解体工事のクレームはどこに言う?騒音や振動の苦情の相談先と対処法

解体工事のクレームはどこに言う?

近所の解体工事の騒音や振動がストレスになる場合、どこにクレームを伝えれば良いのでしょうか。

この記事では、解体工事の苦情を伝える先や、トラブルにならない伝え方のポイントを紹介します。また、悪徳業者の特徴についてもご紹介するので、チェックしておいてください。

目次

解体工事のクレームを伝える相手

近所の解体工事で困ったことがある場合は、以下の相手に伝えましょう。

トラブルを避けるためにも最初に誰に伝えるか、状況によって伝える相手を間違えないことが大切です。

施主

解体工事のクレームは、まずは施主に伝えるのが一般的です。近所の解体工事なら、施主と顔見知りというケースも多く、要望を伝えやすいでしょう。

施主は解体工事にお金を払っている「依頼主」の立場となり、作業全般に関わる意思決定を持っています。その依頼主からの要望であれば業者は対応せざるをえません。

また、クレームを受けて騒音対策や粉塵対策を行う場合、施主が追加費用を負担することになるケースもあるので、改善を求めるには最初に施主に伝えるのが妥当だといえるでしょう。

施工業者

現場で施工している解体工事業者にクレームを入れる方法もあります。

解体工事のお知らせのチラシを貰っていて、苦情窓口に解体工事業者の連絡先が記載されていたら、最初に業者に連絡して問題ありません。

施工方法の変更を伴わずに騒音を軽減できる場合には適切に対応してもらえるでしょう。

このとき、工事の責任者に連絡することがポイントです。現場の作業員は毎日同じ現場にいるとは限らないため、直接伝えても対応がその場限りになってしまう可能性があります。

連絡窓口になっている電話番号に連絡するか、現場の責任者に伝えることが大切です。

自治体の相談窓口

クレームを入れても全く対応してくれない、または法令違反をしている場合は自治体に相談する方法があります。

各自治体の窓口では解体工事の騒音トラブルについて相談を受け付けており、工事で発生する騒音が基準値を超えていた場合は指導・勧告を行ってくれます。

解体工事に関するトラブルは、公害苦情相談窓口や、環境課などが対応していますが、役所によって部署名が異なるため事前に確認しておきましょう。

業者が自治体からの指導・勧告・改善命令を無視して基準値を超える騒音を発生させ続けた場合、5万円以下の罰金の対象です。

なお、自治体に相談しても解決しない場合、弁護士に相談し、問題解決を目指します。過去には裁判で慰謝料請求をした事例もあります。

解体工事でよくあるクレーム

ここでは、解体工事でよくあるクレームとその理由について紹介します。

解体作業の都合上どうしても避けられない部分もあるので、原因を理解しておき、クレームを入れるかどうか検討するようにしましょう。

騒音による苦情

解体工事で最も苦情につながりやすいのが騒音の発生です。解体工事ではとくに重機を使用する作業が大きな音の原因となり、重機のエンジン音や、住宅から柱などを取り外す際の音が騒音トラブルにつながります。

また、解体工事では切っても切り離せない、コンクリートの基礎やアスファルトを土地から引きはがし、切断するはつり工事も騒音の原因です。

これらの特に大きな音が出る作業は、一般的な戸建て住宅で3~7日間程度続くと考えておけば良いでしょう。

そのほか、車両が通行する際に発生する音、作業員の話し声もクレームの原因となります。

振動に関する問題

振動も騒音と並んで解体工事で近隣住民に影響を及ぼすものです。

振動は重機などの建設機械で建物を解体する際、土地に設置されている基礎を解体する際に地震のような大きな揺れが発生します。

特に解体する建物が大きい場合や鉄骨が地中深く打ち込まれている場合などは振動が大きくなる傾向があるといえるでしょう。

それだけでなく、解体したがれきを地面に落としたときや、大型の工事車両が通行するときにも振動が発生します。

粉塵・ほこりの不満

作業中にほこりや粉塵が舞うことで、周辺住民に迷惑をかける場合があります。

解体工事で発生する粉塵にはいくつかの種類があり、コンクリート、石綿などの鉱物性粉塵、配管や電線などの金属粉塵、木材などの有機粉塵、などが代表的なものです。

建物に使用している素材によっては人体に大きな影響を及ぼすため、法律の定めに基づいて対策しなければなりません。

特にアスベスト(石綿)を含む建物の解体工事を実施する場合は「特定粉塵予防規則」に基づき、石綿作業主任者の配置が義務付けられており、現場では定期的な作業環境の測定と記録をする必要があります。

