介護・バリアフリー

介護に適したやさしい階段

投稿日:2018年11月22日

高齢者・障がい者の大敵は段差です。階段はその最たるもので、転倒・転落の家庭内事故が発生しやすい箇所になっています。階段からの転落による死亡事故も決して少なくありません。日本の住宅では2階建てが多く、階段利用が困難であっても使用せざるを得ない状況があります。したがって、新築やリフォームの際には、将来的に介護生活を見据えた階段設計が望まれます。

階段の種類について

(1)回り階段

階段の途中折り返し地点180度の回り部分で、螺旋状にした階段です。踏み板の方向を少しずつ変えているため、踏み板の面積が一定でなく、転落事故の危険度が高くなります。

(2)直線階段

階下から階上まで、直線で上り降りする階段です。直線階段のメリットは、同じテンポで昇降でき、途中で体の向きを変える必要がないことですが、万が一転倒してしまうと、階下まで落下し大ケガになる危険性が大です。

 (3)踊り場+3段折れ曲がり階段

階段の途中折り返し地点180度の回り部分で、踊り場にプラスして30度の階段を3つ配置した階段です。この3段の曲がり部分で体の方向転換をしなければならず不安定感はあります。ただし、踊り場があるため、万が一転落した際に、一気に階下まで転げ落ちることなく、大ケガになる可能性は低くなります。

(4)吹き寄せ階段

階段の途中折り返し地点180度の回り部分で、60度・30度・30度・60度の4つ割にした階段です。60度の部分を踊り場として方向転換に利用できます。

(5)踊り場付き階段

文字通り、踊り場のある階段です。ある程度のスペースがある踊り場でいったんひと休みできる安心感があります。この踊り場で体の角度を変え方向転換してまた昇り始めることができます。さらにもうひとつのメリットは、万が一転落した際に、一気に階下まで転げ落ちることなく踊り場で止まるため、大ケガになる可能性が低くなります。

 

以上の階段の種類の中で、介護上最も安全な階段は、(5)踊り場付き階段です。途中で体の向きを方向転換でき、万が一転落しても階下まで落ちない踊り場があること、そして踏み板が同じ面積・角度で一定のテンポで昇降できることが安全の要因です。

 

また階段の高さは低く、勾配は緩やかな方が安全であることは言うまでもありません。建築基準法では踏み板の奥行きの長さは15cm以上、蹴上げと呼ばれる階段1段の高さが23cm以下となっていますが、この基準は高齢者にとっては安全とは言えません。できれば、踏み板の奥行きの長さは15~20cm、蹴上げは15~20cm、勾配は30~35度が理想です。

階段の手すりや階段の色・照明

・両側への取り付け

階段への手すりの設置は安全の必須条件です。建築基準法でも階段には手すりを両側または片側に取り付けることを義務付けていますが、利き手で握ったほうがより安全性が高いため、昇り降りすることを考えると両側への取り付けをおすすめします。ただし、両側に付けることにより階段の幅が狭くなってしまう場合には片側としますが、下りのほうが危険性が高いため右利きの方は右側に、左利きの方は左側に手すりを設置します。

・連続での取り付け

手すりは途中で途切れないよう連続して取り付けることも重要です。やむを得ず連続できない場合は、手すりと手すりの空き間隔は4cm以下とします。4cm以下であれば立ち位置や体の向きを変えることなく自然に握り替えることが可能になります。そして階段の始まりと終わりは、40~45cmほど水平に延ばすと安定感を感じられるでしょう。なお、手すりの太さは直径3.2~3.6cm、手すりの取り付け位置は75~80cmの高さが目安となります。

・手すりの先端処理

洋服の袖が階段手すりの先端部分に引っかかった経験はありませんか? 健常者なら引っかかったとしてもすぐ体勢を立て直しすることができますが高齢者はそうはいきません。ですから、手すりの先端は袖口が引っかからないよう壁側か下方に折り曲げるように処理します。

・階段の色

階段の色と壁の色が同系色だと、階段の段差、壁と床の境目の見分けがつきにくく転倒やぶつかりの原因になります。そこで、階段と壁の色ははっきりとコントラストがつく素材や塗装を施します。踏み板の先端部分に滑り止めのテープを貼ったり、階段の始まりの踏み板だけ違う色にしたりして、色彩の違いを出すことも有効です。

・階段の照明

階段の照明は、自動で点灯するセンサー付きの足元灯が適しています。足元に光源があることで、影ができず見えやすくなります。階下と階上、できれば階段中央と合計3カ所に設置すれば安心です。JIS規定の階段の照度は30~75ルクスとされていますが、介護を要する方では、75ルクス以上の明るさは欲しいところです。

 

階段昇降機の設置

階段の昇り降りができなくなった場合には、階段昇降機を活用する方法があります。ただし、昇降機への移乗は家族の介助が必要になります。椅子式階段昇降機では、移乗の時のスペースが必要であること、階段の通行幅が狭くなることを考慮して、将来的に階段昇降機を設置しようとお考えの場合には、事前に階段幅を広めに確保しておくことをおすすめします。

また、3階以上のお宅ではホームエレベーターの活用も考えられますが、原則的に新築時でないと設置しにくいという問題、価格が数百万に及ぶという価格的な問題があります。

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