バーベキューや子どもの遊び場、ガーデニングなど、暮らしの幅を広げてくれる庭ですが、夏は暑すぎて外に出られないということもあるのではないでしょうか。
強い日差しが照り付ける庭は高温になり、庭での活動が制限されたり、室内の温度を上げたりするだけでなく、植物の生育にも影響を与えてしまいます。
そこで今回は、庭に日陰を作る方法や、涼しく快適な庭づくりをするためのポイントを紹介します。
庭に日陰を作るアイデア
庭の日除けにはさまざまな方法があり、自宅の環境に合った方法を選択することが大切です。
ここでは庭に日陰を作る一般的な方法を紹介します。それぞれ特徴や設置方法が異なるので、日除けの効果だけでなく、庭の条件に合った方法かどうかも検討してくださいね。
シェード
建物に負担なく簡単に日陰を作りたいならシェードがおすすめです。
シェードはフック型の金具や紐をベランダの手すりや天井部分に固定して張る、布製の日除けのことをいいます。
生地が大きく編み込まれているため、隙間から木漏れ日のような優しい日差しが入るようになっているのが特徴です。
また、隙間から空気が抜けるので風通しがよい点も長所といえるでしょう。
ただ、布地が軽いため、風が強い日は飛んでしまわないように取り外しておく必要がある点には注意が必要です。
パラソル
より手軽に庭に日陰を作りたいなら、パラソルがよいでしょう。
パラソルは置くだけで日陰を作れるだけでなく、そのデザイン性の高さから、設置するだけで庭をカフェのようなおしゃれな空間に演出してくれます。
時間帯によって変化する日光の向きに合わせて位置を変えたり向きを調節したりすれば、いつでも快適に過ごせるでしょう。
パラソルはサイズが大きくなると重量も重くなり、一人では設置できないケースがあるので自分で設置、移動する場合は軽量のものを選ぶのがおすすめです。
パーゴラ
軒先やテラスに日陰を作るならパーゴラを設置するとよいでしょう。パーゴラとは、イタリア語で「ぶどう棚」が語源の格子状の棚です。
木製が一般的ですが、最近ではアルミ製やウッド風に仕上げた樹脂製のパーゴラも存在します。植物を這わせて自然の木漏れ日を楽しんだり、シェードと組み合わせて日除け効果を高めたりすることも可能です。
パーゴラは外構工事で設置します。一度設置すると気軽に変更できないため、事前に設置目的や用途を明確にしておき、自宅に合ったものを設置することが大切です。
オーニング
窓に面した広い範囲を日陰にしたい場合はオーニングがぴったりです。
一般的に木造の構造体に外壁側から直接取り付け、アームで日陰の範囲を調節できます。リモコンでアームを開閉できるタイプもあり、気軽に光の具合を調節できる点が大きな特徴といえるでしょう。
また、使用しないときには外壁に取り付けたケース内に布地を収納できる点もメリットです。
オーニングはシェードよりも高価で、施工も業者に依頼する必要があります。どのようなオーニングを設置するか、十分検討した上で設置するようにしましょう。
樹木を植える
庭に木を植えて木陰を作るのも一つの方法です。大きな木はシンボルツリーとして住宅全体を演出してくれる効果も期待できます。
また、植物を植えることで、全体的にナチュラルな庭に仕上げられるでしょう。
樹木を選ぶ際は日陰を作る位置のほか、育てやすさ、害虫のつきにくさ、花が咲くか、紅葉するかなど、条件をあらかじめ決めておくと失敗を防げます。
落葉樹は秋に葉が落ちると掃除が大変なので、忙しい方には常緑樹がおすすめです。
庭に日陰を作るメリット
日陰を庭に作ると、暑さ対策のほかにさまざまなメリットがあります。
ここでは、日除けなどで日陰を作ると得られる具体的な効果についてお伝えするので、お悩みと照らし合わせながらチェックしてくださいね。
夏の消費電力を抑えられる
庭に日陰を作ると、庭を涼しくできるだけでなく、室内に入ってくる日光の量を減らせるので、室内の温度上昇を抑えられます。
また、エアコンの室外機の周辺に日陰を作れば、電気代の節約にも効果を発揮するでしょう。エアコンの冷房が室内を冷やすためには、室外機から室内の熱を排出する必要があります。
しかし、室外機が直射日光で熱くなると熱の放出に時間がかかり、余計に電力を消費してしまいます。
室外機周辺に日陰ができるとエアコンの運転効率がアップするので、電気代が気になる場合は、室外機周辺の日差し対策をするとよいでしょう。
プライバシー確保になる
日除けは、上からの目線を遮り、プライバシーを守る効果も期待できます。
庭でピクニックやバーベキューなどをして楽しみたいと考えていても、近隣からの視線が気になるという方も少なくないでしょう。
また、子どもの水遊びのときなど、安心して楽しく遊ばせたい、というケースもありますよね。
シェードやオーニングなど、布で斜めに日光を遮る日除けであれば、圧迫感を覚えることもなく適度に目隠しができます。
周囲の視線を気にすることなく、安心して子どもを遊ばせたり、ガーデンライフを楽しんだりできるでしょう。
屋外リビングとして癒やしの場になる
日陰のある涼しい庭に、テーブルと椅子を置けば、屋外に第二のリビングができ、家族の癒やし空間として活用できます。
お茶をしたり、ピクニックを楽しんだりして、光や風を感じながら暮らしの幅を広げられるでしょう。
テラスがあるお宅の場合、夏場はウッドデッキの床材が熱くなって素足でテラスに出られないというお悩みも少なくありません。
人工芝を敷くなど熱くなりにくい素材でも対応できますが、日除けを付けるとシンプルなスペースを確保しながら、リビングと一続きの空間として快適に利用できるようになるでしょう。