参考:粉じん障害防止規則|労働安全衛生情報センター

解体工事の影響を抑える対策

解体工事の騒音、振動、粉塵は、業者ができるだけ抑えようと工夫していますが、ゼロにすることはできません。

被害を最小限にするには近隣住民も工夫する必要があるといえるでしょう。

以下に解体工事の影響をできるだけ防ぐための手段を紹介するので工事期間中はぜひ取り入れてみてください。

解体工事の時間帯は外出をする

解体工事でうるさい時間は外出してしまうのも一つの方法です。解体工事で大きな音が起こるのは工事期間全体のうち数日間です。

作業時間は騒音規制法により午前7時~午後7時、1日最大10時間と決められているので、日中にお出かけしてしまえば、ストレスを最小限に抑えられるでしょう。

事前に特に音が大きくなる期間を聞いておき、その期間は外出を計画しておくと、騒音に悩まされる時間を最小限にできます。

洗濯物を外に干さない

解体作業中は洗濯物を外に出さないようにしましょう。濡れた洗濯物は粉塵が付着しやすく、汚してしまうおそれがあるためです。

粉塵が付いたままの服やタオルを使用すると、人によってはかゆみやくしゃみなどのアレルギー症状がみられることもあります。

解体工事業者も解体作業日は洗濯物を外に干さないようお願いしています。一般的な戸建て住宅なら、工事期間は1~2週間です。その間は部屋干しで対応するようにしましょう。

窓や戸の締め忘れに注意する

近所で解体工事をしている場合は、作業完了まではなるべく窓や扉を締め切りましょう。

解体工事の粉塵やほこりは室内に入ってくることもあります。住居の中に粉塵が入ってくると、床がざらつくなど不快感を覚えるほか、吸い込んでしまうと健康に影響がでるケースもあります。

そのため、作業時間帯は窓と扉を締め切り、エアコンで対応しましょう。なお、法律で作業ができない午前7時以前と午後7時以降は窓を開けても問題ありません。

事前に業者の作業時間を把握しておくと、換気する時間の調整をしやすいでしょう。

悪質な解体業者の特徴は?

多くの解体業者は誠実に作業を行っていますが、残念ながら悪質な業者や未熟な業者が存在しているのも事実です。

悪質な業者には以下のような特徴があります。もし該当するようであれば自宅に不具合が生じた場合に備えて敷地内の写真撮影などをしておきましょう。

事前の説明や挨拶がない

解体現場の両隣と裏側、道路を挟んだ向かい側の家であるにも関わらず、工事前の挨拶や工事に関する説明がない業者には注意しましょう。

解体工事では騒音・振動がつきものです。そのほか、作業員の往来などで近隣に迷惑をかける可能性があるため、業者が工事開始前に近隣住民に挨拶回りを行います。

挨拶回りを実施しない業者は、解体作業における最低限の礼儀が守れない業者である可能性が高いといえるでしょう。

作業中の音だけでなく、作業員のマナーなどで近隣住民とトラブルになる可能性があるため、注意が必要です。

工事を早朝や深夜に行う

解体作業を騒音規制法・振動規制法で定められた時間以外に実施する業者は悪徳業者といえるでしょう。

住宅街や商業地域などの「1号区域」に該当する地域では、作業可能時間帯は7時~19時、1日10時間以内と定められています。

また、日曜・祝日は作業できません。つまり、なんの断りもなく午後7時以降~翌午前6時台までの時間帯に作業している場合は違法な工事を行っている可能性があるため、自治体へ相談しましょう。

