
エクステリアの屋根付き自転車置き場にはサイクルポートを設置するケースが多いですが、「後悔した」などの声を聞いて設置を迷っている方も少なくないでしょう。
そこで今回は、サイクルポートが意味ないと感じる主な理由や、失敗を防ぐポイント、サイクルポートの代替案などについて解説します。
サイクルポートは意味ないと感じる理由

サイクルポートは意味がなかった、と感じるのはどのような場合なのでしょうか。
ここでは多くの人が後悔しているポイントを紹介するので、設置を検討している場合はしっかりチェックしておきましょう。
横からの雨風で濡れる
サイクルポートに屋根がついているのに、横殴りの強い雨が降ると自転車が濡れてしまい、意味がないと感じる人は多いでしょう。
基本的にサイクルポートは柱と屋根で構成されているため、雨が吹き込みやすい構造です。吹き込みを防ぐにはサイドにパネルがついたタイプがおすすめです。
ただし、狭いスペースに設置する場合は、通気性や動線が悪くなる可能性があるため考慮して設置しなければなりません。
高さ設定ミスで雨が吹き込む
サイクルポートの屋根が高いために少量の雨でも自転車が濡れてしまうことがあります。
屋根が高いと外構を広く見せられますが、雨や紫外線、ホコリが自転車につきやすくなり、屋根の意味がないと感じてしまうこともあるでしょう。
夜露が当たって自転車がさびてしまうこともあるので注意が必要です。
雨や紫外線、ホコリから自転車を守るには、屋根を低めにしたり、サイドパネルを設置するとよいでしょう。
設置場所の選定ミスで動線が悪い
サイクルポートの位置が悪く、動線が悪くなってしまうことがあります。道路に出にくい場所に設置すると不便ですし、玄関ドアからサイクルポートまで屋根がない場所があると雨に濡れてしまいます。
また、人が玄関から敷地外に出る動線にサイクルポートがあると、自転車が邪魔で歩きにくい、ということも起こりかねません。カースペースの近くに設置して、自転車で車を傷つける可能性もゼロではないでしょう。
サイクルポートを設置する際は、自転車に乗る人の動線、歩く人の動線を意識して設置場所を決める必要があります。
台数・車種を想定できていない
自転車の台数や大きさを想定せずに設置して、自転車が入りきらないという失敗も珍しくありません。
設置当初は子どもの自転車を置くことをイメージしていたのが、自転車が大きくなったり、バイクを置くようになったりして、スペースが足りなくなることがあります。
サイクルポートは自転車以外にも、三輪車やキックスケーターなどを置くケースもあるでしょう。設置の際は自転車の台数のほか、置きたいものや、ライフスタイルの変化をシミュレーションしておくと失敗を防げます。
費用対効果が低い
サイクルポートの費用相場は13.5万円~24万円と、決して安くはありません。そのため、あまり活用しなかったり、雨で自転車が濡れてしまったりすると、コストパフォーマンスが低いと感じてしまうこともあるでしょう。
費用対効果を高めるには、設置する前にどれくらい利用しそうかの検討が大切です。サイクルポートはオプションをつけると費用も高額になってしまうので、オプションの必要性についても十分に検討して必要なもののみに絞るようにしましょう。
カーポートや軒下で代用できるケースも
自転車置き場はカーポートや軒下で間に合うケースもあります。せっかくサイクルポートを設置したのに、カーポートの方が動線が楽だとそちらに駐輪してしまうこともあるでしょう。そのような場合にはサイクルポートを十分に活かせず、設置を後悔することもあるかもしれません。
動線を意識せずにサイクルポートを設置すると、うまく活用できなくなってしまいます。設置の際は動線をシミュレーションして設置場所を決めると使いやすいサイクルポートになるはずです。
サイクルポート設置の失敗を防ぐポイント

