家の解体で家具はそのまま残せる?追加費用の相場と業者選びのコツ

家屋を解体するとき、家具はそのままにしておいてもよいのでしょうか。大型の家具は運び出すのが大変なため、家の中に残したいと考える方もいるでしょう。

今回は、住宅の解体工事の際に家具を残す場合の注意点や残したほうがよいのはどのような場合か、処理費用の相場について解説します。

目次

家の解体で家具はそのままでOK?

解体工事の際に家具をそのままにしておくとさまざまな不具合が生じます。工期が延長したり追加費用を請求される可能性が高いので、家具を全て撤去して家の中を空にするのが原則です。

ここでは、解体工事で家の中に家具を置いたままにしておくと起こる影響について解説します。

解体費用が高額になる

解体工事で家の中に家具が残っている場合、解体費用が高額になる可能性があります。解体工事で発生した廃棄物は定められたルールに従って分別し、再利用できる家電などはリサイクルしなければなりません。

家の中に物が残っている場合、解体作業に入る前に廃棄物の分別作業をする必要があります。物が多いとその分作業時間がかかるため、人件費が上乗せされ、さらに処分費用もかかります。

見積もりに残置物の撤去作業が含まれていない場合は追加費用を請求されるので、事前に自分で処分しておくか、見積もりの段階で業者に撤去について相談しておくようにしましょう。

解体作業の妨げになる

家具が家の中に残っていると、解体作業の遅れの原因になります。家財道具ごと家屋を解体することはできないため、建物から家財道具を運び出さなければなりません。

搬出作業が終わるまで本格的な解体作業は始められず、工期が大幅に遅れるおそれがあります。

解体工事のあとに新築住宅工事や土地を売却する予定がある場合は、スケジュールが遅れて次の業者に影響を及ぼす可能性があるため、早めに処分しておくことが大切です。

環境への負荷が増える

家具を残したまま解体工事を実施すると環境に負荷をかけてしまうこともあるでしょう。あらかじめ不用品回収業者やリユースショップに回収を依頼していれば、きれいで使えるものは必要とする人に譲り渡すことができます。

解体工事業者が処分する場合は、廃棄物として分別して処分場で処理されます。使えるものはリユースしたほうが地球環境へ優しい取り組みとなるので、できるだけ回収業者に依頼して適切に手放すようにしましょう。

業者によって対応が異なるケースに注意

解体工事で家具をそのままにしてもよいかどうかは、業者によって対応が異なります。全ての業者が家財道具などを処分できる一般廃棄物処理業の許可を持っているわけではありません。

無許可の業者に処分を依頼するとトラブルになるリスクもあるため、事前に確認が必要です。

また、業者によって不用品回収業者と連携を取っているかどうかにも違いがあるので、見積もりの際に聞いておくとよいでしょう。

家具を残したまま解体を依頼するメリット

一方で、家具をそのままにした状態で家具の処分と解体を一括で依頼するのには、一定のメリットがあります。

以下の条件に当てはまる場合は対応してくれる業者に依頼すると、家具を自分で処分する手間が省けます。

遠方に住んでいて片付けできない人に便利

家財を家の中に残した状態で解体工事を依頼するのは、遠方の空き家を解体したいと考えている人には大きなメリットです。遠方にある実家を片付けるとなると、休日のたびに出向いて作業しなければなりません。

その場合は、費用がかかっても業者に依頼してしまった方が早く片付き、解体できます。

立ち合いが難しい場所にある家屋の解体と不用品の処分を一括で依頼する場合は、大切なものまで処分されないように、事前に必要なものはすべて回収しておきましょう。

ワンストップ対応できる業者なら負担が少ない

解体業者のなかには不用品の回収とリサイクルを自社で行っている業者があります。回収とリサイクルをワンストップで行ってもらえれば、不用品回収業者を探す手間が省けます。

