家の解体でどこまで片付けるべき?トラブル回避と費用削減のポイント

家の解体でどこまで片付けるべき?トラブル回避と費用削減のポイント

家屋を解体するとき、家の中にあるものを片付けなければなりません。必要品を分けておくことはもちろんですが、不用品はどのようにすればよいのでしょうか。

今回は、解体工事で施主が片付ける範囲や廃棄物の種類と処分方法、費用を節約するために使える便利なサービスなどについて解説します。

目次

家の解体でどこまで片付ける?

家屋の解体工事の際、敷地内にあるものはどこまで片付ければよいのでしょうか。

ここでは片付けの範囲や気をつけておきたいリスクについて解説するので、解体工事の準備を始める前にしっかりチェックしておいてください。

解体前に残置物は原則すべて撤去

解体工事では家の中の家財道具や不用品は全て撤去するのが原則です。これは、解体工事業者が解体作業で発生する廃棄物を種類別に分類し、適切に処理しなければならないためです。

家屋を構成する木くずやがれき、金属などの「産業廃棄物」に混ざって、家具や家電、生活雑貨などの「一般廃棄物」が残っていると、それらを分別・処理するため手間が発生し、作業が遅れる原因となってしまいます。

作業をスムーズに終わらせるためにも、着工前に家の中を空にする必要があります。

残したままでは追加料金の要因になる

家の中に家財道具を残したままにしておくと、解体工事の追加費用が発生する可能性があります。

解体工事の廃棄物処理費、分別費用は、業者のプランによって異なるものの、トラック1杯分のように量、または重量を目安に見積もりされるのが一般的です。

見積もり時に想定した以上の残置物が家の中に残っていると、トラックに入り切らず追加費用が発生してしまいます。分別作業に人件費もかかるため、追加費用が思っていたよりも高額になるケースも少なくありません。

廃棄物の区分と法律上の注意点

解体工事で発生する廃棄物は「産業廃棄物」「一般廃棄物」「混合廃棄物」の3つに分類されます。

産業廃棄物は事業活動に伴って発生した廃棄物で、法で直接定められた6種類と、政令で定められた14種類の計20種類が該当します。

一般廃棄物は、家庭などから出る生ごみやプラスチックなどで、普通ごみと粗大ごみの大きく2つです。

普通ごみは基本的に地域で決められた収集日に収集場所に出せば、近隣住民のごみと共に無料で回収してもらえます。粗大ごみは手数料を支払って回収してもらうのが一般的です。

混合廃棄物はゴムや金属など複数の素材で構成されるごみです。素材に応じて「安定型建設系混合廃棄物」や「管理型建設系混合廃棄物」に分けられるケースもあります。

家屋解体前に片付けるべきもの

解体工事前に施主が片付けるべきものにはどのようなものがあるのでしょうか。

以下に主な廃棄物を類挙げるので、あらかじめどのように処分すればよいのか把握しておきましょう。

一般ゴミ

一般ゴミは紙類や生ごみ、プラスチック製品など、家庭や事業所から出るゴミのことで、一般廃棄物とも呼びます。

一般ゴミは、自分で出せば無料で回収してもらえますが、解体工事業者に処分を依頼すると有料です。そのため、できるだけ自分で処分した方が安く済みます。

一般ゴミを捨てるときは地域のゴミ回収のルールに従い、適切に分別して処分しましょう。大量のゴミを一気に出すときは事前に自治体の担当窓口に相談しておくと安心です。

危険物

火災や爆発の危険性があるものや有害物質を含むものは危険物に該当するので、自治体で定められた方法で分別し、指定された収集方法で出す必要があります。

主な危険物は以下の通りです。

発火性危険物(スプレー缶・カセットボンベ・ライター)

中身を完全に使い切ってから自治体の指示に従って収集日に出します。

有害物質を含むもの(乾電池・蛍光管・体温計)

