
置き配の普及に伴い、戸建て住宅でも需要が増している宅配ボックスですが、設置前に十分シミュレーションしておかないと思わぬデメリットに悩まされることがあります。
今回はとくに壁埋め込み型の宅配ボックスでよくあるデメリットや、後悔しないためのポイントを解説するので、宅配ボックスの形式で迷っている場合は参考にしてください。
宅配ボックスの壁埋め込み型のデメリット

壁に埋め込むタイプの宅配ボックスにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。以下に代表的なデメリットを紹介します。気になる点がないかチェックしてみましょう。
玄関スペースを一部占有する
壁埋め込み型の宅配ボックスは、玄関のスペースを占有してしまう点が大きなデメリットです。
宅配ボックスはある程度の奥行きが必要なため、玄関の外壁に埋め込む場合、室内にボックスが飛び出る形になります。そのため、飛び出した分、玄関のスペースが狭くなってしまいます。
玄関に十分なスペースがない場合は、複数人が玄関に立つと窮屈になるなど、玄関の使い勝手が悪くなるケースがあるため、十分注意が必要です。
外気が侵入してくる
壁埋め込み型の宅配ボックスを設置する場合は、冬場に隙間風に悩まされる可能性があるので注意しましょう。
外壁に穴を開けてボックスを入れるので、製品や施工方法によっては冷たい空気の侵入口になってしまいます。
外気が入ると住まいの気密性・断熱性に影響が出て結露の原因にもなります。結露は住宅の木材に悪影響を与えるなど、建物の耐久性に影響を及ぼすおそれがあるため、気をつけなければなりません。
気になる場合は、外気が侵入しやすいかどうかを施工業者やメーカーに問い合わせてみることをおすすめします。
故障や劣化した場合の交換費用が高い
宅配ボックスが劣化したり故障したりした場合、埋め込み型は交換費用が高額になる可能性があります。
宅配ボックスを取り付けた状態で修理できれば問題ありませんが、交換など、取り外さなければならない場合には、工事が想定以上に大がかりになるケースも少なくありません。
例えば、新築で埋め込み型宅配ボックスを設置した場合、外壁材を張る前に宅配ボックスを設置していることがあります。その場合、取り外しの際に外壁材を剝がさなければならないこともあり、費用が大きくかかります。
また、廃盤により同じ商品を設置できずボックスのサイズが変わった場合、壁をさらに大きく開口させるか隙間を埋めるリフォーム工事が必要です。こちらもその分の費用が上乗せされます。
気軽に移設ができない
宅配ボックスを設置したあとに、玄関が狭くなった、荷物が取り出しにくい場所だった、という事態が起こったときに、簡単に移動できない点も埋め込み型の大きな欠点です。
設置する際に外壁に穴を開けてしまっていたり、ボックスをしっかり壁に固定していたりするので、移設工事も大がかりになります。
そのため、設置する際はしっかりシミュレーションしてから位置を決めましょう。また、将来的に宅配ボックスを別の場所に移動する可能性がある場合は、置き型のボックスを選択するなど、家族のライフスタイルに合わせてボックスを選ぶと無駄な費用がかからずに済みます。
デザインの種類が少ない
埋め込み型宅配ボックスはデザインの選択肢が少ないため、理想通りのデザインのボックスが見つからない場合もあります。
宅配ボックスは、配達業者に荷物を入れる場所だと知らせるために、分かりやすいデザインになっています。そのため、各メーカー同じようなデザインとなっており、個性的なデザインはあまり存在しません。
また、インターホンの近くの外壁に大きな四角い扉ができるので、人によってはそれが気になってしまうこともあるでしょう。
サイズが限られる
埋め込み型宅配ボックスは設置できるサイズが限られる点にも注意しなければなりません。
埋め込み型のボックスはデザインの種類が少ないだけでなく、サイズも種類が限られます。とくに大きいボックスの設置は難しく、大型の荷物を宅配ボックスに配達してもらうのは難しいでしょう。
ネットでの買い物の頻度が多い場合や、大きいものを入れてほしい場合は置き型のボックスを用意するか、大きいものは対面で受け取りするなどして対応することになります。
設置箇所によっては荷物の出し入れが面倒
埋め込み型宅配ボックスは、宅配ボックスの設置場所によっては荷物の出し入れがスムーズにできないことがあります。設置した場所が高すぎると重いものや大きなものを取り出すのが大変です。一方、低すぎるとかがんで取り出さなければならないため、腰に負担がかかってしまう可能性があります。
宅配ボックスの近くに靴箱などがある場合も荷物の取り出しが難しく、ストレスになってしまうこともあるでしょう。設置場所を決める際は、色々な大きさや重さの荷物を取り出すことをイメージして決めると失敗を防げます。
宅配ボックス埋め込み型の具体的なメリット

