解体工事の現地調査とは?確認する項目と費用感を解説!

解体工事の現地調査とは?確認する項目と費用感を解説!

解体工事業者に解体工事の見積もりを依頼した場合、業者は現場に出向き、現地調査をしたうえで見積書を提示します。

しかし、見積もりのためにわざわざ業者に建物を見せる必要があるのでしょうか。ここでは現地調査とは何か、その必要性や施主が準備しておくべきことなどを紹介します。

目次

解体工事における現地調査とは?

解体工事で行う現地調査は、解体業者が実際に現場に出向いて建物や周辺の状況を確認する重要な作業です。現地調査が必要な理由や、省略すると起こりうるリスクは以下の通りです。

現地調査の目的と必要性

現地調査の目的は解体工事の正確な見積もりを出すためと、工事の計画を立てるためです。

図面を見ただけでは敷地や建物の状態が把握しきれないことは多くあります。図面には記載されていない情報を確認し、工事が安全にスムーズに進むようにプランを練ります。

現地調査は解体工事業者が依頼人の要望を汲み取るうえでも重要です。専門家の観点から依頼人が言葉で表現しきれていない要求や希望を理解し、対応することで、満足度の高い工事を実現できます。

なぜ見積もり前に必ず実施するのか

現地調査は正確な見積もりを出すために、原則として見積書を出す前に実施します。

解体工事は建物の状況だけでなく周辺環境などによって費用が大きく変動する工事です。きちんと現場の状況を把握していないとあとから追加工事が発生し、予算オーバーになる可能性も否定できません。

とくに建物の中に残された家財道具などは図面に書かれていませんし、周辺環境により重機が使えないことがあとで発覚すると、工事の総額が大幅に変わってしまいます。

そのようなことを防ぐため、業者は現地調査の結果をもとに見積書を作成します。

現地調査を省略するリスク

現地調査を省略すると、解体工事中に追加費用が発生したり、近隣住民とのトラブルが発生するおそれがあります。トラブルなくスムーズに解体工事を行うためには、丁寧に現場をチェックしておき、起こりうるリスクを予想しておかなければなりません。

現地調査を省略する業者も存在しますが、その場合の見積りはあくまでも参考価格に過ぎず、実際の費用と大きく異なる可能性があります。

工事を開始してから高額な追加費用を請求されるおそれもあるため、必ず現地調査をしっかり実施したうえで見積りを出す業者と契約するようにしましょう。

解体工事前の現地調査で確認する項目

解体工事の現地調査では、建物だけでなく周辺環境など多くの項目を確認します。

立ち合いの際に案内や説明が必要な場合もあるため、あらかじめチェック項目を知っておくと調査当日もスムーズです。

周辺の道路状況

周辺の道路状況を見て、重機や工事車両の進入経路がどのようになっているか確認します。通学路の有無もチェックし、通学時間帯は通行や作業を避けるといった配慮も必要です。

また、現場までの工事車両の走行ルート周辺は、車両の通行で振動が発生します。とくに重機を搭載したトラックが道路を走れば、振動が近隣の住宅に伝わるでしょう。

解体業者は走行ルートを確認したうえで、必要に応じて最徐行で通行するなど、作業員に周知すべき注意点をチェックしておきます。

工事車両の進入路

現場に重機や工事車両が進入できるか、駐車スペースがあるか確認します。重機が進入できない場合や、重機で作業するスペースがない場合の選択肢は手作業での解体です。手壊し解体は人件費がかかるため、解体工事費もその分高くなります。

トラックが進入できない場合も同様で、敷地の前にトラックを駐車できないので、解体作業で発生した廃棄物を作業員がトラックまで運ばなければなりません。その場合も人件費がかかります。

そのほか、交通量が多い道路に面している場合は、ガードマンが必要となるケースもあり、解体費用に上乗せされます。

敷地の立地・環境

車両の進入経路だけでなく、敷地の立地や周辺環境についてもチェックします。敷地と道路に高低差はないか、水はけはどうかを確認します。

高低差がある土地では重機が敷地内に入れないため、手作業となるか、クレーンで重機を運び入れるかの検討が必要です。また、水はけが悪いと解体作業で散水した際に影響が出るため、事前に確認しておき、作業中に近隣住民に迷惑がかからないように配慮します。

そのほか、騒音が出せない環境や、近くに老朽化した建物がある場合は、騒音・振動を極力減らすために重機ではなく手壊し解体を検討することになります。

隣地との境界の確認

解体を予定している住宅の敷地と隣家の境界の確認も忘れてはいけません。

境界線が不明確のまま解体工事を行い、誤って隣家のブロック塀などを解体してしまうと、大きなトラブルにつながります。そのため、解体工事の前には隣家との境界線を明らかにしておかなければなりません。

境界線は敷地に設置されている境界標で確認できますが、法務局で地積測量図を取得するか、土地家屋調査士に測量を依頼する方法が確実です。事前に境界線が明確になっていれば、現地調査もスムーズに進みます。

