近隣住民や通行人からの視線を遮り、家族のプライバシーを守るためには目隠しフェンスの設置が有効です。
しかしその一方で、目隠しフェンスを設置したことが原因で日当たりが悪くなってしまったという失敗例も多くあります。
この記事では、目隠しフェンスの日当たりへの影響や、明るさを確保しながら外からの目線を効果的に遮る方法について解説します。
目隠しフェンスで日当たりがどう変わる?
目隠しフェンスを設置すると、日当たりにどのような影響があるのでしょうか。
ここでは設置場所や季節の条件などによる影響をお伝えするので、住まいの条件と照らし合わせてシミュレーションしてみましょう。
フェンスの設置位置と範囲による影響
高さのある目隠しフェンスを東側、または南側に設置した場合や、広範囲に設置した場合は日当たりに影響を与えやすくなります。
特に庭が広くない場合、背の高いフェンスで外構をすべて囲ってしまうと庭の日当たりが悪くなり、暗くて寒い、洗濯物が乾きにくい庭になってしまうかもしれません。
日当たりの影響は隣家にも及ぶ可能性があるため十分注意が必要です。隣家が自宅の北側にある場合、目隠しフェンスによって日照条件が悪くなったと、クレームが発生するおそれがあるので十分注意しましょう。
季節ごとの日照時間の変化
影の大きさは季節によって大きく異なります。夏を想定して目隠しフェンスの日当たりのシミュレーションをしてしまうと、冬季に思っていた以上に暗く寒い庭になってしまったという失敗が起こりかねません。
冬至の日は日照時間が短く、一年で最も太陽の南中高度が低くなる日です。つまり、影が最も長くなり、屋根と目隠しフェンスによってできる日陰が大きくなります。
冬場に暗く寒い庭にしないためには、季節ごとの日照の変化を考慮して計画するようにしましょう。
日当たり以外の目隠しフェンスのデメリット
目隠しフェンスは、日当たりが悪くなる以外にもいくつかのデメリットがあります。
フェンスを設置したあとにデメリットに気づいて後悔しないよう、以下の点をしっかりチェックしておきましょう。
強風に弱い
隙間のない目隠しフェンスは風の影響を受けやすく、強風で倒れやすいというデメリットがあります。
強風対策として、耐風圧強度の高いフェンスを選びましょう。メーカーによって、耐風圧強度40m相当用の柱を備えたフェンスも存在します。また、柱の本数を増やす風対策の方法もあります。
強度は地域の気象条件や敷地内の設置場所に応じて、外構工事業者と相談しながら決めると安心です。
強風対策をするとフェンス1つあたりの金額が高くなり、工事費用も高くなりますが、安全にフェンスを使用するためにも適切な対策を講じましょう。
圧迫感を感じさせる
目隠しフェンスは外からの目線を遮る反面、圧迫感が出ることがあります。特に隣家との境界線に背の高い目隠しフェンスを設置した場合、相手に悪い印象を与えてしまうかもしれません。
フェンスは高くすればするほど圧迫感が増し、目立ってしまいます。圧迫感を軽減するには、以下の方法を検討しましょう。
- 用途に合わせて高さを調整する
- 半目隠しタイプや隙間のあるスリットタイプにする
- ルーバータイプのフェンスを設置する
設置場所ごとの目隠しフェンスの高さの基準
目隠しフェンスは一般的に180~200cmが目安とされていますが、設置する場所によって有効な高さは異なります。
ここでは、家の場所ごとの目隠しフェンスの最適な高さを紹介するので、外からの視線を効果的に遮るための参考にしてください。
リビング
リビングの目隠しフェンスの高さは200cmが目安です。リビングをフェンスで目隠しするためには、道路とリビングの高低差を意識しておかなければなりません。
リビングの床の高さは、地面から50~60cm程度高く作られていることが多いため、リビングのプライバシーを守るなら高低差に応じたサイズのフェンスが必要です。
ただし、2mのフェンスを設置すると圧迫感が出たりリビングの日当たりが悪くなったりします。
実際に取り付けるフェンスは目線を遮る高さぎりぎりのもの、または縦格子フェンスなどの隙間のあるものを設置するのがおすすめです。
バスルーム・トイレ
バスルームやトイレの目隠しフェンスは、窓枠の高さに合わせて180~200cmくらいが最適です。
水回りは隣家と距離が近い場所にあるケースが多く、半透明の窓ガラスであっても、照明をつけるとシルエットが見えてしまうことがあります。
お風呂場の目隠しフェンスは湿気の影響を受けるため、木製フェンスではなく湿気に強い素材のアルミ製や樹脂製のフェンスを選ぶことがポイントです。
形状は、風通しを確保しながら目線を遮るルーバータイプや、防犯に効果的な面格子タイプが良いでしょう。
庭
庭の目隠しフェンスは道路との高低差と、庭での過ごし方によって最適な高さが変わります。
道路と庭の高低差がない住宅で、椅子に座って過ごすのがメインの場合、150cm程度がおすすめです。この場合、フェンスは地面から150cmの高さになっていれば問題ありません。
ブロック塀の上に低めのフェンスを設置して合計150cmにすれば、費用を節約できます。
日当たりを確保してガーデニングを楽しみたい場合は、正面は目隠しフェンスにし、リビングが丸見えにならない角度は耐久性のあるスチール製のメッシュフェンスなど、ガーデンフェンスを植栽と組み合わせて活用すると自然に調和がとれたお庭が完成します。
隣家側
隣家との土地の境界線に設置する目隠しフェンスは、お隣に圧迫感を与えるだけでなく、お隣の日当たりが悪くなったことが原因でトラブルに発展したという事例もあるため注意が必要です。
