あこがれている人も多いおしゃれな芝生の庭。景観が良くなるだけでなく、日差しによる暑さを和らげる効果が期待できます。
しかし、実際に芝生の庭にしたあとに、庭の芝生をやめたいと考える人は少なくありません。
今回はなぜ庭の芝生をやめたいのか、その理由や芝生の代わりになるエクステリアの舗装材などを紹介します。
庭の芝生をやめたい理由とは?
せっかく設置した芝生の庭を後悔し、やめたいと考えるときはどのような理由があるのでしょうか。
ここでは代表的な理由をお伝えするので、芝生の庭を検討している場合はチェックしておきましょう。
こまめな芝刈り
天然芝は定期的な芝刈りを行わなければならず手間がかかるため、芝生をやめたくなる場合があるでしょう。
芝刈りは、5~10月に行います。頻度は暖地型芝生であれば春と秋には2~3週に1回、成長が旺盛になる気温の高い時期は週に1回が目安です。
芝生を伸ばしっぱなしにすると、芝がスカスカになるだけでなく、虫が発生しやすくなります。密度のあるきれいな芝生を維持するためにはこまめな芝刈りが欠かせません。
しかし、忙しい人にとっては頻繁に芝刈りをするのは難しいでしょう。結果的に芝生の見た目が悪くなり、やめたくなってしまうのです。
水やりや肥料の管理
芝生の庭には、水やりや肥料を施す必要があるため、管理しきれずに芝生を撤去したいというケースもあります。
芝生は土壌の栄養と光合成によって成長します。そのため、定期的に肥料を与え、栄養補給をしてあげなければなりません。
また、土が乾燥している場合は水やりも欠かせません。水やりの頻度は季節によって大きく変わり、夏場は毎日必要です。
スプリンクラーのような広範囲に楽に散水できるものもありますが、一般的にはホースに散水ノズルを付けて水やりするので、これが面倒に思うこともあるでしょう。
雑草の除去
芝生の庭の大きなデメリットの一つが雑草です。生えた雑草を取り除く作業が負担になり、芝生をやめたくなることがあります。
芝生は土の上に生えるので、当然ほかの植物も成長しやすい環境です。特に雑草は少しの土でも成長してしまうため、気づいたら雑草だらけになっていたということも。
芝生が生えている場所なので除草剤は使わずに、こまめに雑草を抜く必要があります。夏の暑い時期に頻繁に雑草の除去を行っていると、手間に感じてしまう場合もあるでしょう。
落ち葉などのゴミ片付け
芝生は落ち葉やゴミの掃除がコンクリートなどに比べて手間がかかります。
芝生の葉にゴミがひっかかりやすく、外から飛んできた枯れ葉やゴミでせっかくの美しい芝生の庭が台無しになってしまうこともあるでしょう。
自宅に植える植栽を落葉樹ではなく、常緑樹にするとある程度対策できますが、強風の日などはどうしても近隣から葉が飛んできて庭を汚してしまいます。
忙しくてすぐに掃除ができないという理由で、芝生の庭をやめるケースも少なくないでしょう。
猫にフンをされやすい
芝生の庭は、猫にフンをされてしまうことがあります。時には野良猫のトイレにされてしまい、猫除けスプレーなどの対策を行ってもしつこくフンをされ、大きなストレスになってしまう場合も。
猫のフンは臭いの問題だけでなく、寄生虫や病原菌を含んでいる場合があるため、十分注意が必要です。
猫は一度トイレを決めると簡単なことではやめてくれません。野良猫が多い地域の場合、芝生以外の床材に変更して対策した方が良い場合もあります。
庭の芝生をやめたいときの選択肢
芝生をやめて庭の床材をほかのものに変えたい場合、どのような素材が考えられるでしょうか。
ここでは、代表的なエクステリアの床材とその特徴をお伝えするので、自宅の庭の環境や目的と照らし合わせて選択してください。
人工芝
芝生と見た目をあまり変えずに手入れの負担を軽減したいなら人工芝がおすすめです。
人工芝はポリエチレンやポリプロピレンを天然芝に似せて作ったものです。パイルの長さによって好みの雰囲気の製品を選べ、一年中青々とした芝生を楽しめる点が大きなメリットといえるでしょう。
一度敷いてしまえば手入れが不要な一方で、6~8年ごとに交換が必要なこと、天然芝に比べて直射日光が当たると表面温度が上がりやすい点には注意が必要です。
土間コンクリート
庭の手入れの手間を大幅に削減したいなら、土間コンクリートがおすすめです。
見た目がスタイリッシュな土間コンクリートは、一般的な金鏝(かなごて)仕上げや洗い出し仕上げなどデザインの幅も広く、近年では多くの住宅がエクステリアやガレージの床材として採用しています。
耐久性が高いため、定期的に洗浄すればきれいな状態を長期間保てるほか、車の乗り入れも可能です。
一方で、夏場は太陽光で表面が熱くなりやすく、直射日光が当たる場合、芝生の庭に比べて庭の温度が高くなる点には注意が必要です。
