建物滅失証明書は解体業者が発行する?必要な理由と注意点まとめ

建物滅失証明書は解体業者が発行する?必要な理由と注意点まとめ

空き家などの建物解体工事では、完了後に建物滅失証明書が発行されます。建物滅失証明書は建物滅失登記の手続きで必要になる書類なので、確実に受け取っておかなければなりません。

今回は、建物滅失証明書とはどのような書類なのか、発行されなかった場合の流れや建物滅失登記の注意点について解説します。

目次

建物滅失証明書は解体業者が発行するもの?

建物滅失証明書は解体工事業者が発行するのが原則です。ここでは、建物滅失証明書についての基礎知識や、誰が発行できるか、受け取るタイミングなどについて紹介します。

建物滅失証明書とは何か

建物滅失証明書とは、建物の取り壊しが完了したことを証明する書類です。「解体証明書」「建物取り壊し証明書」とも言われ、建物滅失登記の際に必要となります。

この証明書がないと法務局で滅失登記の手続きができず、存在しない建物に対して固定資産税がかかってしまいます。

また、建物滅失証明書は不動産価値の下落を防ぐためにも重要です。土地の売却の際に登記簿上に存在しない建物が残っていると、買主が「問題がある土地なのではないか」と不審に思い、売買が進みにくくなる原因となります。

そのため、解体工事が完了したら必ず建物滅失証明書をもらっておく必要があります。

原則として解体業者が作成・発行する

建物滅失証明書は、基本的に建物の解体工事を請け負った解体業者が発行します。解体工事が完了したあと、解体業者が実印を押印し、施主に渡すのが一般的です。

建物滅失証明書は、建物の所有者が自分で発行することもできます。証明書に決まった様式はないので、法務局の様式を参考に必要事項を記載し、作成しても問題ありません。その場合は作成した証明書に解体業者から署名・捺印をもらってください。

建物滅失証明書に記載される主な内容

建物滅失証明書には次の内容を記載します。

  • 建物の所在地
  • 家屋番号
  • 建物の種類
  • 建物の構造
  • 床面積
  • 滅失の理由(「〇月〇日取り壊し」と記載)
  • 所有者住所
  • 所有者氏名
  • 日付
  • 解体工事業者の名称
  • 解体工事業者の所在地
  • 代表者名と実印の押印

解体業者は実印を押印する必要があり、それに伴い印鑑証明書と会社の謄本を添付する必要があります。

なお、解体業者が法人であり、滅失登記申請書に会社法人番号を記入した場合は印鑑証明書と謄本は必要ありません。

解体業者から建物滅失証明書をもらうタイミング

建物滅失証明書の発行は、解体工事完了後です。多くの場合1週間程度で発行され、早い業者だと引き渡しと同時に発行してくれるケースもあります。

建物滅失登記の申請期限は建物の滅失日から1か月以内です。期間を過ぎると10万円以下の過料の対象となる可能性があるため注意しなければなりません。

手続きを遅らせないためにも、業者にいつ頃発行してもらえるかあらかじめ確認しておき、なかなか発行されない場合は催促しましょう。

建物滅失証明書がない場合の対処法

建物滅失証明書がない場合、基本的には工事を依頼した解体業者に連絡し、再発行を依頼します。通常であればデータが残っているため、対応してくれるでしょう。

しかし、業者と連絡が取れない場合や、倒産してしまった場合は、どのようにすればよいのでしょうか。

代替書類で建物滅失登記ができるケース

建物滅失証明書がない場合は、上申書を添付すれば滅失登記が可能です。上申書には建物の情報と建物が存在しないことを記載し、署名と実印を押印のうえ、印鑑証明書を貼付します。

さらに解体の事実を裏付ける補足資料として工事費用の領収書や現場の写真などが必要です。

建物滅失証明書がない場合、法務局の調査が必要になるなど、手続きが煩雑になります。そのため、経営基盤のしっかりとした業者に工事を依頼するようにし、工事が完了したらすぐに建物滅失証明書を受け取るようにしましょう。

誰に相談すべきか

建物滅失証明書がなく、解体工事業者と連絡が取れない場合は、土地家屋調査士に相談するのが確実です。

土地家屋調査士は、不動産の登記の専門家です。証明書がなくても上申書の作成や必要書類の用意など、建物滅失登記に関する手続きを代行してくれます。

もし、専門家に依頼せず自分で手続きを行う場合は、当該家屋の管轄の法務局で「建物滅失証明書がない場合はどうすればよいか」を相談すると、上申書の書き方や必要書類を教えてくれます。

滅失登記とは?

建物を解体したら建物滅失登記が必要です。怠ると罰則の対象となるだけでなく、土地の売却にも影響を及ぼすため、早い段階から準備を進めておきましょう。

以下に滅失登記の基本的な情報を整理しているので、確認しながら読み進めてください。

滅失登記に必要な書類

建物滅失登記の申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 滅失登記申請書
  • 建物滅失証明書
  • 滅失した建物の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 図面など(公図・地積測量図、建物図面、各階平面図)
  • 解体工事業者の印鑑証明書
  • 業者の代表者の資格証明書(施工業者が法人の場合)
  • 代理権限証書(専門家に登記を依頼する場合の委任状)
  • 現地の写真

