
人工芝は天然芝とは異なり、水はけが悪くなると下地がジメジメしてカビや虫が発生するデメリットがあります。しかし、せっかくの人工芝の庭はいつまでも美しく、安全で快適に過ごしたいですよね。
この記事では、人工芝の水はけが悪くなる原因や水はけを改善する方法について解説します。
人工芝の水はけを左右する要素

人工芝はどのような環境で水はけが悪くなるのでしょうか。まずは人工芝の水はけを左右する条件を紹介します。施工予定の場所の環境と照らし合わせて、必要な対策を練っておきましょう。
地面の勾配
人工芝の水はけに大きく影響するのが地面の勾配です。通常、外構は排水溝や排水マスに向かって傾斜がつけられており、雨水は自然に排出されていきます。
しかし、勾配不足や勾配を付ける方向が間違っていると雨水が流れず、水たまりができてしまうのです。
庭の水勾配は、1~2%、つまり1mあたり1~2cmの高低差をつけると良いとされています。傾斜は排水溝、側溝、道路側に向かって設け、庭の形状によっては2方向に勾配をつけると確実です。
地面の保水性
地面の土が粘土質だと水はけが悪くなります。粘土質の土は粒子が細かく保水力が高いため、雨が降っても地面に水が浸透しにくいという性質があります。
水分がなくなるには表面の水が蒸発するしかなく、水たまりがなかなか解消できない環境になってしまうのです。
保水性の高い土壌に人工芝を敷く場合は下地処理で砂利を敷いたり、水はけの良い土に入れ替えたりしたあとに、透水性の高い防草シートを敷き、人工芝を敷くと解消できます。
下地材の種類
人工芝の下に敷く下地材の種類によっても排水効果は変わります。特におすすめなのが川砂・山砂のような、粒が細かすぎない素材です。水が通る隙間があるため、水たまりができにくく、表面が乾きやすい環境に仕上げられます。
また、防草シートも高品質なものを選びましょう。なかでも不織布のタイプは高い透水性と遮光性を両立し、耐久性も高いため、快適な人工芝を維持するなら初期費用がかかっても不織布を選ぶことをおすすめします。
水はけがいい人工芝を選ぶときのチェックポイント

水はけがよい人工芝を選ぶ際には、構造と素材をチェックすることが大切です。できるだけ実物で構造を見ておき、サンプルが手に入る場合は実際に水をかけて、表面に水がとどまらずすぐに下に抜けるか確認しましょう。
排水性
人工芝を選ぶ際は裏面に排水穴が開いているかチェックしてください。人工芝は素材そのものには水を吸収する機能はありません。表面にたまった水分は基盤にあけられた排水穴から下地に排出されます。
排水穴は製品によって個数と間隔が変わります。排水機能に優れた人工芝は排水穴が密に開いています。裏面を見て10cm間隔で排水穴が開いているものが理想です。
反対に室内専用の人工芝は排水穴がないタイプが多いため、屋外に適していません。
通気性
人工芝の通気性は裏面素材が大きく影響します。現在国内で流通している人工芝の大半は裏面がラテックスまたはポリウレタンです。
ラテックスはゴムを原料とした樹脂で、滑り止め効果や耐水性に優れています。しかし通気性が悪く、裏面にカビが発生するリスクがあります。
一方、ポリウレタンは水はけがよく、ラテックス製に比べて通気性が確保しやすいため、カビを防ぐにはポリウレタンの方が優れているといえるでしょう。
また、通気性の面で見ると、ロールタイプよりもジョイントタイプの方が優れています。しかし、ジョイントタイプはつなぎ目が多く美観に優れていない、耐久性が低い、コストが高いなどの注意点があるのでメリットとデメリットを比較して選ぶことが大切です。
素材
カビを防ぐには人工芝の素材にも注目しましょう。ナイロン製の人工芝は価格の安さがメリットですが、耐久性が低く水分を吸収しやすいというデメリットを持っています。同じプラスチックでもポリエチレンやポリプロピレン製の人工芝は水に強く水はけも良いためおすすめです。
また、防カビ、消臭加工のある製品も多くあるため、メーカーのカタログやウェブサイトで素材や機能性について事前に確認しておくとよいでしょう。
人工芝の水はけをよくするポイント