砂利敷き
芝生から変更する際の費用を抑えたいなら砂利を敷くと良いでしょう。砂利は泥はねや雑草を防いでくれるだけでなく、上を歩くと音がするため、防犯にも効果が期待できます。
砂利は砕石のほかに真っ白な白玉砂利や、黄色、ピンク、グリーンなどさまざまな色があります。敷く砂利の種類によって敷地全体の雰囲気を大きく変えられるため、建物に合った砂利を選びましょう。
注意点は、時間の経過と共に、砂利がすり減ったり敷地の外に出たりして少なくなっていく点です。機能性と美観を保つためには定期的に砂利を足す必要があります。
レンガ敷き
ナチュラルで暖かみのあるエクステリアを目指すなら、レンガが向いています。経年による変化で外見にも味が出て、長く楽しめる点も大きなメリットです。
色と種類も豊富で植栽との相性も良いので、部分的に芝生を残したい場合にも違和感なく組み合わせられます。
レンガは割れや欠けが起こりやすい点に注意が必要です。欠けた部分で躓いて転倒するおそれがあるため、都度修復する必要があります。
しかし同じレンガが手に入らずに補修部分が不自然になる場合がある点がデメリットといえるでしょう。
タイル敷き
庭に高級感を出したいならタイルを敷くと良いでしょう。タイルの最大のメリットはほとんどメンテナンスが必要ないことです。耐久性があり汚れにくく、汚れたとしてもブラシでこすれば簡単に落とせます。
一般的な四角形のタイルのほか、乱型タイルなどがあり、色とサイズも豊富です。また、ステップを設けてテラスにすれば、家族の癒やしの場としてスペースを活用できるでしょう。
デメリットは施工費用が高い点と、夏の日差しで表面が熱くなりやすい点です。雨で滑りやすいタイルもあるので、滑りにくいものを選ぶと安全性も確保できます。
ウッドデッキ
芝生をすべて撤去せずにウッドデッキを設置し、芝生の範囲を大幅に縮小して手入れの手間を少なくすることも可能です。
ウッドデッキは、椅子とテーブルを置いてティータイムを楽しんだり、バーベキューをしたりできるほか、洗濯物を干すスペースとしても利用できます。
リビングの床の高さに合わせると、リビングとひと続きの空間のようになり、リビングが広く見える効果がある点も大きなメリットです。
ただし、ウッドデッキの下部に雑草が生えることがある点は留意しておきましょう。
芝生の代替植物
芝生の代わりにグランドカバーになる植物を植える方法もあります。
グランドカバーは、一般的に横に這う性質の植物を使います。芝生と異なり、芝刈りの手間が必要なく、上を踏んでも枯れず、雑草が生えにくいのが特徴です。品種によっては虫よけ効果のある植物も存在するので、上手に活用しましょう。
グランドカバーでよく用いられる植物にはヒメイワダレソウ、ディコンドラ、ローマンカモミールなどがあります。
庭の芝生をやめるときのDIY手順
庭の芝生の撤去は基本的には外構工事業者に依頼した方が良いですが、狭い面積ならDIYでも可能です。
芝生の庭を自分で撤去したい場合は、以下の手順を参考にしてください。
芝生を剥がす
まずは芝生を剥がします。手では剥がれにくいので、スコップを使うと楽です。
大きなスコップを、上からまっすぐ深さ20cmくらいまで挿し込みます。同じ要領で、30~40cm四方のタイル状に分割するようにスコップを挿し込み、切り込みを入れていきましょう。
出来上がった四角の切り込みにスコップを入れ、てこの原理で持ち上げると簡単に芝生を持ち上げられます。
芝生を枯らす
力を使わずに芝生を撤去したい場合は、芝生を枯らして処理する方法もあります。
簡単なのは除草剤を撒く方法です。ただし近くに植栽がある場合、植栽も枯らしてしまう可能性があるため、慎重に行う必要があります。
芝生をやめたい部分が限定されている場合は、ビニールシートをかぶせ、芝生を腐らせて取り除くと、不要な部分のみを安全に撤去できます。
どちらの方法も枯れるまである程度の期間が必要なため、新しい舗装材の施工に合わせて計画することが大切です。
芝生の処分
芝生の土を落とし、水で洗って洗い流したあと、乾燥させてからごみとして処分します。
土はごみとして回収してもらえないため、きちんと落とすことが大切です。通常、芝生は燃えるごみとして処分できますが、自治体によってルールが異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、処分する芝生の量が多い場合は、あらかじめ自治体の窓口に問い合わせておき、指示に従って処分するようにしましょう。
整地を行う
芝生を撤去したら整地を行います。雑草や草の根、小石を取り除き、さらにレーキや熊手を使って小さな草や小石を撤去しましょう。