さらに、建物の所有者の住所が登記事項証明書の住所と違う場合は住民票や戸籍謄本が必要です。登記事項証明書と氏名が異なる場合は戸籍謄本や除籍謄本が必要になります。

滅失登記の申請ができる人

滅失登記は原則として登記簿上の建物の所有者が行います。共有で所有している場合は、所有者のうち1人から申請が可能です。

建物の解体時点で所有者が死亡している場合は、相続人のうち1人が申請できます。

滅失登記の手続きを専門家に任せたい場合は土地家屋調査士に依頼します。注意点は滅失登記の手続きは司法書士にはできないことです。

登記簿には不動産の所在地、面積、構造など建物の物理的な現状が記録されている「表題部」と、不動産の権利に関する記録が登録されている「権利部」があります。権利部は司法書士でも変更手続きができますが、表題部の登記は所有者以外では土地家屋調査士にしかできません。

滅失登記を怠ると罰金が発生する

建物の滅失日から1か月以内に滅失登記を申請しなかった場合、不動産登記法164条に基づき、10万円以下の過料(行政罰)が発生する可能性があります。

「過料」とは、行政上の制裁金であり、刑事罰の「罰金」とは異なるものです。国や地方公共団体が行政上の秩序を維持するために科す制裁金のため、前科がつくことはなく、必ずしもすぐに科されるとは限りません。

とはいえ、法律上の罰則であることには変わりませんので、期限内に滅失登記を申請するようにしてください。

参考:不動産登記法164条

滅失登記を放置すると土地の売却が困難に

滅失登記をしないままでいると、土地が売却しにくくなるというデメリットがあるため注意が必要です。

土地を更地で売却する場合、通常は建物が何もない状態で引き渡しします。しかし、登記簿上建物が残っていると、買主に「本当に建物は解体されているのか」「相続トラブルが起きているのでは」などといった懸念を抱かせ、取引を敬遠される可能性があります。

建て替えをする場合にも滅失登記を行っていないと、抵当権の設定を妨げる要因となるため、住宅ローンの審査が通らないなどのリスクに注意が必要です。

解体工事前に確認すべきこと

解体工事は、ただ業者に見積もりを依頼して工事をすればよい、というわけではなく、事前にいくつかの確認項目があります。これを怠るとトラブルの原因となるため、忘れないようにしましょう。

建物の所有権を確認

解体工事を依頼する前にまずしておきたいのが、建物の所有者の確認です。建物の所有者と工事の依頼者が異なる場合、トラブルにつながるおそれがあります。法務局で登記簿を取得し、登記上の所有者を確認しましょう。

相続による解体工事の場合は、法定相続人についても確認が必要です。相続人が複数いる場合は相続人全員の合意を得なければ解体できません。

未登記建物についても所有者の有無を確認する必要があります。登記事項証明書で確実に登記されていないことを確認したうえで解体することが重要です。解体工事後には市町村の窓口に家屋滅失届を提出します。

住宅ローンを返済中の場合

住宅ローン返済中の不動産には原則として抵当権が設定されているため、勝手に解体することはできません。無断で解体すると民事訴訟に発展するおそれがあるため注意が必要です。

抵当権付きの建物を解体したい場合は、抵当権者、つまり金融機関の承諾を得る必要があります。その際、ローンの返済を完了させることが原則です。

もし残債がある場合、解体工事で建物がなくなると、ローンの担保は土地のみが残ることになります。このとき、金融機関は土地の評価額を再査定し、不足がある場合は追加担保の差し入れや借入条件の見直しを求めるのが一般的です。

いずれにせよ、抵当権者の承諾がなければ解体はできないため、まずは抵当権者に相談することが大切です。

建物滅失証明書に関するよくある質問

ここでは建物滅失証明書と登記に関してよくある質問とその回答を紹介します。

建物の登記は怠ると過料の対象となったり、相続税の申告手続きや固定資産税の課税額などにも影響したりするので、早めに疑問を解消しておき、対策しておきましょう。

滅失登記で解体証明書がなくてもできますか?

建物滅失登記は解体証明書(建物滅失証明書)がなくても手続きが可能です。上申書を作成し、補足資料を添付すれば登記申請ができます。

ただし、このようなケースは申請に必要な書類が増え、手続きに時間と手間がかかります。書類がない場合は早めに土地家屋調査士に相談して手続きの準備を進めるようにしましょう。

また、解体証明書を確実に発行してもらうために、事前に業者にいつ発行してもらえるのか確認しておくことが大切です。

書類の不備や発行漏れを防ぐため、確実に連絡が取れる電話番号やメールアドレスがあり、連絡に対してスピーディーに対応できる業者かチェックしておくことも、業者の選び方のポイントです。

解体から何年も経っていても登記はできる?

解体から何年も経過している場合でも滅失登記は可能です。なかにはいつ取り壊したのか分からない、という事例もあるでしょう。その場合は、取り壊し年月日不詳として登記申請します。

建物滅失登記には申請義務があり、手続きをしていないとさまざまなデメリットがあります。滅失登記がされていないことが判明したら早めに専門家のサービスを活用して登記申請を完了させるようにしましょう。

建物滅失証明書の発行に費用はかかる?

建物滅失証明書は、ほとんどの業者が無料で発行してくれます。心配な場合は見積りの際など契約前までに、証明書の発行手数料について聞いておくとよいでしょう。

建物滅失証明書は無料で発行されますが、建物滅失登記には費用がかかります。自分で登記申請する場合、登記事項証明書などの書類取得費用として1,000~3,000円程度かかると考えておきましょう。登記申請を土地家屋調査士に依頼する場合の費用は、約30,000~60,000円が相場です。

まとめ

建物滅失登記をスムーズに進めるためにも、建物滅失証明書は確実に受け取っておく必要があります。滅失登記の期限までは短いため、できるだけ解体工事完了直後に受け取るようにしましょう。

建物の登記や相続税の申告などは手続きが煩雑です。税金関連は税理士事務所、相続登記は司法書士、建物滅失登記は土地家屋調査士というように、状況に合わせて専門家のサポートを得ながら手続きを進めると安心です。

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