直射日光に弱い植物を保護する
庭に日除けを設置すれば、強い日差しから植物を守れます。
植物は、太陽が大好きな植物もあれば、木漏れ日程度の優しい光を好む植物、日陰の湿った環境を好む植物など、さまざまです。
強い光が苦手な品種は、直射日光が長時間当たると大きなダメージを受けてしまうことも。そのような場合、日陰を作って適度な明るさを確保してあげると、植物もストレスなく育ちます。
植物の相性に合わせて日当たりを確保しつつ日陰を作ると、庭の景観を保ち、緑あふれるきれいな庭を維持できるでしょう。
窓際の日焼けによるダメージが軽減できる
庭の日陰は、窓際の紫外線対策にも有効です。紫外線は窓ガラスを通り抜ける性質があり、窓際の紫外線量は屋外のおよそ80%におよぶとされています。
室内でも紫外線の影響を受けるため、光が当たるフローリングや家具は、色褪せや日焼けなどのダメージを受けてしまいます。
オーニングのキャンバス地は紫外線をほぼ100%カットするとされており、シェードにも紫外線を約90%カットする製品も存在するので、大切な住宅を守るためにも活用するとよいでしょう。
庭に日陰を作る際の注意点とコツ
庭の日陰作りの方法やメリットをお伝えしてきましたが、実際に庭に日陰を作る際にはどのような点に注意したらよいのでしょうか。
ここでは効果的に日陰を作るポイントを紹介します。
風通しを考慮する
庭づくりでは風通しを確保することが大切です。庭の風通しが悪いと、湿気がこもり、夏の蒸し暑さにつながるだけでなく、害虫が発生しやすくなります。
そのため、日陰を作る際も風通しを考慮するようにしましょう。
風の通りを確保するためには、通気性のよいシェードを利用する、パーゴラに絡ませた植物を定期的に剪定する、オーニングの角度に注意するなどで対策が可能です。
日除けと同時に目隠しフェンスの種類や植栽の配置を考慮すると、涼しい庭が完成しますよ。
強い風や雨の対策をする
日除けの設置で注意しておきたいのが強風と雨対策です。特に強風で日除けが飛ばされてしまうおそれがあるので、トラブルを防ぐためにも十分な対策が必要です。
シェードは悪天候の日は取り外し、畳んで室内に取り込んでおきましょう。パラソルも風に煽られないように、閉じておくことが大切です。
オーニングは強風でアームが歪んでしまう可能性があるので、閉じておきます。
樹木が鉢植えの場合は、強風で倒れたり飛ばされたりしないように安全な場所に移動しておくと安心です。
植物に適した日照条件を確認する
庭に日陰を作る際は、植栽の日照条件を事前に確認しておくときれいな庭を維持しやすくなります。
庭の植栽に使用する植物は、さまざまな原産地の植物を組み合わせていることが多く、すべての植物に同じ環境が適しているとは限りません。
日陰を好む植物の近くに日除けを設置すれば、生育もよくなり、庭の美観をキープできるでしょう。
これからエクステリアの計画を立てる場合は、敷地内の日照条件に合わせて植栽の配置を決めると手入れの手間の少ない庭づくりができるはずです。
日陰のほどよい明るさと爽やかな環境を保つ
日陰を作る際は、日差しとのバランスが大切です。紫外線対策をしたいからといって、日陰ばかりにしてしまうと、ジメジメとした暗い庭になり、室内の暗さにもつながります。
日陰が多すぎるとカビの発生リスクも高まるので、程よく光が入るように考慮しましょう。
シェードや樹木は隙間から光がこぼれるので、日陰を確保しつつ、優しい光を楽しめます。
パラソルやオーニングは大きすぎるものは避け、必要な場所を涼しくできるように角度を調節するとよいでしょう。
庭に日陰を作るときによくある質問
実際に自宅の庭に日陰を作ろうとしたときに、いくつかの疑問が浮かび上がってくることもあるでしょう。
ここでは、日陰作りでよく挙がる質問とその回答を紹介するので、日除けを設置する際の参考にしてください。
花壇に日陰を作るときに良い方法は?
花壇への直射日光を防ぐためには、遮光ネットやトレリスを設置する方法が簡単です。
花壇の日陰は、適度な明るさを保つことも大切なので、遮光ネットは遮光率40~60%のものを選ぶとよいでしょう。
トレリスに蔓性の植物を絡ませて適度な光が入るようにすると、庭に調和した日陰を作れます。
また、低木~中木の木を植えて木陰を作る方法もあります。植物を植えるのが難しい場合は、庭に調和するオブジェを置くとよいでしょう。
DIYで庭に日陰を作るには?
庭の日陰作りは、シェードのような手軽なアイテムであれば、ホームセンターやネットショップで購入してDIYで設置が可能です。
シェードには外壁に穴を開けずに取り付けるタイプが多く販売されており、専用金具で窓サッシに固定するだけで設置が完了します。工事の必要がないので、不要になったらすぐに撤去できて手軽です。
木材を揃えてパーゴラを作る方法もあるので、大掛かりなDIYに挑戦したいなら自作のパーゴラを検討するのもよいでしょう。
まとめ
庭に日陰を作ると、庭だけでなく室内も涼しくなり、夏のエアコンの省エネにもつながります。
日除けは自分で設置できるものも多くありますが、外構リフォームの経験が豊富な専門業者にアドバイスしてもらいながら設置すると、安全で自宅に合った快適な日陰を作れます。
暑すぎる庭でお悩みの場合は、一度外構工事業者に相談してみるとよいでしょう。
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