解体する建物の確認

建物は解体費用に大きく影響するため、構造や大きさなどをチェックします。構造は解体作業の難易度に大きく影響します。

木造住宅に比べて鉄骨造、鉄筋コンクリート造は頑丈に作られており解体に時間がかかるので、費用も高額になるのが一般的です。建物が大きい場合も費用が高くなります。

建物の確認のなかでもとくに重要なのがアスベストの有無です。アスベストが建材に含まれている場合、法令に従って適切に除去しなければなりません。作業が始まってからアスベストの存在に気づき、高額な追加費用が発生することのないよう、事前にしっかり確認します。

建物の付帯物の確認

解体工事の現地調査では、建物本体だけでなく、付帯物も確認します。付帯物とは建物とは切り分けられるものを指し、以下のようなものが挙げられます。

  • ベランダ
  • フェンス
  • 門扉
  • ウッドデッキ
  • 倉庫
  • カーポート
  • 庭石
  • 庭木

解体工事では建物と同時に付帯物も全て解体・撤去するのが基本です。付帯物の撤去の難易度や作業の危険度、付帯物の量によって解体費用の総額が変動します。

埋設物の状況

庭や床下に地中埋設物がないか調査します。敷地内に井戸や浄化槽がある場合は、撤去作業の見積もりをします。

地中埋設物は解体作業が始まってから発覚しやすく、追加工事の要因となるため注意しなければなりません。

追加工事が発生すると追加費用を請求されてしまいますので、追加費用を避けるためにも、業者に浄化槽や井戸の存在を伝えておく、図面を見せるなどして情報を共有することが大切です。

残置物の有無

敷地の中に残置物がどれくらい残っているかチェックします。このとき、残置物の撤去は解体業者で行うのか、施主側で行うのか、営業担当者から確認されるでしょう。

残置物はできるだけ自分で処分したほうが費用を抑えられます。不用品回収業者や便利屋に依頼したほうが安く済むケースもあるので、相見積もりを取って検討してもよいでしょう。

解体業者は現地調査の際には残置物の量を確認しますが、実際に解体工事が始まってから想定以上の荷物が出てきた場合や、家電が多い場合などは追加費用を請求される可能性があります。トラブルを避けるためにも、現地調査の際にしっかりと残置物の量を伝えておきましょう。

庭の確認

現場の住宅に庭がある場合は、植栽や庭石の個数と大きさを調べます。池や井戸は埋め戻しの必要があるため、必要な作業の見積もりをします。

建て替えを予定していて、庭木や庭石などを新しい庭でも利用したい場合は、業者にその旨を伝えましょう。誤って撤去されることのないよう、不要なものと残しておくものを明確に伝えることが大切です。

費用を抑えたい場合は、植栽など個人で撤去できるものは自分で撤去・処分するとよいでしょう。

現地調査にかかる費用と時間の目安

では、現地調査にはどれくらいの費用と時間がかかるのでしょうか。ここでは、現地調査にかかる金銭面や時間面でのコストについて解説するので、しっかりチェックして不安を解消しておきましょう。

基本的に無料で実施される場合が多い

現地調査、見積もりは基本的にどの業者も無料です。理由は、見積もり自体が受注のための営業活動であり、工事を希望する人に工事内容やかかる費用を知ってもらうために必要な経費と考えられているためです。

業者側としても、見積もりをせずに契約を締結したあとになって「思っていたより高かった」「必要ない工事をされた」などといったトラブルを避ける目的で、無料で見積もりを行っています。

ただし、遠方の現場は出張費を請求される場合があるので心配な場合は事前に業者に問い合わせておくと安心です。

木造30坪で30~60分程度が目安

現地調査の所要時間の目安は、30坪の木造住宅であれば30〜60分程度です。寸法を測ったり、写真を撮影することもあり、確認箇所が多ければその分時間がかかります。

建物が大きい場合や、車庫や倉庫などの付帯構造物が多い場合も時間がかかる傾向があります。また、建物全てを解体する場合よりも、部分解体の方が入念な現地調査が必要となり、時間がかかるのが一般的です。

残置物が多く、解体業者に撤去を依頼する場合も、残置物の内容のチェックのための時間を要するため、現地調査の時間が長くなる可能性があります。

追加調査が必要になる場合(アスベスト・地盤など)

現地調査は原則として1回で済みますが、工事範囲に変更があった場合や、建材にアスベストが含まれていることが発覚した場合、地中障害物がある場合などに再調査を行うケースがあります。