看板や養生シートがない

解体現場に看板や養生シートが設置されていない場合も注意が必要です。

解体工事では、公衆に見える位置に看板を設置することが建設業法第40条、建設リサイクル法第33条によって義務付けられています。

看板は工事に関する情報開示の目的だけでなく、事故防止の目的としても必要なものです。

そのため看板を設置していない工事は、登録をしていない無許可業者や法律を遵守していない悪質な業者が施工している可能性が高いといえるでしょう。
また、解体工事では騒音や粉塵対策のために養生シートを設置します。養生シートの設置にも費用がかかるので、なかには省略する業者も。

養生シートは作業の都合ではずしているケースもあるため、施主や業者に確認すると良いでしょう。

苦情を伝える際の注意点

解体工事や建築工事など、建設工事の苦情は伝え方を間違えると施主と関係性が悪化して、最終的に訴訟に発展するおそれがあります。

そこで、解体工事でクレームを伝える際に気を付けるポイントを紹介します。

近隣トラブルにならないよう配慮する

解体工事で苦情を伝えるときは、施主とトラブルにならないように配慮しましょう。いきなり「うるさい」「いますぐ音を止めて」などと伝えるとご近所トラブルに発展してしまうおそれがあります。

苦情を伝えるときは、感情的に伝えるのではなく、作業時間を少しずらせないか、〇時頃は子どもが寝ているなど、こちらの都合を具体的に伝えるだけでなく、譲歩する姿勢も必要です。

解体工事が終わってもご近所付き合いは続くことを考慮して、丁寧に要望を伝えましょう。

施工業者には内容を整理して伝える

施工業者にクレームを入れる前に伝えたい内容を整理しておくと効果的です。解体工事では騒音や振動を完全になくすことはできません。

騒音を極力抑えるために防音シートなどを増やすと追加費用が発生する可能性があるため、施主が難色を示すこともあるでしょう。

このように、必ずしも要望を100%叶えてくれるとは限らないので、なぜ困るのか、どれくらいなら我慢できそうかを整理したうえで伝えると、対策してもらいやすくなります。

たとえば、家の前を通行するトラックの音や作業員の声が問題なのであれば、家の前は最徐行で通過する、作業員の会話は最低限の声掛けのみにするなど、気を遣ってくれるはずです。

解体工事に関するよくある質問

ここでは解体工事の騒音に関してよくある質問とその回答を紹介します。

もし、近隣の解体工事による騒音でお悩みの場合は、内容を確認しておき、対応方法を考えておきましょう。

解体工事で騒音は違法ですか?

解体工事の騒音には環境省が基準を定めており、上限を超える騒音は違法となります。騒音規制法で定められている基準は85デシベルです。

参考として、ステレオから発生する音が70dB、地下鉄の車内音が80dB、電車が通過しているときのガード下が100dBです。

振動規制法では振動の上限を75デシベルと定めており、騒音、振動の上限を超えると行政指導の対象となります。

なお、騒音・振動については受忍限度という不快感の程度も重視されます。受忍限度の基準は明確に定まっていませんが、周囲の環境や事情が総合的に判断されるのが一般的です。

参考:騒音に係る環境基準について|環境省

解体工事の騒音苦情を警察に通報できる?

騒音・振動レベルが基準を超えているにも関わらず、クレームを入れても対応してもらえない場合は警察に通報すれば、現場の作業員に口頭で注意してもらえる可能性はあります。

しかし、警察は基本的に民事不介入なので、必ずしも解決するとは限りません。なお、車両が道路を塞ぎ、通行人の安全を妨げている場合は警察に連絡しましょう。

基準を超えた工事でお悩みの場合は、市区町村の窓口、または消費生活センター(消費者センターに)相談するのが基本です。

消費者センターでは個人情報を保護しながら相談員が解決方法をアドバイスしてくれます。

まとめ

解体工事の騒音や振動は近隣住民の生活に少なからず影響を及ぼします。特に大きな音が出るのは数日間ですが、我慢できない場合は施主や業者にクレームを入れるようにしましょう。

クレームを伝えるときは感情的にならず、お互い譲歩しながら協力を仰ぐ、アドバイスを受けながら自分で対策することで、ご近所トラブルを避けられます。

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