介護・バリアフリー

介護時に必要なお風呂の環境整備

投稿日:2018年12月8日

家庭内の介護行為の中では、お風呂に入れる作業が最も困難と言えるでしょう。

お風呂場の限られた空間で、移動させ、体を洗い、浴槽に入れるプロセスに加え、介護する方される方双方の肌が濡れ、浴室内の床や壁も濡れているため滑りやすく、リスクは非常に高くなります。

安全に気持ちよく入浴させてあげるためには、プロでも高い能力や体力が必要です。少しでもリスクやストレスを軽減するには、お風呂の物理的な環境整備は非常に重要になってきます。

お風呂場出入り口幅の拡張

一般の家庭では、通常お風呂場の出入り口は幅60cm程度です。介助が必要であったり車椅子であったりしたら、この開口幅ではお風呂場へ入れるだけでひと苦労です。

できれば開口部は、リフォームによって160cmくらいまで拡張できれば介助者や車椅子の出入りが容易になります。

工事不要の段差の解消

風呂場の出入り口は、洗い場から湯水が流れないよう脱衣所との段差が10~10cm程度あります。これも介護時には大きなネックです。歩行でお風呂場に入る場合では2cm以下、車椅子使用の場合には0.5cm以下の段差が望ましいです。

早急にできる段差解消の手段としては、洗い場へすのこを設置することで対処できます。すのこは木製以外に樹脂製があり、表面を滑り止め加工した製品も普及しています。

ただし、敷いた時にガタつきやズレが出ないよう、すのこの脚部にゴムの緩衝材を付けるなどして微調整が必要です。また、すのこを敷くことによって浴槽に入る際の高さが低く変わってくるので、逆に入りにくくなってしまわないか、水栓の操作がやりにくくならないか念のため事前にシミュレーションされることをお勧めします。

さらに、汚れやカビがつかないよう、すのこは定期的に掃除し天日干しして衛生を保ちます。

一方、工事で段差解消する方法としては、洗い場床面にコンクリートを敷設し、滑りにくいタイルを貼ってかさ上げをします。

お風呂場スペースの拡張

目安として、入浴介助者がいる場合、車椅子使用の場合とも、お風呂場内のスペースは間口160cm×奥行き160cm以上必要です。

お風呂場内の手すりの設置

手すりはどんな場面で必要になるかを想定すると、戸を開け閉めする時、出入り口の段差を越える時、洗い場で移動する時、洗い場で立ち座りする時、浴槽への出入り時、浴槽内でお湯につかっている時、浴槽内で立ち座りする時などです。

使用する方の障がい程度によって手すりの本数や位置は検討します。

また、お風呂場内ばかりでなく、脱衣所側のお風呂場出入り口に縦型の手すりがあると、戸の開閉が非常に安定しお勧めです。

出入りしやすい浴槽への変更

高齢者や障がい者に適した浴槽のタイプは、肩までつかれる深さと足を伸ばしてゆったり入れる長さがある『和洋折衷式浴槽』です。出入りがしやすく、浴槽内でもバランスを保ちやすいメリットがあります。サイズは長さ110cm~130cm、横幅70cm~80cm、深さ50cm~55cm程度が使いやすいとされています。

浴槽に出入りする時、立ってまたいで入るか、座ってまたいで入るかの出入り動作によって、浴槽の高さや浴槽縁の幅を考慮し、必要に応じて踏み台や入浴台を設置します。

昨今は、バリアフリー対応のユニットバスが各メーカーから様々な種類が発売されています。バリアフリー対応だけにあらかじめ手すりや腰掛けが設置され、脱衣所との段差も解消されています。片麻痺の方用に浴槽や出入り口の位置が左右対称のレイアウトで選択できる製品もあります。

工事期間が短いメリットからも導入する方が増えています。

水栓金具の検討

シャワー水栓では、誤って熱湯や冷水を体にかけてしまったという事故があります。これを防ぐために、温度調節の目盛りに設定すると合わせた湯温で安定してシャワーが使用可能な『サーモスタット付き水栓』が便利です。

介助者と本人いずれもシャワーを使う場合は、それぞれが適した高さで使用できるようスライド調整ができるシャワーヘッド掛けが便利です。

暖房設備の設置

冬季に暖かい部屋から、寒い脱衣所で服を脱ぎ、熱いお風呂に入るという急激な温度差から血圧が急変し、脳卒中や心筋梗塞などに起こしてしまうヒートショックがあります。日本では年間1万人がヒートショックで亡くなっているとされます。

この防止策として、お風呂場や脱衣所に暖房設備を設置します。洗濯物の乾燥や換気機能もある『浴室用暖房乾燥機』が一般的で、人気となっています。

照明と色彩への考慮

お風呂場や脱衣所の電気が暗いという家庭は結構多いものです。必要以上に明るくすることはありませんが、介護時に見えにくくないように、JIS基準の75~150ルクス程度は確保したほうが良いでしょう。

また、壁、床面、浴槽のカラーは同じ色だと区別がつきにくく、つまずきの原因になります。できればはっきりと壁、床面、浴槽で色の違うものをお選びください。

そのほかにも留意すべき環境整備は多々ありますが、主なものをまとめました。

古くから日本人はお風呂好きな入浴文化を持っています。体を清潔にする目的だけでなく、体が不自由になっても湯船につかってゆったりくつろぐ楽しみを持っていただくため、お風呂場の環境整備を積極的に考えていきたいと思います。

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