残置物の回収・リサイクルを解体業者に依頼したい場合は、業者が一般産業廃棄物処理業の許可を取得しているか、事前にチェックしておくことが大切です。

また、解体工事業者が不用品回収業者と提携しているケースも多くあります。その場合も連携して対応してもらえるので、業者に問い合わせておくと安心です。

家具や荷物をそのまま残した場合の費用相場

では、解体工事の際に家財道具を残したままにした場合、どれくらいの費用が上乗せされるのでしょうか。

あらかじめ相場を知っておき、解体業者に処分を依頼するか、少しでも自分で処分するか検討してみましょう。

残置物処分の料金目安

解体工事の残置物処分の料金は20~50万円が目安です。残置物がタンスなどの木製製品のみの場合は、数万円以下で処分できる場合もあります。

一方で、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビのような適切にリサイクルしなければならない家電が残されている場合は、リサイクル料金や運搬費が上乗せされるため、処分費用が高くなります。

このように、残置物の内容や量によって処分料金は大きく変わるので、解体業者に処分を任せたい場合は、しっかり現地調査をしてもらい、正確な見積もりを出してもらいましょう。

不用品回収業者に依頼した方が安い場合もある

残置物の種類によっては不用品回収業者に依頼する方が安く処分できる場合もあります。たとえば、比較的新しい家電製品は、不用品回収業者に買い取ってもらったり引き取ってもらったりすることで、費用を抑えられるでしょう。

一方で、金属くずやプラスチック、木材などの再利用可能な素材が多い場合は、解体業者にまとめて引き取ってもらえば、産業廃棄物の処分費用を抑えられる可能性があります。

どちらに依頼するか迷っている場合は、それぞれから見積もりを取り、比較して決めるとお得です。

解体前に家具を残す場合に知っておくべき注意点

解体する家屋のなかに家具を残した状態にする場合には、いくつかの注意点があります。ここでは、廃棄物に関する基礎知識を解説するので、トラブルを未然に防ぐためにも確認しておいてください。

産業廃棄物と一般廃棄物の扱いの違い

私たちが生活するうえで出るゴミは、産業廃棄物と一般廃棄物に分類されます。

産業廃棄物は事業活動に伴って排出される、廃棄物処理法で定められた20品目のゴミが該当します。事業者自らが責任を持って分別し、中間処理施設を経て最終処分されなければなりません。

それ以外のゴミは一般廃棄物となり、そのうち、事業所から排出されるものは事業系一般廃棄物となります。一般廃棄物は市町村に処理責任があり、市町村の区域内で処理するのが原則です。

産業廃棄物を一般廃棄物として処理したり、反対に一般廃棄物を産業廃棄物として処理した場合は罰則の対象となります。

自治体の処分ルールを守る必要がある

廃棄物の処分方法は、自治体によってルールが異なります。ごみの出し方だけでなく、粗大ごみのサイズや収集方法、料金も異なるため注意が必要です。

廃棄物の処分方法は、自治体のホームページで細かく指定されているので、自分で処分する場合は事前にしっかり確認しておきましょう。分からない場合は担当窓口に電話などで相談しておくと安心です。

業者が産業廃棄物の処分を請け負う場合は「産業廃棄物処分業許可」が、一般廃棄物の処分を請け負う場合は「一般廃棄物処分業許可」が必要です。

業者に廃棄物の処分を依頼する場合は、適切な許可を取得しているか確認しておくとトラブルを防げます。

遺品や思い出の品は事前に仕分けしておく

解体現場に家具を残す場合、遺品や大切なものは、あらかじめよけておきましょう。そのままにしておくと廃棄物とみなされて処分されてしまいます。

事前にとっておくものを伝えておいたとしても、行き違いが起こる可能性があるため、トラブルを避けるためにも自分で回収しておいた方が安心です。

故人の家を片付けて解体しようと考えている場合は、遺品整理業者のような専門業者に依頼すれば、指定したもの以外でも思い出の品と思われるものは取っておいてくれたり、仏壇や神棚も適切に処分してもらえるので安心です。

家具を自分で処分する具体的な方法

家具を自分で処分する方法にはいくつかの方法があり、売却して収益を得られる方法もあるので、条件に合った方法を選択するのがおすすめです。

自治体の粗大ごみ回収サービスを活用する

最も一般的な方法が自治体の粗大ごみ回収です。多くの自治体では、粗大ごみを出す場合にはごみ処理券を購入します。ゴミ処理券を購入したら自治体に回収を申し込み、指定の収集日にごみ処理券を貼って出すのが一般的です。