では反対に、宅配ボックスを埋め込み式で設置する場合にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下に主なメリットを紹介するので、デメリットと照らし合わせて検討してみましょう。
外観デザイン性が高い
埋め込み型の宅配ボックスは、スタイリッシュなデザインが多く、外観のデザインに優れています。扉の取っ手も収納式で、扉自体の出っ張りも少なく、外構デザインを邪魔しません。
埋め込み型は多くの場合、玄関ドアのインターホン近くに扉を設置します。インターホンと同系色の宅配ボックスを選ぶと玄関周りに統一感が生まれます。インターホンが古い場合は同時に同系色のインターホンに交換すると、モダンですっきりした玄関に生まれ変わるでしょう。
玄関から出ずに取り出せる
埋め込み型宅配ボックスの最大のメリットは玄関から出ることなく荷物を受け取れる点です。雨の日でも濡れることなくボックスから荷物を取り出すことができるだけでなく、暑い日や寒い日に外にでる必要もありません。
また、休日や早朝・深夜に身なりを気にせずにいつでも荷物を受け取れるため、外の目を気にすることなく自分のタイミングで荷物を取り出せる点も大きな魅力といえるでしょう。
宅配ボックスごと盗まれる心配がない
埋め込み型宅配ボックスは、荷物の盗難を防げます。宅配ボックスは留守でも荷物を安全に受け取れますが、宅配ボックスごと盗まれては元も子もありません。
埋め込み型宅配ボックスなら外壁にしっかり固定されているため、荷物を盗まれたり宅配ボックスごと持ち出されたりするリスクを防げます。
大切な荷物を安全に受け取りたいなら、埋め込み型の宅配ボックスがおすすめといえるでしょう。
置き型よりも見た目がスマート
埋め込み型宅配ボックスは、置き型や設置型、機能性門柱の宅配ボックスに比べて見た目がスマートな点も魅力です。
置き型は玄関先にボックスを置く必要があり、スペースを取られるだけでなく、盗難防止のためにワイヤーを設置すると、見た目が悪くなる原因になります。
一方、埋め込み型は箱の部分は建物内に収納されるため、外からは箱の形状は見えません。そのため、エクステリアに余計なものが増えず、デザイン性を高められます。また、戸外には箱がないため、掃除の手間も減るでしょう。
外構をすっきりさせたいなら、埋め込み型宅配ボックスが最適です。
設置を後悔しないためのチェックポイント