そのあと、土を均して固めます。個人住宅であればハンドダンパーを使えば固められますが、ハンドダンパーがない場合は板やブロックで代用できます。
最後に水はけを良くするために砂を入れておきます。土のままの庭は水溜まりができたり砂埃の原因になったりするので、できるだけ早く砂利を敷くなどして、床面を施工すると安心です。
庭の芝生をやめるときの注意点
芝生を撤去しても、根本的な問題を解決しなければ悩みが解消されるわけではありません。
以下に芝生を撤去しても解決しにくい問題を挙げているので、芝生をやめたいと考えているときは対策を考えておきましょう。
芝生をやめても最低限のメンテナンスは必要
芝生をやめても、エクステリアの素材に合ったメンテナンスは必要です。ごみや落ち葉の掃除はもちろん、植栽がある場所では雑草を取り除く作業は引き続き行うことになるでしょう。
コンクリートやタイルの床は時々ブラシでこすって水洗いするときれいな状態を長く保てます。また、ウッドデッキは定期的な塗装が必要です。
芝生の水やりや芝刈りほど手間はかかりませんが、最低限のお手入れはエクステリアを長持ちさせるためにも欠かせません。
土があればミミズ・虫は発生する
芝生を撤去しても土が残っている状態ならミミズや虫、モグラなどは出てくるでしょう。
モグラは地面に凹凸を作ったり家庭菜園を荒らしたりしてしまうだけでなく、モグラが作ったトンネルからネズミが入り込む可能性があるため、早めに対策しておくことをおすすめします。
芝生から砂利に変えただけでは解決しない場合があるので、床材を土間コンクリートやタイルなどにして、虫や動物が発生しにくい環境にすることが大切です。
排水問題が解決するわけではない
芝生をやめただけでは庭の排水問題が解決するわけではありません。水はけのわるい土壌では、庭に水溜まりやぬかるみができやすく、ジメジメした環境になってしまいます。湿気が多い環境は害虫やカビの発生リスクがあるため注意が必要です。
排水問題を解決するには、床面に土間コンクリートを施工する、排水工事をするなどの方法があります。
土地に合った方法で行う必要があるので、外構工事業者に相談して最適な方法を提案してもらうと良いでしょう。
芝生は取り残すと無限に広がる
芝生は完全に除去しないと無限に広がっていくので注意が必要です。芝生には匍匐茎(ほふくぐき)とランナーと呼ばれるものがあり、これが横に伸びて広がっていきます。
芝生の庭を維持しているときは、芝生が横に伸びることはメリットになります。しかし、芝生が不要になった場合はこの横に伸びる性質で悩まされることになるでしょう。
芝生で悩まされないためには完全に芝生を除去しましょう。一部に芝生を残したい場合は境界線に根止め用のストッパーを使用すると効果的です。
庭の芝生をやめるときのよくある質問
エクステリアの床材を芝生から他の素材に変更したいと考えた場合、さまざまな疑問が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
ここでは、芝生をやめるときによくある質問とその回答を紹介します。
庭の芝生をやめたときのデメリットは?
芝生をやめて他の素材で舗装した場合、日差しの熱で庭が暑くなる可能性がある点は大きなデメリットです。
芝生は夏の直射日光が当たる場所でも裸足で庭を歩けますが、コンクリートやタイルは高温になりやすく、裸足では上を歩けません。
照り返しにより、室内の温度が上昇する場合もあるので、涼しい芝生の庭の方が快適なケースもあります。
そのほか、芝生の庭をやめる場合は、代わりにほかの床材を施工することになり、その分費用がかかる点もデメリットです。
業者に依頼したときに芝生剥がしにかかる費用は?
芝生の撤去作業を業者に依頼した場合の費用は、1㎡あたり1,000~4,000円が相場です。剥がした芝生の処分も業者に依頼する場合は、撤去費用のおよそ20%程度かかると考えておきましょう。
多くの場合、芝生を剥がしたら別の舗装材を施工することになります。コンクリートの施工費用は1㎡あたり1万~1万5,000円、タイルは1万5,000~2万円がおおよその相場です。
素材の種類や地域によっても大きな違いがあるため、検討する際は事前に外構工事業者に相談しましょう。
まとめ
芝生の庭は景観が良く涼しいというメリットがある一方で、芝生の管理の大変さや虫の発生などのデメリットもあります。
芝生をやめたい場合、DIYでも可能ですが、その後に何らかの舗装が必要になるので外構工事業者に依頼した方が安心です。
舗装に使う材料の種類やデザインによって費用が変わるので、複数業者から相見積もり依頼して比較検討すると失敗を防げます。
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