの設置が必須となります。ルーバーフェンスは通気性を維持しながら目隠しができるため、サイズや羽根の角度を調節すれば快適に視線をカットできるでしょう。
加えて、デザイン性も高く、防犯性を維持しながらおしゃれなエクステリアを演出できます。そのため、隣家との境界の目隠し目的だけでなく、門扉やテラス、ウッドデッキと色調を合わせて、道路に面した家の正面に設置するのにも最適です。
ルーバーフェンスの風強度以外の特徴
ルーバーフェンスには、高い耐風性以外にもいくつかのメリットがあります。
ここでは、特に代表的なメリットを2つ挙げるので、設置場所を想定しながらチェックしてください。
植物が健全に育つ
ルーバーフェンスは程良く光も取り入れるため、植栽にとっても良い環境を作れます。
隙間のない目隠しフェンスは、庭に日陰を作ることもあり、庭が寒くなったり、苔やカビが発生したりするケースもあるでしょう。
程良い採光と通気性を保つことで、庭に湿気がこもるのを防ぎ、植物の生育を旺盛にする効果が期待できます。
特にプライバシーを確保しながらガーデニングや家庭菜園などを楽しみたい人や庭でリラックスする時間を大切にしたい人は、ルーバーフェンスがおすすめです。
効率的にエアコンを稼働できる
ルーバーフェンスはエアコンの室外機周辺に設置するのにも最適です。エアコンは冷房の場合、室内の熱い空気を排出し、外の空気を吸い込んで、熱交換器で冷やした空気を室内に送っています。
目隠しフェンスや外壁に覆われて室外機周辺の通気性が悪い場合、冷房運転で室内から排出した熱い空気の逃げ場がなく、冷房機能が低下して電力の消費量が増える原因となります。
風を通しやすいルーバーフェンスは敷地内にこもった空気を外に逃がすため、室外機周辺に設置するとエアコンを効率的に運転できるでしょう。
ルーバーフェンスの選び方
ルーバーフェンスを選ぶ際、どのような点に注意して選べば良いのでしょうか。
ルーバーフェンスはメーカーによりさまざまな製品がラインナップされており、価格にも幅があります。
ここでは、ルーバーフェンスの機能性とデザイン性を最大限に活かせる選び方を紹介します。
フェンスの高さ
ルーバーフェンスを目隠し目的で使う場合の高さは、180~200cmが基準です。人の身長程度の目隠しであれば通行人の視線も問題なく遮れます。
リビングを目隠ししたい場合、リビングは地面から50~60cm程度高いのが一般的なので、200cm程度のフェンスが必要になります。
ただ、背の高いフェンスは圧迫感を与えることが多いため、隙間が大きめのルーバーフェンスにする、設置する場所を一部に限定するなど施工方法を工夫することで、開放感を得ながら効果的に目隠しができます。
フェンスのデザイン
フェンスのデザインは外構全体のデザインを左右するので、色や素材を十分考慮して選びましょう。建物の色調と合わせてフェンスを選ぶと住まい全体にまとまりが生まれます。
ルーバーフェンスは羽板1枚の幅や角度の違いでも雰囲気が大きく変わります。目隠し目的の場合は、圧迫感なく目隠しできるタイプを選びましょう。
ルーバーフェンスを選ぶときは、できるだけ費用やカタログだけで決めず、ショールームに足を運んで実際に目で確認すると失敗を防げます。
フェンスの素材
フェンスの素材は、アルミ、樹脂、天然木などの種類があります。
アルミは外構フェンスで良く使われる素材で、軽く、錆びにくく耐久性が高い点が特徴です。カラーバリエーションも幅広く、敷地全体をモダンな印象に仕上げてくれます。
樹脂は、耐久性が高く、錆びない素材です。木目調のほか、カラーバリエーションが多くあり、アルミに比べて暖かみがあります。
ナチュラルな雰囲気のエクステリアにまとめたいなら天然木が最適です。植栽とマッチし、自然あふれるお庭に仕上げられるでしょう。
しかし天然の木材は腐食しやすく、経年劣化で脆くなりやすい素材です。台風で倒壊したり破損したりするおそれもあるので、長く安心して使用するためには、人工木製のフェンスの採用も検討しておくと良いでしょう。
目隠しの優先度
ルーバーフェンスは、羽板の幅や角度、向きにより、住宅にもたらす効果が変わります。目隠しを優先したい場合は羽板に角度がついていない、隙間が狭いタイプを選ぶと良いでしょう。
そのほか、採光タイプと呼ばれる、敷地内に光を取り入れられるタイプもあります。採光タイプは目隠し効果は低下する一方で、圧迫感なく設置でき、敷地内が暗くなる心配がありません。
また、一般的な前下がりのルーバーは、上から見た場合に視線を遮ります。一方で上に向かって羽板が並ぶ前上がりのルーバーは、下から見上げたときに視線を遮る効果が期待できます。
台風に備えたルーバーフェンスの強風対策
ルーバーフェンスが台風に強いとはいえ、想定を超えるような強風で転倒したり飛ばされたりして、事故につながってしまう可能性があります。
猛烈な台風など強風が予想される場合は、安全のため、事前に対応しておいた方が安心です。ここでは、ルーバーフェンスの強風対策を紹介します。
接合部分のビスを締め直す
フェンスそのものは風に強くても、接合部のビスが緩んでいると風に煽られて飛んでしまう可能性があります。そのため、事前にビスが緩んでいないかチェックし、必要に応じて締め直しておきましょう。
天気予報で台風の予報が出たら、早めにフェンスを点検しておきます。手で軽くゆすってガタガタしていたら、ビスを締め直しておきましょう。
稀にビスが紛失していることもあるので、すぐに閉められるようにスペアのビスを準備しておくと安心です。
また、ビスを締め直してもすぐに緩むようであれば、DIYで済ませず、外構工事業者にメンテナンスを依頼しましょう。
補助の柱を追加で設置する
フェンスに後付けで補助の控え柱を追加する方法も効果的です。柱を増やしておけば強度が上がり、フェンスが根元から倒壊するリスクを軽減できます。
注意点はフェンスの柱がどれくらいの長さのコンクリートの基礎に埋め込まれているかによって強度が変わる点です。
元々設置した柱がしっかり基礎に埋め込まれていなければ、いくら控え柱を追加してもあまり効果はありません。
柱の追加を予定している場合は、フェンスを設置した外構工事業者に相談するか、それ以外の業者に依頼するときは現地調査を行ってもらい、プランの提案と費用を見積もりをしてもらいましょう。
フェンスを外しておくのも有効
強風の前はフェンスを外しておくのも一つの方法です。フェンスを取り除いておけば、フェンスが風に煽られて倒壊したり飛ばされたりする心配がなくなります。
フェンスは連結部分のビスを外したあと、柱とフェンスを固定している金具を外すだけで分解できます。
ドライバーのセットが1セットあれば、自分でも簡単に取り外せるはずです。取り外したフェンスは屋外から室内に移動させておきます。玄関の中など、安全な場所に収納しておきましょう。
同時にカーポートの屋根板を外し、玄関や庭のスペースにあるプランターや鉢を片付けておくと良いでしょう。
まとめ
ルーバーフェンスは、台風に強いだけでなく、風通しが良く明るいエクステリアづくりに最適なフェンスです。
ルーバーフェンスの強風対策については、地域や住宅の条件によって大きく異なるため、外構工事業者のアドバイスを受けながら決めていくことをおすすめします。
まだ検討している段階でも業者に気軽に問い合わせ、気になることは質問して疑問を解決しておくと安心です。
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