人工芝の水はけを確保するためには、素材選びだけでなく施工にもいくつかの注意点があります。
業者に任せれば快適な人工芝を施工してもらえますが、DIYで設置する場合は以下のポイントを押さえて施工しましょう。
適した下地材を使う
人工芝に最適な下地は水はけがよく、転圧によって安定する砂や砕石です。一般的な人工芝の下地としては川砂が最適ですが、透水性を高くしたいなら砕石を使用するとよいでしょう。
一方で、高密度で固まる真砂土(まさつち)は水はけが悪くなるため、人工芝の下地には適していません。
防草シートは高密度な不織布タイプを使用します。不織布タイプは織布タイプに比べて価格が高いですが、耐用年数が10~20年と長く、防草効果も高いのが特徴です。
メンテナンスのコストを抑えたいなら初期費用がかかっても不織布タイプを選びましょう。
勾配をつけて下地を作る
下地作りの際は勾配を設けて排水の流れを確保します。庭の勾配は建物から雨水を遠ざけるように庭の外側、道路側、排水溝に向かって下り坂を作るのが基本です。
雨水が最終的にどの排水溝に流れるのかをシミュレーションし、その方向に水を導くようにしましょう。
勾配は1mあたり1~2cmの高低差をつけます。水平器を使って勾配を確認しながら傾斜をつくり、表面は平坦にならすのがコツです。
コンクリート・砂利の下地作りもひと手間加える
コンクリートに人工芝を敷く場合は、クッション性を高めるために専用のクッションマットを敷くひと手間を加えると、安全性の高い芝生の床面になります。また、コンクリートは人工芝がずれやすく危険なので、接着剤でしっかりと固定するようにしましょう。
基本的に砂利はごつごつとした砕石タイプであればしっかりと転圧することで互いに噛み合って土台となる地盤がしっかりします。
一方で、角が丸いタイプの砂利は踏んだ時に動きやすいため、人工芝の下地としてはおすすめできません。丸いタイプの砂利の場合は撤去して下地を砂などで作った方が安定します。
DIYが不安なら業者に頼む
人工芝はDIYでも設置が可能ですが、見た目がきれいで耐久性のある施工をするには専門知識が必要です。DIYでの敷設が不安な場合や広い範囲に人工芝を敷きたい場合は業者に依頼するのがおすすめです。
業者に人工芝の施工を依頼した場合、下地作りと人工芝敷設の費用相場は、1㎡あたり約5,000~12,000円です。
DIYで施工する場合は1㎡あたり約3,500~6,000円と施工費がかからない分安く済みますが、プロに任せた方が耐久性が高く不具合が起こりにくいため、コストパフォーマンスが高い傾向があります。
人工芝の水はけがいいとどんなメリットがある?

では、水はけの良い人工芝にはどのようなメリットがあるのでしょうか。水はけが良い製品を選ぶと快適性が向上するだけでなく、経済的にもなるため、人工芝選びの際はパイルのデザインや質感だけでなく、排水性もチェックしましょう。
カビやニオイ防止になる
水はけの良い人工芝を選んでおけば、カビやニオイに悩まされるリスクが軽減します。
もともと人工芝は無臭の素材です。しかし、水はけが悪くジメジメした状態が続くと、パイルの間にカビや雑菌が繁殖してしまいます。これらを放置していると不快なニオイの原因となるのです。
カビやニオイを防ぐためには水はけのほか、防カビ・抗菌・消臭加工が施されている人工芝を選ぶのがおすすめです。
子どもを遊ばせやすい
水はけのよい人工芝は、雨上がりでもすぐ使え、泥汚れや虫の心配がなく、さらにクッション性により安全なため、子どもを遊ばせるのに最適です。
水遊びやビニールプールも水浸しになりにくく気兼ねなく遊べます。汚れても水をかけて清掃できるのでペットの遊び場としてもおすすめです。
ただし、夏場は表面温度の上昇に注意が必要です。人工芝は化学繊維でできているので熱を吸収しやすく、夏場の直射日光で表面温度が60度前後になってしまうこともあります。
夏場は裸足で歩くと熱く感じることもあるので、遊ぶ前にホースで散水するなどして一時的に温度を下げる必要があります。
耐久性が高くなる
排水性は人工芝の耐久性を高めるためにも重要です。水たまりになりやすい環境では、紫外線で劣化した人工芝の基布が水浸しの状態になります。それにより加水分解を起こして素材が脆くなり、パイルが抜け、美観に影響します。
また、水はけが悪いと下地の地面の土が流れ表面がでこぼこするケースも珍しくありません。土壌がでこぼこすると人工芝の継ぎ目に隙間ができ、雑草が生えてしまうこともあります。
敷いたあとでもできる人工芝の水はけ対策