お隣からの目線が気になる場合は、固定された目線を遮りやすい横格子タイプのフェンスを使用すると良いでしょう。
また、隙間のあるフェンスと隙間のないフェンスを組み合わせるなどすると圧迫感を抑えながらも家族のプライバシーを守れます。
道路側
道路側の目隠しフェンスは180cm程度が良いとされています。道路側に設置するフェンスは高すぎると、かえって不審者に都合の良いものとなってしまいます。
乗り越えるのは大変な一方で、一度乗り越えてしまうと外からは見えないため、自由に行動できてしまうのです。
防犯のためには見通しの良さも大切なので、ある程度の隙間があるフェンスを使い、見通しを維持しましょう。
人目が気になる場合はカーテンを併用して目線を遮ると効果的です。高さを決める際は道路と敷地の高低差を計算に入れます。
例えば道路に対して敷地が40cm高い場合は、180cmから40cm差し引いた140cmのフェンスで十分です。
日当たりを確保できる目隠しフェンスの種類
目隠しフェンスには、日当たりや風通しを確保しながらプライバシーを守れるタイプも存在します。
ここでは、代表的なものを紹介するので、自宅に合ったフェンスを選びましょう。
半透明パネル
目隠しフェンスには、ポリカーボネート製の半透明パネルをはめ込んだタイプが存在します。半透明パネルは採光性が高く、エクステリアの明るさを保てる点が大きなメリットです。
一方で、風通しが悪いというデメリットを持っているので、ルーバータイプを選択するか、半透明パネルを一部取り外すと目隠ししながら風通しを確保できます。
半透明パネルの目隠しフェンスは明るいカラーの枠を選ぶと空間に圧迫感を与えないため、リビングやテラスなど、家族の憩いの場におすすめです。
縦格子フェンス
縦格子フェンスは隙間がありますが、斜めから見ると隙間が埋まっているように見えるため、通行人や車など常に動いているものからの目隠しに効果的です。
隙間があいているので風通しが良いうえ、圧迫感がありません。また、見通しを確保できるので防犯性が高いといえるでしょう。
一方で、正面から見た場合には目隠し効果があまりないため、隣家との境界など止まった視線を遮るのには向いていません。
また、敷地内からは通行人が見えるという点は知っておいた方が良いでしょう。
ルーバーフェンス
ルーバーフェンスは斜めに並んだ細い羽根板1枚ずつに隙間があいているため、直射日光を避け、目隠ししながら、程よい通気性も確保できます。
板にしっかり角度がついているルーバーフェンスなら風を通しやすいため、強風対策にもなるでしょう。
その一方、隙間から音が漏れてしまうので、防音・遮音目的での設置には適していません。防音・遮音目的で隣家との境界線にフェンス置きたい場合は、隙間の少ないタイプを設置しましょう。
目隠しフェンス設置で暗くならないための注意点
目隠しフェンスを設置してお庭やウッドデッキ、室内が暗くならないためにはどのようにすれば良いのでしょうか。
以下でフェンスの新設・リフォーム工事で後悔しないためのポイントを紹介するので、事前にしっかり確認しておきましょう。
事前に影の範囲をシミュレーションする
目隠しフェンスの設置を検討している段階で、どれくらいの影ができそうか検討しておくと安心です。
日当たりが悪いとガーデニングで使える場所が限られてしまいます。また、日陰になった部分に苔やカビが発生するリスクが高まり、手入れの手間が増えてしまいます。
隣家との境界線に目隠しフェンスを設置する場合、隣家にも同様の影響を及ぼす可能性が高いため、自分の家だけでなく、隣家にできる影の範囲もしっかりとシミュレーションしておきましょう。
そのうえで隣家に連絡してフェンス設置の承諾を得ることは必須です。設置する理由と設置位置をしっかりと説明しておきましょう。これはDIYで施工する場合も同様です。
住宅の周辺環境を確認する
目隠しフェンスは、周辺の住宅環境に調和したものを選ぶことが大切です。
外からの目線を遮りたいからといって、背の高い目隠しフェンスで周囲を完全に囲んだり、個性的すぎるデザインを選んだりすると、敷地全体の外観が悪目立ちしてしまいます。
失敗を防ぐには近隣の住宅との調和を考えて、違和感のないフェンスを設置するのがポイントです。色選びが難しいと感じた場合は、住まいの外壁の色に合わせて選ぶと良いでしょう。
フェンスと植栽のバランスを考える
目隠しフェンスと植栽を上手に組み合わせると、圧迫感のない外構に仕上げられます。
植栽は程良く目隠しをしながら、優しい光を取り入れられる点がメリットです。風通しも良いので、自然な見た目とともに心地よいエクステリアを作り出せるでしょう。
注意点は植栽の量と種類です。植物が多すぎると手入れの手間がかかります。また、種類によっては落ち葉の掃除が大変だったり、生育が旺盛すぎたりするなどのデメリットがあります。
植栽と目隠しフェンスとのバランスは、見積りの際に外構工事業者にアドバイスをもらいながら決めると快適性とおしゃれな雰囲気を兼ね備えた満足度の高いスペースが完成するはずです。
まとめ
目隠しフェンスは目隠し効果だけを考えて設置すると、あとになってデメリットを感じる場合があります。そのため、場所によってフェンスを使い分けることで、機能性を維持しつつ家族のプライバシーを効果的に守れるでしょう。
フェンス選びは経験豊富なプロのアドバイスを受けながら決めると失敗を防止できます。
設置を検討している場合は見積もりの段階でなくても、希望のイメージが実現できるか、費用相場などについて、気軽に外構工事業者に相談してみましょう。
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