ホームエレベーターの撤去費用は?放置リスクと対処法を詳しく解説!

ホームエレベーターの撤去費用は?

購入した中古住宅にホームエレベーターが付いている、以前自宅に設置したホームエレベーターを誰も使用していないなど、ホームエレベーターを撤去したいと考えたことはないでしょうか。

しかし、気になるのがその費用です。今回は、ホームエレベーターの撤去費用や、撤去後のスペースの活用方法、放置した場合の注意点などについて詳しく解説します。

目次

ホームエレベーターの撤去費用はいくら?

ホームエレベーターを撤去するにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは、エレベーターの撤去やそれに伴うリフォーム工事などの費用の目安を紹介します。かかる費用を照らし合わせて自宅にぴったりの方法で設備を撤去しましょう。

本体撤去工事の費用

ホームエレベータの本体撤去工事は、本体のみ撤去と完全撤去で費用が変わります。

本体のみ撤去とは、エレベーター本体を撤去して昇降路を残し、そのスペースを収納スペースや小さな部屋として有効活用する方法です。費用は総額で30~150万円が目安です。

完全撤去とは、エレベーター本体と昇降路すべてを解体・撤去する方法で、間取りがエレベーター導入前に戻ります。費用は50~500万円が相場です。

両者は工事にかかる時間も異なります。本体のみ撤去が1~2週間、完全撤去が2~4週間程度と考えておくとよいでしょう。

撤去後の補修・リフォーム費用

エレベーターの本体を撤去したあとのスペースは、使い方次第でライフスタイルをこれまで以上に充実させる空間へと変身させることができます。

最も多く採用されるのは、収納スペースとしての活用方法で、リフォーム費用は20〜80万円程度です。収納スペースに物をしまえば、リビングや居室がすっきりと片付いたおしゃれな空間にもできるでしょう。

書斎や小型のワークスペースにリフォームする場合の費用は50~120万円程度が目安です。

そのほか、書庫やパントリーなど、収納するものを限定したスペース、防音工事を施して楽器の練習室などにも変更できます。

トータルコストの目安

使用しなくなったホームエレベーターの選択肢は、完全撤去、本体のみ撤去、そのままにしておき一時的に停止する、の主に3つがあり、将来的なトータルコストを比較して決めると失敗を防げます。上でもご紹介した通り、完全撤去は50~500万円、本体のみ撤去は30~150万円です。

エレベーターを撤去せず、一時停止する場合は維持費として、年間7~10万円前後必要です。メンテナンス契約費用が年間5~8万円、電気代が6,000~12,000円、5年毎のオイル交換が1回約5万円と、7~8年で50万円程度にはなるので、10年使う予定がなく、将来介護などで使用するイメージが湧かないないなら撤去を検討してもよいでしょう。

費用を抑えるための業者選択とコツ

ホームエレベーターの撤去費用を抑えるには、業者選びが最大のポイントです。

ここでは、費用をできるだけ節約したい場合の業者選びのコツを紹介するので、エレベーター撤去を検討している場合は参考にしてください。

メーカーと解体専門業者ならどっちが安い?

ホームエレベーターの解体費用は、解体工事業者に依頼した方が安く済みます。メーカーに依頼する場合、メーカーが下請け業者に作業を依頼することで中間マージンが発生し、無駄な費用がかかることがあるためです。

また、エレベーターの解体工事は専門性が求められ、危険を伴うことから、対応できる業者が限られます。競合する業者が少なく、工事費用が安くなりにくい環境であることも、高くなりやすい原因です。

一方、解体工事業者への直接依頼は、余計な費用が上乗せされず、適切な料金で工事を発注できます。気になる場合は両者に見積もりを依頼し、工事内容と費用を比較検討してみましょう。

分離発注で得られるメリット

エレベーターの解体工事を分離発注するとさまざまなメリットがあります。分離発注とは、施主が直接解体工事業者を探して契約することです。一方、メーカーに依頼してメーカー側が解体工事、内装工事等必要な工事を手配することを一括発注といいます。

分離発注の代表的なメリットは費用面です。中間マージンが発生しないため、費用負担を抑えられます。

また、直接解体業者とコミュニケーションを取ることになるので、希望どおりの工事を依頼しやすく、業者との食い違いを防げます。

優良業者を見極めるポイント

エレベーターの解体工事を専門業者に依頼する際には優良業者に依頼することが大切です。理由は、エレベーターの解体は専門性が高く、経験豊富な業者が行った方がよいためです。

エレベーターの解体はほぼ全て手壊し解体で行います。油圧駆動方式のエレベーターでは、解体作業に移る前に油抜き作業も欠かせません。このような作業を伴うので、経験が少ない業者や重機での解体がメインの業者には不可能な場合もあります。

業者選びの際は、ホームエレベーターの解体実績が豊富な業者に依頼するようにしましょう。

使わなくなったホームエレベーターの処理法

稼働させていないエレベーターはそのまま放置してもよいのでしょうか。ここでは、エレベーターを放置するリスクや、保守契約をしないとどうなるかについて解説するので、今後の負担を軽減するためにもチェックしておきましょう。

そのまま放置するリスクとは?

使わないホームエレベーターを運転させないまま放置すると、さまざまなリスクがあります。家庭用とはいえ、エレベーターは大型の機器です。劣化が進むとワイヤーロープが腐食したり、制御装置が不具合を起こしたりして、故障する可能性があります。

エレベーター内に閉じ込められるなど、事故につながる可能性も否定できません。将来車椅子での移動に使いたいなど、使用する予定があるなら保守点検をしっかりと継続する、今後使用する予定がないなら、撤去を検討するようにしましょう。

メンテナンス契約をしない選択肢はある?