埋め込み型は設置したら修正が難しいタイプの宅配ボックスです。設置の際は以下のチェックポイントをしっかり押さえて、家族のライフスタイルに合った宅配ボックスを取り付けましょう。
使用頻度・家族構成・荷物容量を予測する
宅配ボックスの設置を検討している場合は使用頻度を確認することが大切です。家族がどれくらい使用しそうか、どのくらいの大きさの荷物の配達が予想されるかを検討しましょう。
あまりオンラインショッピングを利用しないのに大きな宅配ボックスがあると、邪魔になるだけでなく、ボックス内にゴミが溜まりやすくなったり、宅配ボックスの確認を忘れやすくなったりしてしまいます。
小さすぎるボックスも荷物が入らずに結局、対面での受け取りが中心になってしまうなど、宅配ボックスの利便性を感じられないということもあるでしょう。
設置の際は、家庭全体の利用頻度や買い物の傾向を明らかにしておくのが後悔しないポイントです。
設置場所と開閉方向をシミュレーション
設置の際は設置場所と扉の開閉方向を事前にしっかりシミュレーションしておきましょう。宅配ボックスの位置と高さ、開閉方向によっては荷物の出し入れが難しくなるため、後悔しないためにもしっかりとイメージしておかなければなりません。
出し入れのしやすさは受け取り側だけでなく配達員側の扉にも配慮が必要です。外側からも出し入れしやすいかも考えて置くようにしましょう。
設置場所は出し入れのしやすさだけでなく、分かりやすさも重要です。宅配業者が宅配ボックスを見つけられないと、不在時には再配達になってしまう可能性があります。インターホンやポストの近くに設置するのが一般的なので、できるだけ近くに配置することがトラブル発生を防ぐポイントです。
防犯性のチェックを行う
宅配ボックスは集合住宅に比べて戸建て住宅の方が盗難の被害に遭いやすいため、防犯面のチェックや対策をしておきます。
暗証番号を入力して施錠するタイプの場合、不在票を盗まれ荷物が盗難の被害に遭うおそれもあるので十分注意が必要です。
戸建て用の宅配ボックスのなかでは、埋め込み型はボックスごと持ち去られる心配がなく防犯性が高いとされています。セキュリティ面を意識するなら埋め込み型を選択するのがおすすめです。
将来のライフスタイル変化も考慮する
埋め込み型宅配ボックスの導入を検討している場合は、将来のライフスタイルについても考慮しておきましょう。
今は頻繁にオンラインショップを使うが、将来はあまり使わなくなることが予想される場合は、埋め込み型ではなく、置き型を設置すると撤去費用を抑えられます。
また、将来車いすで出入りするなど、バリアフリー化を考えている場合も注意が必要です。宅配ボックスが将来、玄関の出入りの邪魔になるようであれば、無理に埋め込み型にしないほうが良い場合もあります。
注文住宅の場合はあらかじめ建設業者と打合せのうえ、玄関回りのスペースを確保しておくと、将来車いすなどで玄関を使う際も安全性と利便性を確保できるはずです。
宅配ボックス埋め込みに関するよくある質問

ここでは、埋め込み型の宅配ボックスの設置に関して、よくある質問とその解答を紹介します。
設置を検討している場合は、疑問を解消して後悔のない宅配ボックスを設置しましょう。
宅配ボックスを埋め込む工事費用はいくらですか?
埋め込み型宅配ボックスを設置する際の費用相場は、約10~50万円です。宅配ボックスの設置費用は宅配ボックス本体の価格に基礎工事費と諸経費をプラスした合計金額です。オプション工事が必要な場合はこれに付帯工事費用が上乗せされます。
設置費用は本体価格により幅が出やすく、おしゃれで高機能な宅配ボックスを選ぶとその分費用が跳ね上がる傾向があります。製品を選ぶ際は、必要な機能を見極めると費用を抑えられるでしょう。判断が難しい場合は業者に相談しながら決めると安心です。
宅配ボックスの埋め込み型は後ろ出しできる?
埋め込み型宅配ボックスは、基本的に前入れ後ろ出しが基本です。後ろ出しにすることで、玄関の外に出ることがなく荷物を受け取れるため、特別な事情や玄関内のスペースの問題がなければ後ろ出しタイプを選べば問題ないでしょう。
物件の条件で後ろ出しにできない場合は前出しタイプの宅配ボックスを利用することになりますが、前出しタイプを設置する場合は宅配ボックスの前に荷物を取り出せる分のスペースが必要です。
宅配ボックスの埋め込み型は後付けできる?
埋め込み型宅配ボックスは後付けも可能です。ただし、埋め込み型を設置する場合は外壁の強度をあらかじめ確認しておかなければなりません。また、外壁の素材や強度など、条件によっては希望のサイズのボックスを設置できない可能性もあるでしょう。
また、埋め込み型を設置する場合は外壁の解体・補修工事も必要になるため、ほかの設置方法よりも工事期間が長くなる傾向があります。外構のメンテナンス工事など、ほかの工事と一緒に依頼するなど、計画的に進めることをおすすめします。
まとめ

埋め込み型宅配ボックスは、宅配の時間指定をする必要がなく、好きな時間に建物から出ることなく荷物を受け取れます。忙しい方はもちろん、小さなお子様やペットがいる家庭では飛び出しの危険もなく便利です。
ただ、工事が大がかりになるため費用がかかる点や玄関内のスペースの問題もあるので、十分検討して住む人に最適な宅配ボックスを設置するのがおすすめです。
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