自治体の指示に従い、普通ごみとは分けて中身を表記するなどして、指定の収集日に出します。

刃物・ガラス製品・割れ物


収集作業員がけがをしないように紙などに包み、中身が分かるように表記して指定の収集日に出します。

粗大ゴミ

粗大ゴミとは、家庭からでるゴミのなかで、大きさが30cmを超えるものや棒状で1mを超えるものなどです。家具や寝具、自転車、楽器などが粗大ごみ・大型ごみに該当します。

多くの場合、粗大ごみの収集は有料であり、ごみ処理券を購入するなどして収集を依頼します。とはいえ、解体業者に処分を依頼するよりも安く済むケースが多いので、できる限り自分で自治体の粗大ゴミ収集を依頼した方が費用を節約できるでしょう。

粗大ごみの定義や、収集方法は地域によって異なるため、事前に自治体のルールを確認することが大切です。

家電製品

家電製品は業者に依頼すると費用が割高になるケースが多いため、自分で回収業者に依頼したほうがお得です。解体業者に処分を依頼する場合、リサイクル業者を仲介するため、多くの場合、費用が割高になってしまいます。

特にエアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の家電4品目は、適切なリサイクルが義務付けられており、販売店への引き取りやリサイクル券による手続きなど、ルールに従って処分しなければなりません。

特に家電4品目を解体業者に処分してもらうと、解体費用の総額が高くなる可能性があるため、自分で回収を手配したほうがお得です。

家屋解体業者に処分を任せた方が良いもの

通常、残置物は自分で処分したほうが費用を抑えられますが、解体業者に依頼したほうが安く済むものもあります。

以下のものが不用品として建物に残っている場合は、業者に費用について聞いてみることをおすすめします。

木材・木製の家具

椅子やテーブル、タンスのような木製の家具は、解体業者に依頼して住宅と一緒に解体してもらった方がお得な場合があります。

これは、木製の家具類は、木造住宅を解体したときの木くずと一緒に処分できるうえ、再資源化できるので、無料または低価格で処理してもらえるためです。

解体業者に処分してもらえば、家の解体と不要な家具の処分が同時にでき、自分で不用品回収業者を手配する手間が省けるので、予定もスムーズに進むでしょう。

金属類

家庭から出る金属ゴミも解体業者に処分を依頼したほうがお得です。鉄くずやアルミサッシなど再利用できる金属類は、解体業者が金属スクラップ業者に買い取ってもらいます。

買い取りで発生した利益は解体費用から値引されるため、その分解体工事費が安くなります。

ただし、鉄筋コンクリートやプラスチックで覆われた金属は混合廃棄物に分類され、金属くずとして扱われません。金属類を解体業者に処分してもらいたい場合は、どれが金属くずに該当するか事前に確認しておくと安心です。

電線・ケーブル

電線やケーブルも解体業者に処分を依頼すると、金属スクラップ回収業者に買い取られ、出た利益が解体費用から差し引かれる可能性があります。

電線やケーブルは、銅スクラップとして高価値なため、ある程度の量があれば解体費用を削減できるでしょう。しかし、異物が混入していると買い取り費用が下がったり、買い取られないケースもあるため、注意が必要です。

買い取りの対象は、銅が使用されている電線・ケーブルです。電話線、パソコンのケーブルなどが該当しますが、光ケーブルなどの銅以外の素材のケーブルは対象外となる可能性があります。

解体前の整理を自分でするか業者に任せるか

解体工事前の荷物の整理を自分で行うか、業者に依頼するか迷う場合は、それぞれのメリットとデメリットを比較して検討するようにしましょう。

以下に両者の利点と注意点を整理したのでどちらが良いか考える際の参考にしてください。

自分で片付ける場合のメリット・デメリット

自分で片付けをすれば費用がかかりません。家財道具や残っている物の内容によっては売却して収益を得ることもできます。

しかし、片付けの際に自分で分別してごみ収集に出したり、運搬したりしなければならず、体力と時間を要する点はデメリットといえるでしょう。

ゴミ屋敷状態となった空き家の整理などは特に処分に手間がかかるため、無理をせずにプロに依頼したほうが負担がかからずに済みます。

業者に片付けを依頼する場合のメリット・デメリット

業者に片付けを依頼する最大のメリットは、労力をかけずに片付けできる点です。忙しい場合や物が多くて片付けができない場合には、業者に依頼してしまった方が手間をかけずに早く片付きます。