人工芝を既に施工してしまったからといって諦める必要はありません。施工済みの人工芝でも少しのコツで水はけ対策が可能です。
雨の前後は以下で紹介するお手入れの方法を取り入れて水はけ対策をしてください。
こまめに掃除をする
人工芝をこまめに掃除しておくと、排水がスムーズになり水はけがよくなります。落ち葉を放置していると排水経路が詰まるだけでなく、虫が発生しやすくなるため、週に1回程度は掃除をしましょう。
落ち葉やゴミはほうきで集めて取り除きます。パイルの長い人工芝の奥に落ち葉が入り込んだ場合は、屋外専用の掃除機を使うと便利です。屋外用の掃除機なら排水穴に詰まった砂や埃も吸い込み、排水機能を確保できます。
重いものを長期間置きっぱなしにしない
人工芝の上に重いものを長期間置いたままにしていると、パイルが寝てしまい、美観を損ねるだけでなく排水性も低下してしまいます。人工芝の上にはなるべく物を放置しないようにしましょう。
パイルが寝てしまった場合はナイロン毛のデッキブラシで人工芝をブラッシングすると、倒れた芝が元に戻ります。
人工芝は同じ場所に何度も座ったりよく歩く場所の芝が倒れやすくなります。意識的に座る場所を変えたり歩くルートを変えると、一か所だけが著しく劣化していくことを防げます。
雨のあとはしっかり乾かして掃除する
雨のあとはまず、人工芝と下地をしっかり乾かすことが大切です。人工芝が濡れたままの状態が続くとカビの発生や人工芝の劣化の原因となります。芝の上に物を置いている場合は移動させ、風通しを確保してください。
人工芝が乾いたら、ほうきやブロワー、掃除機で表面に落ちたゴミを取り除きます。もしカビや泥汚れがついていた場合は、中性洗剤を薄めて拭き取りましょう。
パイルが寝てしまっていたらデッキブラシでブラッシングすると、パイルが起きてきれいな状態に戻ります。
人工芝の水はけでよくある質問

ここでは人工芝の水はけ対策でよくある質問とその回答を紹介します。特に下地に砂を敷けない環境では対策方法を確認して、水はけ・風通しの良い人工芝を設置しましょう。
ベランダに人工芝を敷くと水はけが悪くなる?
ベランダに人工芝を敷くと、場合によっては水はけが悪くなり、カビや害虫が発生してしまいます。
ベランダの床は地面と違って水が染み込みません。そのため、人工芝を敷く際は排水穴が開いているタイプが適しています。
水が流れにくいベランダは人工芝の下に水はけマットを敷き、人工芝と床の間に隙間を作って排水を妨げないようにしましょう。そのほか、ジョイント式の人工芝も床面との隙間ができやすいため排水性と通気性を確保できます。
下地の土が赤土だと水はけが悪くなる?
下地の土壌が粘土質の赤土の場合は、水はけが不十分となり、水たまりや人工芝のカビ、劣化につながるおそれがあります。
赤土は鉄分が多く含まれる火山灰土が酸化し赤褐色になる、関東ローム層に代表される土です。粘土湿で保水力が高く、通気性と排水性が悪いという特徴があります。
赤土の上に人工芝を敷くと水はけが悪くなる可能性があるので、砂を混ぜて排水性を改善したり、砕石を敷いて下地を作るなどの対策が必要です。
モルタルの下地の場合はコンクリートと同じ水はけ対策でいい?
モルタルはコンクリートと同様、水を通さない性質を持っているため、コンクリートと同じ水はけ対策で問題ありません。水はけのよい人工芝を選び、水勾配が悪い場合は下地に隙間ができるように施工します。
モルタルやコンクリートは長期間水に浸かるとひび割れや内部の劣化につながります。そのため、人工芝を敷く場合は排水対策をしっかりと行い、芝の下がジメジメとした環境にならないように設置することが大切です。
室内に人工芝を敷く場合も水はけ対策は必要?
人工芝を室内に敷く場合は、水はけ対策まではいかずとも、通気性確保は必須です。室内は屋外と違い風通しが悪く、湿気がこもるとカビや雑菌が繁殖しニオイの原因となります。
そのため、室内に敷く場合でも排水穴がある人工芝を利用しましょう。排水穴だけでは心配な場合は除湿シートを人工芝の下に敷くと効果的です。
さらに定期的に人工芝をめくって陰干しし、下の床の湿気を逃がしてあげるとカビ対策に有効です。結露しやすい環境や水回りの近くは特に念入りに対策しましょう。
まとめ

人工芝を衛生的に長持ちさせるためには、水はけ対策は欠かせません。素材選びはもちろんのこと、土壌に合った下地処理をすることで透水性の高い芝生のお庭が完成します。
施工を依頼する際は現地調査で現場をしっかり見てもらい、施工プランと見積もりを出してもらうと安心です。

コメント