また、見積額に不安を覚える場合や見積書の内訳が不明瞭である場合、追加工事が発生した場合は、施主から再調査を依頼できます。

再調査を依頼する際は再調査の具体的な理由、前回の調査から変更、追加になった点を整理し、どの情報を再度確認してほしいのかを具体的に伝えます。

現地調査を受ける前に準備すべきこと

現地調査を実施する前に、施主が準備しておくべきことがいくつかあります。現地調査をスムーズに進めるためにも、調査日当日までに書類の準備や確認を進めておきましょう。

建物の図面や登記簿などの書類を準備

正しい見積もりを出してもらうためにも、必要な書類は事前にそろえておきます。不安な場合は業者に問い合わせて必要な資料を聞いておくと用意しやすいです。

必要な書類は、以下の通りです。

  • 配置図
  • 設計図面
  • 敷地の測量図
  • 建物の登記簿謄本

住宅や外構をリフォームしている場合はリフォームの内容が分かる資料も準備しておくと、業者も住宅の様子を把握しやすくなります。

資料のほか、希望の解体範囲と工事時期は答えられるようにしておきましょう。

電気・ガス・水道の利用状況を確認

現地調査の依頼と同時に、自宅のライフラインの利用状況を確認しておきましょう。

解体工事前までに電気、ガス、電話、インターネットなどのライフラインを停止しなければなりません。電気やガスは撤去しなければならないため、スケジュールに余裕を持って停止する必要があります。

なお、水道は解体作業時に使用するので停止しません。水道料金を業者が支払うケースと施主が支払うケースがあります。どちらが払うのか、事前に業者に確認しておき、業者が支払う場合は、解体作業前に水道局に連絡して清算します。

境界や所有権関係を事前に把握しておく

解体工事の現地調査までに敷地の境界線を明確にし、隣地との所有権関係を明確にしておきます。

境界線が曖昧なまま工事を進めるのはトラブルのもとです。たとえば、隣地のフェンスを誤って解体してしまった場合、損害賠償請求の対象となるので注意が必要です。

境界線の確認方法は、境界杭を確認する、登記謄本や地積測量図で正式な敷地境界線を見る、などがあります。境界が曖昧な場合は測量を実施し、正式な隣地境界線を確定してから解体工事に移ります。

現地調査を依頼するときのポイント

ここでは、現地調査を依頼するときに、とくに意識しておきたいポイントを紹介しています。

現地調査と見積もりは品質の高い工事を依頼するために重要なものです。しっかりポイントを抑えて調査を依頼しましょう。

複数の業者に依頼する

現地調査と見積もりは複数の業者に依頼し、見積内容を比較して決めます。解体工事は定価がないため、費用が分かりにくい工事です。そこで複数の業者から見積もりを取ることで、費用相場を把握でき、適正な金額で工事を依頼できます。

まずは気になる業者に電話やメールで問い合わせ、そのなかから3社程度に絞って現地調査と見積もりを依頼します。

業者には相見積もりを取っている旨を伝えても問題ありません。業者は相見積もりを前提として見積もりを提示しますし、優良業者ほど快く比較検討を勧めてくれるはずです。

現地調査には必ず立ち会う

解体工事の現地調査は原則として立ち会いが必要です。立ち会う目的は、工事の範囲や要望を明確にすることと、業者の営業担当者と顔を合わせて印象をチェックするためです。

メールや電話だけのやりとりでは、工事の範囲などの認識にずれが生じる可能性があります。認識がずれたまま工事を実施して、隣家のブロック塀を解体してしまった、ということも起こりかねません。そのようなトラブルを防ぐためにも実際に立ち会って現場で工事範囲を共有する必要があります。

また、実際に業者に会って話をすれば、疑問に対して丁寧に対応してくれそうか、相談しやすそうか、業者の雰囲気を感じ取れます。

優良業者を見つけるためには現地調査に立ち会い、疑問点は積極的に質問しましょう。

調査内容や見積もり内訳を説明してもらう

現地調査の際は調査の範囲や内容を説明してもらうと安心です。このとき、依頼する工事の内容や要望を業者と確認し、情報を共有しておくとミスを防げます。

見積書を提示されたら、作業内容とかかる費用の詳細が項目ごとに記載されているか確認してください。「工事一式」とだけ記載されている場合、どの作業にいくらかかるのか分かりません。

この場合、あとで追加費用を請求される可能性があるため、費用の内訳を記載しない業者とは契約しないようにしましょう。

見積書の内容を1項目ずつ確認し、不明な点は業者に質問して疑問を全て解消した状態で、契約へと進むのが原則です。

アスベスト調査など法令遵守する業者か確認

現地調査を依頼する解体工事業者がアスベスト調査をきちんと実施するか、そのほかの法令を遵守しているかを事前に確認しておくことも大切です。

解体工事の元請け業者は解体工事の前にアスベストの調査をしなければなりません。調査を実施したら「事前調査結果報告書」を発注者に交付するので、報告書が手元に来ない場合は業者に確認してください。

また、現地調査を依頼する前に、業者のホームページなどで「建築物石綿含有建材調査者」等の資格保有者が在籍しているか確認しておきましょう。

まとめ

解体工事を依頼する際は、原則として現地調査は必須です。建物や外構設備は解体してしまったらもとに戻せません。

トラブルを避けるためにも施主立ち会いのもと現場を見てもらい、正確な見積もりを出してもらいましょう。

現地調査を省略したがる業者や、見積書に費用の内訳を記載しない業者は避け、質問にも丁寧に回答してくれる業者に依頼することが、解体工事を成功させるためのポイントです。

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