一方で、業者に片付けを依頼すると工事費用が高くなる点は大きなデメリットです。とくに家電4品目は家電リサイクル法に基づき適切に処理しなければならないため、費用が高額になる傾向があります。

一部を自分で処分すれば費用を抑えられるため、業者と話し合って施主が処分する分を決めておくと、賢く不用品を処分できるはずです。

参考:家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)|経済産業省

解体前の片付けをスムーズに進めるコツ

解体前の片付けは、労力を最小限にしてスムーズに進めたいですよね。解体予定の家屋が自宅から遠い空き家の場合は、片付ける時間も限られてくるでしょう。

ここでは、家財道具を処分する方法を紹介するので、自分に合う方法を活用してお得に荷物を撤去してください。

業者を利用して負担軽減

片付け業者を利用すれば、依頼人の負担を軽減しながらスムーズに片付けが進みます。業者のなかには買い取りサービスを実施しているところもあるので、買い取り対象になるものが多ければ収入になる点も大きなメリットです。

相続した故人の家のものを片付けるときは、遺品整理の専門業者に依頼すれば、取っておくものとして指定したもののほか、故人との思い出の品も処分するかどうか確認しながら整理してもらえるので、必要に応じて利用するとよいでしょう。

不用品回収サービスを利用

不用品回収業者に買い取りを依頼して不用品を処分しながら収益を得る方法もおすすめです。出張買取を利用すれば、買取店に持ち込む必要もありません。

家具や家電、衣類、食器など幅広く買い取ってくれるリサイクルショップが便利ですが、骨董品や古書、模型などがある場合は、専門の買取店に依頼したほうが査定額が高くなる可能性があります。

解体工事まで時間がある場合は、下調べしたうえで高く買い取ってくれる業者を探すと収益を得られ、売ったものを必要とする人に渡りやすくなるでしょう。

フリマサイトに出品

自分でフリマサイトやネットオークションに出品できれば、買い取り業者よりも高く売れる可能性が高まります。

フリマサイトの最大のメリットは、自分で価格を決められる点です。特に手放そうか迷っている物がある場合は、フリマサイトに希望の価格で出品し、売れなかったら取っておくという方法も取れます。

注意点は、売れるまで商品を自分で保管しなければならない点です。売りたいものが多くある場合は保管場所の確保が必要になるでしょう。また、大きなものは送料が高くなるため、あまり利益にならないことがある点にも注意が必要です。

親族や知人に無償で譲渡

まだ使える電化製品や、きれいなものを親族や知人に譲り渡すことでも片づけられます。状態の良いものが家の中に残っている場合は、周囲の人に声をかけてみるとよいでしょう。

不用品を親族や知人に譲り渡すときは、無償で譲渡するのがトラブルを避けるコツです。相手が料金を渡したいと申し出てきた場合は、最低限の金額を受け取るようにしましょう。

また、譲渡の際は受渡方法を明確にしておくことも大切です。基本的に取りに来てもらうとスムーズですが、配送する場合は送料の負担について話し合っておきましょう。

地域の粗大ごみやごみ収集を活用

上でも解説しましたが、自分で地域の粗大ごみ収集に出せば、解体工事業者に撤去を依頼するよりも安く済みます。

粗大ごみの対象範囲や収集方法は地域によって異なるので、事前にゴミ出しのルールを確認しておくことがスムーズに処分するためのコツです。

ごみの収集場所やごみ処理施設まで自分で運ばなければならないため、大型の家具を小人数で運ぶのは難しいケースがあります。運ぶのが難しい家財道具は無理せず、業者に依頼して処分するようにしましょう。