では、サイクルポートの設置を失敗しないためにはどのようにすればよいのでしょうか。
ここではサイクルポートの適切な設置方法を紹介するので、一つずつチェックしてください。
適切なサイズを選ぶ
サイクルポートで最も大切なのがサイズ選びです。自転車の台数を確認し、すべての自転車が収まるサイズのサイクルポートを設置しましょう。
標準的な自転車の寸法は以下の通りです。
- 20~27インチ(大人用自転車):長さ160~190cm、幅40~57cm
- 14~20インチ(子供用自転車):長さ100~160cm、幅40~57cm
駐輪場は、自転車1台あたり長さ190cm×幅60cm以上を確保すると確実です。
ギリギリのサイズにすると自転車が雨に濡れるおそれがあるので、自転車を雨から守りたい場合は余裕を持ったサイズのサイクルポートを設置しましょう。
適切な素材を選ぶ
サイクルポートの屋根材には以下のような素材が使用されており、住まいに合った種類を選ぶことが大切です。
- ポリカーボネート板
- スチール折板
- アルミ形材
- FRP材
ポリカーボネート板は耐衝撃性、耐候性に優れたプラスチック素材の一種で、サイクルポートやカーポートで広く採用されています。
スチール折板は波型形状の金属屋根で、雪や風に強い耐久性の高さが魅力です。
アルミ形材は外構素材にもよく使用されており、耐久性に優れるほかデザイン性が高いため、住まいになじみやすい素材です。
FRPは繊維強化プラスチックで、ポリカーボネート板と同様に透過性がありますが、より高い遮熱効果が期待できる点、防火性能が高いという特徴があります。
耐風圧・耐積雪性能を確認する
屋外で雨風にさらされるサイクルポートには耐久性が求められます。
サイクルポートには簡易的なものも多く存在しますが、耐久性が低いため早期に交換することになったり、置き型タイプは台風などの強風で飛ばされるおそれがあるなど、さまざまなリスクの存在は否定できません。
耐久性の高いサイクルポートを外構工事で設置しておけば、長期間安心して使用できトータルコストを安く抑えられます。
強風に対応するにはポリカーボネート板やスチール折板、積雪の多い地域ではスチール折板の屋根を選ぶのがおすすめです。
道路に近い位置に設置をする
道路に近い場所に設置するなど、動線を考えてサイクルポートを設置することも大切です。
駐輪スペースは、出かけるときに道路に出やすい場所、そして帰ってきたときに自転車をとめやすい場所である必要があります。場所を決めるときは自転車の出入りをシミュレーションしておくとよいでしょう。
そのほか使い勝手がよい場所として、庭に余裕がある場合は庭、動線を重視する場合は玄関アプローチ、狭いスペースを有効活用したいなら建物の横に設置するなどの方法があります。
オプションを活用して機能性を高める
サイクルポートはオプションをつけることで、自転車を風雨から守るだけでなく、機能性も向上します。
オプションには以下のようなものがあります。
- サイドパネル
- サポート柱
- 輪止め
- 物干し
サイドパネルは雨や風の吹き込み防止だけでなく、目隠し効果もあります。
サポート柱は強風による倒壊リスクを軽減するためのものです。着脱式のものもあり、普段は取り外しておけば自転車の出入りの邪魔になりません。
輪止めは自転車の防犯対策に有効です。自転車をつないでおけるので、盗難が心配な場合は設置をおすすめします。
サイクルポートを自転車置き場としてだけでなく、洗濯物干し場として活用したいなら物干しがあると便利です。
給湯器や換気口の近くには設置しない
サイクルポートは給湯器や排気口の近くには設置しないようにしてください。熱排気が自転車やサイクルポートに当たると塗装が剥がれて腐食する原因となります。
また、サイクルポートの素材によっては火災のリスクがあるため、安全のためにもこれらの設備の近くへの設置は避けましょう。
設置場所を決める際は外構工事に現地調査を依頼して、安全に使用できる場所に設置することが大切です。
建ぺい率・確認申請など法規制を確認する
サイクルポートは柱と屋根を持つため、原則として建ぺい率の対象となります。また、条件を満たしている場合は建築確認申請が必要です。
ただし、サイクルポートを建蔽率から除外してもよいケースがあります。建ぺい率から除外してよいのは、以下に該当する場合です。
- 外壁のない部分が連続して4m以上
- 柱の間隔2m以下
- 天井の高さが2.1m以上
- 地階を除く階数が1である
サイクルポートの設置で建築確認が必要なのは以下のケースとなります。
- 緩和措置を適用したうえで建築面積が10㎡を超える場合
- 防火地域・準防火地域に該当する場合
建築確認申請は基本的に施主が出しますが業者に代行を依頼できます。
サイクルポートを設置するメリット

サイクルポートを設置すると、自転車にさまざまなメリットがあります。
ここでは大切な自転車を守れる主なメリットを3つお伝えするので、お悩みが当てはまる場合は設置を検討するとよいでしょう。
雨・紫外線・鳥害からの劣化防止
サイクルポートの最大のメリットは、雨や紫外線、鳥のフンから自転車を守れる点です。雨は自転車を濡らし、乗ろうと思ったときに拭くなどの手間がかかるだけでなく、自転車を錆びさせる原因となってしまいます。
紫外線は自転車の塗装を劣化させるため、色褪せの原因となります。鳥のフンは不快なだけでなく、フンの成分が自転車やバイクの塗装に影響を与え、シミや変色、塗装の凹みの原因となりかねません。
屋根があるサイクルポートに駐輪すれば、これらの被害を最小限に抑えられるはずです。
強風による転倒を防止できる
サイクルポートにサイドパネルを設置しておくと風の吹き込みを抑制できるため、自転車が風に倒される心配がなくなります。
自転車が風で倒されると故障してしまうこともあるかもしれません。また、猛烈な台風で自転車が飛ばされ、近隣住民に被害を及ぼす可能性も否定できません。
このようなことを防ぐために、サイドパネル付きのサイクルポートがあると安心です。また、輪止めを設置しておくと自転車が固定でき、自転車の転倒リスクを軽減できます。
防犯対策になる
サイクルポートは自転車の盗難被害を防げます。輪止めに自転車をつなげておけば盗難リスクを抑えられるでしょう。
サイクルポートの防犯性能をさらに高めるには、センサーライトの設置がおすすめです。夜間はサイクルポートやカーポートは不審者が身を潜めやすいため、死角になりそうな場所にセンサーライトを設置しておくとよいでしょう。
センサーライトは夜間に帰ってきたときに手元を明るく照らしてくれるので、利便性も向上します。
サイクルポートを設置するデメリット