粗大ごみの回収費用は地域によって異なりますが、400~3,200円程度で、ごみの大きさによって金額が細かく決められています。

粗大ごみの対象となるサイズや費用は自治体によって異なるので、事前に確認が必要です。

リサイクルショップやフリマアプリで売る

まだきれいな家具や使える電化製品がある場合はリサイクルショップやフリマアプリで売って収益を得ることもできます。

リサイクルショップの出張買取を使えば、持ち込みする手間なく自宅に買取に来てもらえます。家具や家電だけでなく、衣類や食器、おもちゃなどあらゆる種類の不用品を買い取ってもらえる点が大きなメリットです。

フリマアプリで自分で売れば、リサイクルショップに買い取ってもらうよりも高く売れる場合があります。自分の希望価格で販売できるので、手放そうか迷っているものがある場合におすすめです。

ただし、売れるまでは自宅に保管しておかなければならない点は留意しておきましょう。

不用品回収・買取業者に依頼する

大型の家具などを一度に処分したい場合や大量に荷物がある場合は、不用品回収業者に依頼するとよいでしょう。不用品回収業者はリサイクルショップで買取できないような古いものも回収し、適切に処分してくれます。

買取サービスを実施している業者なら、値がつくものは買い取ってくれるので、費用を抑えながら一度できれいに家が片付きます。

不用品回収業者は、ゴミ屋敷など、特殊な状態の住宅の不用品回収にも対応しているので、ゴミ屋敷状態の実家を解体したい場合などは、業者に対応できるか問い合わせてみてください。

家具を残したまま解体できる業者の選び方

ここでは、家具を家屋に残したまま依頼できる解体工事業者の探し方を紹介します。以下のポイントを押さえて業者を探し、複数の業者から相見積もりをとって比較検討すると失敗を防げます。

残置物処分も含めた「総額見積り」がだせるか

見積もりの際に解体工事費用と残置物処理費用の総額で見積もりを出せる業者だと安心です。見積書を提示されたら、作業内容やかかる費用が項目ごとにきちんと記載されているか確認しましょう。

まれに「工事一式:〇万円」のような見積書を出す業者がいますが、これでは何にいくらかかるのか不明瞭なため、工事が始まってから追加費用を請求されてトラブルに発展する可能性があります。

このような業者とは契約せず、きちんと細かい明細が書かれた見積書を出す業者を選ぶようにしましょう。

一般廃棄物処理業者と提携しているか

残置物の処分を業者に依頼する場合は、業者が一般廃棄物処理業の許可を取得しているか、もしくは一般廃棄物処理業者と提携しているか、チェックしておきましょう。

家庭から出るごみを回収できるのは一般廃棄物処理業の許可を得た業者のみです。許可を得ていない業者が一般廃棄物を回収すると法律違反となります。

許可を得ていない業者に依頼すると不法投棄されてしまうおそれもあるため、十分注意が必要です。

相続・空き家処分に強い業者なら安心

相続した空き家の残置物処分と解体を同時に依頼したい場合は、空き家解体や相続した家の解体の経験が豊富な業者に依頼するのが望ましいです。

経験豊富な業者なら、空き家の中の荷物の処分から解体工事までスムーズに行ってくれ、施主に負担をかけることはありません。

空き家の解体を希望する場合は業者のホームページで、空き家処分の実績があるかチェックしてみると安心です。また、空き家に故人の遺品がある場合は、遺品整理業者と提携している解体業者に相談するとよいでしょう。

まとめ

解体工事の際に家具を残しておき、解体業者に処分を依頼することは可能です。ただし、費用が高額になる場合もあるので業者に現地調査を依頼して正確な見積もりを提示してもらい、検討することをおすすめします。

予算オーバーの場合は、木製の家具は家の中に残して一緒に解体してもらい、一般ごみは地域の無料のごみ収集に出す、リサイクルショップや不用品回収業者を活用するなどの方法があるので、解体工事業者と相談して進めていってください。

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