解体業者に依頼

解体業者に残置物の処分を依頼すると確かに費用がかかります。しかし、時間的なコストは大幅に削減できるため、費用がかかっても業者に依頼したほうが負担が少ない場合もあるでしょう。

自分で処分しようとすると、どのように処分すれば良いのか分からず、調べているうちに時間が経過してしまったり、かえって費用がかかってしまったりします。

業者に任せれば依頼人がすることは必要なものを分けておくだけなので、忙しい人にはおすすめです。

業者に片付けを依頼するときの注意点

業者に片付けを依頼するときは、いくつか注意しておきたいことがあります。

解体工事業者以外の業者に片付けを依頼する場合は、以下の点に注意しておき、解体工事に影響が出ないように配慮します。

片付けが遅れると工期が延びる可能性も

解体業者以外の業者に片付けを依頼する場合、スケジュールに注意が必要です。解体工事の予定日までに片付けが完了していないと、着工が遅れ、工期が延びる可能性があります。

片付けが終わらず、室内に残置物が残ったままの状態で解体工事が始まった場合、追加費用の対象となるため、十分注意が必要です。

片付け業者は余裕を持って手配し、解体工事が遅れないようにスケジュール管理をしましょう。

大切な物も不用品として処分される恐れがある

片付けを業者に依頼した場合に最も気を付けておきたいトラブルが、残すものを事前に説明していたにも関わらず勝手に処分されてしまった、というケースです。

見積もりの際に営業担当者に伝えていても、作業スタッフまで連絡が行き届いていない場合があります。

このようなことを避けるため、取っておくものを紙に書いて現場に貼っておく、必要品が多いエリアは業者には手をつけないでもらい、自分で片付けるなどすると効果的です。

連絡の行き違いによる誤廃棄のリスクを最小限に抑えるためには、自分で必要品を運び出し、その後業者に依頼するのがおすすめです。

解体業者とのトラブルを防ぐポイント

解体工事は決して費用が安い工事ではなく、さらに残置物があると追加費用の対象となってしまい、トラブルに発展する可能性があります。

以下にトラブルを防ぐためのポイントを挙げるので、契約する前にしっかりチェックしておいてください。

見積もり時に「残置物の有無や範囲」を明確にする

追加費用などのトラブルを避けるためにも、見積もりの時点で業者に回収してもらいたい残置物があるか、その量はどれくらいかを明確に伝えます。

残置物の量が見積もり時の申告よりも多いと処理費用や人件費が余計にかかり、追加費用が発生する可能性があるので、事前にしっかりと確認しておかなければなりません。

費用を抑えるためには業者と話し合って自分で処分するものを決めたり、不用品回収業者への依頼を検討したりするとよいでしょう。

一般廃棄物の許可の有無を確認する

解体業者に残置物の収集と運搬を依頼する場合は、その業者が「一般廃棄物収集運搬業許可」を保有しているか確認が必要です。

家屋に残された残置物の多くは「産業廃棄物収集運搬業許可」では取り扱えません。一方、一般廃棄物収集運搬業許可を保有している業者であれば、解体と一般廃棄物の回収も一括で請け負えます。

許可を持っていない業者に残置物の処理を依頼すると、不法投棄などのリスクがあり、施主が責任を問われるケースもあるので、事前にホームページなどで確認しておくと失敗を防げます。

まとめ

解体工事の際には家の中にある家財道具を全て運び出す必要があります。費用を安く抑えるには自分で処分する、不用品回収業者に依頼するなどの方法がありますが、解体工事業者に依頼することも可能です。

残置物の処理を希望している場合は、解体工事業者に残置物の処理の取扱いがあるか確認してから現地調査と見積もりを依頼すると安心です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次