一方で、サイクルポートにはいくつかのデメリットが存在します。設置してから後悔しないように、デメリットをしっかりチェックし、メリットと比較しながら本当に必要かどうか考えることが大切です。
外観デザインが家と合わない
サイクルポートが住宅のデザインと合わず、違和感を覚える場合があります。
景観を損ねずに設置するには、本体の色を住宅のサッシの色に合わせるか、フェンスなどほかの外構設備の色と統一させるのがおすすめです。
また、屋根材をポリカーボネート板のような透明素材にして圧迫感を出さないようにする、外構の目立つ場所や住宅のデザインを隠してしまうような場所には設置しないなど、素材や設置場所も重要です。
メンテナンスや補修コストがかかる
サイクルポートはメンテナンスに手間がかかる点もデメリットです。ポリカーボネート屋根のサイクルポートは、屋根にゴミや落ち葉がたまると目立ちます。
そのため、こまめな清掃が欠かせません。ポリカーボネート屋根以外の素材も、雨樋にゴミがたまると水の流れが悪くなり、屋根の腐食や漏水の原因となるため定期的な清掃が必要です。
屋根に不具合がある場合はメンテナンスしなければならないうえ、塗装が必要な素材は定期的に塗り替えを行うため、都度コストがかかります。
サイクルポート設置の代替え案

サイクルポートを設置するほどのスペースを確保できない、大がかりな工事はしたくない、賃貸物件で外構工事が難しい、などの理由でサイクルポートの設置ができない場合は、以下のような選択肢もあります。
自転車カバー+屋外ラック
屋外ラックに自転車カバーをかけてとめるほか、置き型のラックやスタンドにカバーをつけるタイプの簡易型のサイクルポートを活用する方法もあります。
施工不要で設置でき、カバーで完全に覆うタイプもあるため、自転車を雨や紫外線から保護できます。
一方でエクステリアのデザインに違和感を与えてしまう可能性がある点、定期的にカバーの交換が必要な点、強風時は飛ばされないように片付けるなどの対策が必要な点には注意が必要です。
物置兼用タイプ
物置と駐輪場の一体型のタイプを利用する方法も、サイクルポートを外構工事で施工する場合に比べて安く設置できるので便利です。一体型タイプのほか、既存の物置やガレージの中に収納する方法もあります。
保管している物と兼用となるため、物を多く収納できない、出し入れのスペースを確保しなければならないなど、考慮すべきことはありますが、大切な自転車やバイクを雨風から完全に守れます。
物置タイプのデメリットは敷地の奥に設置するケースが多いため、動線が悪くなる点です。スペースも限られるため、収容できる自転車も限られます。
カーポート拡張型の駐輪スペース
カーポートの空いているスペースを駐輪場として活用する、カーポートの屋根を延長して自転車を置く場所を確保すると限られたスペースを有効活用できます。
車の出し入れの邪魔にならないように置く必要があること、自転車が置いてあることで人の動線が悪くなるケースもあるので、配置には注意が必要です。
また、カーポートは拡張すると外観が悪くなる傾向があること、製品によって拡張の可否に違いがあるので、事前によく確認しましょう。
サイクルポートに関するよくある質問

ここではサイクルポートの設置に関してよくある質問とその回答を紹介します。
税金や耐久性に関わることもあるため、設置したあとに後悔しないためにも事前に疑問を解消しておきましょう。
サイクルポートは固定資産税の対象になる?
サイクルポートは固定資産税の対象となるケースがあるので注意が必要です。基本的に柱と屋根のみのサイクルポートなら固定資産税額の変更はありません。
しかし、パネルで覆っているなど三方に壁が設置されているタイプや、ガレージタイプは固定資産税の対象となる可能性があります。
固定資産税の対象となるのは以下の条件を満たすものです。
- 外気分断性:3方向以上に壁があり、屋根があるもの
- 土地定着性:基礎などで土地に固定されており、簡単に移動できないもの
- 用途性:目的に応じて用途が制限されているもの
検討しているサイクルポートが固定資産税の要件を満たしているか心配な場合は、見積りの際に業者に相談しておくと安心です。
DIYで壁やサイドパネルを後付けできる?
サイクルポートへ壁やサイドパネルをDIYで後付けするのは、メーカーの純正品であれば可能です。パネル以外にも物干し竿用ラックなど、DIYで簡単に設置できるものもあります。
ただし、脚立に上るなどの高所での作業は大変危険です。自分で設置するとしっかりと取り付けられず、早期に不具合がおこるケースもあります。
無理に作業しようとせず、工事費用がかかっても業者に依頼することをおすすめします。
まとめ

サイクルポートは設置の方法次第で利便性が大きく変わります。あらかじめ収容したい自転車の数や大きさを確認しておき、適切なサイズを設置すると失敗を防げます。
そのほか、デザインや動線に違和感がないよう、設置場所や最適な製品について外構工事業者と相談しながら決めるのがおすすめです。


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