ホームエレベーターのメンテナンス契約を打ち切ることは、安全性の面で大きなリスクを伴うため注意が必要です。

一般的な不特定多数が使用するエレベーターは建築基準法に基づき、定期検査報告が義務付けられています。ただし、ホームエレベーターなどの一定基準を満たしたエレベーターは報告義務が免除されます。

メーカーとの保守契約をしないことで維持費を節約できますが、故障時には大きな費用がかかるケースもあります。定期点検を行っていれば深刻な不具合になる前にメンテナンスできたものが、長期間放置していたために故障して、制御基板やモーターなどの部品が丸ごと交換になることもあるでしょう。

安全性や性能の低下、思わぬ出費を防ぐためにも、契約は必須です。

参考:建築基準法第12条1項、3項

撤去とリフォームを比較する

使わなくなったエレベーターを撤去するか、リフォームして使用するかは、工事費用やランニングコストをよく考えて後悔のない方法を選びましょう。

エレベーターの解体・撤去費用は、上でもご紹介した通り30~500万円ほどです。

一方、保有し続ける場合は耐用年数の25~30年ごとに改修が必要です。25年も経過していると部品がないケースも多いため、一般的には本体ごと交換することになります。設置費用は木造2階建てに2人乗りのエレベーターを設置する場合で、約300万円程度です。

一見するとリフォームの方が安いように見えますが、エレベーターがあると、保守点検費用は毎年かかり続けるので、トータルコストで考えるようにしましょう。

ホームエレベーター撤去後の活用アイデア

ホームエレベーター撤去後は、もとの間取りに戻すことも可能ですが、エレベーターがあった場所を有効活用して新たなスペースに生まれ変わらせることもできます。

どのように活用するか迷っている場合は、以下の事例を参考にしてはいかがでしょうか。

らせん階段へのリフォーム

エレベーター撤去後のシャフトスペースに螺旋階段を設置して、見た目にもおしゃれな空間にリニューアルする方法が人気です。

螺旋階段は直径が1,400~1,600mmのタイプが多く、ホームエレベーターで多く採用されている一間角サイズ(1,820×1,820mm)のスペースにちょうど収まります。

螺旋階段は吹き抜けのように天井まで一つの空間となるため、光を取り入れやすく、室内を明るく演出できます。ホームエレベーターが玄関近くにある場合などは、螺旋階段から光を取り込んで明るい玄関にすることもできるでしょう。

書斎や作業スペースとして転用

エレベーターを撤去したあとの空間を書斎やワークスペースに変更して自分だけの作業空間を作ることも可能です。ホームエレベーターは0.6~1畳程度の広さです。机と棚を造作すれば、リモートワークにも集中できる空間になるでしょう。

エレベーターがあった凸の部分にスペースをつくるので、動線の邪魔にもならず、集中するための空間としてもぴったりです。

作業用テーブル、棚、パソコン、プリンタなど、スペースに納めたいものをあらかじめピックアップしておき、業者と相談して施工してもらうのがおすすめです。

収納や子ども部屋にする

エレベーター撤去後のスペースを使って、収納や小さなキッズルームとして活用してもよいでしょう。子どもの手が届く高さの収納と床に座ったり寝転んだりして過ごせるカーペットを敷けば、小さな隠れ家に変身します。

また、一畳分のスペースがあれば十分な収納スペースとして活用できます。棚を工事で据付けなくても、様々な種類と価格のラックがあるので、スペースに合ったものを置けば荷物を置く収納棚として機能します。

もちろん、業者に依頼して棚とポールを設置し、本格的なウォークインクローゼットにすることも可能です。

子ども部屋として手狭になってきたら、収納スペースに変更もできるので、変更する時期を事前に計画しておくとよいでしょう。

ホームエレベーター撤去の関するよくある質問

ここではホームエレベーター撤去についてよく挙がる質問とその回答を紹介します。エレベーター撤去はもちろん、新築の建物や中古物件のリノベーションで新設したい場合、既存のエレベーターを交換してリニューアルしたい場合はチェックしてください。

撤去に使える補助金はある?

ホームエレベーターの撤去に関する補助金は存在しません。そのため、関連する補助金制度の条件を満たした場合に補助金の活用が可能です。

関連する制度のひとつに老朽危険家屋解体撤去補助金がありますが、これは不動産そのものを解体・撤去することが前提となるので注意が必要です。

一方で、ホームエレベーターの設置やリフォームでは補助金を活用できる場合があります。代表的なものに長期優良住宅化リフォーム推進事業、住宅特定回収特別税額控除、住宅ローン控除などがあります。

ホームエレベーターは固定資産税に影響する?

ホームエレベーターは固定資産にあたるので、設置すると固定資産税が高くなります。そのため、エレベーターを撤去し、家屋滅失届または家屋一部滅失届を自治体に届け出れば、翌年度から固定資産税が低くなる可能性があります。

なお、リフォームでホームエレベーターを設置する場合、建築確認申請、昇降機確認申請が通らなければ設置できません。建築確認検査証が手元にない場合は自治体に確認が必要です。申請が通ったとしても構造上の強度が足りない場合は補強工事が必要です。

まとめ

エレベーターの撤去費用はエレベーターの規模や撤去後のスペースの使い方によって大きく変わります。住まいを快適にするためにも、解体後のスペースは安心で心地よい設計を目指しましょう。

どのようにリフォームすればよいのか分からない場合は、自宅を施工エリアにしている解体業者に現地調査を依頼し、プランを提案してもらうことをおすすめします。

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